退職手当の見直しに関わって内閣人事局交渉を実施-4/25
~「退職手当の水準改定は、今回は必要ない」との回答を引き出す~
公務労協は25日、退職手当の見直しに関わり内閣人事局との交渉を実施した。
公務労協からは、森永事務局長はじめ書記長クラス交渉委員及び国公連合構成組織書記長が出席し、内閣人事局は、堀江人事政策統括官らが対応した。
冒頭、森永事務局長が「先週21日に、人事院より「民間の退職金及び企業年金の実態調査の結果並びに国家公務員の退職給付に係る見解」が示されたが、これを受けた内閣人事局における現時点での考え方を明らかにされたい」と求めたのに対し、堀江統括官は以下のとおり答えた。
○ 国家公務員の退職手当に関して、4月21日に人事院から官民比較調査について、退職給付に関する官民較差は、公務が民間を0.06%上回っているとの調査結果と、当該結果に基づき、取扱いについて検討を行うことが適切である旨の見解が示されたところ。
○ これを受けて、4月22日の閣議後記者会見において二之湯国家公務員制度担当大臣から、「官民でおおむね均衡しており、国家公務員の退職手当の水準改定は、今回は必要ないと考えます」とのご発言があったところ。
○ 内閣人事局としては、大臣からのご発言のとおりと考えている。
回答に対し、森永事務局長は、「先ずは、今回の見直しに関わる議論に入る前に、政府の基本的な考え方を確認したい」として次のとおり質した。
(1) 退職手当の支給水準については、概ね5年ごとに調査、見直しを行ってきているが、改めて、退職手当の支給水準の見直しに対する政府の基本的な考え方如何。
(2) そもそも人事院に求めたのは調査と見解であって、最終的に、国家公務員の退職手当の支給水準を見直すか見直さないかの判断は、政府において行うものであるということでよいか。
これに対して、堀江統括官は次のとおり回答した。
(1) 平成26年7月に閣議決定した「国家公務員の総人件費に関する基本方針」において、退職給付に関しては官民比較に基づいて概ね5年ごとに退職手当支給水準の見直しを通じて官民均衡を確保する、としている。引き続きこの方針に沿って官民均衡を確保してまいりたい。
(2) 認識のとおりである。支給水準を改定するかしないかは、政府の判断である。
次に、冒頭の統括官からの回答について、森永事務局長は「今回の官民比較の結果は、公務が民間を僅かながら上回っているものの、これまで法改正による対応が行われなかったケースと比較しても、極めて小さいものであると受け止めているが、今回、退職手当の水準改定が必要ないと判断した理由について改めて説明を求める。」としたのに対し、堀江統括官は、「退職手当は長期勤続報償という性格上、安定的な制度運用が求められることから、中期的な均衡を重視し、調査は概ね5年に1度行ってきており、較差が小さい場合は、この間水準改定を行ってきていない。そのような前提にたつと、今回は較差が0.06%と極めて僅少であり官民で概ね均衡していると認められることから退職手当水準の改定は必要ない、と考えている。」と回答した。
これを受けて、森永事務局長が、「統括官の回答を受け止め、退職手当の支給水準の改定のための法改正は行わないことを確認して、今回の退職手当に関わる内閣人事局との交渉は終局とするが、それで良いか。」と質したのに対し、堀江統括官は、「内閣人事局としては、大臣のご発言のとおり、官民で概ね均衡しており、国家公務員の退職手当の水準改定は今回は必要ないと考えている。」と回答した。
交渉参加者からは、前回(2017年)の退職手当見直しに関わる大臣との最終回答交渉の際に、「改めて、5年に1回の見直しが適切なのか否か、官民比較の周期など、今後の課題として整理しておく」としていたが、国家公務員の退職給付にかかる社会的な納得性と職員の公平性の確保などについて、改めて現状の認識を質した。
これに対して堀江統括官は、「退職手当の長期勤続報償という観点から、ある程度中期的に対応していくことが必要であると考えている。先程申し上げた基本方針で「概ね5年ごとに官民比較を行い、官民均衡を確保する」という考え方を示しているが、その考え方に変更は無い。今後も官民均衡確保は重要な課題と考えており、職員団体とも対話を重ねつつ対応をしてまいりたい」と回答した。
最後に森永事務局長が「公務労協としては、国家公務員の退職給付水準は、民間に準拠することが安定的かつ合理的であると考えており、今回の、公務が民間を1万5千円(0.06%)上回っているとの調査結果に基づき、「退職手当の水準改定は必要ない」とする内閣人事局の考え方については、前回及び前々回の大幅な減額改定を踏まえ、過去の調査結果と改定に基づく対応として適切なものであると受け止める。なお、退職給付水準の官民比較のあり方等については、民間企業における退職給付制度等の動向等も踏まえ、引き続きの課題であることを指摘し、今回の退職手当に関わる交渉は終わりにする」と述べ交渉を締めくくった。