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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2022年度 公務労協情報 No. 31

2022人勧期要求で人事院職員福祉局長、給与局長と書記長クラスが交渉-7/26

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、7月26日、人事院の柴﨑職員福祉局長、佐々木給与局長との交渉を実施し、2022年人勧期要求に対する現段階における回答を引き出した。
 この日に行われた交渉経過は次のとおり。

<職員福祉局長交渉の経過>
 冒頭、森永事務局長が現時点での検討状況について回答を求めたのに対し、柴﨑職員福祉局長は以下のとおり回答した。

Ⅰ労働諸条件の改善について
1 長時間労働の是正等
(1)長時間労働の是正
 超過勤務の縮減に当たっては、職員の勤務時間を適正に把握し、管理することが重要である。本年3月には、人事院職員福祉局長通知を改正し、各府省における勤務時間の客観的把握を開始している部局では、これに基づき、適正に超過勤務時間を管理するよう求めるとともに、本年4月には、超過勤務の縮減に向けた指導を徹底するため、勤務時間調査・指導室を新設した。同室において、勤務時間の管理等に関する調査を6月末から実施しており、今年度内に本府省の約30機関、地方の約40官署に対して実施する予定である。同室の調査において、対象となる職員ごとに客観的な記録(在庁時間)と超過勤務時間を突合して、大きなかい離があればその理由を確認するなどして、客観的な記録を基礎とした超過勤務時間の適正な管理について指導を行うこととしている。
 人事院としては、同室の調査や制度の運用状況の聴取の機会などあらゆる機会を通じて、引き続き各府省における超過勤務の上限に関する制度の運用状況を把握した上で、他律部署の範囲について業務の実態に即して課室よりも細かく指定するよう指導を行うとともに、特例業務の範囲が必要最小限となるよう指導を行っていくこととしたい。さらに、各府省のマネジメントに責任を有する者に対して、長時間の超過勤務を行う職員に対する医師による面接指導の徹底の要請、管理職員等のマネジメントに関する助言等を行い、デジタルを活用した事例など業務の合理化・見直しの実例を含めた各府省の好事例を収集・整理した上で横展開していくこととしたい。
 また、超過勤務問題の背景として、業務量に応じた定員・人員の確保や国会対応業務の問題があり、これらについては、昨年の報告において踏み込んだ言及をしているところであるが、本年の報告においてもしっかりと伝えていきたい。

(2)柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の検討
 「テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方に関する研究会」においては、職員団体の皆さんのヒアリング等も交えながら、テレワーク、フレックスタイム制、勤務間インターバルといった検討事項について議論が行われている。これらの検討事項のうち既存の制度であるフレックスタイム制については、先行して議論を深めることとされ、7月には、職員団体の皆さんの関心が強かった執務態勢の確保、職員の健康確保等について考慮しつつ、フレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化を早期に実施すべきとの中間報告が取りまとめられた。
 人事院としては、研究会から中間報告において提言されたフレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化は、職員の勤務条件及び公務能率の向上に資するものであると考えることから、この提言の内容を基本として、各府省や職員団体の皆さん等の関係各方面と調整の上、来年4月から実施されるよう、人事院規則等の改正などの必要な措置をできる限り速やかに講ずることとしたい。
 併せて、柔軟化した制度が実際に職員の柔軟な働き方につながるように運用されるためには、執務態勢が制約要因とならないよう業務量に応じた要員が十分に確保される必要があるとの提言もなされており、人事院として、長時間労働の是正の観点も含めて、定員担当部局への必要な働きかけを行っていきたい。
 今後、研究会においては、テレワークや勤務間インターバル確保の方策について更に議論を深めることされ、テレワーク時の休憩時間の在り方やフレックスタイム制における一日の最長勤務時間数などについても併せて検討することとされている。また、中間報告で言及されたフレックスタイム制等の柔軟化以外の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度の在り方等についても、引き続き検討を行うこととされているところである。これらの検討事項については、今年度内を目途に結論を得るべく、研究会において引き続き検討を進めていくこととしており、職員団体の皆さんの意見も踏まえて検討してまいりたい。

2 仕事と生活の両立支援
 昨年の意見の申出に基づいて、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正や妊娠、出産、育児等と仕事の両立支援のための人事院規則等の改正はすべて完了した。
 今後、人事院としては、全ての職場において両立支援制度を利用しやすい勤務環境の整備のため、不妊治療と仕事の両立に関するイベントの開催、職員向けのリーフレットや管理職員向けの研修教材の提供等、内容を充実させて周知啓発や各府省に対する支援・指導に取り組むこととしたい。
 また、令和5年4月から国家公務員の定年が段階的に65歳まで引上げられることも踏まえると、今後は、介護に加えて、職務に有用な専門性を高めるために必要な学び直しのニーズが高まると考えられることから、介護休暇や自己啓発等休業制度等についても必要な調査研究を行うこととしたい。

3 ハラスメント防止対策等
 ハラスメント防止対策においては、幹部・管理職員の役割が極めて重要であることから、現行の幹部・管理職員ハラスメント防止研修について、組織マネジメントの観点も反映したより実効性のあるものとなるよう研修内容を見直して来年度から実施することとしたい。
 また、ハラスメントに関する相談への対応には専門的なスキルや経験の蓄積が求められるが、現状それが十分にできているかというと、課題があるというふうに認識している。ハラスメント事案の迅速・適切な解決に向けて、専門性の向上や担当者が適切に対応できる体制整備に向けて、各府省における事案の解決や相談体制に係る実情・課題を今年度中に把握し、対応を検討することとしたい。
 さらに、苦情相談を含めた公平審査制度において、パワー・ハラスメントに関する事案についても人事院としての役割を果たしてまいりたい。
 職員の健康づくりについては、今後、高齢層職員や女性職員の割合が増加していくことも念頭に置きつつ、職員の健康管理施策を一層推進する必要があるが、そのための健康管理体制は必ずしも十分とは言えない。そのため、各府省における健康管理医、健康管理者及び健康管理担当者の配置状況や、心身の健康にかかる各種相談体制の実態(運用状況)を調査するとともに、民間における健康経営の状況を把握しつつ、各府省における健康管理体制を充実させるための方策について検討することとしたい。
 また、心の健康づくりについても、ストレスチェック制度を活用した職場環境改善の一層の取組を促すとともに、「こころの健康相談室」におけるオンライン相談の体制の拡充や周知により、こころの健康づくりを推進するなど、引き続き、必要な取組を進めてまいりたい。

Ⅱ非常勤職員制度等について
 非常勤職員の休暇制度等については、業務の必要に応じて、その都度、任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化(令和4年1月施行)、育児休業、介護休暇等の取得要件の緩和(令和4年4月施行)、子が1歳以降の育児休業の取得の柔軟化(令和4年10月施行)などがある。
 今後も、引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。

回答に対し、森永事務局長は長時間労働の是正について以下のとおり、職員福祉局長の見解を質した。
(1)令和2年度の上限超え職員の割合等について、新型コロナウイルス感染症対策関連業務を理由として、上限を超えて超過勤務が行われている実態は、ある意味で致し方ない側面もあると理解するが、本来、通常業務の範囲で行われるべきと思われる、予算・会計、人事・給与などの業務を理由としている割合が一定程度あることについて、改めて、特例業務の厳格化が必要と考えるが人事院の認識如何。
(2)今年度から人事院に新設された「勤務時間調査・指導室」の具体的な取組については、冒頭の局長からの回答で承知したが、新たな施策として取り組んでいる特徴的な取組如何。いずれにせよ、超勤縮減に向けて、人事院として積極的な役割を果たしていただきたい。
(3)勤務時間の客観的な把握については、引き続き、IT等を活用した職場における厳格な勤務時間管理の徹底を人事院、政府に対して求めていくが、勤務時間管理のシステム化に向けた人事院の対応状況如何。
 
 これに対し、柴﨑職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1)特例業務は必要最小限とならなくてはいけないと認識している。あらゆる機会を通じて各府省に指導を行ってまいりたい。そのうえで、新型コロナウイルス感染症等の困難な事例に対応する必要があることは承知をしている。各府省で業務内容も異なってくるため、一概には申し上げにくいが必要な対応をしっかりと行ってまいりたい。
(2)指導室によって、客観的な記録を基に、超勤の状況をひとつずつ突合していくという作業が新しい取組と言える。全国的にみると客観的な記録を取っていない職場もあり、そういった職場には客観的記録をしっかりと取るよう指導を行っていきたいと考えている。正直かなり膨大な作業となるが、全国規模で展開してまいりたい。
(3)人事院として、内閣人事局、デジタル庁と連携しながら必要な対応を進めていく。「テレワーク等に関する研究会」の報告においてもシステム化について言及があるので、政府に対して働きかけを強めてまいりたい。

 次に、森永事務局長は人事院「テレワーク等研究会」について局長の見解を質した。
(1)中間報告を踏まえて、フレックスタイム制の柔軟化などについて来年4月から実施されるように進めていくとのことだが、人事院規則等の改正のスケジュール感は現状どう考えているか。
(2)フレックスタイム制実施職員、テレワークを活用する職員、在庁する職員など、各職場において、働き方が異なる職員が存在することとなり、職場でのコミュニケーションなどを課題と認識するが人事院としての問題意識如何。

 これに対し、柴﨑職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1)具体的な作業として、人事院規則の改正があるが、各府省において内規の改正、勤務時間管理システムの改修も必要になる。また、制度の周知もしっかりと行わなければならない。これらを来年4月までの間に終え、4月からしっかりと使える状況を作っていく、ということがこれからの作業になる。
(2)窓口業務や、決まった時間に決まった行政サービスを必要とされる官署があり、公務として行政サービスをしっかりと提供する必要があるため、全員が希望する働き方ができるかと言えばなかなか難しいと理解している。その中で管理職員が適切にマネジメントを行い、少しでも職員が働きやすいような働き方を提供できるよう、管理職員のマネジメント能力の強化を図るために研修を行う等をしてまいりたい。
 また、業務負荷が強く、フレックスタイム制が適用できない職員については勤務間インターバルが必要ではないかといった意見も研究会からいただいている。今後は勤務間インターバルの議論も深めてまいりたい。

 次に、森永事務局長は休暇制度について局長の見解を質した。
(1)出生サポート休暇について、審議官交渉の際、各府省の実態の把握については、今後必要に応じて検討するとの回答であった。プライバシーに関わる課題もあるので十分に配慮しなければいけないが、休暇の活用状況等を把握することで、改善すべき点等が見えてくると思う。是非、前向きに検討すべきと考えるが人事院としての認識如何。

 これに対し、柴﨑職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1)人事院としては制度の周知徹底を図ることが重要である。そのうえで実情がどうなっているかを調べる必要がある。適切なタイミングで適切な方法で行ってまいりたい。

 次に、森永事務局長は福利厚生施策について局長の見解を質した。
(1)令和3年度年次報告書(人事院)によれば、精神及び行動の障害による長期病休者数について、令和元年(4,186人)、令和2年(4,277人)と増加傾向にあり、全職員に占める割合も1.5%台となり、5年前の平成28年度(3,487人)と比較すると、23%も増加している実態にあるが、人事院としての問題意識如何。
(2)令和3年度苦情相談の状況(人事院7/7公表)を見ると、相談事案数が平成25年度から8年連続で増加しており、過去最多となっている。その内訳は、ハラスメント関係で全体の1/3となっている。省庁別の数字も公表されているが、人事院として各府省へどのような指導等を行っているのか。
 また、2020年4月のパワハラ防止等の措置を講じる人事院規則施行から2年余が経過するが、苦情相談数を見る限りにおいては、ハラスメント根絶には至っていない。人事院として、この2年間を振り返り、どのような効果的な施策を打つ必要があると考えるか認識如何。

 これに対し、柴﨑職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1)近年、心の健康の問題による長期病休者数は増加傾向にあり、大きな課題であると認識をしている。ストレスチェックについては制度導入から5年が経過した段階であるが、これを活用した職場環境改善をより効果的に行えるよう有識者からの意見聴取等も行い、本年2月に取りまとめを行い、各府省に通知をしているところ。
心の健康相談室については、令和4年度より本院と一部の地方事務局でオンライン相談を実施をしている。多くの声をいただいており、今後全国の事務局を窓口としてオンライン相談が実施できるような体制整備を行ってまいりたい。
(2)パワーハラスメント等については令和2年4月に人事院規則を制定し同年6月から施行となっている。これらに基づき各府省において苦情相談体制を整備し、研修を実施することになっており、人事院としては、各府省が円滑かつ効果的にハラスメント防止対策を実施できるようハラスメント相談員マニュアルを配布する等、様々な取組を行っており、ある程度職員に周知が進んできていると考えている。今後は、幹部、管理職員の意識改革をさらに徹底し、ハラスメント事案が発生した場合に迅速的に改善できるような体制整備が課題であると考えている。
 苦情相談について、人事院では各府省に勤務する一般職の国家公務員からの苦情相談を公平・中立な立場から受けるという仕組みになっており、必要があれば相談者が属する府省に対して適切な働きかけを行う等、今後も公平審査制度における人事院の役割を果たしていきたいと考えている。

 次に、森永事務局長は非常勤職員について局長の見解を質した。
(1)非常勤職員の休暇については、「引き続き民間の状況等について注視し、必要に応じて検討する」との回答であったが、無給休暇の有給化については、職場からの要望も強くあることから、引き続き、非常勤職員の休暇の改善に向けて、節目節目での公務員連絡会との議論を継続していくことを求めるが良いか。

 これに対し、柴﨑職員福祉局長は次のとおり回答した。
(1)非常勤職員の休暇制度の検討にあたっては、これまでも皆さんと議論、協議を行いながら進めてきているところ。引き続き議論をしてまいりたい。

 最後に、森永事務局長から「新型コロナウイルス感染症は、現在、全国各地で過去最多となる感染確認が相次ぐなど、感染拡大の第7波に入っている。引き続き、今後の推移を注視しつつ、職員の感染防止、健康確保のため、われわれとの協議を通じて、適宜、必要な措置を講じることを改めて求めておく。また、長時間労働の是正、パワー・ハラスメントの防止などの課題も継続しており、真に明るく働きやすい職場に向けて、われわれも各職場で努力していくが、是非、人事院としての役割を積極的に果たすことを強く求めておく」と要請し、職員福祉局長交渉を締めくくった。

<給与局長交渉の経過>
 冒頭、森永事務局長が現時点での要求に対する検討状況について回答を求めた。佐々木給与局長は、以下のとおり答えた。

1 勧告について
 人事院としては、公務員の給与等の適正な水準を確保するため国会と内閣に必要な勧告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たすこととしている。
 本年の勧告については、例年とおおむね同様の日程を念頭に置いて、鋭意作業を進めているところである。

2 官民較差について
 行(一)職員の平均年齢は、本年の国公実態調査によると昨年と比べて若干低下している。(42.7歳。昨年比△0.3歳)
 本年の民間企業における春季賃金改定状況を見ると、賃金改定の状況は企業によって様々であり、昨年を上回るベースアップを行うこととした企業がある一方で、ベースアップを見送った企業もある。
 また、民間の一時金の状況を見ると、一時金の増額を行うこととした企業がある一方で、新型コロナウイルス感染症拡大の業績への影響により大幅に削減された一時金の支給が回復していない企業もある。
 このように、個々の産業や企業によって区々な状況にある中、官民較差及び一時金については、現在集計を行っているところであり、最終的にどのような結果となるか注目しているところである。

3 諸手当について
 諸手当については、民間の状況、公務の実態等を踏まえ、皆さんのご意見もお聴きしながら必要となる検討を行ってまいりたい。

4 再任用職員の給与について
 再任用職員の給与については、民間企業における定年制や高齢層従業員の給与の状況、定年引上げに伴い設けられる定年前再任用短時間勤務制等も含めた再任用制度の各府省における運用を踏まえつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、引き続き、必要な検討を行ってまいりたい。

5 高齢者雇用施策について
 人事院においては、各府省等及び職員団体からの意見等も踏まえつつ検討を行い、令和4年2月18日に定年の段階的引上げに伴う規則の制定・改正等を行ったところ(令和5年4月1日施行)。人事院としては、高齢層職員の能力及び経験の本格的な活用に向けて、定年の引上げが円滑に行われるよう、規則等の内容を周知するなど、必要な準備を進めていくこととしている。具体的には、各府省等に対し、60歳以降に適用される任用、給与、退職手当の制度をとりまとめた情報提供パンフレット等を作成し、提供するとともに、地方機関も含めた人事担当者等を対象に制度説明会を実施するなどしているところ。
 また、定年引上げに係る国家公務員法改正法附則で検討事項とされた給与制度の検討に当たっては、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるよう、民間企業における状況等や公務の人事管理の状況等を踏まえつつ、必要な検討を行っていくこととしている。この取組を進めるに当たり、改めて公務員給与をめぐる情勢を見ると、社会や公務の変化に適応した人事管理が求められる中で給与制度についても様々な課題に対応できるようなアップデートを図っていく必要があると考えている。そのため、こうした社会や公務の変化に応じた給与制度とするべく様々な側面からの取組を一体的に進めていきたいと考えており、今後、職員団体の皆さんの意見も聴きながら検討を進めてまいりたい。

6 非常勤職員等の処遇改善について
 非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省において適正な給与の支給が行われるよう、必要な指導を行ってきている。この指針は、これまで2度改正し、期末手当及び勤勉手当に相当する給与の支給に関して取り組むべき事項を追加するなどの見直しを行い、現在、これに基づく各府省の取組が進んでいるところであり、引き続き、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
 これまでも、指針に基づく各府省の取組状況等については、定期的にフォローアップを行っているところであり、昨年7月に改正した特別給に相当する給与の支給月数に係る取扱いについても、具体的な時期や方法等については未定であるが、今後いずれかの段階で確認することを考えている。

7 その他
 本年の報告においては、先ほど述べた社会や公務の変化に応じた給与制度の整備のほか、博士課程修了者の処遇改善や民間人材の採用円滑化のための給与面の対応について報告できるよう準備中である。これらについても、勧告時に報告した後、職員団体の皆さんにも具体的にご説明し、取組を進めてまいりたい。

回答に対し、森永事務局長は、次のとおり、勧告日、月例給について局長の見解を質した。
(1)勧告日については、例年とおおむね同様の日程を念頭に作業を進めているとのことだが、8月第2週前半をイメージしておけば良いか。
(2)本年の職種別民間給与実態調査の完了率如何。
(3)行(一)職員の平均年齢が昨年と比べて若干低下(42.7歳△0.3歳)しているとのことだが、平均給与はどのような状況か、また、この国公実態が官民較差に与える影響如何。
(4)13日の審議官交渉から二週間が経過している。例年の給与局長の回答と同様とは言え、未だ「集計中」という回答は極めて不満である。改めて、官民較差について、民間の各種調査結果等も踏まえた認識を含めて再回答を求める。
(5)民間との初任給の格差解消に向けては、昨年の勧告期からお互いに問題意識を共有している。本年の民間春闘においても、初任給を引き上げる企業が増えており、昨年以上に格差が大きくなっていることが懸念される。官民較差が未だ明確になっていない中ではあるが、この点に関わって、現時点での人事院としての認識如何。
(6)本年の勧告において手当関係で何らか見直しを行う手当はあるのか。また、本年の民調で「在宅勤務関連手当」を調べているが検討状況如何。
(7)官民較差が一定程度判明する然るべき時期に、再度、議論することで良いか。

 これに対し、佐々木局長は次のとおり回答した。
(1)現在作業中であり、現段階では、確定的なことは申し上げられない。
(2)コロナ禍以前の完了率は8割台後半だった。今年は、昨年と同程度の調査完了率となっている。
(3)行(一)において、昨年は一昨年に比し、0.2歳の若返り(43.2歳→43歳)であったが、その際は、平均給与月額は1,715円減少している(408,868円→407,153円)。その内、俸給月額は△1,737円であった。今年は△0.3歳という調査結果が出ていることから、同じような傾向にあると想定されるのではないか。
(4)昨年のこの場において、民間春闘の賃上げ状況は厳しい状況と申し上げたが、今年はそのようなことは申し上げていない。初任給の引上げ、ベースアップを実施した事業所の割合は昨年に比べて増えている印象があり、相応の賃金水準を確保する傾向が見られる。民調の結果がどのように出るか、注目しているところである。
(5)初任給については、民間の水準と差があることは認識している。昨年、一昨年は月例給の改定がなく、格差の解消ができなかった。官民較差がプラスになった場合には、初任給近辺に重点を置いて改定を行うという考え方に則っており、その考え方は変わっていない。
(6)現時点で想定している手当はない。在宅勤務関連手当については、民間へのヒアリングを行うとともに公務の実態を把握し、今回の民調で民間企業の支給状況の調査を行っている。引き続き、具体化に向けて検討していく。
(7) 改めて、議論する機会を設定したい。

 また、交渉委員から「特に自治体においては、初任給や若年層の給与が、地元の民間と比較して低い状況にある。就業先として自治体を選択しない、また入職しても辞めてしまう職員もいる。人材確保の観点からも、ぜひ引上げをお願いしたい」という要望があった。

 次に、森永事務局長は、一時金について局長の見解を質した。
(1)公表されている民間の各種調査結果を見れば、昨年冬では増減が混在しているがほぼ前年同水準と見てとれる。一方で、本年夏については、産業・企業の状況にばらつきはあるものの、ここ2年間とは異なり、明らかに前年よりも改善が進んでいると認識している。改めて、一時金について、民間の各種調査結果等が、本年の勧告にどのような影響を与えるのか認識如何。
(2)局長の回答は、「現在集計中、最終的にどのような結果となるか注目している」とのことで、月数の増・減含めて判然としないが、期末手当と勤勉手当の配分の考え方、再任用職員の改定の考え方について、現時点での人事院としての見解如何。

 これに対し、佐々木局長は次のとおり回答した。
(1)一時金においても、昨年は極めて厳しい状況と申し上げていたが、今年はそのようなことを申し上げてはいない。昨年冬の民間の調査結果については、月数は若干プラス、額はプラス、マイナスの事業所があり、どのように見るかが難しい。今年の夏については、今結果が出ているところでは平均してプラスであるといえるが、民調の結果を見守っている状況である。
(2)近年、期末手当・勤勉手当の配分については、民間の考課査定に占める割合に近づけることとしており、支給月数がプラスの場合は勤勉手当を上げ、逆にマイナスの場合は期末手当を下げることで、手当の中で勤勉手当の比率を高めているが、民間の考課査定に占める割合にはまだ追いついていないのが現状である。
 再任用職員についても、これまでと同じ考え方である。

 また、交渉委員からは、「期末手当・勤勉手当の配分について、考課査定割合に近づけることは否定しないが、この2年間、期末手当が引き下げられている。特に育児休業中の職員にとっては、大きな問題である」という発言があった。

 森永事務局長は、「一時金の配分についての考え方はこれまでと変わらないとのことだが、育児休業中の職員の処遇にとっては問題があるし、また非常勤職員についても昨年給与決定指針が改正され実際の支給実態がどのようになっているのか等、注視していく必要があることを指摘しておく。その上で、一時金に関する民間実態を踏まえれば、本年は3年ぶりに『支給月数を引き上げること』が公務員連絡会の要求であり、月例給と同様に、次回に議論を継続する」と指摘した上で、次に、再任用職員の給与、高齢者雇用施策について局長の見解を質した。
(1)再任用職員の給与については、われわれの意見も聴きながら、引き続き、必要な検討を行っていくとの回答であったが、要望の強い、生活関連手当等を支給できるよう改善するなど積極的な対応が必要だと考えるが、人事院の認識如何。
(2)先ほどの局長の回答は、「こうした社会や公務の変化に応じた給与制度とするべく様々な側面からの取組を一体的に進めていきたい」とのことだった。審議官交渉でも指摘している、地域手当や寒冷地手当の見直しなどもこの文脈に含まれているのか、具体的に現時点でどのようなことをイメージしているのか、特徴的な課題があれば明らかにしていただきたい。

 これに対し、佐々木局長は次の通り回答した。
(1)これまでの議論のとおり、再任用職員の給与に関する問題意識は持っている。ただ、国家公務員法等の改正の中で、基本的に、現行の再任用職員の制度をそのまま引き継ぐ形になっている。「社会や公務の変化に適応した人事管理が求められる中で給与制度についても様々な課題に対応できるようなアップデートを図っていく必要があると考えている」と申し上げたが、その中での、一つの課題であると認識している。
(2)大きな問題意識を申し上げると、若い世代の人材の確保、中途採用、機能的で柔軟な配置・登用、また採用の多様化や入職後のキャリアパスがある。また、働き方も多様化している。一方、公務組織は全国展開が必須であり、そのための体制を確保しなくてはならないという観点もある。そういったものに対応する上で、多様な人材の確保、60歳前後の給与カーブ問題、各段階のキャリアにおける能力、専門性に応じた給与の在り方等を考えていく必要がある。
 地域手当については、10年ごとに見直しを行うことを考えれば、次は令和6年(実施は令和7年)という事になる。令和6年を見据えて、先に挙げた課題を含め、具体的にどうしていくかを、皆さんとも議論していきたい。また、寒冷地手当の見直しは10年ごとと決まっている訳ではないが、新しいメッシュデータが示されたことから、それに基づいて考えていきたい。

 また、交渉委員からは、「『定年前再任用短時間勤務制等も含めた再任用制度の各府省における運用』の具体のイメージとはどういうことなのか」という質問があった。佐々木局長は、「定年前再任用短時間勤務は、現行の再任用の給与制度を引き継ぐ形でできあがったものである。職員側から見れば、選択肢が増えたということであるが、ご指摘のとおり、生活関連手当が出ない等の課題もある。本年より、定年の段階的引上げに伴う意思確認が行われるが、そこで定年前再任用短時間勤務の希望があるのかないのか、実際の状況を見た上で、どこに問題があるのか検討していきたい」と回答した。

 最後に、森永事務局長は「今日は、官民較差については、なお集計中ということで、具体的な議論に入ることができなかったが、次回の交渉で、改めて、月例給及び一時金についての具体的な議論と要求に対する回答を求める」と指摘し、給与局長との交渉を締めくくった。