人事院が月例給・一時金の引上げを勧告-8/8
-公務員連絡会は声明を発出し、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づく速やかな給与の改定に係る措置を図ることを要求-
人事院は本日、国会と内閣に対して月例給を0.23%、921円、一時金を0.10月引き上げる勧告・報告を行った。
また、公務員連絡会は8月5日の代表者会議で、別紙1の声明を確認するとともに、8日の人事院勧告・報告を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに各構成組織の実情に応じた行動等を実施することとした。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、勧告を踏まえ、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づく速やかな給与の改定に係る措置を図ることを求める要求書を提出することとした。なお、連合においても2022人事院勧告について、事務局長談話(別紙2)を発出している。
別紙1-公務員連絡会の声明
声 明
1.人事院は、本日、月例給を0.23%、921円引上げ、一時金の支給月数を0.1月分引上げる給与に関する勧告・報告と、長時間労働の是正や、テレワークをはじめとする柔軟な働き方等を内容とする公務員人事管理に関する報告を行った。
2.公務員連絡会は、6月20日に人事院に要求を提出して以降、幹事クラス交渉委員による職員団体審議官交渉、書記長クラス交渉委員による職員福祉、給与両局長交渉を複数回行うなど、特に、勧告期終盤において焦点化した勤勉手当の上位の成績区分に関わる原資の問題について、人事院との交渉・協議を粘り強く取り組んだ。
本年の人勧期における重要課題は、①急激な物価上昇のなか、民間春闘や全印刷・全造幣における中労委調停による3年ぶりのベア獲得などの成果を引き継ぎながら、公務員の月例給及び一時金の引上げを勧告させること、②初任給の改善等により若年層における民間との格差の解消を図ること、③再任用職員への手当の拡充を含め高齢層職員の処遇の見直しを図ること、④特例業務や他律的業務のあり方見直しなど実効性ある超過勤務の縮減策を実現すること、⑤常勤職員との権衡に基づく更なる非常勤職員の待遇を改善させること等であった。
3.本年の給与に関する勧告は、①月例給について、官民較差を埋めるためとして、初任給及び30歳台半ばまでの職員が在籍する号俸に限って引上げることとしている。②一時金については、0.1月分の全てを勤勉手当の引上げに充てるとした上で、勤勉手当の支給月数の引上げ分の一部を用いて、上位の成績区分に係る原資の確保を図るとしている。
4.以上の本年の勧告に対して、①月例給に関しては、若年層の処遇改善は我々も要求してきた内容であり、また公務における人材確保や非常勤職員の待遇改善にも寄与することから、一定の評価ができる。しかし、俸給表全体を改定するための較差に至らなかったとはいえ、我々が求めた全世代への配慮の面からは決して満足のいくものではない。②一時金に関しては、3年ぶりに支給月数増となることは、コロナ禍前の水準の回復には至らないものの、組合員の期待に一定程度応えたものと受けとめたい。しかし、上位の成績区分に係る原資に配分する点については、交渉を通じて各期ともに0.01月分の最小単位に止めさせたものの、最近の物価上昇等の世代を問わない影響、また新型コロナウイルス感染症の感染拡大のもと、懸命に職務に従事している職員の実情からして極めて遺憾である。
5.報告で指摘された「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」は、俸給表はもとより、地域手当など各種手当の見直しを検討すること、その際に、定年の段階的な引上げに関する改正国公法附則に明記された、60歳前後の給与水準を連続的なものにすることを含め、若年層及び再任用職員を含む高齢層職員の処遇のあり方の見直しを一体的に取組むことを示したものと言える。これについては、その内容・方向性ともに定かではないが、これらはいずれもこの数年で検討対象になるものであり、我々としても課題として受け止める必要があるものと認識する。その上で人事院は、2023年に骨格案、2024年にその時点で必要な措置の成案を示し、施策を講ずることを目標としているが、この間の交渉の中で、我々との協議を行うことを明言していることを踏まえ、交渉・協議を強化し、合意に基づく対応を求めていく。
6.長時間労働の是正については、「勤務時間管理・指導室」による新たな取組をはじめ、人事院には、主体的な役割を積極的に果たすことを強く求める。公務員連絡会としても、新型コロナウイルス感染症への対応という平時ではない状況下の今だからこそ、特例業務や他律的業務部署の指定の範囲等も含め、各府省労使間で真摯に超過勤務縮減に向けた議論を行う等必要な対応をはかっていく。
7.柔軟な働き方については、報告において、テレワークに関連する手当の検討が示された。さらに、フレックスタイム制及び休憩時間制度の柔軟化策を本年度内に措置すること、テレワーク等の推進に伴う課題や勤務間インターバルの確保等について検討を行った上で、必要な措置を行うとしている。これらについては、職場実態と組合員の生活実態に基づく意見反映に向け、引き続き人事院との交渉・協議を進める。
8.非常勤職員の休暇関連については、この間の我々との協議のもと、両立支援制度の拡充などが図られてきたが、引き続き、無給休暇の有給化をはじめ、常勤職員との権衡を図らせるとともに、制度の改善を求めていく。また、両立支援策のさらなる拡充やハラスメント防止対策の強化についても、人事院との協議を継続していく。
9.以上のように、本年の勧告・報告は、3年ぶりとなる月例給・一時金の引き上げを勧告するものではあったが、我々の要求にあまねく応えたものとはいえない。
今後、政府に対して、本年の人事院勧告を踏まえ、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づく速やかな給与の改定に係る措置を図るよう求めていく。
さらに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の賃金確定闘争に向けて、全力を尽くすものである。
2022年8月8日
公務員労働組合連絡会
別紙2-連合事務局長談話
2022年8月8日
2022年人事院勧告に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行
1.3年ぶりの改善となる勧告どおり早期の給与改定を
人事院は8月8日、政府ならびに国会に対して、2022年度の国家公務員の給与について、3年ぶりに改善する勧告を行った。内容は、月例給を921円(0.23%)引き上げ、一時金の支給月数を年間4.40月(0.10月増)とするものである。本勧告は、国家公務員の労働基本権制約の代償機関としての人事院が行った民間給与実態調査にもとづく改定であり、政府と国会は早期に勧告どおりの給与改定を実施すべきである。
2.公務職場の現状に鑑みた勤務環境の改善を
給与に関する勧告と同時に行われた「公務員人事管理に関する報告」では、フレックスタイム制および休憩時間制度の運用の見直しが盛り込まれた。また、本年4月に勤務時間調査・指導室が新設され、各府省に対する超過勤務時間の適正管理等の指導が行われている。人事院には、労働組合との丁寧な協議のもと職場実態と組合員の生活実態を踏まえて、勤務間インターバルの確保など長時間労働の是正に向けた実効性ある措置を求める。
3.地方自治体は少なくとも人事院勧告同様の給与引き上げと丁寧な労使交渉を
今後、人事委員会が置かれている地方自治体においては、地方公務員の給与にかかる勧告が行われるが、地域経済の底支え・活性化に向けて、人事院勧告を踏まえ、少なくとも同様の引き上げ勧告がなされる事を期待する。加えて、地方自治体に対しては、地方自治の本旨にもとづき条例改正に向けて労使交渉が尊重されることを求める。
4.連合は、より質の高い公共サービスに資する公務員制度改革に取り組む
連合は、国民の安全・安心なくらしを守る、より質の高い公共サービスの維持・発展に向け、ILOをはじめ関係する組織と連携しながら、公務員の労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする、民主的な公務員制度改革の実現をめざしていく。
以 上