書記長クラス交渉委員が人勧取扱い等に関わり内閣人事局人事政策統括官と
交渉-10/4
公務員連絡会は、10月4日16時30分から、本年の人事院勧告の取扱いに関する政府の検討状況を質すため、内閣人事局交渉を実施した。公務員連絡会は書記長クラス交渉委員が出席し、内閣人事局は窪田人事政策統括官らが対応した。
冒頭、森永事務局長が、「8月8日に人事院から本年の給与に関する報告・勧告が行われ、同日、公務員連絡会は、大臣に対して要求書を提出した。その後、約2ヵ月が経過するところ、昨日、臨時国会も始まったが、本年の給与改定に関する取扱いについて、今日段階の検討状況を明らかにされたい。」と求めたのに対し、窪田統括官は次のとおり回答した。
○ 8月8日に提出された要求書について、本日までの検討状況を回答する。
○ 去る8月8日に人事院から国家公務員の給与についての勧告があったことを受け、同日、第1回の給与関係閣僚会議が持ち回りで開催されたところ。
本年の給与改定の取扱いについては、労働基本権制約の代償措置の根幹を成す人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢の下、国政全般の観点から検討を進めているところであり、早急に結論が得られるよう努力してまいりたい。
これに対し、森永事務局長は、「本年の取扱い等の議論に入る前に、一点確認しておく。」として、次のとおり質した。
○ 8月8日に大臣に対して要求書を提出した際にも指摘しているが、昨年(2021年)の勧告を巡っては、労働基本権制約の代償措置とされる人事院勧告とは異なる措置(勧告では、2021年12月一時金での改定とされていたところ、本年6月での調整となったこと)が講じられるとともに、給与法等改正法案の提出が本年2月にずれ込む異例の状況となったことは、本来、あってはならないことであり、改めて、この点に関して、政府としての見解如何。
これに対し、窪田統括官は次のとおり回答した。
○ 人事院勧告が出された場合は速やかに法案を提出し、それに対処するということは基本であるということについては全く変わらない。人事院勧告制度を尊重するという基本的な立場の下、その取扱いについてはできるだけ速やかに実施すべきであると考える。
次に、本年の給与改定の取扱いについて、森永事務局長は次のとおり質した。
○ 本年の給与改定の取扱いについて、改めて、人事院勧告を尊重するという、これまでの政府の姿勢は何ら変わっていないということを確認するが良いか。また、冒頭の回答では、「国政全般の観点」から検討を進め、「早急に結論」とのことだったが、どのような方向で結論を出されるのか。
これに対し、窪田統括官は次のとおり回答した。
○ 政府としては、一貫して人事院勧告尊重という姿勢であり、政府の姿勢はこれまでと変わっていない。今回の給与改定の取扱いについては、人事院勧告を尊重するとの基本姿勢に立って検討中であり、早急に結論が得られるよう努力してまいりたい。
森永事務局長は、統括官の回答を受け、「3年ぶりとなる年収ベースでプラスの給与改定勧告であり、この間、各職場で懸命に職務に従事している職員の期待も大きいと思う。是非、勧告を踏まえた給与の改定に係る措置を速やかに図るべく努力することを求めておく。」とし、次に、本年の給与に関する報告で言及されている課題について、内閣人事局の見解を質した。
(1)「テレワークに関する給与面での対応」について、政府としても、「令和4年度における人事管理運営方針」(以下、人事管理運営方針と略す)において、「テレワークで完結可能な業務の最大化」を掲げ、その中で、「人事院と連携し、民間企業におけるテレワークに対する経費の負担の状況を研究し、テレワークに関する国家公務員の経費の負担等の在り方を検討する」とされていたところ、現状如何。
(2)「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」については、今後、具体的な課題を整理した上で、公務員連絡会として、人事院との交渉・協議を進めることとしているが、今回の報告を踏まえて、政府としての全体的な受け止め如何。
また、人材の確保に向けて、人事管理運営方針において、「人事院と連携して、採用試験の受験者の拡大や中途採用の円滑化につながる施策について検討する。特に、その時々の行政課題に応じた即戦力を確保する観点から、国家公務員経験者の再採用を含めた民間人材の採用円滑化のための手続、処遇等について検討する」とされているが、現状如何。
これに対し、窪田統括官は次のとおり回答した。
(1) 現在、人事院で開催されている勤務時間制度等の在り方に関する研究会において検討されていると承知しており、当該研究会のオブザーバーである内閣人事局としても協力してまいりたい。
(2)「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」については、現在、人事院において検討されていると承知しており、令和5年夏に具体的な措置についての骨格案を示すことができるように検討を進めるとされており、課題も多岐にわたっていることから、政府としても、検討状況を現在のところは注視してまいりたい。
また、人材の確保に関しては、政府からの要請を受け、人事院において採用試験の実施時期の前倒しや任期付職員の各府省限りで採用できる範囲を拡大する通知を発出するなど、対応いただいているところであり、残された課題について政府としても引き続き対応を検討してまいりたい。
次に、森永事務局長は、「公務員人事管理に関する報告について、政府としての認識を伺いたい。」としたうえで、次のとおり質した。
(1) 長時間労働の是正について、今回の報告では、客観的把握に基づく勤務時間管理等についての指導・助言、業務量に応じた定員・人員の確保等、国会対応業務の改善に言及している。他方で、人事管理運営方針でも、「勤務時間管理の徹底と長時間労働の是正」を掲げ、政府として、様々な取組を進めていただいているが、超過勤務時間の実績だけを見れば、超過勤務の縮減には繋がっていない。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の終息が見通せないもと、また、昨日からは臨時国会も始まっており、この際、改めて、長時間労働の是正に向けて、政府全体でどのように取り組んでいくのか現状如何。
(2) テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度の検討について、今回の報告でフレックスタイム制及び休憩時間の柔軟化については、来年4月から実施できるように必要な措置を講じるとされているところ。政府としても、人事管理運営方針において、「業務の効率化、テレワークで完結可能な業務の最大化」や「テレワーク・フレックスタイム制を組み合わせた柔軟な働き方の推進」を掲げている。一方で、今回の措置が、職員のワーク・ライフ・バランスに資するものとなるのか、フレックスタイム制の活用状況をはじめとして注視する必要があると考えている。政府としての認識如何。
これに対し、窪田統括官は次のとおり回答した。
(1) 長時間労働の是正に関して、各府省等において令和4年度の時間外手当予算について、必要十分な額が措置されたものと承知しているが、予算があるからと超過勤務をさせてよいということではなく、働き方改革をしっかりと進めてまいりたい。
その上で、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」に基づき、各府省が11月までに取組計画を改定することとしており、内閣人事局としても、各府省等が、それぞれの職場の実態や課題に応じた実効性のある施策を盛り込むよう働きかけているところである。
(2) 現在、人事院で開催されている勤務時間制度等の在り方に関する研究会において、中間報告としてフレックスタイム制等の柔軟化が提言されたところ。これらの制度について、個々の職員が十分に活用できるよう、人事院と連携して対応してまいりたい。
次に、森永事務局長は、以下2点の課題について質した。
(1) 政府が決定した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」(2022年6月7日)では、雇用形態間・男女間賃金格差是正の実効性の確保、女性の科学人材育成への支援の重要性などが盛り込まれた。これを受けて、常時雇用する労働者が301人以上の事業主を対象として、2022年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がなされ、「男女の賃金の差異」を公表することが義務付けられたことから、公務部門においても特定事業主行動計画において男女の賃金の差異を把握、公表することについて政府において準備が進められていると承知しているところ、現状如何。
(2)「国家公務員の定年引上げに向けた取組指針」を踏まえて、各府省において準備が進められていると承知しているが、現状如何。また、取組指針では、各府省の検討状況を踏まえ、令和4年末を目途に、定員・級別定数措置の考え方を提示するとされているが、現状如何。
これに対し、窪田統括官は次のとおり回答した。
(1) 現在、内閣府において公的部門における公表方針について検討中であり、案がまとまり次第、別途皆様にご説明の機会を設けたいと考えている。
(2)「国家公務員の定年引上げに向けた取組指針」に沿って、各府省において、59歳の職員に対して60歳以後の勤務の意思を確認するとともに、役職定年による役降り後の職員を含むシニア職員の職務内容や他の年齢層の職員との職務分担について検討を行っているところ。
また、現在、こうした各府省による検討状況の確認を行っているところであり、引き続き、令和6年度における定員・級別定数措置の検討を進めていく。
最後に、森永事務局長は、「現場では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大や台風等による自然災害への対応・対策など、先が見えない状況のもとで、国民の信頼と期待に応えるべく、高い使命感と責任感を持って懸命の努力を重ねている。職員の士気の確保をはかるためにも、勧告の取扱いの閣議決定にあたっては、謝意と激励などの明確なメッセージを発していただきたい。
改めて、速やかに給与の改定に係る措置を図るべく検討を進めていただき、閣議決定前には、河野大臣から、本年の給与改定の取扱いについて、誠意ある、明確な回答を求める」と述べ、本日の交渉を締めくくった。