地公部会が、全人連に対し民間給与実態調査等に関わる要請書を提出-4/6
公務労協地方公務員部会は、4月6日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して、民間給与実態調査等に関する要請書を提出し、4月28日に要請書に対する回答を受領した。
昨年に引き続き、本年も、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点により、対面での要請行動に替えて要請書を送付する対応とした。
地方公務員部会は要請書(別紙1)において、「2023春季生活闘争では、近年にない高い水準の回答が相次ぐ中、公務・公共部門で働く全ての職員の待遇改善を最重要課題とし、諸課題に対する具体的な取組を進めてきた」「各自治体職場においては、住民への安定的な行政サービスを提供するために、それぞれの持ち場で日夜自らの職務に全力を尽くしているが、その勤務環境は大変厳しく、また、物価高騰が続く中、賃金が追いついていないというのが現状だ」「職員が住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠である」として、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、中立かつ公正な第三者機関としての使命を十分認識し、要求事項の実現に向け、最大限の努力をするよう要請した。
要請事項では、2023年度の民間給与実態調査にあたり、現行の比較企業・事業所規模を少なくとも堅持した上で、比較企業・事業所規模を引き上げるなど、抜本的な改善を検討すること、また民間賃金実態に基づく公民較差を精確に把握し、地方公務員の生活改善に向け、賃金水準の積極的な引上げを行うこと等を掲げ、全人連としての努力を強く求めた。
要請書(別紙1)に対する回答は(別紙2)の通り。
(別紙1)
2023年4月6日
全国人事委員会連合会
会 長 青 山 佾 様
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男
( 公 印 省 略 )
民間給与実態調査等に関わる要請書
各人事委員会における地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
さて、連合は、2023春季生活闘争方針において、「賃上げ分3%程度、定昇相当分を含む賃上げを5%程度」を目安とする方針のもと、すべての組合が月例賃金の改善にこだわり、昨年を上回る要求を持って、各労使が精力的に交渉を重ねています。
大手企業では満額を含む近年にない高い水準の回答が相次ぐ中、地方公務員部会も連合に結集し、公務・公共部門で働く全ての職員の待遇改善をめざし、諸課題に対する具体的な取組を進めてきました。
一方、各自治体職場においては、住民への安定的な行政サービスを提供するために、それぞれの持ち場で日夜自らの職務に全力を尽くしておりますが、その勤務環境は大変厳しいものとなっています。また、物価高騰が続く中、賃金が追いついていないというのが現状です。職員が住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
そのためには、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、中立かつ公正な第三者機関としての使命を十分に果たされるよう強く求めるとともに、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。
記
1.2023年度の民間給与実態調査にあたっては、現行の比較企業・事業所規模を少なくとも堅持した上で、比較企業・事業所規模を引き上げるなど、抜本的な改善を検討すること。
2.民間賃金実態に基づく公民較差を精確に把握し、地方公務員の生活改善に向け、賃金水準の積極的な引上げを行うこと。
3.諸手当の改定については、地域の実情及び職員の職務や生活実態を踏まえ、組合との十分な交渉・協議に基づき進めること。
4.公立学校教員の賃金に関わり、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成・提示すること。また、作成に当たっては、関係労働組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。
5.人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。
(別紙2)
令和5年4月28日
要請に対する全人連会長回答
4月6日の要請につきましては、全国の人事委員会にお伝えしたところです。
最近の経済状況を見ますと、去る4月25日に発表された政府の月例経済報告では、「景気は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」とし、「世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある」としています。
本年の春季労使交渉では、労働組合の要求通りの満額回答など高い水準の回答が出ていますが、大手企業を中心とする前向きな回答が、エネルギーや原材料の価格が高騰して厳しい経営環境に直面している中小企業にどのように波及するかが焦点であると考えられます。
中小企業ではまだ多くの企業で労使交渉が続いており、春季労使交渉の結果が公民較差や特別給の状況に影響を与えることから、今後の行方を注意深く見てまいります。
こうした民間における賃金の状況を的確に把握するため、毎年、各人事委員会は、人事院と共同で民間給与実態調査を行っており、本年の調査期間は4月24日から6月16日までとしております。
この度、要請のありました個々の内容は、各人事委員会において、調査結果や各自治体の実情のほか、社会経済の動向等を踏まえながら、本年の勧告に向けて検討していくことになるものと思います。
私ども人事委員会の重要な使命は、中立かつ公正な第三者機関として、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した、適正な水準を確保することであると認識しております。
全人連といたしましては、今後も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院との意見交換に努めてまいります。
全国人事委員会連合会
会長 青山 佾