公務員連絡会が4年ぶりとなる人勧期中央行動を実施
-全ての職員の給与の引上げに向けて、霞ヶ関一周デモと人事院前行動で交渉団を支援-
公務員連絡会は、26日、全国から1,500人の組合員を結集し、4年ぶりとなる人勧期中央行動を実施した。13時30分から、日比谷大音楽堂で中央集会を開催したほか、霞ヶ関を一周するデモ行進と人事院前での交渉支援行動を行った上で、人事院交渉の報告集会を行い、要求実現を求めて最後までたたかい抜く決意を固めあった。
中央集会では、まず主催者を代表して武藤議長が挨拶を行った。武藤議長は、「3年半におよぶコロナ禍における厳しい社会情勢のもと、職場や地域で国民生活に不可欠な公務・公共サービスの推進に果敢に取り組んで頂いていることに敬意を表する。2023春闘では、連合は定昇込みの3.58%と30年ぶりに高い水準となる賃上げを勝ち取るととともに、印刷・造幣も中労委調停でベア2.05%を獲得している。一方、実質賃金は前年同月比1.2%減となり14ヶ月連続でマイナスとなっており、組合員の生活実態は益々厳しくなっているため、物価上昇に伴う生活防衛の観点からも公務員労働者の賃金引上げは極めて重要である。公務員連絡会は6月21日に川本人事院総裁に人勧期要求書を提出して以降、高齢層を含めた全職員の月例給与及び一時金の引上げ勧告を行うとともに、『社会と公務の変化に応じた給与制度の整備』に対する情報提供と協議を行うことや労働諸条件の改善などを求め、署名行動や各級段階の交渉を強化している。2023人勧期の最大のヤマ場である本日の書記長クラス交渉では、8月上旬の総裁と委員長クラスとの最終交渉に向けた、職員福祉局長及び給与局長から前進回答を引き出すため、この猛暑以上の熱い支援を行い、全国の仲間の皆さんとともに本日の行動を貫徹しよう」と訴えた。
続いて激励挨拶に駆けつけた連合の清水事務局長は、「連合が7月3日に公表した2023春季生活闘争の最終集計では、月例賃金改善を要求した5,613組合の半数以上の2,909組合が賃金改善分を獲得した。また、有期・短時間・契約等労働者の時給の引上げ率は平均賃金方式の一般組合員を上回った。結果として連合が賃上げに改めて取り組んだ2014年以降では最も高く、ほぼ30年ぶりとなる水準の賃上げが実現した。この流れをより確かなものとするべく、公務の仲間の皆さんにおかれては、『労働基本権制約の代償措置』としての人事院勧告が的確に示されるよう、精力的な交渉を進めていかれることを期待する」と激励と連帯の挨拶を行った。
基調提起に立った森永事務局長は、正念場を迎える本年の人事院勧告について、「月例給について、今年の民間春闘の妥結状況は近年にない数字となっている一方で、本年4月の毎月勤労統計調査の確報値では、一般労働者の所定内給与は、前年比で1.4%増に止まっている状況にある。また、人事院の職種別民間給与実態調査における調査対象の事業所規模は、民間賃上げ状況よりもかなり広範囲に調査が行われていることにも留意する必要があり、一定程度の較差は見込まれるものの、見通しは厳しいと考える必要がある。また、特に本年は、民間において初任給の大幅な引上げ動向が報道されていることから、昨年の勧告後の大卒で約3,000円、高卒で約4,000円、公務の初任給が低い状況を考えれば、初任給における官民格差がさらに拡大していることが容易に想定され、今後の配分にあたって大きな影響を与えることは必至な情勢である。この間全国各地で取り組んでいただいた一人一人の署名683,141筆に込められた思いを背景に、物価上昇に伴い実質賃金が低下している現状や今年の民間の賃上げ状況を踏まえ、民間の賃上げの流れを止めることなく、中高年層職員を含む全ての職員の給与の引上げに向けて、公務員連絡会一丸となって取り組もう」と訴えた。
構成組織の決意表明には、国公連合・税関労組・村岡和弥書記次長、自治労・江本博幸自治労北海道本部賃金労働部長、日高教・鯉沼正行栃木県高等学校教職員組合書記長が登壇し、たたかう決意を力強く表明した。
集会を終えた参加者は、人事院前交渉支援行動と霞ヶ関一周のデモ行進を行い、「職員の賃金を上げろ」「長時間労働を是正しろ」「ワークライフバランスを確保しろ」「非常勤職員の待遇を改善しろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。
行動を終えた参加者は日比谷大音楽堂に再参集し、人事院局長交渉の報告を受けた。
森永事務局長は交渉の概要を報告した上で「今日の給与局長交渉は、30年ぶりの高水準といわれる民間の賃上げ妥結状況等を踏まえれば、人事院の姿勢としては極めて不満の残る交渉になったが、書記長クラス交渉委員からは、現場の思いをしっかり伝えさせていただいた。その上で、本年の勧告は例年と同様の日程を念頭において作業しているという局長回答であったころから、8月7日の週に勧告が行われることを想定し、今後の交渉を強化していく。月例給に関わって、局長からは、国公の平均年齢は昨年と比べて若干低下していること、民間の定期昇給を含む賃上げ率は30年ぶりの高水準だという認識は示していること、また、民間の一時金の状況については、昨年冬は大幅増、今年夏は横ばいとの認識を示し、基本的には月例給あるいは一時金の情勢の認識は人事院と共有したところ。一方で、官民較差及び一時金については現在集計中であり、最終的にどのような結果になるか注視しているとの回答にとどまっている。その上で、月例給の改定に関わって局長は、連絡会の要求についてはその背景も含めて理解をするが、個々の産業や企業によって区々な状況にあるなか、決して楽観できないとの認識を示すとともに、最終的な結果については厳しい認識も持って臨んでおり、仮に改定を行う場合には、民間との初任給格差の課題は放置できず、最終段階に向けた作業の途中ではあるが、初任給にかなり重点を置く対応を含めて検討していかなければならないという回答であった。この局長の回答を踏まえれば、今日の段階で較差が明らかになっていないもと、中高年齢層でどこまでどの程度配分できるのかできないのか、まさに正念場を迎える。いずれにせよ、あくまで全職員に対する月例給の引上げ勧告を追求し、最後まで交渉に全力を挙げて取り組む」とし、今後の交渉に向けた基本姿勢を明らかにした。
最後に、武藤議長の団結がんばろうで集会を締めくくった。