第21回総会で「良質な公共サービスの実現と必要な人員の
確保、賃金労働条件の改善をはかる」方針を決定-10/27
公務労協は、10月27日17時から、都内で第21回総会を開き、2024年度活動方針を決定し、新役員体制を確立した。
総会の冒頭、あいさつに立った川本議長は「公務労協は2003年10月の結成から20年が経過をすることとなった。振り返れば政権交代における労働基本権を巡っての対応、東日本大震災をはじめとする多くの自然災害からの復旧復興、加えて、この3年半は新型コロナウイルス感染症拡大への対応等、非常に厳しい環境の中での20年間であった。その中で、公務公共サービスを担う労働組合として、全国各地で国民や住民の信頼に応えてきたと思う。とりわけ、新型コロナウイルス感染症が世界的な非常事態となる中で、公務公共サービスこそが国民の命と暮らしを守り安心と安全を支える基盤であるということや、公務公共の果たすべき役割の重要性が市民に再確認され、公務員の存在意義が見直される機会となった。
このような中、公務労協は良い社会を作る公共サービスキャンペーンに取組み、キャンペーンの一環として災害やコロナを含む今後の課題について復興庁と総務省へ要請等を行ってきた。また、改めて、公務公共サービスを支える私たち自身が財源のあり方についても考え、議論してきた。さらに、公務員制度改革と労働基本権の問題については、世論喚起の一環として、コロナ禍の危機における消防救急現場の課題と、2024年のILO総会における日本の労働基本権問題の審議を視野に入れつつ、消防職員の団結権獲得に向けた取組を強めるということを意思統一し、先般国際シンポジウムを連合主催で開催してきた。2018年、ILO総会基準適用委員会から、日本政府に対して、公務員の労働基本権問題を解決するための期限付きの行動計画を社会的パートナー、つまり私たち公務労協と共同して策定するということを求められてから5年が経過をした。しかし、今日、政府は私どもとして見れば言い訳としか取れない報告だけをしてきているのが現状である。国際社会からの指摘に対して改めて鎖国的な対応をとっていいはずはない。シンポジウムの中でITUC-APの吉田書記長からは、世界の標準ではないということは国の恥だということをしっかりと受け止めてもらう必要があるのではないか、との発言もあった。今後、引き続き労働側のスポークスパーソンに対してしっかりと働きかけをするとともに、ITUCや連合とも連携をしながら、来年2024年のILO総会に向けて何としても日本案件の個別審査に向けて取り組んでいかなければならないと考えている。
他にも本格的なキャッシャレス化が進められる中で紙幣、通貨事業をいかに守り、発展させていくのかという課題をはじめ、独立行政法人における裁量、自主性、主体性の確保も大きな課題である。また、郵政グループの持続・発展に向けた様々な課題についてJP労組ともしっかり連携をするなど、多岐にわたる職場の課題を公務労協全体で共有化し考えていく必要がある。
10月20日から第212臨時国会が始まった。今日の予算委員会でも、防衛費の増額、少子化予算、少子化対策の強化、賃上げが取り上げられている。この間、公務労協が繰り返し経験してきた、国の財源が厳しいときには、公務公共サービス労働者が犠牲にされてきた歴史を忘れてはならない。改めて、公務労協の役割として、しっかりと公務員の労働条件に関わる政治からの介入を排除する取組に全力を挙げていかなければならない。本日の総会で公務労協構成組織が一丸となって闘う決意を改めて固めることを強く期待する」と、運動への結集を呼びかけた。
次に来賓あいさつとして清水連合事務局長は「日頃より連合運動へのご理解とご協力をいただいていることに感謝を申し上げたい。連合は10月5~6日に定期大会を開催し、2024、2025年度の運動方針と役員体制を確立した。2023春季生活闘争では1993年以来の高水準となる賃上げが実現し、その流れを受けて2023年度の国家公務員の給与について人事院勧告が行われた。引き続き、各自治体における人事委員会勧告に基づく秋季闘争の確定状況を見据えるとともに、開会中の臨時国会での早期の給与法改正を求めていく。物価高騰が続き、日々の生活が苦しいとの声は、民間・公務の区別なく、全ての労働者の切実な思いであり、連合の第1回中央執行委員会では2024春季生活闘争の基本構想について、経済社会のステージの転換を着実に進めるため賃上げ分として3%以上、定期昇給相当分を含めて5%以上の賃上げを目標とした。「以上」という言葉を使ったのは2015年以来であり、2024年度は2023年度を受けて、継続的に来年も再来年も賃上げが続くようにという意味を込めている。日本全体で賃金が上昇し、経済が活性化する好循環を構築するために2024春季生活闘争へのみなさまの取組の強化をお願いしたい。今週24日、連合は公務労協とともに、今後の感染症対策と公務員の労働基本権を考える国際シンポジウムを開催した。国民のニーズに応え、良質な公共サービスを維持し続けるためにも、公務員の労働基本権を回復し、労働者が責任を持って労働諸条件や行財政運営を話し合える、そういった自律的な労使関係制度を確立することが重要だ。連合は、公務労協とともに国内はもとより、ILOやITUCなど国際的な取組を継続していく。結びに、公務労協の新たな活動方針と役員体制が満場一致で確認され、運動の益々の発展を期待する」と、述べた。その後、①2023年度の取組経過と2024年度活動方針、②2023年度会計決算報告、 ③2023年度会計監査報告、④2024年度予算と分担金の各議案が満場一致で採択された。
2024年度の活動方針では、①社会的な危機を契機とし、今こそ、質と量の拡充をはじめとする良質な公務公共サービスの実現に向け、その重要性と普遍性を社会的にあらためて喚起するとともに、そのあり方を再構築するための活動を強化する、②最前線の現場では、私たちの仲間が、国民の信頼と期待に応えるべく、高い使命感と責任感を持って懸命の努力を重ねているが、増大する業務量に見合った要員が恒常的に不足し、長時間労働が蔓延するなど厳しい状況は改善されていないことから、職員が安心し安全に働くことのできる職場環境の整備や、必要な人員の確保、賃金・労働条件の改善をはかることに重点を置く、③具体的には、構成組織間で共通する政策課題の実現主体であるとともに対政府等との交渉主体としての性格を有する公務労協は、国家公務員の使用者たる性格と地方自治体及び独立行政法人・政府関連公益法人等の職員の勤務条件等に重大な影響力を有する政府に対し、関係府省・人事院等との間における交渉・協議を最重視した対応をはかることとする、④賃金・労働条件をはじめとする諸課題に係る政治対策については、政党と労働組合との性格や目的の違いを踏まえつつ、交渉主体としての責任を果たす観点から、要求実現に向け広範な政党への対応に留意していく。
具体的取組として、①良い社会をつくる公共サービスキャンペーン、②公務員制度改革と労働基本権の確立、③独立行政法人及び政府関連公益法人等の事業運営と労使・労働関係の確立、④賃金・労働条件の確保・改善、⑤高齢者雇用施策の推進、⑥女性活躍の推進と男女共同参画社会の実現、等を展開することとしている。
最後に、2024年度新役員(別紙)を選出した後、団結がんばろうで終了した。
国家公務員関係部会、地方公務員部会もそれぞれ総会を開催
同日、国家公務員関係部会、地方公務員部会の総会がそれぞれ開かれ、年間活動方針等を決定し、新役員を選出した。