書記長クラス交渉委員が人勧の取扱いに関わり内閣人事局人事政策統括官と交渉-11/22
公務員連絡会は、11月22日11時00分から、本年の人事院勧告の取扱いに関する政府の検討状況を質すため、内閣人事局交渉を実施した。公務員連絡会は書記長クラス交渉委員が出席し、内閣人事局は松本人事政策統括官らが対応した。
冒頭、森永事務局長が「8月8日に人事院から本年の給与に関する報告・勧告、国家公務員の寒冷地手当に関する法律の改正に関する勧告、あわせて、国家公務員育児休業法等の改正を求める意見の申出が行われた。同日、公務員連絡会として、大臣に対して要求書を提出し、その後、約3ヵ月が経過するところ、28日から臨時国会の開会が予定されているが、本年の給与改定に関する取扱い等について、今日段階の検討状況を明らかにされたい」と求めたのに対し、松本統括官は次の通り回答した。
8月8日に提出された要求書について、現時点における検討状況を回答させていただく。本年の給与の取扱いについては、去る8月8日に人事院から国家公務員の給与についての報告及び勧告があったことを受け、同日、第1回の給与関係閣僚会議が持ち回りで開催されたところ。給与改定に当たっては、人事院勧告制度を尊重するとの基本姿勢の下、国政全般の観点から検討を進めているところであり、早急に結論が得られるよう努力してまいりたい。また、国家公務員の育児休業等に関する法律の改正についても、必要な検討を進めているところである。
これに対し、森永事務局長は、「本年の給与改定等の取扱いについて、改めて何点か確認する」として、次の通り質した。
(1)先の要求提出時に河野前大臣からは、「人事院勧告制度を尊重するという基本姿勢」、「国政全般の観点から検討を進める」との回答があったところ。統括官の今の回答も同様であったが、早期に閣議決定を行うべきであったのではないか。勧告から3ヵ月以上経過をしているが、このように時間がかかったことについて説明を求める。
(2)非常勤職員の給与については、人事院「改正非常勤職員給与指針」や「人事管理運営協議会幹事会申合せ」等を踏まえ、「4月遡及」を徹底すること。因みに、各省における昨年の状況を改めて確認したい。
(3)本年の人事院勧告を踏まえた具体の法案如何。
これに対し、松本統括官は次の通り回答した。
(1)本年の給与改定については、諸情勢を踏まえつつ、給与関係閣僚会議における議論を経て行う必要があり、その成案を得るために一定の時間を要することについてご理解いただきたい。
(2)一般職給与法の改正案が成立した場合には、各府省に対し、非常勤職員の給与も、本年4月に遡及して改定する等、常勤職員に準じた取扱いとなるよう働きかけることを予定している。昨年については、各府省等において、基本的には遡及改定がなされていたと承知している。
(3)一般職給与法、寒冷地手当法、任期付研究員法、任期付職員法等を束ね、法案として提出する予定である。なお、国家公務員育休法については、別の法案として提出する予定である。
続いて、森永事務局長は本年の人事院「公務員人事管理に関する報告」について政府の認識を次の通り質した。
(1)現在、人事院の「人事行政諮問会議」において年内の最終提言に向けて議論が進められているところ、「報告」では、「人材確保の要請も考慮した適切な報酬水準の設定に向けて、官民給与の比較対象となる企業規模について検討を進めていく」とされている。この点も含め、これまでの「人事行政諮問会議」に対する政府としての対応及び認識如何。
(2)長時間労働の是正に関わって、「令和6年度における人事管理運営方針(2024年3月21日内閣総理大臣決定)」のなかで、「内閣人事局は、デジタル庁及び人事院と連携し、令和6年度中に各府省等が共通的に使用する機能(職員情報管理、勤務時間管理等)の共通システム化の範囲やスケジュールを始め、人事管理業務に係るシステム化全体の将来設計を整理する」とされているが、「中長期的な勤務時間管理のシステム化」を含め、現状如何。
これに対して、松本統括官は次の通り回答した。
(1)ご指摘の官民比較の点も含め、人事行政諮問会議においては、公務組織への人材確保や、能力・実績主義を徹底するためのマネジメント方策について議論を行っており、内閣人事局としても関心を持ってその議論を注視しているところ。人事行政諮問会議の最終報告が出された場合には、内閣人事局として内容を踏まえながら、公務組織を支える多様で有為な人材を確保できるよう、人事院と連携しつつ、必要な対応を行ってまいる所存。
(2)人事管理業務に係るシステム化全体の将来設計については、今後、要件定義やシステム構築を進めていく上での前提となるものであり、本年度末までに策定できるよう、デジタル庁及び人事院と連携して、各府省との意見交換や実態把握を行いながら、検討を進めているところ。特に、勤務時間管理については、本年の人事院の「公務員人事管理に関する報告」において「人事管理業務に係るシステム化の全体設計の中で、各府省共通の勤務時間管理システムについて令和8年度末までに必要な整備を行えるよう、内閣人事局やデジタル庁と連携して取り組む」とされている。フレックスタイム制の活用など柔軟な働き方が広がる中で、適正な勤務時間管理を徹底するためには、人事当局や各職場における職員の勤務時間の把握や管理が正確かつ簡便にできるようにすることが必要であり、勤務時間管理のシステム化を推進してまいりたい。
その後、出席した交渉委員からは「地方における秋の賃金確定闘争については、一定の決着を見た単組もあるものの、多くの組合員が早期の閣議決定を切望している。その点は是非お願いしたい」「諮問会議では、人材確保が重要な課題であるとされている。しかし、長時間労働や職場環境の改善が進まない状況では人材流出の懸念があるため、DXとの関連も含め、様々な議論を通じて理想的な職場環境の実現を期待する」との発言があった。
最後に森永事務局長は「勧告通りの閣議決定、所要の法案の速やかな国会提出に向けて、閣議決定前には、平大臣からの万全な回答を求める。先の衆議院選挙の結果、与党が過半数に届かない状況となり国会審議のあり様もこれまでとは異なる状況になることが想定されるが、政府として、国会の審議日程を踏まえ、早期の法案成立に向けて万全の態勢で臨むよう強く求めておく」と述べ、本日の交渉を締めくくった。