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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2025年度 公務労協情報 No. 8

【人事院】 2025年度基本要求に対する回答を引き出す-12/20

 公務員連絡会・幹事クラス交渉委員は、12月20日に人事院との交渉を実施し、11月27日に提出した「2025年度の基本要求」に対する回答を引き出した。
 人事院からは木村職員団体審議官ほかが対応した。交渉経過は次のとおり。

 冒頭、高柳副事務局長が、基本要求に対する回答を求めたのに対し、木村審議官は次のとおり人事院の現段階の見解を示した。

一、賃金に関する事項
(1) 給与水準について
 公務員の給与改定については、今後とも、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢に立ったうえで、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、適切に対処してまいりたい。
 また、期末・勤勉手当については、民間賞与における年間支給月数及び考課査定分の割合を考慮して改定を行ってきており、本年の勧告においては、支給月数の引上げ分を期末・勤勉手当に均等に配分することとした。引き続き民間の支給状況を注視しつつ、適切に対処してまいりたい。

(2) 中長期的な賃金関連課題について
 特地勤務手当等については、国勢調査や全国道路・街路交通情勢調査の最新の結果等の分析を現在進めており、令和7年に支給官署の見直しの成案が得られるよう、必要な検討を行ってまいりたい。
 交通用具使用者の通勤手当については、民間企業における通勤手当の支給状況を踏まえて距離段階別定額制により支給することとしており、その支給状況について定期的に調査を行い、その結果を踏まえて手当額を改定している。今後とも、ガソリン価格の動向にも留意しつつ、定期的に民間企業の支給状況を把握し、ガソリン価格の大きな変動が相当期間継続されることが見込まれ、民間企業の距離段階別定額制の支給月額との格差が一定程度引き続く場合には、民間企業の距離段階別定額制の支給状況を踏まえて、必要な検討を行ってまいりたい。
 職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底に必要となる施策の実装に向けては、人事行政諮問会議の議論も踏まえつつ、職員団体を含む関係者の意見も聴きながら、必要な検討を行ってまいりたい。
 65歳定年の完成を視野に入れた60歳前・60歳超の各職員層の給与水準(給与カーブ)の在り方については、昨年度から段階的に定年が引き上げられる中での公務における人事管理の在り方の変化や、民間における高齢期雇用や高齢層従業員の給与水準の状況を注視しつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、職員の役割・貢献に応じた処遇の観点から、人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討を行ってまいりたい。

二、労働時間、休暇、休業に関する事項
(1) 超過勤務の縮減について
 人事院では、超過勤務の縮減に向けた指導を徹底するため、勤務時間調査・指導室において、各府省を直接訪問して勤務時間の管理等に関する調査を実施しており、他律部署・特例業務の範囲が必要最小限のものとなるよう指導するなどしている。
 また、各府省における超過勤務の縮減に向けた一層の取組を促進するため、各府省における超過勤務制度の運用状況を聴取する機会等を通じて、必要な対応を求めるなどしている。さらに、国会対応業務の超過勤務への影響や業務量に応じた要員確保の状況について、各府省の実態を把握するため、本年5月から6月にかけてフォローアップアンケートを実施しており、この結果を踏まえ、関係各方面や担当部局に対して御理解や御協力をお願いしていくこととしている。

(2) 「柔軟な働き方」について
 本年5月に人事行政諮問会議で取りまとめられた中間報告においては、アウトプットで成果を測れる業務や必ずしもフルタイムでの勤務を要しない業務などについて可能な限り時間的な制約を取り払い、職員が自律的に勤務の時間帯や長さを選択できる枠組みを整備することが、公務の魅力向上にとって有効である旨示されている。この点を踏まえ、人事院は、職員が自律的に勤務時間帯やその長さを選択した上で職務に従事させることができる枠組みについて研究を進めていくことを表明したところ。今後、各府省や有識者等の意見も聴きながら、研究を進めてまいりたい。
 勤務間のインターバルの時間については、本年5月に1回目調査を、本年9月に2回目調査を実施した。ともに任意の調査でありながら、勤務間のインターバル確保に向けた取組の重要性等について理解を頂き、多くの職員に御協力を頂くことができた。その結果をみると、1回目調査では全体で91.3%、本府省で80.2%の職員が、2回目調査では全体で93.6%、本府省で85.4%の職員が、「インターバルを確保できていた」と回答していた。今後、これらの調査結果について詳細な分析を行ってまいりたい。
 また、各府省に対しては、具体的な取組の検討を支援するため局長通知を発出し、勤務間のインターバルの目安となる時間(11時間)や、確保に向けた取組の例を示しているが、本調査研究事業の結果も踏まえ、さらなる周知、取組の強化を図っていきたい。
在宅勤務等手当については、各府省において円滑に運用されるよう、引き続き、制度の周知や理解促進を図るとともに、必要に応じて運用状況の把握に努めるなど、適切に対応してまいりたい。

(3) 休暇、休業制度について
 職員の休暇、休業については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、適宜見直しを行ってきたところであり、引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
出生サポート休暇については、各府省に対し、制度担当者向けのQ&Aを配布し、プライバシーの配慮等について周知啓発や指導を行うとともに、各府省において周知啓発等に活用してもらうため、職員向けのリーフレット及びQ&Aを配布し、人事院HPにも掲載した。また、昨年2月には、休暇を使用しやすい職場環境の整備を進めるための周知啓発として、不妊治療と仕事の両立に関するシンポジウムを開催した。引き続き、制度の導入時の周知啓発の重要性にも鑑み、休暇を取得しやすい職場環境の整備を図るための周知啓発等や各府省に対する支援・指導に取り組むこととしている。各府省の運用実態の把握については、今後必要に応じて検討してまいりたい。
 介護と仕事の両立支援制度については、本年5月24日に成立した「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律(令和6年法律第42号)」の内容も踏まえ、公務職場においても介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度に関する周知の強化等のための措置を図ることとしている。具体的には、職員が家族の介護に直面した旨を申し出た場合の仕事と介護の両立支援制度等の個別の周知・意向確認、職員への仕事と介護の両立支援制度等に関する早期の情報提供及び職場環境の整備(研修等の開催、相談窓口の設置等)を各省各庁の長に義務付けることとしている。今後も社会情勢等を踏まえつつ、制度の改善や環境整備に努めてまいりたい。

三、定年の段階的引上げに関する事項
 定年引上げに伴う級別定数措置については、今後とも、役降り後の職務や異動先、ポスト数のほか、定年引上げ後の昇格ペースを含む人事運用などに関する各府省・人事グループの検討を踏まえた上で、必要な級別定数を措置することとしている。
 定年の段階的な引上げ期間中の暫定再任用制度における職員の再任用については、できるだけ職員の希望が叶い活躍していただけるよう、人事院としても、引き続き状況の把握に努め、必要な取組を進めてまいりたい。

四、女性参画の推進及び多様性の確保に関わる事項
(1) 女性参画の推進について
 人事院としては、これまでも女性の採用・登用の拡大や両立支援等の拡充など様々な施策を行ってきているところである。
 女性の採用拡大については、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動を強化するとともに、働き方改革の取組やワークライフバランスの実践例、職業生活への多様な支援等に関する効果的な情報提供を行うことで、より多くの有為の女子学生等の進路選択につなげていくこととしている。
 また、女性の登用拡大については、女性職員に対し、マネジメント能力開発の機会や自らのキャリアアップについて考える機会を付与するキャリア支援研修や、管理職員に対し、女性をはじめとする多様な人材の活躍推進の環境を整備するための意識啓発を図る「多様な人材の活躍のためのオンラインセミナー」を実施するなどの取組を行っている。今後とも、各府省の具体的な取組が進むよう支援してまいりたい。
 このほか、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月決定、令和6年1月改正)等に基づいて政府全体で様々な取組が行われている。人事院としては、今後とも、政府の取組と連携しつつ、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動、女性職員の能力を伸長させ活躍を支援するための研修、柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の整備、仕事と生活の両立支援やハラスメント防止対策などを通じて、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法等に基づく各府省の取組を支援してまいりたい。

(2) 多様性の確保について
 人事院は、人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)により、職員はセクシュアル・ハラスメントをしてはならないとしているところ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関しては、同規則運用通知において、偏見に基づく言動について、セクシュアル・ハラスメントに含まれることを制度上明確にしており、令和2年4月には、「性的指向・性自認を本人の承諾なしに第三者に漏らしたりすること」(いわゆるアウティング)をセクシュアル・ハラスメントになり得る言動として例示するなどの施策を講じている。また、研修等により各府省への周知・啓発を行ってきている。
 今後も、「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(LGBT理解増進法)に基づく基本計画や指針等の策定に向けた政府全体での検討を踏まえながら、人事院としての役割を適切に果たしてまいりたい。

五、働きやすい職場づくりに関する事項
(1) 心の健康づくり対策について
 心の健康づくり対策については、「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として、管理監督者をはじめとする職員に対する研修の充実・強化、職員の意識啓発のためのガイドブックの作成、心の不調を未然に防止するためのストレスチェックの導入、心の不調への早期対応のための「こころの健康相談室」の運営、円滑な職場復帰の促進や再発防止のための「こころの健康にかかる職場復帰相談室」の運営や「試し出勤」の活用に取り組んでいる。また、ストレスチェック制度については、同制度の更なる活用や、職場環境改善の取組がより効果的に行われるよう、各府省への普及啓発を行い、一層の取組を促している。
 さらに、「こころの健康相談室」については、より相談しやすいよう、全ての窓口でオンライン相談に対応できる体制としている。引き続き、オンライン相談の活用を周知するなど、取組を一層推進してまいりたい。

(2) ハラスメント防止対策について
 ハラスメント相談については、昨年度実施したハラスメント相談に関する職員アンケートの調査結果等におけるハラスメント相談をしなかった理由を見ると、「相談をしても解決しないと思ったから」(約5割)、「相談することで状況が悪くなると感じたから」(約4割)となっており、これらについては解消していく必要があると考えている。相談先への信頼醸成には、相談先(相談員・上司・同僚)の相談対応スキル向上への支援、相談窓口により解決した事案の紹介、相談窓口の周知等が有効であると考えており、相談員向けの専門相談窓口の設置を目指すとともに、令和6年ハラスメント防止週間ポスターを活用してのハラスメント相談窓口の周知等、必要な対応策を進めてまいりたい。
 カスタマー・ハラスメント対策については、パワー・ハラスメントの防止等について定める人事院規則の運用通知では、職員が担当する行政サービスの利用者等からの言動もパワー・ハラスメントになり得るものとしており、人事院では、各省各庁の長に対し、「組織として対応し、その内容に応じて、迅速かつ適切に職員の救済を図ること」を求めている。
 本年度においては、職場におけるカスタマー・ハラスメント対策の3つのポイントを挙げたポスターを配布した。また、労働政策審議会においてカスタマー・ハラスメントの定義を定め、労働者を保護する対策を企業に義務付けることが検討され、東京都ではカスタマー・ハラスメント防止条例の令和7年4月1日施行に向けて措置内容の具体化が検討されている。これらの状況を踏まえつつ、民間の取組や各府省の対処事例を収集し、更なる対応について研究し提供するなどして、公務職場における対策強化を進めてまいりたい。

六、人事評価制度に関する事項
 人事評価については、令和4年10月から職員の能力・実績をきめ細かく的確に把握するための評語区分の細分化等の制度の見直しが行われ、これを踏まえ、人事院では、見直し後の人事評価制度に基づく評価結果をより適切に任用、給与等に反映するための制度の見直しを行ったところである。
 新たな評価制度の運用や評価結果の任免、給与、人材育成への活用が各府省において適正に行われるよう、内閣人事局とも連携の上、引き続き人事院としての役割を果たしてまいりたい。

七、非常勤職員制度等に関する事項
 非常勤職員の給与については、平成20年8月に非常勤職員の給与に関する指針を発出し、各府省において適正な給与の支給が行われるよう、必要な指導を行ってきている。この指針については、非常勤職員の処遇を確保する観点から累次改定を行ってきており、昨年4月からは、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて遡及改定するよう努める旨を追加したところである。各府省においては、この指針に基づく取組が進んでいるところであり、引き続き、常勤職員の給与との権衡をより確保し得るよう取り組んでまいりたい。
 また、「期間業務職員の再採用時における公募3年要件の見直し」については、期間業務職員制度が各府省において適切に運用されるよう、引き続き、制度の周知や理解促進を図るとともに、他の非常勤職員も含め、今後も職員団体の皆さんの意見も聴きながら、適切に対処してまいりたい。
 非常勤職員の休暇については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)などがある。また、本年12月には、非常勤職員の健康確保に関する支援や適切な勤務環境の整備を進めるため、人事院規則を改正し、非常勤職員の病気休暇(私傷病)について有給の休暇へ見直すとともに、非常勤職員が人間ドックを受診する場合の職務専念義務の免除の対象範囲について拡大する見直しを行った(令和7年4月施行)。出生サポート休暇、配偶者出産休暇、育児参加のための休暇、子の看護休暇及び短期介護休暇についても、民間労働法制において子の看護休暇の取得要件が緩和されたことを踏まえ、任期の短い非常勤職員も採用当初からこれらの休暇を取得することができるよう、人事院規則15-15の運用通知を改正し、これらの休暇の取得要件から、6月以上の任期又は継続勤務を削除した(令和7年4月施行)。
 非常勤職員制度については、これまでも職員団体の皆さんの意見も聴きながら見直しを行ってきたところであり、今後とも適切に対処してまいりたい。

八、障害者雇用に関する事項
 人事院では、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
 このほか、厚生労働省と連携して、各府省における合理的配慮事例の情報共有などの支援を行っている。今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。

 これに対して、高柳副事務局長は、次のとおり質すとともに重ねて要請をした。

<給与水準について>
「民間の支給状況を注視しつつ、適切に対処」とのことであるが、今年の10月に私どもが組合員に対して行った最新の意識調査がちょうどまとまったところ。国公・一般行政職の回答者は5,000人あまりであるが、生活諸側面に関する満足感を調査したところ、「賃金水準」について、男女ともに20代の若手と50代以上の高齢層の職員の不満感が他に比して強いことが明らかになっている。60歳超の職員に限れば、常勤・再任用ともに70%を超える職員が不満感を訴えている。
 この間我々は、「若年層~中堅層~高齢層のバランスの取れた賃金水準」を主張しているところであるが、来年度の給与改定に当たっては、改めて、職員のこのような実感を十分に認識した上で、ご対応いただくよう要望したい。
 交通用具使用者について、「ガソリン価格の大きな変動が相当期間継続されることが見込まれる場合には」とのご認識であった。ご承知の通り、与野党の税制改革議論の中で、ガソリン関係も俎上に載っており、結果次第では、職員にも少なからず影響が想定されるので、注意深く見定めていただきたい。

<労働時間、休暇及び休業について>
 人事行政諮問会議「中間報告」において、特定の職務に関し、「職員が自律的に勤務の時間帯や長さを選択できる枠組みを整備することが、公務の魅力向上にとって有効である」との記載があったことは承知している。しかしながら、このような措置がかつての「忠実・無定量」のような風潮を再度惹起させることのないよう、強く注意喚起しておきたい。また民間では、かつてホワイトカラーエグゼンプションが取り沙汰され、長きにわたる激論の末に、別の形で「高度プロフェッショナル制度」が導入された、という経過がある。この「高プロ」についても、今なお様々な指摘がされていることを強調しておきたい。
「勤務間インターバル」であるが、先ほど報告した私どもの調査で、「今年4月以降に、退勤から翌日の出勤までの時間が11時間を下回ることがあったか」との問いに対して、「全くなかった」との回答はちょうど8割であった。人事院の調査結果より1割程度少ないものと承知しているが、いずれにしても、「国家公務員=長時間労働」のイメージが定着し、公務員志望者の確保にもマイナスの影響を与えていることは明らかだと考えるので、内閣人事局とも連携し、各府省への指導をお願いしたい。
 在宅勤務等手当であるが、制度が施行される前の人事院の説明では、全府省併せても、支給されるのは数百人程度ではないか、とのことであった。中身はともかく、実際にスタートさせてみて全府省ベースでの支給者数を把握しているのであれば、概数で結構なので、ご教示願いたい。
 両立支援制度について、17日に改正国公育休法が成立したが、来年10月に実施される部分も含めて、まずはその円滑な運用と制度の定着が必要であると考える。その上で、育児関係、介護関係ともに、より幅広いニーズがあるので、それらについても、のちのち議論させていただきたい。

<働きやすい職場づくりに関する事項>
 ハラスメントについて、これも先ほどの私どもの調査では、「今の職場で、パワハラと思われる行為を見たり、聞いたりすることがあったか」との質問に対して、「ある」と回答した職員が43.4%、「ない」と答えた職員が56.1%であった。昨年末から本年初頭にかけて人事院が行った調査よりも、「ある」の回答者が若干多い数値である。ハラスメントについては、行為自体が増加したというよりも、現代の各組織体における常識あるいは共通理解がアップデートされたという側面が大きいとは思うものの、国公職場はそもそも、「上意下達」的な文化が強かったのは事実であり、現場においても本府省においても、管理職も一般の職員も、働き方や慣習の不断の見直しが必要であると考える。引き続きご努力いただきたい。

<人事評価制度について>
 評価制度については、「人事行政諮問会議」においても、課題があることが示されていると考えるし、私どもの調査でも、「評価基準が不明確だ」と考える職員が21%、「仕事のモチベーションにつながっていない」と考える職員が36.6%、という結果が出ている。引き続き、内閣人事局とも連携し、制度と運用の点検、見直しを求めておきたい。

<非常勤職員制度について>
 先般の給与法の成立に伴って、非常勤職員についても、月例給、一時金ともに改定されることになるものと承知している。昨年同様、内閣人事局・人事院として、月例給の遡及改定も含めて、各府省に対する調査を行っていただき、調査結果について、何らかの形で我々にも共有化願いたい。特に、今回の下位の級の大幅引上げや初号近辺の号俸カットといった措置は、結果として非常勤職員の給与改善にも大きく影響するものと考えているが、各府省において、適切な運用が行われるようチェックしていただきたい。
 非常勤職員に関する休暇制度について、この間人事院が、我々の要求をも踏まえた形で改善を行ってきていることについては率直に評価したいと考える。しかし、休暇制度のみならず、制度そのものにおいてまだ課題は残されているので、引き続き我々の意見をしっかりと受け止めていただき、さらなる努力を傾注するよう要請しておきたい。

 これに対し、木村審議官は、「副事務局長から職員団体における調査結果などもお示しいただきつつ、様々な御意見、御要望をいただいた。今後の人事行政諸施策の検討に関する幅広い御意見、御要望があったものと人事院として受け止めたい。また、お伺いした内容は、それぞれの施策の担当部局と共有させていただく。
 なお、在宅勤務等手当の支給者数についてのお尋ねがあったが、現時点において支給者数は概数も含め把握していない」と答えた。

続いて、交渉委員から
「昨年・本年の人事院勧告から、中堅・高齢層の不満に加え、賃金カーブの課題が浮き彫りとなっている。若手重視の配分自体は否定しないが、配分の課題については我々との十分な協議と合意のもと実施されるよう求める」
「『人事管理の変化』について話があったが、一般職では、役降りがないまま、定年延長前と同様の業務を行う実態に不満が大きい。同一労働・同一賃金の観点から、早急な対応・改善を求める」
「中高年層の配分に対する不満が若年層の将来への不安に繋がっている。引き続き、中高年層の給与水準引上げを求める」
「夏季休暇について、業務繁忙と認められなかった部署では休暇が取れない状況もあるため、全職員を対象とし、期間のさらなる拡大等の検討をお願いしたい」
「夏季休暇の期間延長については現場からも評価の声があるが、実際の状況を人事院として検証するとともに、制度拡充の実績を踏まえ、さらなる改善を求める」
「勤務間インターバルについては努力義務にとどまっているため、人事院にはアンケート結果の公表も含め、適切な改善指導の実施を求める」との発言があった。

 これらに対し、木村審議官は「中堅層・高齢層の賃金水準や定年延長者の賃金、夏季休暇等についてのご要望はこれまでもお聞きしており、各担当とも共有させていただく。今後も皆さんとの協議を踏まえ検討を進めていく」と述べた。

 最後に、高柳副事務局長が「承った。以上を持って本年度の基本要求書に関する交渉は終了したい。来年2月には、春闘期の要求書を人事院総裁に提出させていただきたいと思うので、その点について、予めよろしくお願いしておきたい」と述べ、回答交渉を終えた。