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公務公共サービス労働組合協議会 地方公務員部会
2021年度 公務労協情報 No. 6

人事院勧告等を受け、地公部会が全人連に要請-11/2

要請書を手交する二階堂議長(左)と武市事務局長(右)

 公務労協地方公務員部会は、人事院報告・勧告後、各人事委員会が勧告作業に取りかかっていることを受け、2日に全国人事委員会連合会に対して「2020年給与勧告等に関する要請」を行った。
 全人連への要請には、二階堂議長(全水道委員長)、加藤事務局長が出席し、全人連からは武市事務局長(東京都人事委員会事務局長)が対応した。
 冒頭、二階堂議長は、要請書(別紙1)を手交し、地方公務員を取り巻く厳しい情勢等について認識を述べた上で「既に一時金に関する勧告を行っている人事委員会もあるが、各人事委員会が、専門機関としての機能を発揮されるよう期待している。地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に向け最大限の努力をお願いしたい」と、要請した。
 続いて、加藤事務局長が要請事項について説明した上で、「コロナ禍の中にあっても、良質な公務公共サービスを実現するべく各職場では奮闘が続いている。その期待に応えるためにも、各人事委員会にはご尽力いただきたい」と、全人連としての努力を強く求めた。
 こうした地方公務員部会の要請に対し、武市事務局長は「いただいた要請については、後日書面にて回答させていただく」と回答し、この日の要請を終えた。全人連の書面回答は(別紙2)の通り。


(別紙1)

2020年11月2日

全国人事委員会連合会
会長  青 山 ●(やすし)様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂 健 男

2020年給与勧告等に関する要請書


 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、地方公務員をとりまく環境は年々厳しさを増し、働き方改革、定年引上げなど大きな課題が山積するなか、医療機関や学校現場も含めた各自治体職場においては、新型コロナウイルス感染症への対応をはじめ、公務・公共サービスに従事する労働者として精力的に職務を遂行しています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
 人事院は、10月7日、政府と国会に対して2020年の国家公務員の「一時金に関する勧告」を先行し、10月28日には、「月例給に関する報告」を行いました。各人事委員会では、すでに「一時金に関する勧告」が行われているところもありますが、2020年の月例給および一時金に関する報告・勧告に向けた作業が本格的に進められています。
 職員の士気を確保し、良質な公務・公共サービスを提供していくためにも、専門機関としての機能を発揮いただくとともに、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に最大限の努力を払われますよう要請します。

1.民間賃金実態に基づく公民較差を精確に把握し、地方公務員の生活を守るための賃金水準を確保すること。
(1)月例給については、公平・公正で客観的な公民比較に基づき、給与の水準の維  持を最低とし、組合との十分な交渉・協議、合意のもと対応すること。
(2)一時金については、精確な民間実態の把握と公民比較を行い、職員の生活を守  る支給月数を確保すること。

2.諸手当の改定については、地域の実情や、新型コロナウイルス感染症拡大防止の関連業務をはじめとする職務や生活実態を踏まえ、組合との十分な交渉・協議に基づき進めること。

3.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業に当たっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

4.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度について、改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、人事委員会として改善に向けて必要な措置をはかること。

5.公立学校教員の賃金に関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成、提示すること。また、作成に当たっては、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

6.公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理をはじめ、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策の構築など、人事委員会として必要な対応をはかること。とりわけ、「特例業務」における上限時間を超えて時間外勤務を命じた場合の要因の整理・分析・検証を行うこと。

7.定年引上げについては、国の実施に遅れることのないよう確実に実現するよう対応をはかること。定年引上げまでの間は、職員の希望通りの再任用を実現するとともに、高齢期の生活水準と適切な労働条件を確保するための対応をはかること。

8.障害者雇用については、障害者が、無理なく、かつ安定的に働くことができるよう対応をはかること。

9.実効性のあるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。とくに、パワー・ハラスメント対策については、労働施策総合推進法の改正を踏まえ、地方公務員における措置について、人事委員会として必要な対応をはかること。

10.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。とくに、妊娠・出産・育児に関わる休暇制度について、新設を含め改善をはかること。また、育児休業・介護休暇に関して男性の取得促進のための必要な措置を講ずること。

11.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立をはかること。

以上


(別紙2)

令和2年11月6日


要請に対する全人連会長回答

この度の要請につきましては、確かに承りました。
速やかに全国の人事委員会にお伝えいたします。
去る10月7日及び10月28日、人事院勧告が行われました。
本年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、民間給与の実態調査を例年より時期を遅らせた上で、2回に分けて実施したことに伴い、人事院はボーナスと月例給を2回に分けて勧告したところです。
その内容はボーナスについて公務が民間を上回ったことから、支給月数を0.05月分引き下げることとし、引下げ分は期末手当の支給月数に反映するとされております。また、月例給については民間給与との較差が極めて小さく、俸給表及び諸手当の適切な改定が困難であることから、月例給の改定を行わないとしております。
このほか、公務員人事管理に関する報告では、新型コロナウイルス感染症に係る人事院の取組、多様な有為の人材の確保・育成や、能力・実績に基づく人事管理の推進、勤務環境の整備、定年の引上げなどについて意見が述べられております。
国家公務員と地方公務員の立場の違いはありつつも、人事院の勧告は、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えております。
今後、各人事委員会は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの実情等を勘案し、主体性をもって対処していくことになるものと考えております。
改めて申すまでもありませんが、各人事委員会においては本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしていくものと考えております。
全人連といたしましても、各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたいと考えております。

全国人事委員会連合会

会長 青山 ●(やすし)