人事院に2021人勧期要求書を提出-6/30
公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、6月30日13時30分から、川本人事院総裁との交渉を実施し、「2021年人事院勧告に関わる要求書」(別紙)を提出した。
本年の給与改定勧告に当たっては、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づき行うことを求めるとともに、適切な労働条件等の改善などを求めて、交渉を強化していく。
交渉の冒頭、武藤議長は、
(1)2021年人事院勧告に関わる要求書の提出に当たって、公務員連絡会を代表して一言述べさせていただく。
(2)まずは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が継続するなかで、今年の職種別民間給与実態調査に尽力いただいた、人事院及び人事委員会の職員のみなさんに心から敬意を表したい。
(3)さて、今月16日に閉会した第204通常国会において、国家公務員法等の一部を改正する法律案が可決・成立し、長年にわたる課題であった、定年の引上げが実現することとなった。今後は、円滑な定年引上げの実現をはかることが課題となるが、定年の段階的引上げに関する人事院規則の措置等について、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づく対応を求めておく。
(4)職場では、引き続き、新型コロナウイルス感染症対策という国民生活における喫緊かつ最重要な課題への対応をはじめ、発災から10年が経過した東日本大震災からの復興や近年多発する大規模自然災害への対応・対策など、職員の懸命な奮闘が続いている。
しかし、恒常的な要員の不足により、長時間労働が蔓延するなど厳しい状況は改善されておらず、職員が安心し安全に働くことのできる職場環境の整備や適切な要員と賃金労働条件の確保が必要だ。
(5)むすびに、現在、公務員連絡会では、インターネットによる署名行動(ネットシグネ)に取り組んでおり、後日、人事院に提出するので、現場の職員の声をしっかりと受け止めていただきたい。今後の交渉での前向きな対応を求めるとともに、本日提出した要求書に対する最終的な回答を、しかるべき時期に、総裁からいただきたいと考えているので、よろしくお願いする。
と述べ、その後、吉澤事務局長が要求事項について説明した。
これを受けて川本人事院総裁は、「ご要求は確かに受け取りました。最近の公務を巡る情勢は依然として厳しい状況です。人事院としては、国会と内閣に対して必要な勧告・報告を行うという国家公務員法に定められた責務を着実に果たしていく所存です。今後、本年の勧告に向けて、要求された課題について皆さんの意見も聞きながら、検討を進めてまいりたいと考えています。」と応えた。
(別紙)
2021年6月30日
人事院総裁
川 本 裕 子 様
公務員労働組合連絡会
議 長 武 藤 公 明
(公 印 省 略)
2021年人事院勧告に関わる要求書
貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
さて、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、いまだ収束の兆しを見せないもと、引き続き、感染症対策という国民生活における喫緊かつ最重要な課題への対応が強く求められています。また、発災から10年が経過した東日本大震災からの復興や近年多発する大規模自然災害への対応・対策など、国民生活の基盤を担う公務・公共サービスの果たすべき役割はますます大きくなっています。
このような環境のもと、職員は、国民の信頼と期待に応えるべく、高い使命感と責任をもって懸命の奮闘を続けています。
しかし、職場では、増大する業務量に見合った要員が恒常的に不足し、長時間労働が蔓延するなど厳しい状況は改善されておらず、良質な公務・公共サービスを確実に提供するためにも、職員が安心し安全に働くことのできる職場環境の整備や必要な要員と適切な賃金労働条件の確保が喫緊の課題といえます。
公務員連絡会は、このような認識に基づき「2021年人事院勧告に関わる要求書」を提出します。貴職におかれましては、下記事項の実現に向け、最大限努力されるよう要求します。
記
1.賃金要求について
(1) 月例給与について
2021年の給与改定勧告にあたっては、職員の月例給与の水準の維持を最低とすること。また、較差の配分については、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて行うこと。
(2) 一時金について
一時金については、精確な民間実態の把握と官民比較を行い、職員の生活を守る支給月数を確保すること。
(3) 諸手当について
社会経済情勢の変化、職員の職務や生活実態を踏まえて措置することとし、公務員連絡会と十分交渉・協議し、合意に基づいて勧告作業を進めること。
(4) 再任用職員の給与について
再任用職員の給与制度について、その経済的負担、定年前職員との均衡を考慮して改善することとし、公務員連絡会との十分な交渉・協議、合意に基づいて行うこと。
2.新型コロナウイルス感染症への対応について
今後の感染状況等の推移を注視し、職員の感染防止、健康確保のため、公務員連絡会との交渉・協議を踏まえて、適宜、必要な措置を講じること。
3.労働諸条件の改善について
(1) 労働時間の短縮及び休業制度等について
公務職場におけるワーク・ライフ・バランスを実現するため、「働き方改革」等を次のとおり進めること。
① 超過勤務手当の全額支給を踏まえ、改めて、実効性ある超過勤務の縮減策を講じるよう、人事院として主体的な役割を果たすこと。
② 各府省の上限を超えた超過勤務の状況に関わる整理・分析・検証等の結果を踏まえ、公務員連絡会との交渉・協議に基づき、特例業務の扱いについて必要な見直しをはかること。
③「他律的業務の比重が高い部署」の指定にあたっては、各府省における統一性の確保を最低として、各府省への指導を強化すること。
④ 1か月当たり45時間を超え60時間以内の超過勤務に対する手当の割増率を引き上げること。
⑤ 公務において、「勤務間インターバル」を確保すること。
⑥ 家族介護を理由とした離職を防止するため、介護休業制度を整備すること。
⑦ 妊娠・出産・育児に関わる休暇制度について、新設を含め改善を図ること。
⑧ 改正「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」に対して、国家公務員における措置については、関係人事院規則の整備を基本として、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づいて行うこと。
(2) 障害者雇用について
障害者が、無理なく、かつ安定的に働き続けることができるよう、人事院としての役割を適切に果たすこと。
(3) 女性公務員の採用等の推進について
女性国家公務員の採用・登用・職域拡大の着実な推進に向け、積極的な役割を果たすこと。
(4) 福利厚生施策の充実について
① 心の健康づくりについては、勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、ストレスチェックや「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づく施策の着実な推進に向けて必要な対応を図ること。
② ハラスメントの防止については、一層有効な対策を着実に推進すること。
とくに、パワー・ハラスメント対策については、人事院規則10-16等に基づいた各府省の取組状況を引き続き把握するとともに、とくに相談員の専門性の向上や相談員が適切に対応できる体制整備に向けて、必要な指導を行うこと。
また、苦情相談、紛争解決における人事院の役割を着実に果たすこと。
4.非常勤職員等の制度及び待遇改善について
(1) 同一労働同一賃金をはじめとする均等待遇原則に基づき、非常勤職員等の給与を引き上げること。
(2)「非常勤職員給与決定指針」については、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づき見直すこと。なお、本年の勧告期において、一時金の支給水準の統一化をはかること。
(3) 期間業務職員制度について、当該職員の雇用の安定と待遇の改善となるよう、適切な運用に努め、必要な改善措置を講じること。
(4) 非常勤職員の休暇制度等については、常勤職員との均等待遇をはかるため、公務員連絡会との検証の場における議論も踏まえ、無給休暇の有給化等の改善をはかること。
(5) 非常勤職員制度の改善に関するこれまでの取組を踏まえ、制度の抜本的改善に向けた検討を継続することとし、公務員連絡会と十分交渉・協議し、作業を進めること。
以 上