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2025年度 公務労協情報 No. 15

地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/21

公務労協地方公務員部会は、2月21日に村上総務大臣に対して、2025春季要求書を提出した。

【村上総務大臣への申入れの経過】
交渉は13時20分から行われ、地方公務員部会からは古矢議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、古矢議長は要求書(資料1)を提出し、次のとおり述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう求めた。

 「第217回国会において石破首相は、「賃上げこそが成長戦略の要」とし、「物価上昇に負けない賃上げ」を起点とする経済政策について、施政方針演説を行った。12月に閣議決定された政府予算案では、勧告に伴う職員の給与改定に必要な財源が計上されているが、社会保障関係費や物価高への対応、税制の見直しが行われる場合の財政影響など、自治体においては地方財源の確保に懸念を抱いている。
 総務省の、「令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」において、過去10年間の競争試験における受験者数・競争率の減少傾向が続いていることが公表されているが、地方公共団体において人材の確保は重要課題となっている。職員が国民・住民の期待に応え、質の高い公務・公共サービスを維持・提供していくためには、人材確保が不可欠であり、臨時・非常勤職員を含めた地方公務員全体の賃金の引上げ、労働条件の改善が必要である。
連合は、2025春季生活闘争方針において、すべての働く人の生活を持続的に向上させるマクロの観点と各産業の「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組み強化を促す観点から、全体の賃上げの目安は、賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上とし、賃上げの流れを定着させるべく、その実現をめざすとしている。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2025春季生活闘争に全力で取組を進め、日々懸命に努力している職員の積極的な賃金引上げ、労働条件の改善にむけて取組を進めていく。
ついては、賃金・労働条件の改善をはじめとする2025年春季の要求を提出するので、その実現に向け最大限の努力をいただくようよろしくお願いしたい」

 これに対し、村上総務大臣は「公務労協地方公務員部会の皆様方におかれては、地方自治の確立・発展のため、また、自治体で働く地方公務員のため、その役割を果たしてこられたことに敬意を表する。近年、人口減少・少子高齢化、災害の激甚化、社会全体のデジタル化の進行など、自治体を取り巻く環境が大きく変化している。また、災害からの復旧・復興のため、多くの自治体の職員の方々には日々、献身的な御努力をいただいている。こうした社会情勢の変化に伴う多様化・複雑化する行政ニーズや災害対応に対し、自治体現場で精励されている皆様に心から感謝申し上げる。
 ただいま、古矢議長より、要請書を受け取り、要請内容について伺った。各要請事項については、検討の上、しかるべき時期に、事務方から回答させる」と述べ、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

(資料1)

2025年2月21日

総 務 大 臣
 村 上 誠 一 郎 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 古矢 武士
( 公 印 省 略 )

要 求 書

 貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、第217回国会において石破首相は、「賃上げこそが成長戦略の要」とし、「物価上昇に負けない賃上げ」を起点とする経済政策について、施政方針演説を行いました。12月に閣議決定された政府予算案では、勧告に伴う職員の給与改定に必要な財源が計上されていますが、社会保障関係費や物価高への対応、税制の見直しが行われる場合の財政影響など、自治体においては地方財源の確保に懸念を抱いています。
 総務省の、「令和5年度地方公共団体の勤務条件等に関する調査結果」において、過去10年間の競争試験における受験者数・競争率の減少傾向が続いていることが公表されていますが、地方公共団体において人材の確保は重要課題となっています。職員が国民・住民の期待に応え、質の高い公務・公共サービスを維持・提供していくためには、人材確保が不可欠であり、臨時・非常勤職員を含めた地方公務員全体の賃金の引上げ、労働条件の改善が必要です。
 連合は、2025春季生活闘争方針において、すべての働く人の生活を持続的に向上させるマクロの観点と各産業の「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組み強化を促す観点から、全体の賃上げの目安は、賃上げ分3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上とし、賃上げの流れを定着させるべく、その実現をめざすとしています。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2025春季生活闘争に全力で取組を進め、日々懸命に努力している職員の積極的な賃金引上げ、労働条件の改善にむけて取組を進めています。
 つきましては、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2025年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。

1.2025年度の賃金改善について
 (1) 地方公務員の賃金水準を引き上げるために、所要の財源を確実に確保すること。
 (2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議、合意を尊重すること。

2.労働時間、休暇及び休業等について
(1)公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理や時間外勤務縮減目標等の設定など、実効性のある時間外勤務縮減の具体策をはじめ、休暇・休業制度の拡充、勤務間インターバルの確保、労働時間短縮のための人員確保等の施策を構築すること。
 (2)職員の健康管理体制の充実、職場の安全衛生体制の確立、福利厚生の充実等について一層推進されるよう、地方自治体を支援すること。とりわけ、全ての職員へのストレスチェックの実施など、メンタルヘルス対策に万全を期すこと。
(3)地方自治体におけるいわゆる「カスタマーハラスメント」をはじめ、各種ハラスメントの防止については、総務省「各種ハラスメント対策の取組状況調査結果」を踏まえ、規定及び基本方針等の明確化、職員への周知・徹底をはかるなど、必要な措置を講ずるよう対応すること。

3.能登半島地震の復旧・復興への対応等
(1) 復旧・復興に従事する自治体職員の安全衛生及び心のケアを含む健康管理に配慮するため、特段の措置を講ずること。
(2) 復旧・復興に従事する職員等の継続的な人的支援及び要員の確保とともに、必要な財政的支援を行うこと。
(3) 被災地の復旧・復興の中長期化を鑑み、継続的な支援体制を講じること。
(4) 自然災害発生時の労働条件について、関係組合との十分な事前協議を行うよう地方自治体に対し促すこと。

4.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の待遇改善、雇用安定について
 臨時・非常勤職員制度について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏
まえ、雇用の安定、労働条件及び抜本的な待遇改善、休暇制度の改善等、関係法の改正を含むさらなる制度改善に向けた見直しを引き続き検討すること。
(1)会計年度任用職員について、全地方自治体で期末手当及び勤勉手当を適切に支給するよう対応をはかるとともに、必要な財政措置を行うこと。
(2)引き続き、常勤職員との権衡の観点から、有給を基本とした各種休暇制度の改善を検討すること。

5.段階的な定年引上げについて
 定年の段階的引上げの実施に伴い生じる諸課題については、関係組合との十分な交渉・協議、合意に基づき対応するよう地方自治体に対し促すこと。
(1)段階的な定年引上げ期間中においても、計画的な新規採用を確実に実施するよう地方自治体を支援すること。
(2)職員の希望通りの再任用の実現と高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件の確保を求める。

6.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件の確保等について
 公共サービス基本法に基づく良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備をはかること。

                                                                                  以上