地方公務員部会が、総務大臣に対し春季要求書を提出-2/19
公務労協地方公務員部会は、2月19日、武田総務大臣に対して2021春季要求書を提出した。交渉は12時からオンラインで行われ、地方公務員部会からは二階堂議長のほか委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、二階堂議長は要求書(資料1)を提出し、次の通り述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう求めた。
(1) 冒頭、総務省をはじめ政府関係機関では、感染防止対策において様々な対応に尽力されていることに深く敬意を表する。総務省においても、地方自治体の行財政に関わる対応として、公共料金等の支払い猶予措置をはじめ、自治体職員の感染症のまん延防止措置など、迅速な措置等を行い国民生活の安全、安心の確保にご尽力されていることに深く感謝申し上げる。
(2) 本日の要求書は、例年の春闘期における賃金、労働条件に関わる要求事項に加え、感染症対策に奮闘する自治体職場における超過勤務の増加など、行政が直面する厳しい勤務環境の改善に向けた要求内容となっている。新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、自治体、教育現場、ライフラインを守る公営企業職場など、昼夜を問わず国民、住民生活を守るため、職員は日々奮闘している。しかし、今日的に医療崩壊の危機に晒され、保健所や衛生行政をはじめ様々な公的セクターの効率化で、緊急時の対応が追いつかない現状が露呈している。国民、住民が安心して暮らせる社会の実現と持続性の実現をめざし、公務・公共サービスを確実に実現するため、職員の勤務環境の改善・確保に向け、本日の要求書を提出する。要求内容の実現に向けた最大限の努力を求める。
これに対し、武田総務大臣は「公務労協地方公務員部会の皆様方におかれては、地方自治の確立・発展のため、また、地方公共団体で働く地方公務員のため、その役割を果たしてこられたことに敬意を表する。新型コロナウイルス感染症対策においては、地方公共団体の果たす役割が極めて大きいところであり、現場で日々対応に当たられている職員の皆様に心より感謝を申し上げる。要請書については、確かに受け取った。
各要請事項については、検討の上、しかるべき時期に回答する」と応え、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。
(資料1)
2021年2月19日
総 務 大 臣
武 田 良 太 様
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男
貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
さて、新型コロナウイルス感染拡大は収束の目途が立たず、各自治体職場においては、感染防止対策への対応に伴う業務量や時間外勤務の増、業務の見直しによる他部署への支援体制等、その勤務環境は依然として厳しい状況に置かれています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
一方、連合は、2021春季生活闘争方針において、日本の抱える構造課題とコロナ禍によって明らかとなった社会の脆弱さを克服していくためにも、「誰もが安心・安全に働くことのできる環境整備と分配構造の転換につながり得る賃上げに取り組み、『感染症対策と経済の自立的成長』の両立と『社会の持続性』の実現をめざす」と提起しています。
地方公務員部会としても、連合に結集し、2021春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等の実現をめざして取組を進めています。
つきましては、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2021年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。
記
1.2021年度の賃金改善について
(1) 地方公務員の賃金水準の維持・改善のために、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議・合意を尊重すること。
2.労働時間、休暇及び休業等について
(1)公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理や時間外勤務縮減目標等の設定など、実効性のある時間外勤務縮減の具体策をはじめ、休暇・休業制度の拡充、労働時間短縮のための人員確保等の施策を構築すること。
(2)職員の健康管理体制の充実、職場の安全衛生体制の確立、福利厚生の充実等について一層推進されるよう、地方自治体を支援すること。とくに、新型コロナウイルス感染が拡大する中、全ての職員へのストレスチェックの実施など、メンタルヘルス対策に万全を期すこと。
(3)パワーハラスメント対策については、改正労働施策総合推進法の施行を踏まえ、地方公務員における措置について、地方公務員部会との十分な交渉・協議、合意に基づいた対応をはかること。
3.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の待遇改善、雇用安定について
臨時・非常勤職員制度について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、雇用の安定、労働条件及び抜本的な待遇改善、休暇制度の改善等、関係法の改正を含むさらなる制度改善に向けた見直しを引き続き検討すること。
(1)会計年度任用職員について、国家公務員の非常勤職員や常勤職員との権衡の観点から、勤勉手当をはじめとする諸手当の適用をはかること。
(2)会計年度任用職員における期末手当の支給等に必要な財政措置を行うこと。
(3)新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、雇用者責任という立場から、臨時・非常勤職員の待遇や雇用を確保するよう地方自治体を支援すること。
4.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件の確保等について
公共サービス基本法に基づく良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件の確保す ることとし、環境整備をはかること。
5.雇用と年金の確実な接続について
定年の引上げについては、国の実施に遅れないよう確実に実現するよう対応すること。定年引上げまでの間は、職員の希望する再任用の実現とともに、高齢期の 生活を支える給与、適切な労働条件を確保するよう対応をはかること。