地公部会が、全人連に対し2022春闘期要請書を提出-2/7
公務労協地方公務員部会は、2月7日、全国人事委員会連合会(全人連)に対して、2022年度地方公務員の賃金・労働条件等に関する要請を行い、要請書に対する回答を引き出した。
新型コロナウイルス感染症の急拡大による「まん延防止等重点措置」実施中のため、全人連への要請は、メールによる送付で行われた。
地方公務員部会は要請書(別紙1)において、新型コロナウイルス感染症の急拡大が収まりを見せない中、厳しい勤務環境においても、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供するためには賃金・労働条件の改善・確保が不可欠であり、各人事委員会が労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識し、要求事項の実現に向け、最大限の努力をするよう要請した。
要請事項では、地方公務員の賃金水準の改善をはじめ、地域の実情や新型コロナウイルス感染症拡大防止の関連業務等をふまえた諸手当の改定、会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度の改善、また公務における働き方改革の着実な推進等を掲げ、全人連としての努力を強く求めた。
2月15日に、全人連より回答書を受領した。書面回答は(別紙2)の通り。
(別紙1)
2022年2月7日
全国人事委員会連合会
会 長 青 山 佾 様
公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男
(公印省略)
要 請 書
各人事委員会における地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
さて、新型コロナウイルス感染の急拡大により、各自治体職場においては、感染防止対策への対応等、その勤務環境は依然として厳しい状況に置かれています。引き続くコロナ禍において、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定と賃金・労働条件の改善・確保が不可欠です。
一方、連合は、2022春季生活闘争方針において、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、経済・社会の活力の原動力となる「人への投資」を積極的に求める「未来づくり春闘」を展開するとし、すべての組合が月例賃金の改善にこだわり、それぞれの賃金水準を確認しながら、「底上げ」「底支え」「格差是正」の取組をより強力に推し進めるとしています。
地方公務員部会としても、連合に結集し、2022春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等の実現をめざして取組を進めています。
このような状況のなか、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。
記
1.2022年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を精確に把握するとともに、地方公務員の賃金水準を改善すること。
2.公民給与比較方法について、当面現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。
3.諸手当の改定については、地域の実情や、新型コロナウイルス感染症拡大防止の関連業務をはじめとする職務や生活実態を踏まえ、組合との十分な交渉・協議に基づき進めること。
4.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度について、働き方改革の推進と常勤職員との権衡をはかる観点から、人事委員会として改善に向けて必要な措置をはかること。
5.公立学校教員の賃金に関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。
6.公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理をはじめ、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策の構築など、人事委員会として必要な対応をはかること。とりわけ、人事院における国家公務員への対応等を参考として、「他律的業務」や「特例業務」における上限時間を超えて時間外勤務を命じた場合の要因の整理・分析・検証を行うとともに、必要な改善措 置等の指導を任命権者に対して行うこと。
7.実効性のあるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。とくに、パワー・ハラスメント対策について、人事院における国家公務員への対応等を参考として、人事委員会として主体的な対応を行うこと。
8.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。人事院が「意見の申出」及び「公務員人事管理に関する報告」において指摘した「育児休業制度等の改正」と「不妊治療休暇の新設」に関する職員への措置については、国家公務員において措置される制度を最低とした必要な対応を行うこと。
9.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立をはかること。
10.定年引上げに係る人事委員会規則の改正については、組合との十分な交渉・協議、合意に基づき進めること。
(別紙2)
令和4年2月15日
要請に対する全人連会長回答
これまで 2 年を超える新型コロナウイルス感染症への対応に従事されている全ての皆様に改めて感謝申し上げます。
さて、2月7日の要請につきましては、早速、全国の人事委員会にお伝えしたところです。
最近の経済状況を見ますと、さる1月18日に発表された政府の月例経済報告では、「景気は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、このところ持ち直しの動きがみられる」とする一方で、「感染症による影響や 供給面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意する必要がある。また、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」としています。
本年の春季労使交渉では、コロナ禍により企業業績に格差が生じ、原材料価格が高騰する中、賃上げや処遇改善等について議論がなされているところであり、今後の行方を注意深く見ていく必要があると考えております。
また、各企業においては、新型コロナウイルス感染症への対応として、テレワークの導入など働き方改革が進んで おり、今後の動向についても、引き続き注視してまいります。
現在、人事院及び各人事委員会では、民間給与の実態を的確に把握できるよう、本年の民間給与実態調査の実施に向け、その準備を進めているところです。
今後、各人事委員会においては、社会経済の動向なども踏まえながら、このたびの要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになろうかと思います。
改めて申すまでもありませんが、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することは、人事委員会の重要な使命であると認識しております。
全人連といたしましては、本年も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に努めてまいります。
全国人事委員会連合会
会 長 青 山 佾