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公務公共サービス労働組合協議会 地方公務員部会
2023年度 公務労協情報 No. 10

地方公務員部会が、総務大臣と全人連に対し 春季要求書を提出-2/24

 公務労協地方公務員部会は、2月24日に松本総務大臣に対して2023春闘要求書を提出した。また、2月8日に、全国人事委員会連合会に対し要請を行い、回答を引き出した。

【松本総務大臣への申入れの経過】
 交渉は11時30分から行われ、地方公務員部会からは二階堂議長ほか委員長クラス交渉委員が出席した。
冒頭、二階堂議長は要求書(資料1)を提出し、次のとおり述べ、3月下旬には誠意ある回答を示すよう求めた。

松本総務大臣(左)に要請書を手交する二階堂議長(右)

(1)冒頭、大臣におかれては、地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に対し、心より敬意を表する。また、今国会では、会計年度任用職員の処遇改善に向けた、地方自治法の改正が諮られることとなっている。ご尽力に対し、重ねて御礼申し上げる。
(2)この間の物価高に、賃金の上昇が追いつかない状況が続いている。連合の2023春闘はすでに開始されているが、連合は、この春闘を「人への投資」「各産業の底上げ・底支え」と位置付け、定昇相当分を含めた賃上げ5%を目標に掲げ、闘いをスタートさせた。
(3)地方公務員部会としても、連合に結集し、2023春闘を全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の待遇改善等を目指して取組を進めている。
(4)本日提出した賃金、労働条件の改善をはじめとする諸要求の実現に向け、最大限の努力を求める。

松本剛明 総務大臣

 これに対し、松本総務大臣は「公務労協地方公務員部会の皆様方におかれては、地方自治の確立・発展のため、また、地方公共団体で働く地方公務員のため、その役割を果たしてこられたことに敬意を表する。そして、新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、複雑高度化する行政課題に対応するために現場で日々対応にあたられている職員の皆様に心より感謝を申し上げる。
 要請書については、確かに受け取った。ただいま、二階堂議長より要請内容について伺った。各要請事項については、検討の上、しかるべき時期に回答する」と述べ、回答日に向け要求内容に対し検討する姿勢を示した。

【全国人事委員会連合会への要請の経過】
 全人連への要請は、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、要請書の送付という形で行った。地方公務員部会は要請書(資料2)において、ロシアのウクライナ侵攻や急激な円安による物価高騰が、職員の生活に大きく影響している中、厳しい勤務環境においても、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供するためには賃金・労働条件の改善・確保が不可欠であり、各人事委員会が労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識し、要求事項の実現に向け、最大限の努力をするよう要請した。
 要請事項では、地方公務員の賃金水準の改善をはじめ、地域の実情や職員の職務、生活実態をふまえた諸手当の改定、会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度の改善、また公務における働き方改革の着実な推進等を掲げ、全人連としての努力を強く求めた。
 2月17日に、全人連より回答書を受領した。書面回答は(資料3)の通り。


(資料1)


2023年2月24日

総 務 大 臣
 松 本 剛 明 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男
( 公 印 省 略 )

要 求 書

 貴職における地方自治の充実と行財政の円滑な運営に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、エネルギー関連品目や食料品の入手が困難となっていることや、日本と先進諸国との金利差を要因とする円安により、あらゆる物価が高騰し、職員の生活に大きな影響を与えています。厳しい状況が続く中、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定、積極的な賃金の引上げ及び労働条件の改善が不可欠です。
 一方、連合は、2023春季生活闘争方針において、賃上げ、働き方の改善、政策・制度実現の取組を柱とする総合生活改善闘争の枠組みのもと、中期的視点を持って「人への投資」と月例賃金の改善に全力を尽くすとし、賃上げ要求については、各産業の「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組み強化を促す観点とすべての働く人の生活を持続的に維持・向上させる転換点とするマクロの観点から、賃上げ分を3%程度、定昇相当分を含む賃上げを5%程度とするとしています。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2023春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の積極的な賃金引上げ等の実現をめざして取組を進めています。
 つきましては、下記の通り、賃金・労働条件の改善をはじめとする2023年春季の要求を提出いたします。貴職におかれましては、その実現に向け最大限の努力をいただきますよう要求します。

1.2023年度の賃金改善について
(1) 地方公務員の賃金水準を引き上げるために、所要の財源を確保すること。
(2) 自治体における賃金・労働条件の決定にあたっては、地方自治の本旨に基づき、労使交渉・協議・合意を尊重すること。
(3)人事院が打ち出した「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」をはじめとした賃金制度のあり方の検討にあたっては、適宜必要な情報提供を行うとともに、地方公務員部会との十分な協議を行うこと。

2.労働時間、休暇及び休業等について
(1)公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理や時間外勤務縮減目標等の設定など、実効性のある時間外勤務縮減の具体策をはじめ、休暇・休業制度の拡充、労働時間短縮のための人員確保等の施策を構築すること。
(2)職員の健康管理体制の充実、職場の安全衛生体制の確立、福利厚生の充実等について一層推進されるよう、地方自治体を支援すること。とくに、新型コロナウイルス感染が拡大する中、全ての職員へのストレスチェックの実施など、メンタルヘルス対策に万全を期すこと。
(3)パワーハラスメント対策については、改正労働施策総合推進法及び人事院規則を踏まえ、地方公務員における措置について、地方公務員部会との十分な交渉・協議、合意に基づいた対応をはかるとともに、すべての地方自治体におけるパワーハラスメント対策に関する規定、方針等の明確化及び職員への周知・啓発がはかられるよう対応すること。

3.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の待遇改善、雇用安定について
 臨時・非常勤職員制度について、民間労働法制や改正地方公務員法等の趣旨を踏まえ、雇用の安定、労働条件及び抜本的な待遇改善、休暇制度の改善等、関係法の改正を含むさらなる制度改善に向けた見直しを引き続き検討すること。
(1)会計年度任用職員について、国家公務員の非常勤職員や常勤職員との権衡の観点から、勤勉手当の支給に向けて必要な対応をはかること。また、勤勉手当の支給をはじめ必要な財政措置を行うこと。
(2)引き続き、常勤職員との権衡の観点から、有給を基本とした各種休暇制度の改善を検討すること。
(3)新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、雇用者責任という立場から、臨時・非常勤職員の待遇や雇用を確保するよう地方自治体を支援すること。

4.雇用と年金の確実な接続について
(1)段階的な定年引上げに係る円滑な制度の実施及び運用に向け、地方自治体を支援すること。条例等未整備の自治体においては、関係組合との十分な交渉・協議、合意に基づき、早急に条例改正等が行われるよう支援すること。
(2)定年引上げまでの間は、雇用と年金の確実な接続を図るため、全ての自治体で再任用制度を確立し、職員の希望通りの再任用の実現と高齢期の生活を支える給与、適切な労働条件を確保すること。

5.公共サービス基本法に基づく適正な労働条件の確保等について
 公共サービス基本法に基づく良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、自治体における公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備をはかること。

以上


(資料2)


2023年2月8日

全国人事委員会連合会
 会 長  青 山  佾 様


公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 二階堂健男
(公印省略)

要 請 書

 各人事委員会における地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、ロシアによるウクライナ侵攻に伴い、エネルギー関連品目や食料品の入手が困難となっていることや、日本と先進諸国との金利差を要因とする円安により、あらゆる物価が高騰し、職員の生活に大きな影響を与えています。厳しい状況が続く中、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定、積極的な賃金の引上げ及び労働条件の改善が不可欠です。
 一方、連合は、2023春季生活闘争方針において、賃上げ、働き方の改善、政策・制度実現の取組を柱とする総合生活改善闘争の枠組みのもと、中期的視点を持って「人への投資」と月例賃金の改善に全力を尽くすとし、賃上げ要求については、各産業の「底上げ」「底支え」「格差是正」の取り組み強化を促す観点とすべての働く人の生活を持続的に維持・向上させる転換点とするマクロの観点から、賃上げ分を3%程度、定昇相当分を含む賃上げを5%程度とするとしています。
 地方公務員部会としても、連合に結集し、2023春季生活闘争に全力で取組を進めるとともに、より質の高い地域公共サービスを提供するため、日々懸命に努力している職員の積極的な賃金引上げ等の実現をめざして取組を進めています。
 このような状況のなか、各人事委員会が、労働基本権制約の代償機関の立場から、職員の利益保護の役割・使命を十分認識され、下記事項の実現に向け最大限の努力を払われますよう要請します。

1.2023年度の給与改定に当たっては、民間賃金実態を精確に把握するとともに、地方公務員の賃金水準を引き上げること。

2.公民給与比較方法について、当面現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会 的に公正な仕組みとなるよう、抜本的に改善すること。また、一時金の公民比較は、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

3.人事院が打ち出した「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」をはじめとした賃金制度のあり方の検討にあたっては、月例給及び各種手当てを取り扱う総合的な見直しであることを踏まえ、職員各層からの理解を得られ、その意欲を引き出すものとするとともに、地域の実情を踏まえたものとなるよう検討すること。

4.諸手当の改定については、地域の実情及び職員の職務や生活実態を踏まえ、組合との十分な交渉・協議に基づき進めること。

5.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度について、働き方改革の推進と常勤職員との権衡をはかる観点から、人事委員会として改善に向けて必要な措置をはかること。

6.公立学校教員の賃金に関わり、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成する際には、関係労働組合との交渉・協議を行うこと。

7.公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理をはじめ、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策の構築など、人事委員会として必要な対応をはかること。とりわけ、人事院における国家公務員への対応等を参考として、「他律的業務」や「特例業務」における上限時間を超えて時間外勤務を命じた場合の要因の整理・分析・検証を行うとともに、必要な改善措置等の指導を任命権者に対して行うこと。

8.実効性のあるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。とくに、パワー・ハラスメント対策について、人事院における国家公務員への対応等を参考として、人事委員会として主体的な対応を行うこと。

9.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。

10.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、必要な施策の確立をはかること。

11.定年引上げに係る人事委員会規則の改正については、組合との十分な交渉・協議、合意に基づき進めること。

以上


(資料3)


令和5年2月17日

要請に対する全人連会長回答

 2月8日の要請につきましては、早速、全国の人事委員会にお伝えしたところです。

 最近の経済状況を見ますと、去る1月25日に発表された政府の月例経済報告では、「景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している」とし、「海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある」としています。

 本年の春季労使交渉では、原材料価格の高騰や円安による輸入コストが増加する中、物価高の水準を超える賃上げについて議論がされております。コロナ禍で落ち込んだ業績の回復具合が企業によって異なることを踏まえ、賃上げの動きがどこまで広がるかについて、今後の行方を注意深く見ていく必要があると考えております。

 また、企業においては、時間外労働の削減や年次有給休暇の取得促進など働き方改革の議論が行われており、今後の動向を引き続き注視してまいります。

 現在、人事院及び各人事委員会では、民間給与の実態を的確に把握できるよう、本年の民間給与実態調査の実施に向け、その準備を進めているところです。

今後、各人事委員会においては、社会経済の動向なども踏まえながら、このたびの要請内容も含め、本年の勧告に向けた検討を進めていくことになるものと思います。

 改めて申すまでもありませんが、公務員の給与等の勤務条件について、社会情勢に適応した適正な水準を確保することは、人事委員会の重要な使命であると認識しております。

 全人連といたしましては、今後も各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、各人事委員会や人事院との意見交換に努めてまいります。

全国人事委員会連合会

会 長  青 山  佾