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公務公共サービス労働組合協議会 地方公務員部会
2024年度 公務労協情報 No. 35

人事院勧告等を受け、地方公務員部会が全人連要請を実施-8/9

 公務労協地方公務員部会は、人事院勧告・報告後、各人事委員会が勧告作業に取りかかることを受け、8月9日に全国人事委員会連合会に対して「2024年給与勧告等に関する要請」を行った。

 全人連への要請は、古矢議長(全水道委員長)、伊藤企画調整委員(自治労書記長)、和田事務局長および幹事が出席した。全人連は、中西会長をはじめ、都道府県人事委員会のブロック代表および政令市の代表者が対応した。
 冒頭、古矢議長は、要請書(別紙)を手交し、物価高騰が続き、職員の生活に大きな影響が出ている現状について認識を述べた上で「職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定、積極的な賃金の引上げ及び労働条件の改善が不可欠である。職員の士気を確保し、良質な公務・公共サービスを提供していくためにも、各人事委員会が、専門機関としての機能を発揮されるよう期待する。また、人事院は勧告された、『社会と公務の変化に応じた給与制度の整備』については、当然地方公務員にも影響することから、関係組合との十分な交渉・協議に基づいて対応いただきたい」と、要請した。
 続いて、和田事務局長が要請事項について説明した。
 これに対して中西会長は「皆様からの要請について確かに承った。早速、全国の人事委員会に伝える。さて、昨日8日に人事院勧告が行われた。本年の官民格差は、民間における賃金の引上げを図る動きを反映して、民間給与が公務員給与を額にして11,183円、率にして2.76%上回っており、この格差を埋めるため、初任給を大幅に引上げるとともに若年層に特に重点を置きつつ全ての職員を対象に俸給月額を引き上げることとしている。特別給についても、民間事業所における好調な支給状況を反映して、民間が公務を上回ったことから、支給月数を0.10月分引き上げることとし、引上げ分は期末手当及び勤勉手当に配分することとしている。また、管理職について職責重視の給与体系に見直すほか、地域手当の広域化、扶養手当の見直しなど、給与制度のアップデートとして、俸給表及び諸手当にわたり包括的に給与制度を整備することとされている。このほか、公務員人事管理に関する報告では、国家公務員の人材確保の状況を改善させるための抜本的な施策について意見を述べるとともに、人事行政諮問会議中間報告を踏まえた取組について言及している。詳細については、これから分析を行うが、国家公務員と地方公務員の立場の違いはありつつも、人事院の勧告は、各人事委員会が勧告作業を行う上で、参考となるものであることから、その内容については、十分に吟味する必要があると考えている。今後、各人事委員会は、皆様からの要請の趣旨も考慮しながら、それぞれの実情等を勘案し、主体性をもって対処していくことになるものと考えている。改めて申すまでないが、各人事委員会としては、本年も、中立かつ公正な人事行政の専門機関として、その使命を果たしていく。全人連としても各人事委員会の主体的な取組を支援するとともに、人事院、各人事委員会との意見交換に十分努めていきたい」と答えた。

(別紙)
2024年8月9日

全国人事委員会連合会
 会 長  中 西  充 様

公務公共サービス労働組合協議会
地方公務員部会議長 古矢 武士
(公印省略)

2024年給与勧告等に関する要請書

 各人事委員会の地方公務員の給与・労働条件の改善に向けたご努力に敬意を表します。
 さて、エネルギー価格の上昇や食料品の値上げなど、あらゆる物価が高騰し続け、職員の生活に大きな影響を与えています。
 一方、今年の春季生活闘争は、昨年を超える高い水準の回答が相次ぎ、賃金の引上げ傾向が鮮明となっています。
 このような中、職員が国民・住民の期待に応え、より質の高い公務・公共サービスを確実に提供していくためには、職員の雇用の安定、積極的な賃金の引上げ及び労働条件の改善が不可欠です。
 人事院は、8月8日、政府と国会に対して 2024年の官民較差に基づく国家公務員の給与等に関わる勧告を行いました。各人事委員会では、2024年の月例給および一時金に関する報告・勧告に向けた作業が本格的に進められているものと承知しています。
 職員の士気を確保し、良質な公務・公共サービスを提供していくためにも、専門機関としての機能を発揮いただくとともに、地方公務員が置かれている現状を十分踏まえ、下記事項の実現に最大限の努力を払われますよう要請します。
 

1.民間賃金実態に基づき、公民較差を精確に把握するとともに、勧告にあたっては給料表の改善を中心に公民較差を解消すること。
(1)月例給については、全職員に対する引上げ勧告を行うこと。
(2)一時金については、精確な民間実態の把握と公民比較を行い、支給月数を引 き上げるとともに、期末手当への配分を行うこと。

2.地域手当並びに扶養手当の見直し、諸手当の改定については、地域の実情及び職員の職務や生活実態を踏まえ、一方的な見直しが行われることがないよう組合との十分な交渉・協議に基づき進めること。

3.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」については、国の制度を画一的に強制することなく、地域の実情を踏まえ、関係組合との十分な交渉・協議に基づいて対応すること。

4.各人事委員会の勧告に向けた調査や作業にあたっては、組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

5.会計年度任用職員をはじめとする臨時・非常勤職員の任用や待遇、休暇制度について、常勤職員との権衡をはかる観点から、人事委員会として改善に向けて必要な措置をはかること。

6.公立学校教員の賃金に関わり、引き続き、各人事委員会が参考としうるモデル給料表を作成・提示すること。また、作成にあたっては、関係労働組合との交渉・協議、合意に基づき進めること。

7.学校をはじめ、公務における働き方改革を着実に推進するため、厳格な勤務時間管理をはじめ、長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの実現に資する施策の構築など、人事委員会として必要な対応をはかること。

8.人材確保のため、初任給調整手当の支給拡大を図ること。

9.実効性のあるハラスメント防止策を引き続き推進するため、積極的な対応を行うこと。

10.各種休暇制度を新設・拡充し、総合的な休暇・休業制度を確立すること。

11.公務職場における男女平等の実現を人事行政の重要課題と位置づけ、両立支援制度の円滑な活用や男女間待遇格差の是正など、必要な施策を講じること。

以上