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公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2024年度 公務労協情報 No. 12

人事院・政府に2024春季要求書を提出-2/20

公務員連絡会は2月20日、委員長クラス交渉委員が川本人事院総裁、河野国家公務員制度担当大臣にそれぞれ要求書を提出した(別紙)。要求書では、全職員の賃金の積極的な引上げ、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備のあり方について意見を述べ、非常勤職員等の雇用・労働条件の改善、定員管理の見直し等を求めている。
今後、幹事クラス交渉、書記長クラス交渉等を配置し、回答指定日(人事院3月19日、政府3月22日)に向け交渉を重ねていくこととしている。
それぞれの交渉の経過は次のとおり。

川本人事院総裁との交渉は、14時00分から行われた。
要求提出に当たって武藤議長は次のように述べ、今後十分交渉・協議を重ね、誠意ある回答を示すよう強く求めた。

 昨年の連合春闘の結果は、平均で定昇込み3.58%となり、30年ぶりともされる水準の賃金引上げとなった。本年の春闘において、各単組・構成組織は、組合員の生活向上と経済の好循環につなげるべく、軒並み、過去最高あるいは昨年を大きく上回る賃金要求を掲げ、現在、集中的な交渉に取り組んでいるところである。
 一方で、先ごろ厚生労働省が公表した実質賃金は、2年連続減少となる前年比マイナス2.5%、2020年を100とすると97.1ポイントとなり、比較可能な1990年以降で最も低かったとのことである。このような中、私どもが昨年秋に実施した国家公務員の生活実態調査においても、「生活が苦しくなった」と回答した組合員が、半数に迫る勢いであり、ここ3年ほどで急速に悪化している状況である。
 私どもの賃金は、今春闘における民間労使の決着に拠るところが大きいわけだが、今後人事院におかれては、全職員の積極的な賃金引上げを念頭に勧告に向けた作業をしていただくことを強く要望する。
 また、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(給与制度のアップデート)」について、詳細な作業を進めておられるところと推察している。私どもも、若者の「公務員離れ」や中堅層職員の離職の問題などについて、危機感を共有するものであり、そのための方策が様々必要であると認識するところである。一方で、国家公務員の太宗を占める、地方で勤務する一般の職員の意欲を維持・向上させることを強く意識していただくこと、また地方公務員や独法・政府関係法人等の職員にも大きな影響を及ぼすことに留意し、公務員連絡会との十分な協議・交渉のもと検討するよう要請する。
最後に、これから事務レベルでの交渉を積み重ね、3月19日の最終回答の際には、総裁から、直接、春の段階の誠意ある回答を求め、要求提出にあたっての発言とする。

 続いて、森永事務局長が要求項目のポイントを説明し、回答日に向けた公務員連絡会との交渉・協議や要求への積極的な対応を強く求めた。

これに対して川本総裁は、「皆さんからの要求は承った。公務を巡る情勢は依然として厳しい状況にある。各要求事項については、今後、誠実に検討し、しかるべき時期に回答する」と応え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。

 河野国家公務員制度担当大臣との交渉は、17時15分から行われた。
要求提出に当たって武藤議長は次のように述べ、今後十分交渉・協議を重ね、誠意
ある回答を示すよう強く求めた。

 昨年の連合春闘の結果は、平均で定昇込み3.58%となり、30年ぶりともされる水準の賃金引上げとなった。本年の春闘において、各単組・構成組織は、軒並み、過去最高あるいは昨年を大きく上回る賃金要求を掲げ、現在、集中的な交渉に取り組んでいるところである。
 一方で、先ごろ厚生労働省が公表した実質賃金は、2年連続減少となる前年比マイナス2.5%、2020年を100とすると97.1ポイントとなり、比較可能な1990年以降で最も低かったとのことである。
 政府におかれては、国民の生活向上と経済の好循環につなげるためにも、30万人に及ぶ国家公務員の積極的な賃金引上げが重要であるとの認識を持ってご対応いただくよう冒頭お願いしておく。
 また、本日大臣にお願いしておきたいのは、国家公務員における要員不足の問題である。言うまでもなく職員は、通常の職務はもちろんのこと、昨年までのパンデミックのような状況、あるいは年初の能登半島地震のような大規模災害があれば、最前線で国民の生活と安全を守り、復旧・復興に向けて尽力しなければならない使命を有している。しかし、定員合理化目標のもと、これらに十全に対応することが困難になりつつあり、あるいは長時間労働の大きな要因ともなっているのが実態である。このことは各府省の人事当局からも訴えられており、私どもが昨年秋に実施した国家公務員の生活実態調査でも、半数を超える職員から、職場の要員不足に対する不満の声が挙がっているのが現状である。
 大臣が尽力されている通り、デジタル化を進め、省力化・効率化を一層図っていくことは大変重要であると認識しているが、一方で、災害大国・日本においては、平時より余裕を持った人員を確保し、どのような状況にも対応できる体制を構築しておくことがとりわけ重要だと認識している。大臣におかれましては、その点是非ともご認識いただけますようお願いする。
最後に、これから、事務レベルでの交渉を積み重ね、3月22日の最終回答の際には、河野大臣から、直接、春の段階の誠意ある回答を求め、要求提出にあたっての発言とする。

これに対して河野大臣は、「まず、職員の皆様が国民全体のために献身的に職務に当たられていることに対し、敬意を表する。ただいま、要求書を受け取り、要旨は承った。要求事項については、検討の上、しかるべき時期に回答させていただく。優秀な人材の確保のために長時間労働を是正し、国家公務員の働き方改革を実現するため、様々な取組を進めている。引き続き、現場の実情を含め、皆様からもご提案をいただきながら、前に進めますのでご協力をお願いする」と応え、今後公務員連絡会と交渉・協議していく姿勢を示した。

(別紙)
2024年2月20日

人事院総裁
 川 本 裕 子 様

                                                     公務員労働組合連絡会
                                                     議 長  武 藤  公 明
                                                     (公 印 省 略)

                            要 求 書

貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
さて、能登半島地震からの早期の復旧・復興にむけ公務・公共サービスに従事する職員は高い使命感と責任感を持って懸命の奮闘を続けています。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心し、安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえます。
そのような中、我が国における社会・経済情勢は、アメリカを始めとする諸外国との金利差が拡大する中で円安基調が続き、食料品や電気、ガソリン等のエネルギー価格を含む物価の高騰がなお続いています。このような状況により、実質賃金はマイナスで推移する状況となっています。このように公務・公共サービスを含む現場で働く労働者の生活は引き続き厳しくなっており、全世代にわたる積極的な賃上げが求められています。
公務員連絡会は、これらの情勢認識に基づき「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求める連合2024春季生活闘争に結集し「底上げ」「底支え」「格差是正」をめざして取組を進めます。貴職におかれましては、下記事項の実現に向けて、最大限努力されるよう要求します。


                         


1.賃金要求について
(1) 2024年度賃金の引上げについて
 2024年度の給与勧告に当たっては、民間賃金実態を精確に把握し、全ての職員の賃金を積極的に引き上げること。なお、期末・勤勉手当の配分のあり方等について公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
(2) 社会的に公正な官民比較方法の確立について
 官民給与比較方法については、現行の比較企業規模を堅持するとともに、社会的に公正な仕組みとなるよう改善すること。また、一時金についても、月例給と同様に、同種・同等比較を原則とするラスパイレス比較を行うこと。

2.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について
(1) 月例給および各種手当を取り扱う総合的な見直しであることを踏まえ、職員各層から理解を得られ、その意欲を引き出すものとすること。
(2) 地方公務員、独立行政法人職員、政府関係法人職員等にも広く影響を与える課題であることから、検討に当たっては、公務員連絡会に対して、適宜早い段階での情報提供を行うとともに、連絡会と十分な協議を行うこと。
(3) 初任給近辺の俸給月額引上げについて、民間を大きく下回っている地域手当非支給地等における改善を重視すること。
(4) 係長~上席補佐層の俸給の最低水準や勤勉手当の成績率上限の引上げについては、2022年10月から施行されている改定された評価制度の検証を前提とすること。
(5) 通勤手当、単身赴任手当の見直しについては、現在既に新幹線通勤や単身赴任をしている者を幅広く対象とすること。民間の支給実態との乖離が大きい新幹線通勤について抜本的な改善を行うとともに、新幹線通勤に限らず、現在の通勤手当の問題点を踏まえた総合的な改善を行うこと。
(6) 地域手当について、「大くくりの調整方法」に伴う具体的課題への対応方法等について、公務員連絡会と十分交渉・協議すること。
(7) 現在再任用職員に支給されていない手当について、定年前職員や定年延長者との均衡などを踏まえつつ、各種手当の支給範囲を極力拡大すること。
(8) のちの60歳前後の給与カーブに関する課題の検討に向けて、60歳以上の職員の給与に関しても精確な官民比較を行うことを基本に、中長期的な給与カーブ全体のあり方について、公務員連絡会と協議すること。
(9) 寒冷地手当や特地勤務手当など、関連して見直しが実施される手当について、地域事情等を十分に踏まえて検討すること。

3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度の勤務条件等について、同一労働同一賃金及び常勤職員との均等待遇の原則に基づいて、関係法令、規則を適用すること。
(2) 非常勤職員の給与を1時間当たり「1,200円以上」とすること。
(3) 昨年の給与法等の改正に伴う、各府省における非常勤職員に関する給与改定の状況を踏まえ、課題のあった府省に対して指導すること。
(4) 全ての非常勤職員の実態について調査・把握すること。その上で法令上の位置づけの明確化も含めて課題の解決を図ること。
(5) 非常勤職員の休暇制度等について、常勤職員との均等待遇をはかるとともに、無給休暇を有給化等の改善を図ること。
(6) 非常勤職員制度の改善に関するこれまでの取組を踏まえ、制度の抜本的改善に向け、公務員連絡会と十分協議すること。

4.労働時間の短縮及び休暇、休業等について
(1) ワーク・ライフ・バランスを確保するため、公務における年間総労働時間1,800時間体制を確立することとし、次の事項を実現すること。
①「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合等」について、他律部署を中心に改善されていないことから、引き続き「特例業務」の範囲や「他律部署」の指定の厳格化や、各府省に対する指導を強化すること。
②各府省人事当局からも職員の過重労働の主要な要因として要員不足が挙げられていること等を踏まえ、引き続き担当部局に対してより柔軟な定員管理を求めること。
(2) ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度を改善・拡充することとし、休暇・休業制度の利用実態を検証し、制度の改善や環境整備に努めること。とくに、家族介護を理由とした離職を防止するため、介護休業制度を整備すること。
(3) 仕事と家庭の両立に向けて、育児に係る両立支援制度の対象となる子の年齢の引上げ、介護に係る制度を利用できる期間等の拡大、残業免除や子の看護休暇の対象となるこどもの年齢の引上げ、育児のための両立支援制度を利用できる期間の延長等を措置すること。
(4) 2025年4月から導入するとしている「ゼロ割振り日の追加」「勤務開始後の割振り変更」「非常勤職員のフレックスタイム制」について、それぞれの具体的な措置内容について早期に情報提供を行うとともに、公務員連絡会との十分な協議を行うこと。
(5) 4月から導入される在宅勤務等手当について、制度導入後の具体的な運用状況について情報提供すること。
(6) 4月から導入される勤務間インターバルについて、各府省に対し、国際基準たる11時間を確保するよう求めること。

5.障害者雇用について
 公務職場における障害者雇用については、法定雇用率が引上げられることを踏まえ雇用される障害者が、無理なく、かつ安定的に働き続けることができるよう、人事院としての役割を適切に果たすこと。

6.女性参画の推進及び多様性の確保について
(1) 公務における女性の登用について、「第5次男女共同参画基本計画」を踏まえ、一層の女性の採用・登用と職域拡大に積極的に取り組むこと。
(2) 「国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進のための取組指針」に基づく各府省の取組計画の着実な実施を図ること。
(3) LGBT理解増進法等を踏まえ、職場における性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解の増進に取り組むこと。

7.定年の段階的引上げに伴う各種施策について
(1) 高齢職員の増加に伴う中堅・若手職員の昇格の抑制の回避等に向け、各府省における今年度の状況を踏まえつつ、来年度以降についても、級別定数の柔軟な措置を図ること。
(2) 再任用を希望する職員について、2013年の閣議決定を踏まえ、フルタイムを基本にその希望に応じた再任用を実現するよう、各府省に働きかけること。

8.福利厚生施策の充実及び働きやすい職場づくりについて
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。
(2) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(3) 心の健康づくりについては、勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づいて、カウンセリングや「試し出勤」など復帰支援策の着実な推進をはかること。また、オンラインによる相談窓口の更なる充実を図ること。
(4) ハラスメントの防止について、問題の重要性を認識し、一層有効な対策を着実に実施すること。とくに、パワー・ハラスメントの防止対策については、人事院規則10-16等に基づいた各府省の取組状況を把握し、必要な指導を行うこと。また、外部の専門家との連携強化など、苦情相談、紛争解決における人事院の役割を強化すること。

(別紙)
2024年2月20日

内閣総理大臣
 岸 田 文 雄 様

                                                      公務員労働組合連絡会
                                                     議 長  武 藤  公 明
                                                      (公 印 省 略)

                           要 求 書

貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
さて、能登半島地震からの早期の復旧・復興にむけ公務・公共サービスに従事する職員は高い使命感と責任感を持って懸命の奮闘を続けています。これらの職員の奮闘に応え、職員が安心し、安全に働くことのできる勤務環境の整備や、必要とされる人員と適切な賃金・労働条件の確保等が喫緊の課題といえます。
そのような中、我が国における社会・経済情勢は、アメリカを始めとする諸外国との金利差が拡大する中で円安基調が続き、食料品や電気、ガソリン等のエネルギー価格を含む物価の高騰がなお続いています。このような状況により、実質賃金はマイナスで推移する状況となっています。このように公務・公共サービスを含む現場で働く労働者の生活は引き続き厳しくなっており、全世代にわたる積極的な賃上げが求められています。
公務員連絡会は、これらの情勢認識に基づき「人への投資」と月例賃金の改善を積極的に求める連合2024春季生活闘争に結集し「底上げ」「底支え」「格差是正」をめざして取組を進めます。貴職におかれましては、下記事項の実現に向けて、最大限努力されるよう要求します。

                                       

1.働き方改革の推進及び賃金・労働条件の確保等について
(1) 公共サービス基本法に基づいて良質な公共サービスが適正かつ確実に実施されるよう、公務員等公共サービス従事者の社会的に公正な賃金・労働条件を確保することとし、環境整備をはかること。
(2) 働き方改革について、長時間労働の是正、働きやすい職場づくり、高齢職員の一層の活用等を進めること。

2.2024年度賃金について
(1) 勤労者の賃金改善が目下の最大の政策課題となっていることを踏まえ、職員の2024年度賃金を積極的に引上げること。
(2) 超過勤務手当の全額支給を前提に、独立行政法人等を含めた公務員給与の改定に必要な財源を確保すること。

3.非常勤職員等の雇用、労働条件の改善について
(1) 非常勤職員制度の抜本的改善をめざし、公務員連絡会が参加する検討の場を設置し、政府全体として解決に向けた取組を推進すること。当面、国家公務員の非常勤職員制度について、その実態を把握すること。その上で、法律上明確に位置付け、勤務条件等について、常勤職員との均等待遇の原則に基づいて、関係法令、規則を適用すること。
(2) 全ての非常勤職員について、「時給1,200円以上」を確保すること。
(3) 給与については、改正「人事管理運営協議会幹事会申合せ」及び人事院「非常勤職員給与決定指針」等に基づき、各府省における実態を把握するとともに、着実な待遇改善が行われるよう各府省を指導すること。特に、給与の改定時期については、常勤職員と同様とすること。
(4) 両立支援制度については、出生サポート休暇、配偶者出産休暇・育児参加のための休暇の新設および、産前・産後休暇の有給化、育児休業等の取得要件の緩和等について周知し、取得しやすい職場環境の整備を行うこと。
(5) 期間業務職員制度について、当該職員の雇用の安定と待遇の改善となるよう、適切な運用に努め、必要な改善措置を講じること。常勤職員と同等の勤務を行っている期間業務職員の給与を均等待遇の原則に基づきさらに改善すること。

4.労働時間、休暇及び休業等について
(1) ワーク・ライフ・バランスを確保するため、公務における年間総労働時間1,800時間体制の確立と、ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の改善・拡充などを実現すること。
(2) 勤務時間管理システムの各府省における導入の状況および運用の実態を情報提供するとともに、それを踏まえた実効性ある超勤縮減策を各府省に求めること。また、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づく人事管理システムについても、適宜進捗状況等を情報提供すること。
(3) 定員管理について、「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針(2014年7月25日閣議決定)」に基づく定員合理化目標を見直し、パンデミックや大規模な自然災害にも即時に対応できるための人員を平時から確保すること。
(4) テレワークを始めとする「柔軟な働き方」の推進に当たっては、国家公務員の職場環境や職務内容が極めて多岐に亘っていることを踏まえ、機械的な数値目標や無理な計画を課すことなく、柔軟に対応すること。
(5) 本年4月より導入するとされている勤務間インターバルについて、各職場においてスムーズに実施できるよう、各府省を指導すること。

5.障害者雇用について
 公務職場における障害者雇用については、法定雇用率が引上げられることを踏まえ、その達成を遵守するとともに、雇用される障害者が無理なく、かつ安定的に働き続けることができるよう、政府としての役割を適切に果たすこと。

6.女性参画の推進及び多様性の確保について
(1) 公務における女性の登用について、「第5次男女共同参画基本計画」を踏まえ、一層の女性の採用・登用と職域拡大に積極的に取り組むこと。
(2) 「国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進のための取組指針」に基づく各府省の取組計画の着実な実施に向け、積極的な役割を果たすこと。
(3) LGBT理解増進法等を踏まえ、職場における性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解の増進に取り組むこと。

7.定年の段階的引上げに伴う各種施策について
(1) 各府省における今年度の状況を検証しつつ、来年度以降についても、柔軟な定員管理を行い、各府省における確実な新採者の確保を支援すること。
(2) 定年の段階的引上げが完成するまでの間、2013年の閣議決定に基づき、職員の希望に応じた再任用を実現すること。

8.福利厚生施策の充実と働きやすい職場づくりについて
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の正確な実態把握に基づき、その抜本的な改善・充実をはかること。
(2) 「国家公務員健康増進等基本計画」の着実な実施をはかるため、政府全体としての実施体制を確立し、使用者としての責任を明確にして積極的に対応すること。
(3) 心の健康づくりについては、管理職員の意識改革はもとより勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、カウンセリングや「試し出勤」など復職支援施策を着実に実施すること。
(4) 2025年度の予算編成に当たっては、健康診断の充実など、職員の福利厚生施策の改善に必要な予算を確保すること。
(5) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(6) ハラスメントの防止について、問題の重要性を認識し、一層有効な対策を着実に推進すること。とくに、パワー・ハラスメントの防止対策については、人事院規則10-16に基づき政府全体で取り組むこと。

9.公務員制度改革について
 国家公務員制度改革基本法第12条に基づく自律的労使関係制度を確立するため、国家公務員法等改正法案の附帯決議(2014年3月12日衆議院内閣委員会及び同年4月10日参議院内閣委員会)に基づき、公務員連絡会との合意により実現すること。

10.その他の事項について
国が民間事業者等に業務委託や入札等により、事務・事業の実施を委ねる場合においては、公正労働基準の遵守を必要条件とすること。

                                                                  以 上