公務員連絡会が人勧期中央行動を実施-7/24-全ての職員の給与の引上げに向けて、霞ヶ関一周デモと人事院前行動で交渉団を支援-
公務員連絡会は、24日、全国から2,000人の組合員を結集し、人勧期中央行動を実施した。13時30分から、日比谷大音楽堂で中央集会を開催したほか、霞ヶ関を一周するデモ行進と人事院前での交渉支援行動を行った上で、人事院交渉の報告集会を行い、要求実現を求めて最後までたたかい抜く決意を固めあった。
中央集会では、まず主催者を代表して武藤
議長が挨拶に立ち、「厳しい社会情勢のもと、職場や地域で国民生活に不可欠な公務・公共サービスの推進に果敢に取り組んで頂いていることに敬意を表する。経済情勢については、日本のGDPは今年ドイツに抜かれ世界4位となり、来年にはインドにも抜かれて5位に転落する見込みである。長引くデフレで企業がコスト削減を優先し、国内投資が不足したことが要因である。アベノミクスの金融緩和政策以降、大企業は内部留保を増やしたが、円安・物価高騰で中小企業や国民生活は厳しい状況である。2024春闘では、連合が33年ぶりに賃上げ率5.10%を達成し、全印刷・全造幣も3.18%を獲得した。しかし、実質賃金は26ヶ月連続で減少し、物価上昇に追いついておらず、消費活動の停滞や経済成長の妨げが懸念される。公務員連絡会は6月19日に川本人事院総裁に人勧期要求書を提出して以降、職場学習会・職場決議等を地方段階から積み上げ、ブロック別申入れ行動等を背景に、各級段階の交渉を強化している。2024人勧期の最大のヤマ場である、本日の書記長クラス交渉では、8月上旬の最終交渉に向け、職員福祉局長及び給与局長から前進回答を引き出すため、この猛暑以上に熱い支援行動を、全国の仲間の皆さんとともに貫徹しよう」と訴えた。
続いて激励挨拶に駆けつけた連合の清水事務局長は、「連合が7月3日に公表した2024春季生活闘争の最終集計では、平均賃金方式の全体の賃上げ率が5.10%となり、33年ぶりの5%台を達成した。300人未満の中小組合も3.16%で、集計を開始した2015年闘争以来、初めて3%を超えた。有期・短時間・契約労働者の賃上げは、時給で5.74%、月給で4.98%となり、時給の引上げ率は一般組合員を上回った。これらの成果は各単組の真摯な交渉の結果だが、ここからが正念場である。この成果を最低賃金の引き上げと人事院勧告に反映させ、全ての働く者の賃上げを実現することが求められる。公務の皆さんには、人事院勧告に『労働基本権制約の代償措置』が適切に示されるよう、精力的な交渉を進めることを期待する」と激励と連帯の挨拶を行った。
基調提起として森永事務局長からは、正念場を迎える本年の人事院勧告について、「厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、一般労働者の現金給与総額は対前年+2.1%(所定内+2.3%)となっており、財務省の地域企業の賃上げ調査でも賃金引上げの傾向が顕著である。公務労協の組織であるJP労組では、定期昇給の完全実施、全社員1人2,900円(基本給2,800円)相当は全級・全号俸を改善、特別一時金1万5千円を一律支給で妥結・整理がはかられている。また、全印刷・全造幣の新賃金については中央労働委員会の調停により、一人当たり3.18%(全印刷11,691円、全造幣10,881円)の調停案が示され、労使共に受諾した。これらの情勢を踏まえれば、昨年の官民較差0.96%(3,869円)を上回る較差を想定している。今年の勧告に対する組合員の期待感も高まっているが、一方で配分に関わっては、地域手当非支給地域の初任給の官民格差の解消が重要な課題となるが、民間企業の初任給引上げの動きが顕著であるなか、私たちの賃金要求である、昨年を上回る『全職員(全級・全号俸)の引き上げ勧告』にも一定の影響を与えることになる。公務員連絡会としては、今年の月例給の官民較差が最終的にどの程度になるかが見通せないなかで、決して楽観できない状況にあるとの認識のもと、全職員(全級・全号俸)の俸給月額の改善を行った上で、課題である初任給の官民格差の解消を中心に若年層・中堅層の改善に取り組むべきだと考えており、今申し上げたスタンスで今日の給与局長との交渉に臨む」と訴えた。
構成組織の決意表明には、国公連合・国税労組・鈴木悠一朗書記次長、全水道・塚本法章近畿東海地方本部書記長、林野労組・前川康弘中央執行委員が登壇し、たたかう決意を力強く表明した。
集会を終えた参加者は、人事院前交渉支援行動と霞ヶ関一周のデモ行進を行い、「公務員の賃金を引き上げろ」「長時間労働を是正しろ」「ワークライフバランスを確保しろ」「非常勤職員の待遇を改善しろ」などと力強くシュプレヒコールを繰り返した。
行動を終えた参加者は日比谷大音楽堂に再参集し、総括集会で人事院局長交渉の報告を受けた。
森永事務局長は交渉の概要を報告した上で「本日の交渉で、給与局長に対し、月例給の改定について、われわれの要求に沿って人事院として明確にスタンスを示すべきことを再三にわたって追及したが、これまでの給与改定時の考え方を繰り返すにとどまったことは、極めて残念なことである。また、『社会と公務の変化に応じた給与制度の整備について』も、組合員の期待と不安に真摯に向き合い、今回の見直しによって生ずる様々な課題に対する処方箋を示すよう求めたが、こちらも今日段階では明確にはなっていない。このことから、給与局長に対しては、再度の交渉をセットするとともに、われわれが納得できる前向きな回答を行うことを強く求めて交渉を終えた。
勧告については、本日の交渉を踏まえ、公務員連絡会としては、8月5日の週に行われることを想定すれば、勧告まで約2週間という最終盤の正念場を迎えることになる。その上で、『昨年を上回る、全職員、全級・全号俸の引き上げ勧告』という結果を追及すること、『社会と公務の変化に応じた給与制度の整備』については、多岐にわたる項目の中で、個々人にとっての影響をトータルで見たときに、プラスになる人、マイナスになる人が結果として生ずることから、実施にあたっては一定の経過措置等を設けさせることを出口に見据えて、限られた時間ではあるが、交渉協議を継続していく。
今回の勧告内容が、一人でも多くの方に理解いただける『結果』が得られるよう、最後まで取り組む決意を申し上げ総括集会における報告とする」とし、今後の交渉に向けた基本姿勢を明らかにした。
最後に、武藤議長の団結がんばろうで集会を締めくくった。