TOP 公務労協情報 人事院が月例給・一時金の引上げを勧告-8/8
-公務員連絡会は声明を発出し、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを要求-
公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2024年度 公務労協情報 No. 32

人事院が月例給・一時金の引上げを勧告-8/8
-公務員連絡会は声明を発出し、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを要求-

人事院は本日、国会と内閣に対して月例給を2.76%、11,183円、一時金を0.10月引き上げる勧告・報告を行った。
また、公務員連絡会は代表者会議で、別紙1の声明を確認するとともに、本日の人事院勧告・報告を踏まえ、第3次全国統一行動として、勧告後速やかに各構成組織の実情に応じた行動等を実施することとした。あわせて、国家公務員制度担当大臣及び厚生労働大臣に対して、本年の給与改定勧告について、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出すること等を求める要求書を提出することとした。なお、連合においても2024人事院勧告について、事務局長談話(別紙2)を発出している。


別紙1-公務員連絡会の声明

声  明

1.人事院は、本日、①月例給の2.76%(11,183円)の引上げと一時金の支給月数の0.10月分引上げ等に関する勧告、②寒冷地手当法の改正に関する勧告、③国家公務員育児休業法等の改正に関する意見の申出、④「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」(勧告)等を含む公務員人事管理に関する報告を行った。

2.公務員連絡会は、6月19日に人事院に要求書を提出して以降、全国の組合員参加による団体署名及び職場決議の実施と全国3ブロックの代表者を中心とした提出行動、寒冷地手当に関する申し入れ、全国から2,000人の参加による中央行動等を背景に、幹事クラス、書記長クラスによる交渉を複数回実施してきた。
 本年の人勧期における重要課題は、①好調な民間春闘結果を反映した全職員に対する月例給及び一時金の引上げ、②初任給など地域における民間賃金との格差の解消、③職員の意欲を維持・向上させる方向での「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の実施、④再任用職員への手当支給の拡大を含めた高齢層職員の処遇の見直し、⑤常勤職員との権衡に基づく非常勤職員の処遇改善等であった。

3.本年の給与に関する勧告は、①月例給について、一般職の大卒初任給を23,800円、高卒初任給を21,400円引き上げ、初任給以外の号俸については、若年層に重点を置き、そこから改定率を逓減させる形で全職員の引上げ、②一時金については、0.10月分を引き上げることとし、今年度については、12月期の期末手当及び勤勉手当に配分し、来年度以降については、6月期及び12月期が均等になるよう配分する等の内容となっている。

4.以上の本年の勧告について、
①月例給に関しては、人事院が本年も、初任給及び若年層の賃金引上げに重点を置く方針を当初段階から示す中、粘り強く「全級・全号俸の賃金改善の上で、初任給の官民格差の解消など若年層の引き上げを行うべき」ことを主張した結果、若年層に重点を置きつつも昨年を上回る水準で俸給表全体を改定させることが出来た。給与改定の考え方については課題が残るところではあるが、この間の交渉の到達点として受け止めるものである。
②一時金に関しては、3年連続で引き上げさせるとともに、昨年に続き、期末手当の月数増を実施させることができた。この点も、我々の長年の要求の成果である。
③これら月例給および一時金の引上げは、この間大規模自然災害や感染症対策などで奮闘する現場の職員の労苦に応えるべきであること、また物価高騰のもと2年以上に亘り勤労者の実質賃金の前年比マイナスが続き、職員の生活を一層圧迫している事態を重視すべきであること等を事あるごとに訴え続けてきた我々の要求に、人事院が一定程度応えたものと受けとめるものである。

5.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備(アップデート)」の措置内容としては、(1)月例給について、新卒初任給及びその周辺の俸給月額の引上げ等、(2)ボーナスについて、勤勉手当における「特に優秀」区分の成績率上限の引上げ等、(3)手当について、地域手当の都道府県単位での大くくり化のもとでの級地区分及び支給割合の見直し等が盛り込まれた。また、その実施時期については、2025年4月を基本とした上で、地域手当及び扶養手当の見直しは段階的に実施すること等とされた。
「アップデート」について、公務員連絡会は、昨年の「骨格案」における課題と到達点を踏まえつつ、人事院に対して前広な情報提供を求め、人事院との間で真摯に交渉・協議を継続し、様々な形で組合員の声を届けてきた。その結果、我々が懸念した点が回避された部分や、我々の求めに応じて豊富化された部分などもあった。また、廃止・削減となる項目については激変緩和措置や経過措置を実施することを求め、それが一定反映された形となった。これらについては、決して十分と言える内容ではないが、およそ2年に亘る取組の結果であったとして受け止めるものである。

6.寒冷地手当については、前回見直し時の経緯等も踏まえ、本年の民調結果を正確に反映することを求めた結果、増額改定が行われた一方で、気象庁による「メッシュ平年値2020」を反映した結果を踏まえ、級地区分の見直しが行われることとなった。非支給となる職員について、これまでの見直し時と同様に、一定の経過措置を講じさせたことは、この間積雪寒冷地の切実な生活実態等について人事院に訴えてきたことや、地域独自で様々な運動に取り組んだ結果として受け止める。

7.本年の勧告では、本年5月に、民間労働者を対象とする育児・介護休業法等の一部を改正する法律が成立したことを踏まえ、国家公務員育児休業法等の改正を政府に求める「意見の申出」が行われた。子の看護休暇の対象範囲の拡大、介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化など、我々がこの間要求してきた内容も含まれる見込みであり、政府が速やかに改正法案を国会に提出すること及び法案の早期成立を求める。

8.以上のように、本年の勧告・報告は、我々の要求に対して一定応えたものとは言えるものの、不満が残る部分や民間も含めた今後の賃金動向を注視する必要がある部分も少なくない。さらに、2031年に向けた60歳前後の給与カーブの在り方について、人事院は、公務における人事管理の在り方の変化や、民間における高齢期雇用や高齢層従業員の給与水準の状況を注視しつつ、人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討するとしており、9月以降改めて人事院と向き合っていく必要がある。
  その上で、まずは、政府に対して、勧告通り実施する閣議決定を行い、所要の法案を国会に提出することを求めるとともに、これから本格化する地方自治体や独立行政法人、政府関係法人等の賃金確定闘争に向けて、全力を尽くすものである。

2024年8月8日
公務員労働組合連絡会


別紙2-連合事務局長談話

2024年8月8日

2024年人事院勧告に対する談話

日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.すべての働く者へ賃上げの流れを波及すべく早期に勧告どおり給与改定すべき
 人事院は本日、政府ならびに国会に対して、2024年の国家公務員給与改定について、月例給を11,183円(2.76%)引き上げ、一時金の支給月数を年間4.60月(昨年比0.10月増)とすることを勧告した。あわせて、採用市場での競争力向上のため、給与制度のアップデートの先行実施として初任給を大幅に引き上げるとともに、若年層に特に重点をおきつつ、再任用職員も含めたすべての職員を対象に全俸給表を引き上げるとしている。
 本勧告は、約30年ぶりの高水準となった民間給与の改定状況を踏まえつつ、「人への投資」を重視し、高い使命感と責任感を持って公務職場で働くすべての職員の労苦に応えたものと受け止める。政府と国会は、すべての働く者へ賃上げの流れを波及すべく、早期に勧告どおり給与改定を実施すべきである。また、各府省は、非常勤職員の給与についても、非常勤職員の給与に関する指針に沿って、常勤職員の給与改定に準じ、適切に支給すべきである。

2.引き続き労働組合との真摯な協議を求める
 給与勧告と同時に、給与制度のアップデート(社会と公務の変化に応じた給与制度の整備)についても勧告された。今回の処遇面の包括的なアップデートは、決して十分と言える内容ではないが、公務職場の実態や組合員の声も踏まえながら、2年にわたり労働組合と真摯な交渉・協議が行われた結果である。
 今後、公務における人事管理のあり方の変化や高齢期雇用や高齢層の処遇のあり方などについても検討するとしており、引き続き、労働組合との真摯な協議を求める。

3.地方自治体はすべての職員を対象に人事院勧告同様の給与引き上げを
 今後、人事委員会が置かれている地方自治体においては、地方公務員の給与にかかる勧告が行われるが、人事院勧告を踏まえ、すべての職員を対象に同様の引き上げ勧告がなされること、あわせて、会計年度任用職員についても、常勤職員の給与改定に準じて、適切に支給されることを求める。加えて、地方自治体に対しては、地方自治の本旨にもとづき条例改正に向けて労使交渉が尊重されることを求める。

4.連合はより質の高い公共サービスに資する公務員制度改革に取り組む
 人事院勧告は、あくまで労働基本権制約の代償措置であり、公務員の労働基本権の回復と自律的労使関係制度の早期の確立が求められる。連合は、国民の安全・安心なくらしを守る、より質の高い公共サービスの維持・発展に向け、ILOをはじめ関係する組織と連携しながら、民主的な公務員制度改革の実現をめざしていく。

以上