2024年度基本要求に対する回答を引き出す-12/21
公務員連絡会・幹事クラス交渉委員は、12月21日に人事院との交渉を実施し、11月28日に提出した「2024年度の基本要求」に対する回答を引き出した。
人事院からは大滝職員団体審議官が対応した。交渉経過は次のとおり。
冒頭、高柳副事務局長が、基本要求に対する回答を求めたのに対し、大滝審議官は次のとおり人事院の現段階の見解を示した。
一、賃金に関する事項
(1) 給与水準について
公務員給与の改定については、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢に立ったうえで、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、適切に対処してまいりたい。
また、期末・勤勉手当については、民間賞与における年間支給月数及び考課査定分の割合を考慮して改定を行ってきており、本年の勧告においては、支給月数の引上げ分を期末・勤勉手当に均等に配分することとした。引き続き民間の支給状況を注視しつつ、適切に対処してまいりたい。
(2) 官民の給与の比較方法について
官民給与の比較方法については、公務と民間で同種・同等の業務を行っている者同士を比較するという民間準拠方式の下、民間企業従業員の給与をより広く把握し国家公務員の給与に反映させるため、必要な見直しを行ってきており、比較対象企業規模を含め、現行の取扱いが適当と考えている。
(3) 「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について
本年の勧告時の報告において検討する事項の骨格を示したところであり、これを基に、令和6年夏の勧告に向けて、民間の状況や公務の実態などを精査しつつ、引き続き職員団体の皆さんの意見も聴きながら、具体的な措置の成案が得られるよう検討を進めてまいりたい。
初任給については、民間における近年の引上げトレンドの中で、特に地方において大きく下回っている状況にあり、全国で行政サービスを提供する公務が必要な人材を確保していく上で、大きな課題であると認識している。今後の民間企業における初任給の改定状況等を踏まえながら引き続き検討してまいりたい。
職務や個人の能力・実績をより適切に給与に反映する措置に関連して、人事評価について、新たな評価制度の運用や評価結果の給与等への活用が各府省において適正に行われるよう、引き続き人事院としても制度周知等に努めてまいりたい。なお、新評価制度のフォローアップについては、人事評価制度を所管する内閣人事局に対し、引き続き働きかけてまいりたい。
通勤手当については、職員の通勤に要する経費を補助することを目的とするものではあるものの、官民比較の対象外の給与であり、特に遠距離の通勤者に対し、より高額の手当を支給することについては、民間企業における通勤手当の支給状況を踏まえ、各方面の理解を得ながら合理性や納得性のある内容となるよう必要な検討を進める必要がある。そのため、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の中で一体的に対応し、令和6年に成案を得ることを目指して取り組んでいく。具体的な見直しの内容については、民間企業における通勤手当の支給状況も踏まえて必要な検討を進めていきたいと考えている。
地域手当については、最新の民間賃金の反映と併せ、市町村を単位としている級地区分の設定について、広域化するなど大くくりな調整方法に見直すことにより、国家公務員の地域をまたぐ人事異動時の影響の緩和や、給与事務負担の軽減等を図りたいと考えているが、具体的にどのように大くくり化を行うのかなどについては、令和6年に見直しの成案が得られるよう、現在検討を行っているところである。
特地勤務手当等については、国勢調査や全国道路・街路交通情勢調査の最新の結果等の分析を現在進めており、令和6年に支給地域等の見直しの成案が得られるよう、必要な検討を行っていきたいと考えている。また、寒冷地手当については、昨年4月に気象庁が公表した指標となる最新の気象データである「メッシュ平年値2020」の内容等に関して現在分析を進めており、これについても令和6年に見直しの成案が得られるよう、必要な検討を行っていきたいと考えている。
再任用職員に関しては、近年の人事運用の変化などを踏まえ、定年前再任用短時間勤務職員等について多様な人事配置を可能とし、その活躍を支援するため、職務の提供に関連する手当について支給範囲を拡大する方向で検討を行うこととしている。
65歳定年の完成を視野に入れた60歳前・60歳超の各職員層の給与水準(給与カーブ)の在り方については、今後、令和6年以降も見据え、社会と公務の変化に応じた給与制度の整備の一環として取り組むこととしている。本年から段階的に定年が引き上げられる中での公務における人事管理の在り方の変化や、民間における高齢期雇用や高齢層従業員の給与水準の状況を注視しつつ、職員団体の皆さんの意見も聴きながら、人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討を行ってまいりたい。なお、暫定的に導入された給与水準の7割措置を受ける60歳超職員は、当面は官民比較の対象としないことが適当と考えているが、当該職員の比較上の取扱いについては、給与カーブの在り方の検討と一体的に研究していきたいと考えている。
二、労働時間、休暇、休業に関する事項
(1) 超過勤務の縮減について
人事院では、超過勤務の縮減に向けた指導を徹底するため、昨年4月に新設した勤務時間調査・指導室において、各府省を直接訪問して勤務時間の管理等に関する調査を実施しており、他律部署・特例業務の範囲が必要最小限のものとなるよう指導するなどしているところであるが、引き続き、適切に各府省に対する指導等を行ってまいりたい。
また、勤務時間管理のシステム化を含む「デジタル社会の実現に向けた重点計画」に基づく人事管理システムの整備に関しては、内閣人事局を中心に検討が進められている。各府省における導入の状況及び運用の実態を人事院から情報提供することは予定していないが、人事院としても、超過勤務の縮減に当たっては、職員の勤務時間を適正に把握・管理することも重要であると考えており、引き続き各府省に対し必要な指導等を行ってまいりたい。
このほか、人事院が行った各府省アンケートの結果では、恒常的な人員不足が生じていた部署があった理由として、多くの府省が定員の不足を挙げていたことを踏まえ、人事院総裁が国家公務員制度担当大臣を訪問して御協力をお願いするなどしている。今後も、各府省における状況を踏まえ、必要に応じ定員管理を担当する部局に対して協力を依頼していくこととしている。
人事院としては、以上のような取組を通じて国家公務員の長時間労働を是正することが重要と考えており、適切にその役割を果たしてまいりたい。
(2) 柔軟な働き方について
勤務間のインターバルの時間については、令和5年3月の研究会の最終報告では、職員の健康確保の観点に加え、勤務間インターバル制を導入している諸外国の例や、同研究会がヒアリングを行った民間企業や国土交通省航空局の例などを踏まえれば、原則とすべき時間数を「11時間」とすることが適当であるとされている。人事院として、令和6年4月に、勤務間のインターバル確保に関する努力義務規定を人事院規則に設けることとしているが、勤務間のインターバルの確保の時間数の目安を何らかの形で示すかどうかについては、引き続き検討してまいりたい。
また、2025年4月から導入するいわゆる「ゼロ割振り日の追加」などそれぞれの具体的な措置の検討に当たっては、職員団体や各府省の意見も聴きながら進めていくとともに、措置内容についてはできる限り速やかに情報提供を行うこととしたい。
このほか、先般、「在宅勤務等手当の新設に伴う人事院規則の制定等に係る措置要綱(案)」をお示し、検討中の人事院規則等で定める内容を御説明させていただいたところ。人事院規則等の検討や制度導入後の運用に関し、職員団体の皆さんの意見も伺いながら、適切に対処してまいりたい。
(3) 休暇、休業制度について
職員の休暇、休業については、従来より情勢適応の原則の下、民間における普及状況に合わせることを基本に、来年1月施行の夏季休暇の取得可能期間拡大等適宜見直しを行ってきたところであり、引き続き民間の動向等を注視してまいりたい。
出生サポート休暇については、各府省に対し、制度担当者向けのQ&Aを配布し、プライバシーの配慮等について周知啓発や指導を行うとともに、各府省において周知啓発等に活用してもらうため、職員向けのリーフレット及びQ&Aを配布し、人事院HPにも掲載している。各府省の運用実態の把握については、今後必要に応じて検討してまいりたい。
育児と仕事の両立支援制度については、本年6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」において「こども・子育て支援加速化プラン」の具体的政策として、残業免除や子の看護休暇の対象となるこどもの年齢の引上げの検討などが示されており、近年、育児のための両立支援制度を利用できる期間を延長する民間事業所が増える傾向にもある。これらの状況を踏まえつつ、両立支援制度の整備・周知等に取り組んでまいりたい。
三、定年の段階的引上げに関する事項
定年引上げに伴う級別定数措置については、役降り後の職務や異動先、ポスト数のほか、定年引上げ後の昇格ペースを含む人事運用などに関する各府省・人事グループの検討を踏まえた上で、必要な級別定数を措置していくこととしているところ。
四、女性参画の推進及び多様性の確保に関わる事項
(1) 女性参画の推進について
人事院としては、これまでも女性の採用・登用の拡大や両立支援等の拡充など様々な施策を行ってきているところである。
女性の採用拡大については、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動を強化するとともに、働き方改革の取組やワークライフバランスの実践例、職業生活への多様な支援等に関する効果的な情報提供を行うことで、より多くの有為の女子学生等の進路選択につなげていくこととしている。
また、女性の登用拡大については、女性職員に対し、マネジメント能力開発の機会や自らのキャリアアップについて考える機会を付与するキャリアアップ研修や、管理職員に対し、女性職員登用や女性職員活躍推進の環境を整備するための意識啓発を図る「女性職員登用推進セミナー」を実施するなどの取組を行っている。今後とも、各府省の具体的な取組が進むよう支援してまいりたい。
このほか、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月決定、令和3年1月改正)等に基づいて政府全体で様々な取組が行われている。人事院としては、今後とも、政府の取組と連携しつつ、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動、女性職員の能力を伸長させ活躍を支援するための研修、柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の整備、仕事と生活の両立支援やハラスメント防止対策などを通じて、次世代育成支援対策推進法や女性活躍推進法等に基づく各府省の取組を支援してまいりたい。
(2) 多様性の確保について
人事院は、人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)により、職員はセクシュアル・ハラスメントをしてはならないとしており、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関しては、平成29年に同規則運用通知を改正し、性的指向・性自認に関する偏見に基づく言動について、セクシュアル・ハラスメントに含まれることを制度上明確にするなどの施策を講じている。また、研修等により各府省への周知・啓発を行ってきている。
今後も、LGBT理解増進法に基づく基本計画や指針等の策定に向けた政府全体での検討を踏まえながら、人事院としての役割を適切に果たしてまいりたい。
五、働きやすい職場づくりに関する事項
(1) 心の健康づくり対策について
心の健康づくり対策については、「職員の心の健康づくりのための指針」を基本として、管理監督者をはじめとする職員に対する研修の充実・強化、職員の意識啓発のためのガイドブックの作成、心の不調を未然に防止するためのストレスチェックの導入、心の不調への早期対応のための「こころの健康相談室」の運営、円滑な職場復帰の促進、再発防止のための「こころの健康にかかる職場復帰相談室」の運営や「試し出勤」の活用に取り組んでいる。さらに、「こころの健康相談室」については、より相談しやすい環境の整備に資するため、オンラインによる相談を令和4年度から開始し、本年7月には全ての窓口でオンライン相談に対応できる体制としている。
なお、ストレスチェック制度について、制度導入から5年が経過したことから、同制度を活用した職場環境改善がより効果的に行われるよう、有識者から意見を聴取し、令和4年2月に報告書を取りまとめ、これを踏まえたストレスチェックを活用した職場環境改善の具体的な取組等について各府省へ通知し、一層の取組を促している。
(2) ハラスメント対策について
ハラスメントの防止については、人事院としては、昨年度実施したハラスメント相談担当者へのアンケート調査結果等も踏まえ、相談担当者からの相談先となっている人事当局を対象とした事案解決のための研修を本年12月から実施するとともに、相談担当者のサポート体制の整備等の施策について、有識者からの意見聴取等も行いつつ、引き続き検討を進めてまいりたい。
六、人事評価制度に関する事項
人事評価については、昨年10月から職員の能力・実績をきめ細かく的確に把握するための評語区分の細分化等の制度の見直しが行われ、これを踏まえ、人事院では、見直し後の人事評価制度に基づく評価結果をより適切に任用、給与等に反映するための制度の見直しを行ったところである。
新たな評価制度の運用や評価結果の任免、給与、人材育成への活用が各府省において適正に行われるよう、内閣人事局とも連携の上、引き続き人事院としての役割を果たしてまいりたい。
七、非常勤職員制度等に関する事項
非常勤職員の給与については、本年4月から、給与法等の改正により常勤職員の給与が改定された場合には、非常勤職員の給与に関する指針(給実甲第1064号)に基づき、非常勤職員の給与についても、常勤職員に準じて遡及改定するよう努めることとされている。人事院としては、これまでも指針に基づく各府省の取組状況のフォローアップを行っているほか、機会を捉えて各府省から状況を聴取し、必要な指導を行っており、引き続き適切に対処してまいりたい。
また、非常勤職員の休暇については、業務の必要に応じてその都度任期や勤務時間が設定されて任用されるという非常勤職員の性格を考慮しつつ、民間の状況等を考慮し、必要な措置を行っている。近年の措置を挙げれば、結婚休暇の新設及び忌引休暇の対象職員の要件の削除(平成31年1月施行)、夏季休暇の新設(令和2年1月施行)、出生サポート休暇、配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇の新設並びに産前休暇・産後休暇の有給化(令和4年1月施行)などがある。引き続き、民間の状況等について注視し、必要に応じて検討を行ってまいりたい。
このほか、非常勤職員の実態の調査等についてご要望をいただいている。本年度の勧告時報告において記載した「非常勤職員制度の運用の在り方の検討」に関連して、今回の調査では期間業務職員の任用関係の実態を精緻に把握する必要があると考えたため実施しているところ。他の非常勤職員を今後の検討対象から一切省くという意図ではないが、多種多様な非常勤職員が存在する中で、まずは、法令上その定義や任期の設定、再採用に関するルールが定められている期間業務職員から検討していくことが適当と考えている。
非常勤職員制度については、これまでも職員団体の皆さんの意見も聴きながら見直しを行ってきたところであり、今後とも適切に対処してまいりたい。
八、障害者雇用に関する事項
人事院では、公務の職場における障害者雇用に関する理解を促進し、障害を有する職員が必要な配慮を受けられるよう、「職員の募集及び採用時並びに採用後において障害者に対して各省各庁の長が講ずべき措置に関する指針」を平成30年12月に発出し、各府省に対して、当該指針に沿って適切に対応することを求めている。
このほか、内閣人事局・厚生労働省と連携して、公務部門の障害者雇用に関する各府省担当者用資料の改訂を検討しており、これらを通じて最新の事情を踏まえた障害者雇用への理解を促すなど、今後とも、必要に応じて各府省への支援を行ってまいりたい。
これに対して、高柳副事務局長は、次のとおり質すとともに重ねて要請をした。
<給与水準について>
「民間の支給状況を注視しつつ、適切に対処」とのことであるが、今年の9月に私どもが組合員に対して行った最新の意識調査がちょうどまとまったところ。国公・一般行政職の回答者=約4,500人について、「食費」「住宅関係費」「自動車関係費」などの負担感が強まり、「昨年同時期と比して生活が苦しくなった」と回答した組合員が43.9%に上った。昨年の調査から5ポイント以上の上昇である。経年で追ってみると、ここ3年ほどで急激に反転・悪化していることが分かる。
給与水準については、来年の民調の結果次第であることは前提とするが、職員の、このような生活実態を十分に認識した上で、ご対応いただきたい。
<社会と公務の変化に応じた給与制度の整備について>
要求書の提出の際にも申し上げた通り、地域手当非支給地を中心とした初任給水準の引上げについて、地域手当の見直しとともに、抜本的な改善をお願いしたい。
特地勤務手当、寒冷地手当について、勧告時報告では言及がなかったが、今回見直しの方向性が示された。いずれも一定以上の影響を被る職員が少なからず存在していることを認識の上、対応いただきたい。また、この間見られたような原油価格の高騰などがあると、寒冷地や交通用具利用者について、多大な影響があるので、その点も念頭に置いていただきたい。
いずれにしても、「アップデート」関連は最重要課題であるので、これから来夏の勧告まで、我々と十分な協議を行うことを改めて求めておく。
<労働時間、休暇及び休業について>
超過勤務について、いま申し上げた私どもの調査では、同じく国公・一般行政職の回答者について、「勤務が深夜までおよび、翌朝も通常出勤することになった理由」として「人員不足が慢性化しているため」と回答した職員が、昨年より3%悪化し、34%に上っている。勤務時間調査・指導室を中心に、人事院として努力されていることは承知しているが、残念ながら、国公職場における超過勤務および要員不足の問題はなお深刻であると言わざるを得ない。
私どもも内閣人事局に対して、定員管理のあり方の見直しを求めているが、引き続き、人事院としてもご努力願いたい。その上で、他律部署・特例業務の問題など、人事院の権限強化なども必要なのではないか、と考えている。
<「柔軟な働き方」について>
勤務間インターバルの時間について、「目安を何らかの形で示すかどうかについては、引き続き検討」とのことであるが、やはり目安を示さなければ、いくら人事院規則で努力義務規定を設けたとしても、今申し上げたような実態のもとでは、有名無実化する可能性が低くないと思われる。改めて、何らかの記載を求めておきたい。
<ハラスメント防止対策について>
「ハラスメントを受けている」と認識している職員にとっては、やはり所属する府省の相談窓口にはなかなか訴えづらいのではないかと推察する。よって、これも要求書の提出時に申し上げたことであるが、中立・第三者機関としての人事院における体制強化、専門性の強化などが必要なのではないか、と考える。ご検討願いたい。
<人事評価制度について>
本年の組合員意識調査では、現行の人事評価制度のあり方について、まとまった質問を行っている。「アップデート」との関係でもあるが、若手・中堅職員の抜てきについて、「抜てき対象者の能力見定めが難しい」と回答した職員が70%に上っている点など、課題が見られている。内閣人事局にも要請しているが、「適切な時期に人事評価制度の実態の検証等を行い、より公正で納得性の高い運用となるよう改善しながら、昇任・昇格を始めとする処遇への適正な反映」という手順を採るべきと考える。ご検討願いたい。
<非常勤職員制度について>
給与法の成立に伴って、内閣人事局・人事院として、非常勤職員の基本給の遡及改定を各府省に求めたことについては承知している。その上で、フォローアップの結果について、何らかの形で我々にも共有化願いたい。
また、この秋に人事院が行った調査について、まずは期間業務職員に焦点を当てたこと自体は理解の範疇にある。しかし、この間指摘している通り、全非常勤職員の75%強が期間業務職員以外の職員となっていること、また、まさしく今ご回答があった通り、それらの職員の多くは、「法令上その定義や任期の設定、再採用に関するルール」が定められていないことからしても、運用上、実態上の問題が生ずる可能性があると考える。
その上で、先ほどから申し上げている本年の組合員意識調査では、初めての試みとして、常勤の職員に対して、「自らの職場における非常勤職員の実態」について調査したところである。結果として、同じく国公・一般行政職の職場において、35%を超える非常勤職員について、「一部または全部が常勤職員と同様の業務に従事している」との回答があり、あるいは、「非常勤職員がいないと業務が回らない」と回答した常勤職員も50%を超えている。繰り返しになるが、もはや非常勤職員の存在なくして国公職場は成り立たないという事実を正面から捉え、法的位置づけの再整理も含めて、検討を行うべきであると考える。
これらを受け、大滝審議官は、「副事務局長から様々なご要望などをいただいた。2024年度の基本要求についての人事院の回答としては先ほど申し上げたことに尽きている。例えば勤務間インターバルの時間の目安を示すことなど、個別の施策に関わるご意見やご要望については担当部局ときちんと共有することとしたい。また、そのほかにも、今後の人事行政諸施策の検討に関する幅広いご意見・ご要望があったものと人事院として受け止めたい」と答えた。
続いて、交渉委員から「人事評価について、シニア層の場合、良い評価を得ても処遇に結びつかないという思いの者も多い。今後シニア層が増える中で検証と改善が必要ではないか」「通勤手当について、新幹線通勤手当を見直すことで、転居をせずに異動ができるようになれば人材確保の観点からも良いことだと考える。積極的な改善を」等の意見が出された。
最後に、高柳副事務局長が「以上を持って本年度の基本要求書に関する交渉は終了したい。来年2月には、春闘期の要求書を人事院総裁に提出させていただきたいと思うので、その点について、予めよろしくお願いしておきたい」と述べ、回答交渉を終えた。