人事院へ2025年度基本要求を提出-11/27
公務員連絡会は11月27日、人事院に対して「2025年度賃金・労働条件に関わる基本要求」(資料1参照)を提出した。公務員連絡会からは幹事クラス交渉委員が交渉に臨み、誠意ある回答を示すよう求めた。交渉経過は次のとおり。
人事院からは木村職員団体審議官ほかが対応した。冒頭、要求書提出に当たり、高柳副事務局長は、次の通り説明した。
まず初めに、本年の勧告後初めての正式な交渉になるので、改めて勧告時報告等について若干コメントさせていただきたい。
人事管理報告の冒頭に示されている人事院の問題意識は、やや過大で抽象的な記載が目立った昨年の報告に比して、国家公務員の人材確保が危機的な状況を迎えていることについて、簡潔に切迫感を持って述べられているものと考える。基本的には、私どもも同様の問題意識を持っているところ。
その上で、今日の重大な問題として、優秀な新規採用者の獲得とともに、中堅層を中心とした離職の問題が無視できない事態になっていると考えており、私どもにも、多くの組織から悩みの声が挙げられているところである。これらを改善するための人事院の様々な取組の多くには賛同するものであるし、更なる充実が必要と考えるところであるが、指摘しておきたいのは、人事行政諮問会議「中間報告」以降の人事院の議論を見ていても、何か、本府省の特定の職員層のみにスコープが当たっており、まるでその部分さえ改善されれば事が足りるかのような議論になっているように見える点が強く懸念されるということである。また、その改善策もそれらの職員に対する給与上の各種優遇策のみが検討の俎上に載っているかのように見受けられる。
言うまでもなく、一人の職員がその仕事に意義を見出し、明日への活力を培うために、給与の問題が重要なことは論を待たないが、それのみを持って職員を職場に引き付けることはできない。
30万に及ぶ一般職の国家公務員、そして16万人に及ぶ非常勤職員の人事行政を預かる立場として、改めてこの点を自覚されるよう指摘しておきたい。
その上で、基本要求書の提出に当たって、私の方から重要ポイントについて、捕捉説明させていただきたい。
○賃金に関わる事項
2.中長期的な賃金関連課題について
特地勤務手当については、本年の勧告では、その他の手当とは別の扱いとなったが、勧告に向けた交渉の中で、例えば、7月24日の給与局長のご回答の中で「特地勤務手当については国勢調査の結果を踏まえ、必要な検討を行う」とされていたと認識している。関係する職員にとっては重要な項目であるため、検討状況に関する情報提供と協議をお願いしておきたい。
交通用具利用者の通勤手当については、私どもも、地方の職員を中心に多くの要望を受けているところ。人事院としても、10月23日に各府省に対し、交通用具使用者の実態把握調査を実施したものと承知している。それも踏まえた上で来年度の民調の調査項目で是非取り上げていただきたい。
諮問会議「中間報告」を踏まえ取り組む「職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底」について、言うまでもなく、「昇格のための在級期間に係る制度・運用の改善」や「官民給与の比較対象となる企業規模についての検討」などの点を指している。いずれも重要な内容を含んでおり、私どもとしても大変注目しているし、あるいは若干の懸念も抱いているところ。検討状況に応じて、必ず適宜私どもと協議を行っていただきたい。
定年引上げに伴う「60歳前後の給与カーブの連続性確保」について、2年前、「アップデート」の検討を開始する際の勧告時報告では、中心的課題の一つとして掲げられていたが、本年の勧告では記載が全くなかった。一方で、人勧期の交渉の中では、例えば給与局長の方から、「人事管理に係る他の制度と一体で引き続き検討を行う」旨の発言があったところ。いずれにしても、法律事項であり、どこかの時点で俎上に載せる必要があると思うが、これについても、高齢層職員はもとより、中堅層あるは若年層の給与にも影響を与え得るものであると認識している。すなわち、これも極めて重要な項目であり、公務員賃金全体のあり方に関する人事院としての問題意識を開陳していただきつつ、私どもとの誠実な協議をお願いしておきたい。
○労働時間、休暇及び休業等に関わる事項
1.年間労働時間の着実な短縮について
要求書の(2)に記載した課題について、公務員人事管理報告ではやや抽象的な書きぶりであり、あるいは「研究を進める」との記載に留まっているものと承知しているが、研究・検討の方向性によっては、公務員人事行政内部にとどまらない課題を惹起するものと受け止めている。この点についても、適宜適切に検討状況をお示しいただきたい。
○定年の段階的引上げに関する事項
要求書の(2)に記載した課題に関連して、最新の人事院月報でも、民間の再雇用者が圧倒的にフルタイム勤務となっている一方で、公務は6~7割程度が短時間勤務となっており、短時間勤務者の14%弱が本人希望に反していた、という調査結果が示されている。また、定年前短時間再任用職員についても、いずれの府省とも、それを希望する職員が極めて少数にとどまっているというデータもあるものと承知している。今回のアップデートに伴う措置によって手当部分は多く改善されることになるが、私どもには、多くの組合員から再任用職員の処遇に対する不満の声、特に一時金の水準に関する意見が寄せられていることを申し上げておきたい。いずれにしても、再任用希望者に対して原則的にフルタイムで再任用すること、また再任用職員の能力や経験を活かすための取組が重要であり、そのためにも給与水準の問題も当然課題となり得ることを指摘しておきたい。
○働きやすい職場づくりに関わる事項
要求書の(4)に示した、ハラスメントに関する実態と相談体制のミスマッチの問題、あるいは(6)に示した、深刻化している精神疾患による長期病休者の問題など、人事院が問題意識を持って取り組もうとしていることについては労を多としたい。冒頭申し上げた話に関連するが、職員が明日もやりがいを持って出勤したくなるような職場づくりこそが離職等の防止にも繋がるものと理解している。記載の通り、人事院が進めようとする各種対策等について適宜共有化をお願いしたい。
○非常勤職員制度等に関わる事項
要求書の(2)に示した、「期間業務職員の再採用時における公募3年要件の見直し」については、昨年夏より1年以上にわたって人事院と意見交換をさせていただいたところ。先日示された「Q&A」については、内容的には不十分な部分もあるものと評価しているが、いずれにしても各府省が適切な運用を行うよう、周知徹底し、内閣人事局とともに適宜実態を把握していただきたい。また、私どもに対しても適宜情報提供していただきたい。
これに対し、木村審議官は「基本要求については承った。本日は、要求内容に関連
して、いくつかの点について、現時点でのコメントを申し上げる」として、次のよ
うに述べた。
まず、賃金に関わる要求に関してであるが、民間の状況は、例えば、昨日11月26日に公表された月例経済報告では、景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復しているとされる一方で、海外景気の下振れによる影響など今後のリスクも懸念されている。また、皆さんも御承知のとおり、連合が、来年の春闘で定期昇給分を含めて5%以上、中小企業については6%以上の賃上げを要求する方針を決めているほか、経団連が、来年の春闘に向けて策定を進める基本方針に賃上げを社会全体に波及させ、定着させることが経団連と企業の社会的責務であると記載する方向で検討を進めている旨の報道もなされている。このほか、いわゆる政労使会議が昨日開催され、首相から来年の春闘に向けて大幅な賃上げへの協力の要請がなされた旨の報道もあった。人事院としては、今後とも景気や賃金など民間の動向について注視していきたい。
いずれにせよ、国家公務員の給与については、月例給、一時金とともに、情勢適応の原則に基づき、民間準拠により適正な給与水準を確保するという基本姿勢に立った上で、職員団体の皆さんの御意見も伺いながら適切に対処していくということが基本となる。
また、本年の人事院勧告を踏まえた改正給与法等の成立に向け、必要な対応を行っていくとともに、これらに基づく人事院規則の改正等について、皆さんの御意見も伺いながら作業を進めていきたい。
賃金の関係では、特地勤務手当や交通用具利用者の通勤手当の見直しなど、中長期的な課題についての要求もいただいている。人事院としてはこれまでも節目節目で検討状況などをお示ししつつ、職員団体の皆さんの御意見を伺いながら検討を進めてきたところであり、このような基本的な姿勢に変わりはない。
このほか、労働時間、休暇及び休業等に関する事項や、定年の段階的引上げに関する事項など、多肢にわたる要求をいただいている。本日いただいた基本要求については、先ほど伺ったお話も含め、十分に検討の上、しかるべき時期に回答させていただきたい。
冒頭、人事行政諮問会議中間報告以降の人事院の議論などに関するお話をいただいた。今後とも、非常勤職員を含む一般職国家公務員全体に広く目を配りながら人事行政に関する諸制度について検討を行っていくとの姿勢に変わりはないが、職員団体の皆さんからの御指摘については、部内で共有させていただくこととしたい。
続けて、交渉委員からは、次の通り発言があった。
「人材確保の課題は処遇面に加え、長時間労働や転居を伴う頻繁な人事異動等が影響していると考える。これらが原因となり、就職先として敬遠される、あるいは入職後に離職するケースが増えている。そのため、政府とも連携し、人材確保と離職防止に向けた取組を求める」
「長時間労働に関して、人事院が指導室を設け対策強化を実施していることは承知している。しかし、根本原因は各府省とも要員不足にあると考える。この点について内閣人事局とも連携し、対応をお願いしたい」
「再任用についても、定員が大きな課題である。昨年度は定年延長者が増え、定年前再任用者が減少した。また、フルタイム希望が短時間勤務を余儀なくされるケースが多く、そのギャップが明らかになった。この改善に向け、取組強化をお願いしたい」
「ハラスメント対応について、人事院が各府省の相談窓口における相談件数や処理状況を把握されているのか、また、具体的な指導を行っているのかご教示願う」
「精神疾患については、増加が続いており危機感を抱いている。アンケート調査等では、主な要因としてハードワークとハラスメントが挙げられているが、人事院としてこれらをどのように把握しているのかご教示願う」
「夏季休暇の取得期間拡大には感謝の声が多い一方、業務繁忙に利用が限られる点への不満の声もある。弾力的な運用で、より多くの職員が利用できるようさらに整備をお願いする」
「マイカー通勤に伴う手当については地方職員から不足しているとの声がある。地域手当についても『地方軽視である』との声も寄せられている」
「ハラスメント対策について、現場からは管理職が部下からハラスメントを指摘されることを恐れて正しく指導できないとの声もある。何がハラスメントかを明確にした上で、人事院から各府省に情報提供し、研修体制の整備等を進めることが重要だと考える」
「60歳前後の賃金カーブについて、地方の出先機関でも『賃金の7割』という措置に対し、生活実感から厳しいとの声が多く寄せられている。この見直しに対して組合員は大きな期待をしているので、是非検討を進めていただきたい」
「勤務間インターバルが今年度から導入され、11時間を目安とする努力目標として進められているが、どの程度浸透しているのか、情報提供をお願いしたい。また、改善すべき点があれば適切に対応し、社会の流れとして確実に進めていけるよう対応をお願いする」
これらを受け、木村審議官は「人材確保は重要な課題であり、長時間労働については指導室を設置し対策に取組んでいる。また、人事異動の課題や職場におけるやりがいの問題、定員の問題については、人事院の所掌でないものも含まれると思うが、勧告時報告に触れられているように、可能なものについては内閣人事局とも連携し進めていく。ハラスメントの相談件数については、確認した上で回答したい。夏季休暇については、現状を把握しつつ適切に対応する。通勤手当や地域手当、ハラスメントの実態に関する意見については担当者に伝え、共有したい。60歳前後の賃金カーブの課題は今後の大きな課題と考えているので、適切に対応してきたい。勤務間インターバルについては調査も行っており、その結果を分析し、引き続きインターバルの確保に向けた取り組みを進めていく」と回答した。
最後に高柳副事務局長が「承った。それでは、12月20日の回答交渉に向けて、人事院部内での検討をお願いしておきたい。本日は以上をもって終了したい」と要請し、交渉を終えた。
資料1.人事院への基本要求書
2024年11月27日
人事院総裁
川 本 裕 子 様
公務員労働組合連絡会
議 長 渡 邉 由 一
(公 印 省 略)
2025年度賃金・労働条件に関わる基本要求について
貴職におかれましては、公務員人事行政にご尽力されていることに敬意を表します。
さて、物価高騰の長期化や2年以上続く実質賃金の前年比マイナスの影響により、国民生活は依然として圧迫されており、非常に深刻な状況にあります。
こうした状況の中、公務・公共サービスの現場では、大規模自然災害等への対応をはじめとする様々な課題に直面しながらも、職員は高い使命感と責任をもって日々奮闘しています。しかし一方で、職場ではテレワークの推進や働き方改革が進められているにもかかわらず、長時間労働の蔓延や過度な業務負担など、厳しい勤務環境は依然として改善が見られません。こうした課題に対応するためには、職員が安心して職務に専念できるよう、適切な労働条件の整備や働きやすい職場づくり等が不可欠です。その意味において、人事院には、労働基本権制約の代償機関であることを踏まえ職員の利益保護に向けた役割を十全に果たすことが求められています。
貴職におかれましては、こうした点を十分に認識され、下記の基本要求事項の実現に向けて最大限努力されるよう強く申し入れます。
記
一、賃金に関わる事項
1.給与水準及び配分等について
(1) 公務における人材の確保を重視し、職務の責任や仕事の内容に相応しい社会的に公正な月例給与水準を確保すること。また、2025年度の給与勧告においては、物価高騰や2年以上に亘り実質賃金の前年比マイナスが続いていること踏まえ、全ての職員の賃金水準を引き上げ、職員の豊かな生活を保障すること。
(2) 期末・勤勉手当については、支給月数の引き上げを図るとともに、引き続きそのあり方について、公務員連絡会と協議すること。
2.中長期的な賃金関連課題について
(1) 特地勤務手当の見直しについては、公務員連絡会に対し検討状況に関する情報提供を行うとともに、協議を実施すること。
(2) 交通用具利用者の通勤手当に関しては、令和7年職種別民間給与実態調査において、調査を実施した上で必要な見直しを行うこと。
(3) 本年の「公務員人事管理に関する報告」において示された、人事行政諮問会議「中間報告」を踏まえ取り組む「職務ベースの報酬設定、能力・実績主義の徹底」に関する検討状況について、公務員連絡会と積極的に協議を行うこと。
(4) 2031年の定年引上げ完成を見据え、2021年改正国公法に基づく「60歳前後の給与カーブの連続性確保」の検討状況について、公務員連絡会に対し情報提供を行うとともに、公務員賃金全体のあり方に関する問題意識を明らかにした上で協議を行うこと。
二、労働時間、休暇及び休業等に関わる事項
ワーク・ライフ・バランスを実現するため、公務職場における「働き方改革」等を次のとおり進めること。
1.年間労働時間の着実な短縮および柔軟な働き方について
公務における年間総労働時間1,800時間体制を確立することとし、次の事項を実現すること。
(1) 人事院が公表した2022年度の「上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合」によれば、本府省・地方、他律部署・自律部署のいずれにおいても、前年度を上回る結果となっていることを踏まえ、引き続き「特例業務」の範囲や「他律部署」の指定の厳格化をはじめ、超過勤務の縮減に向けた取組を強化すること。
(2) 人事行政諮問会議「中間報告」を踏まえ、本年の「公務員人事管理に関する報告」で示された、「パフォーマンスを成果によって測ることが適切な役職や職種など、厳格な勤務時間管理がなじまない職員」に対する「自律的に勤務時間帯やその長さを選択した上で職務に従事させることができる枠組み」について、問題意識と検討の方向性を明らかにすること。
(3) 本年4月から実施されている「11時間を目安とする勤務間インターバルの確保」について、人事院が行っている調査・分析結果を情報提供するとともに、各府省への周知徹底と取組強化を図ること。また、同じく4月に導入された在宅勤務等手当の運用実態についても明らかにすること。
2.休暇・休業制度の拡充等について
ライフステージに応じ、社会的要請に応える休暇・休業制度の拡充などについて、次の事項を実現すること。
(1) 夏季休暇について、日数増と取得時期のさらなる弾力的運用をはかること。
(2) リフレッシュ休暇を新設すること。
(3) 産前休暇を8週間、産後休暇を10週間に延長すること。また、妊娠障害に対する休暇制度を新設すること。
(4) 出生サポート休暇について、休暇を取得しやすい職場環境の整備をはかること。また、各府省における運用実態を把握し、課題があれば各府省を指導すること。
(5) 家族介護を理由とした離職を防止するため、仕事と介護の両立支援制度を利用しやすい勤務環境の整備を進めること。
三、定年の段階的引上げに関する事項
(1) 高齢職員の増加に伴い、中堅・若手職員の昇格が抑制されることを避けるため、各府省における実態を踏まえつつ、来年度についても級別定数に関して柔軟な措置を講じること。
(2) 再任用を希望する職員については、2013年の閣議決定を踏まえ、フルタイムを基本とし、その希望に応じた再任用が実現できるよう、各府省に対して働きかけを行うこと。
四、女性参画の推進及び多様性の確保に関わる事項
(1) 国における女性職員の登用について、各役職段階における女性割合がいずれの役職段階においても増加しているものの、「第5次男女共同参画基本計画」(2020年)に定める成果目標を下回っていることから、一層の女性の採用・登用と職域拡大を図ること。
(2) 次世代育成支援対策推進法、女性活躍推進法及び「国家公務員の女性活躍とワーク・ライフ・バランス推進のための取組指針」等に基づく各府省の「行動計画」「取組計画」等の着実な実施に向け支援していくこと。
(3 )昨年6月に公布・施行されたLGBT理解増進法を踏まえ、公務職場における性的指向およびジェンダーアイデンティティの多様性に関する理解の増進に努めること。
五、働きやすい職場づくりに関わる事項
(1) 公務員の福利厚生を勤務条件の重要事項と位置付け、職員のニーズ及び民間の福利厚生の実態把握を行い、その抜本的な改善・充実に向けた提言を行うこと。
(2) 福利厚生の重要施策であるレクリエーションについて、事業が休止されている実態を重く受け止め、その理念の再構築と予算確保や事業の復活に努めること。
(3) 心の健康づくりについては、勤務条件や職場環境の改善など総合的に取り組むこととし、ストレスチェックや「職員の心の健康づくりのための指針」等に基づく施策の着実な推進に向けて、さらに充実した対応を図ること。
(4) 人事院の調査によると「ハラスメントを受けた」と感じた職員は27.6%、「ハラスメントと思われる行為を見かけた」職員は36%にのぼっている一方、実際に相談窓口に相談した職員は10%台にとどまっていることから、「相談方法の周知」や「相談員向けの専門的支援窓口の充実」等の対応策を早急に講じること。
(5) 本年の「公務員人事管理報告」で示されたカスタマーハラスメント対策について、民間や自治体の先進事例を参考にし、対策強化を図ること。
(6) 人事院の「精神及び行動の障害による長期病休者数調査」によると、精神疾患による長期病休者が大幅に増加しており(平成30年度3,818人→令和4年度5,389人)、深刻化していることを踏まえ、人事院が令和7年度に各府省に提供予定の「より実践的な職場復帰支援手法」に関して公務員連絡会に対し情報提供するとともに、包括的な対策強化を図ること。
六、人事評価制度に関わる事項
2022年10月より実施された新たな評価区分のもとでの人事評価制度について、中立・公正な人事行政や勤務条件を所管する立場から、内閣人事局とも連携し、評価制度の実施状況及び評価結果の活用状況を検証すること。その上で、課題があれば、必要に応じて指導、改善措置等を講じること。
七、非常勤職員制度等に関わる事項
(1) 常勤職員の給与改定が行われた場合の非常勤職員の給与改定については、改定時期など常勤職員と同様とするよう、引き続き各府省を指導すること。
(2) 「期間業務職員の再採用時における公募3年要件の見直し」について、人材局長通知、企画課長通知および「Q&A」等を各府省へ周知徹底すること。また、この措置が非常勤職員(期間業務職員)の雇用安定につながるものとなるよう、各府省において適切な運用が行われているか等について検証し、継続的な実態把握と公務員連絡会に対する情報提供を行うこと。
(3) 非常勤職員の3/4を期間業務職員以外の職員が占めている一方で、その実態が不明であるため、これらの職員の処遇について調査・把握すること。その上で、法令上の位置付けの明確化も含めて、課題の解決を図ること。
(4) 非常勤職員の休暇制度等について、常勤職員とのさらなる均等待遇に向け、無給休暇の有給化等の改善を図ること。
(5) 非常勤職員制度の改善に関するこれまでの取組を踏まえ、制度の抜本的改善に向け、公務員連絡会と十分協議すること。
八、障害者雇用に関わる事項
本年4月以降、法定雇用率が段階的に引き上げられていくことを踏まえ、各府省に対し法定雇用率の達成を遵守するよう促すとともに、障害を持つ職員が安定して働ける環境を整えるために、適切な役割を果たすこと。
以上