TOP 公務労協情報 2023人勧の月例給、一時金の配分等で人事院交渉実施-8/2
公務公共サービス労働組合協議会 公務員連絡会
2023年度 公務労協情報 No. 27

2023人勧の月例給、一時金の配分等で人事院交渉実施-8/2

 公務員連絡会幹事クラス交渉委員は、2日13時30分から、本年人勧における配分等について、人事院の大滝職員団体審議官と交渉を実施した。
 この交渉は、8月1日の書記長クラス交渉委員と給与局長の2回目の交渉で、①官民較差はプラスではある見通し、②特別給は支給月数が引上げとなる見通しが示されたことから、公務員連絡会の要求を実現するため行ったもの。

 冒頭、高柳副事務局長が「昨日の2回目の給与局長交渉を踏まえて、本年の給与改定について、月例給、一時金の配分の考え方を改めて伺いたい」と求めたのに対し、大滝審議官は以下のとおり答えた。

1.改定の基本的な考え方について
民間給与との均衡を図るため、月例給の引上げ改定及び特別給の支給月数の引上げを行う。月例給の改定に当たっては、人材確保の観点等を踏まえ、若年層に重点を置いて、基本的な給与である俸給を引き上げる改定を行う。
2.行政職俸給表(一)の改定について
初任給については、民間における初任給の動向や、公務において人材確保が喫緊の課題であること等を踏まえ、総合職試験及び一般職試験(大卒程度)及び一般職試験(高卒者)に係る初任給を、それぞれ相応の額を引き上げることとし、初任給以外の号俸については、若年層が在職する号俸に重点を置き、そこから改定率を逓減させる形で引上げ改定を行う。
なお、再任用職員の俸給月額(定年前再任用短時間勤務職員の基準俸給月額)についても所要の改定を行う。 
3.行政職俸給表(一)以外の俸給表の改定について
行政職俸給表(一)以外の俸給表についても、行政職俸給表(一)との均衡を基本に所要の引上げ改定を行う。
4.一時金の改定について
支給月数の引上げ分は、期末手当及び勤勉手当に配分する。

 回答に対し、高柳副事務局長は、次のとおり審議官の見解を質した。
1.月例給について
(1) 初任給の改善について、昨日の給与局長とのやり取りの中で、「全国平均では官民格差が解消できた」旨発言があったが、一方で、「地方によっては民間水準を下回っている」との発言もあった。この、地方における官民格差について、概ねどの程度となっているのか。
(2) 初任給の大幅引上げに伴って、初任給調整手当の見直しなども行われるのか?あるいは俸給月額の一定割合を基礎として支給額を定めている手当があると思うが、今回それについても引上げがあるか。
2.一時金について
(1) 勤勉手当の引上げに伴って、昨年「引き上げ分の一部を用いて上位の成績区分に係る原資の確保を図る」という措置が採られたが、今回はそのような措置はないという認識で良いか。
3.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について
(1) 9月以降の検討の進め方について、この間人事院より「過去に大きな見直しを行った際の例も踏まえつつ、また、特に皆さんのご関心の高い項目があればその点も踏まえながら、今後検討していく」との説明もあったが、そのような理解で良いか。
(2) 今回勧告される「在宅勤務等手当」について、昨年の民調の結果では、在宅勤務を実施している事業所が全体の53.0%、そのうちの28.2%が何らかの手当を支給し、一方で手当の支給を検討している事業所が13.9%であった。本年の民調結果で、これらの数字は概ねどのように変化したのか。
(3) 在宅勤務等手当を措置するに当たって、給与法の改正を勧告するという理解で良いか。
(4) 家族手当について、昨年の民調の結果では、家族手当がある事業所が全体の75.3%、配偶者に家族手当を支給している事業所が全体の55.1%であった。本年の民調結果で、これらの数字は概ねどのように変化したのか。
(5) 「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の項目として盛り込むか否かはともかく、寒冷地手当や特地勤務手当についても、検討の対象となると考えて良いか。

 これに対し、大滝審議官は次のとおり回答した。
1.月例給について
(1) 勧告、報告が出た後に細かい数字も含めて説明をさせていただきたい。
(2) 初任給調整手当については俸給表の改定に合わせて改定を行っているので、俸給の平均改定率に合わせた改定を行う。また、委員、顧問、参与等の職にある非常勤職員の手当以外の俸給月額を基礎として支給額を定めている手当についての改定の予定はない。
2.一時金について
(1) 昨年のような措置は行わない。
3.「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」について
(1) 来年に向けて引き続き職員団体の皆さんの意見を聞きながら取り組んでいくというスタンスに変更はない。
(2) 具体的な数字については勧告後に確認いただきたいが、在宅勤務関連手当を支給する事業所の割合は昨年より増加しており、民間企業において在宅勤務関連手当の導入が進んでいる状況にあると認識している。
(3) 在宅勤務等手当については、給与法の改正を勧告する予定である。
(4) 家族手当、配偶者に支給される家族手当の民調結果については、具体的な数字については勧告後に確認いただきたいが、昨年と似たような数字になっている。
(5) 寒冷地手当、特地勤務手当について、一定期間ごとに改定を行ってきており、「社会と公務の変化に応じた給与制度の整備」の項目に含めて検討を行うものではないが、然るべき時期に検討を行ってまいりたい。

 また、交渉委員からは、「再任用職員の一時金についても、官民比較の対象とすべきであり、『社会と公務の変化に応じた給与制度の整備』の中で検討をすべきではないか」「通勤手当について自己負担せざるえない実態の解消をお願いしたい」「改めて高年齢層の職員を含めた引上げをお願いしたい」という発言があり、大滝審議官は「今後の問題提起も含めて受け止め、担当局とも共有をしてまいりたい」と回答した。

 最後に高柳副事務局長が、「給与勧告について、月例給および一時金がいずれも引上げとなり、さらに月例給については全ての俸給表の改定を行うこと、一時金については勤勉手当のみならず期末手当の改定も行うとしたこと、これらについては、昨年来我々が要求してきた内容を人事院が一定受け止めたものと考えており、率直に評価したい。繰り返しになるが、感染症や大規模自然災害が頻発する状況の中で職員が奮闘していること、一方で昨年を上回る物価高騰が続き実質賃金がマイナスを続けていること、人事院におかれては、このような状況を改めて認識していただき、引き続き職員のトータルな処遇改善にあたられたい。
 また『社会と公務の変化に応じた給与制度の整備』については、昨日事務局長からも発言があった通り、個々の職員の年齢や家族構成、勤務地、属している階層等によっては、重大な影響を被る可能性もあることに留意されたい。そのような意味においても、9月以降、我々と十分な意見交換をお願いしておきたい。また、今回方向性が示されなかった『60歳前後の給与カーブの連続性確保』の問題については、組合員の関心も極めて高く、慎重かつ多角的な検討をお願いするとともに、この間申し上げている通り、職員のモチベーションの維持という点を是非とも配意するようお願いしておきたい。
 勧告まで、あと総裁との最終交渉を残すのみとなったが、具体的な数字を示していただいた上で、一般の公務員の気持ちに届くようなメッセージが示されることを要望しておきたい」と発言し、交渉を終えた。