公務員制度改革に関するILO勧告に対する談話


 2006年3月30日
日本労働組合総連合会
事務局長 古賀 伸明

1.ILO理事会は、3月29日午後(現地時間)、2002年3月に連合と連合官公部門連絡会が提訴した日本の公務員制度改革案件(2177号案件)に対し、過去2回の勧告に加え、その後の進展状況に対応した3回目となる勧告を含む結社の自由委員会の審査の「報告書」を承認した。
 これは3月16〜18日に開催された結社の自由委員会の結論と勧告を、理事会として承認したものであり、ILOが日本の公務労使関係制度のあり方に重要な関心を持ち続けているばかりでなく、公務員制度改革の帰趨はもはや単なる国内問題にとどまらないことを示している。

2.「勧告」は1月16日に再開された政労協議の進展に留意しつつ、関係者がさらに踏み込んだ対応を早急にとるよう求めており、具体的には、[1]公務員への労働基本権付与、[2]消防職員および刑務所職員への団結権付与、[3]国家の運営に従事しない公務労働者への団体交渉権および協約締結権の付与と、その権利が法的に制約される労働者については十分な代償措置がとられること、[4]国家の名において職権を行使することのない公務労働者にはストライキ権を保障すること、などについての法改正が関係者間の協議を通じて早急に合意されるよう、関係者の更なる努力を督励している。また、行政改革推進法案、大宇陀町事件に関する最終判決、独立行政法人に移管された労働者の団体交渉権の再構築などについては情報提供を求めている。

3.第1回の政労協議の後、3月20日に第2回が開催され、労働基本権を付与する公務員の範囲についての「検討の場」のあり方、設置時期等については、5月に開催する第3回において具体的な成案を得ることになった。今後はこれに向け、実務レベルでの協議を重ねていくことになる。しかし、政府側は「検討の場」が労働基本権付与を前提としたものではなく、あくまでニュートラルな立場で議論したいとしている。これでは、ILOの再三にわたる勧告を真摯に受け止めたものとは言えず、政府は、今度こそ、ILOの勧告を重く受け止め、政労協議を通じて労働基本権の付与を明確にした改革を断行すべきである。

4.連合は、共同提訴団となっているICFTU(国際自由労連)をはじめとする国際労働運動の支援に改めて感謝するとともに、公務員の労働基本権回復などILO基準を満たした透明で民主的な公務員制度を実現するよう、日本の労働運動を代表する立場に立って、「検討の場」を通じて全力で取り組む。