「公務員制度改革ーいま、何が起きているの?」
その疑問にこたえる Q&A 2001年4月24日 連合官公部門連絡会 |
1 公務員制度改革の経過
Q1 なぜ、いま公務員制度の改革問題が大きく取り上げられているのですか。その経過を教えてください。
A 政治主導の下「新しい行政組織には、これまでと同じ公務員ではダメ」という考えからでています。
1996年10月、当時の橋本内閣は、政治・社会・経済のトータルな改革をめざし橋本6大改革を開始しました。このうち行政改革については、首相の直属機関として設置された行政改革会議の最終報告(97年12月)に基づき、98年6月には中央省庁等改革基本法(基本法)が制定されました。この基本法で「公務員制度改革」(48条)が定められました。その後、2001年に照準を定め、中央省庁の1府12省庁への再編、内閣機能の強化、行政のスリム化、独立行政法人制度の創設等次々に行われました。
一方、公務員制度については行革会議の検討要請を受け、政府の公務員制度調査会(公制調)で論議され「基本答申」がだされました。この基本答申をもとに人事評価等の見直しの検討が進められてきました。
こうした行政の動きとは別に、昨年8月、政府の行革推進本部は、年内に新たな行革大綱を策定する方針を決め、その検討項目に公務員制度改革が掲げられました。そして、与党内で検討されている「公務員制度の根本からの改正」に符合して「与党との密接な連携のもとその検討成果を盛り込む」との考えが示され、自民党主導の公務員制度改革が動きだしました。「新しい行政組織を運営する公務員は、これまでと同じ公務員であってはならない」(自民党行革推進本部の方針)ということで、全面的な見直しを行うようになったわけです。これが公制調答申にもとづく改革のスタンスを大きく変え、政治主導で進められた新たな行革大綱の策定(昨年12月1日閣議決定)であり、政府の行革推進事務局が決めた「公務員制度改革の大枠」(3月27日公表)です。
Q2 公務員制度改革については、政府の公務員制度調査会の「基本答申」がありますが、その評価と今回の「大枠」の関係はどうなのですか。
A 「大枠」は公制調の答申に関係なく内閣の調整システムの発動としてまとめられています。
「公務員制度改革の大枠」では、公制調答申を含むこれまでの改革を「局所的な対策」とみなし、「新しい時代に合致したあるべき姿を白紙から構想しそれを実現する」として、これまでの経過にとらわれず全面的な見直しを宣言しています。しかし、このことは、行政の継続性、整合性という観点からみて極めて問題です。
確かに公制調の審議内容や答申は、現行制度の枠内で人事管理制度・運用の見直しに過ぎませんでした。私たちが強く主張していた「特権的・閉鎖的なキャリア制度を見直し、労働基本権の確立のうえに公務においても近代的な労働関係を築き上げるべきである」との考えは退けられています。
しかし、問題は見直しを進める手法にあります。公務員制度という公務員の働き方や処遇、ひいては国民への公共サービスのあり方までも規定する問題を、「大局的」な見地から検討するというのであれば、公務員労働者や国民の目の届くところで広く論議されるべきです。
「大枠」は、存置されている公制調にまったく関係なく内閣の「政策調整システム」の発動として、政府の行革推進事務局という密室のなかで検討が進められました。労働条件の重大な変更をもたらす制度改正を当事者である私たちに一切明かさず、交渉にも応じない姿勢に終始したことは極めて問題です。
Q3 公務員制度改革が「政治主導」で行われているといわれていますが、政府・自民党のねらいはどこにあるのですか。
A ねらいは7月の参院選の争点に浮上させることです。そのため6月中に「基本設計」を固めるとしています。
今回の公務員制度改革は、「政治主導」のもとに進められています。
その意味は、政府・自民党の政治的思惑が絡んでいるからです。政府が公務員制度改革の「基本設計」を6月中にも取りまとめてしまおうとしているのも、7月の参議院選挙を意識したものです。事実、行革のもう1つの焦点である特殊法人等の改革についても、この時期に合わせて、事業の全面的な見直しに向けて「中間報告」を取りまとめようとしています。公務員制度改革や特殊法人等の整理合理化という行革問題を選挙の争点に浮上させ、これによって自民党政治に向けられた国民の厳しい目をそらそうというわけです。
私たちは「官」から「政」への政治の流れをすべて否定するわけではありません。「政治主導」の本来の意図は、戦後一貫して官僚が主導権を握り政策を決定してきたため、行政の肥大化や集中化を招いてきたこと、さらには行政が社会や国民を「上から指導・監督する」ような現状を変革しようということにあります。つまり、政党が明確な政策を示したうえで国民が選挙によってそれを選択し、政治家は文字通り国民の代表として政策を決定し遂行していく、という民主主義の原点を回復することが「政治主導」なのです。
今回の公務員制度改革はこうした観点とは異なり、参院選のアドバルーンという不純な動機からでていることを見抜く必要があります。
Q4 今回の公務員制度改革では、国家公務員だけでなく、地方公務員や国営企業公務員にどのような影響がでるのですか。
A 国公法・地公法の抜本的見直しに言及しています。年金・退職手当の見直しなど全体に影響します。
2000年4月の分権一括法の施行により、国と地方は「対等・協力」の関係に立ちました。いま、地方自治体には「自己決定・自己責任」の原則が求められています。そのため、地方公務員制度についても地方自治の本旨を踏まえ、国による一律、画一的な押し付けであってはなりません。また、国営企業は、極めて企業性の高い事業であり、労働条件は団体交渉事項となっています。そうした事業の性格を踏まえなければならず、「大枠」で示した改革方向を一律に押し付けるべきではありません。
しかし、「大枠」では、直接的には国家公務員の制度設計を念頭においていますが、わざわざ、「地方公務員制度についても、地方自治の本旨を踏まえ、国家公務員制度の抜本的な見直しに準じた見直しが必要」とのべています。「大枠」の考えのネタ本ともいうべき自民党行革推進本部の方針をみると、ことの本質が一層はっきりします。そこでは、「国公法、地公法を廃止し、国・地方共通の新公務員法を制定する」とし、さらに国営企業及び特定独立行政法人労働関係法も廃止の対象においています。つまり、国家公務員の制度を全面的に見直し、地方公務員や国営企業公務員等にも適用しようと考えているわけです。
このように、今回の公務員制度改革は全体に大きな影響を与えることになりますので、すべての公務員関係労働者が一致して運動に立ちあがったわけです。
2 「公務員制度改革の大枠」の内容
Q5 「公務員制度改革の大枠」のポイントを教えて下さい。
A 「大枠」は、人と組織の両面から公務員制度の見直しの方向を示しています。
「公務員制度改革の大枠」は、橋本行革担当大臣の「白紙から再設計」の指示を受け、行革大綱の完全実施を含めて抜本的な改革を行うとの考えでまとめられました。6月の「基本設計」の枠組みをなすものであり、政府の改革スタンスを明確にする狙いもあります。
「大枠」は、改革の基本方向として、@信賞必罰の人事制度の確立等を通じた「公務員の意識・行動原理の確立」、A国家的見地からの戦略的な政策立案能力の向上等を内容とする「行政の組織・活動原理の改革」の二本柱を掲げています。
その内容は、各府省の大臣を「人事管理権者」と位置づけて権限を強化し、人事院の役割や労働基本権制約の代償機能を縮小・解体するなかで、現行の職務給原則を廃止し、能力・業績等を反映する新たな給与制度に切り替えていこうとするものです。しかし、公務員の労働基本権の確立や労使協議制度の導入など民主的な公務員制度を構築する観点はみられず、特権キャリア制度の廃止についても改革方策を示していないことが、最大の問題です。
「大枠」で示された考えは、多くの公務員が従事する公共サービスの提供部門を軽視し、公務・公共部門の社会的役割を後退させることにつながります。そのことは国民生活にも大きな影響を及ぼす危険性があり、社会的セーフティーネットの再確立など国民が求める改革とも逆行するものです。
Q6 「国家戦略スタッフ群(仮称)」など新たな公務員と組織像を描いているようですが、それはどのようなものですか。
A 「政治主導」の名の下、内閣に特権的な特別の公務員の集団づくりをねらったものです。
「大枠」では、国際競争に打ち勝つための公務員と組織づくりを最優先の課題に据えています。そのため、「政治主導のもと、国家的見地からの戦略的な政策立案機能を高める」として「国家戦略スタッフ群(仮称)」の創設と各大臣を直接補佐するスタッフの充実を掲げています。
これは、主務大臣を頂点とする信賞必罰の人事管理制度のもと、温存した特権キャリア制度のなかにさらに政策立案の国際競争力強化を目的とする特別の集団をつくり、高く処遇しようとするものです。
また、国家戦略スタッフ群構想などは、本来、政治が担うべき役割を一部の公務員に肩代わりさせようとするものです。これは政治主導の名の下に、時の政権党に従属する公務員と政官の癒着構造を生みだし、行政の中立・公正を大きくゆがめていく危険があります。
Q7 「企画・実施両機能の強化」ということがいわれていますが、それはどのようなものですか。
A 独立行政法人化につづき、さらに企画立案と実施部門とを分離しようというものです。
「大枠」では、「両機能の強化」とし、業務遂行規範について、企画立案面と実施面で、「業務の性格に応じて重視されるべき事項を明確にする」という指摘にとどめていますが、行革大綱では、「法令・予算の企画立案と執行の分離」として、「各主任大臣は(中略)人事面、業務面、組織面における企画立案と執行の分離を進める」「執行事務については独立行政法人化を進める」ことが定められています。「大枠」は公務員制度に関わる検討であるために、組織に関わる事項には言及しなかったものであり、企画、実施(執行)機能の分離、さらなる独立行政法人化という課題が消えたわけではありません。
「企画、実施機能の分離」は、行政の現場を経験することや現場の意見を踏まえない政策の企画立案という問題や、企画立案部門と実施部門の間に、公務員制度上、あらたな身分的な上下関係を作るものです。
国民ニーズに応える政策立案、行政サービス提供を実現するためには、企画と実施が一体となった組織、行政運営が求められます。このような観点も含め、「両機能の強化」についても、分離、独立行政法人化に対する警戒を怠らないことが大切です。
Q8 「信賞必罰」の人事制度を打ちだしていますが、その考え方はどうなっていますか。
A 公務の職場で能力・業績主義を強め、勤務成績不良者は降任や免職にするという考え方です。
「信賞必罰」とは、能力、業績主義を強化し、勤務成績不良の場合には降任、免職などの分限処分を厳格に行うというものです。これを、新たな人事評価システムを整備することで能力本位の任用を行い、給与体系を能力、業績が反映される仕組みに改めることなどで実現しようとしています。民間企業の人事管理・給与制度をそのまま持ち込むことで、公務員の人事管理も、抜擢人事を行ったり、業績によって処遇やポストを大きく上下できる仕組みにすることを狙った検討が進められています。
しかし、公務の人事評価システムや給与制度は、行政の社会的役割や国民が求める公共サービスを中立・公正に提供し、何よりも国民に信頼される行政を保障するものでなければなりません。利潤追求を基本原理とする民間企業と同じであっていいはずはありません。
そのためにはまず、閉鎖的・特権的キャリア制度は廃止し、公正・公平、客観的で納得性のある人事評価システムを整備することが前提です。
Q9 国家公務員の給与制度について、職務給や人事院による級別定数を廃止する考えをだしていますが、それはどうしてですか。
A 各省大臣の判断で、自由に昇任、昇格や処遇に格差をつけられるようにするという考えから打ちだされています。
「信賞必罰」の人事管理を行うためには、職務給の原則や人事院の級別定数は邪魔だということです。
職務給の原則というのは、仕事の内容によって給与を決めるということですが、同時にその職務を遂行できる能力を持った人をその仕事に就けるということでもあります。そのための基準としては、たとえば、「級別資格基準」といったものがあって、「T種試験採用で能力が極めて高い」といってみても半年とか2段階昇格ということはできない。また、職務給というのは、国民に対して個々の公務員が果たす具体的職務内容・役割に応じて給与を払うという意味で、公務員給与に対する国民の納得を得る手段でもあります。
級別定数は、労働基本権制約の代償機関としての人事院が設定することで、府省間で同じ資格条件の公務員に同程度の給与を保障しようとするものです。各府省大臣が、自由な人事管理・給与決定権を行使して、労働基本権を制約されている公務員に対し、幹部職員だけ特別高い給与を払って、現場職員を地方だからといって大幅に値切るわけにはいかないのです。
これらの制度を廃止して、人事管理権の拡大強化とあわせて、各府省大臣の判断で自由に、昇任・昇格や処遇の上下、格差拡大ができるようにすることで「信賞必罰」の人事管理をめざすものにほかなりません。
Q10 人事院等の機能を事後チェックに限定し、総定員・総人件費の枠内で各府省が自由な組織・人事管理を行える仕組みに改めるとのことですが、問題点はどこにあるのですか。
A 人事院の機能を縮小し各大臣の人事管理権限を強める一方で、労働基本権確立の観点がみえないことです。
中央人事行政機関として、各府省という使用者の人事行政を総合調整する機関としての「内閣総理大臣(及び補助部局としての総務省人事・恩給局)」と、中立公正な人事行政をつかさどる専門的機関であり労働基本権制約の代償機関でもある「人事院」があります。これら機関の役割分担の軽重は、基本的には公務員の労働基本権のあり方をどうするかという政策選択によって決まるものです。
公務でも民間と同様に労働基本権を保障し、労働条件を労使交渉で決定する仕組みを用意すれば、各府省の人事管理権限の強化が可能でありそれに伴い、総合調整機関としての「内閣総理大臣」の役割が高まる一方、人事院の代償機関としての機能は縮小することになります。
「大枠」が今回、人事院の代償機能を実質的になくし、各府省に給与設定などの権限を与えるというのであれば、労働基本権が当然に回復されるべきです。そして、労使対等の立場で労働条件を決定する仕組みが同時に提起・検討されなければなりません。その点、「大枠」が「基本権制約の在り方を十分検討」にとどめているのは極めて問題です。労働基本権を制約したままで各府省の人事管理権のみを強化することは、明らかに憲法違反です。
Q11 いわゆる「天下り」問題では、どのような考えがだされているのですか。
A 人事院の事前承認から各大臣の承認制に改め「天下り」を大幅に緩和しようとしています。
「天下り」問題は、これまで政官財ゆ着の象徴として国民から長年にわたり批判されてきており、これに応えるための改革が強く求められています。
これについて「大枠」は、「大臣の直接承認・公表により国民の監視下におくとともに、再就職後の行為規制を導入する。人事院の事前承認制度は廃止する」としています。つまり、第三者機関である人事院による事前規制を廃止し、各大臣の裁量に委ねようというものです。これは事実上、「天下り」規制を大幅に緩和する、国民世論に逆行するものにほかなりません。
つまり、各大臣は営利企業や業界・団体と政治活動を通じて密接な関係にあり、そうした大臣が承認の権限を握ることは、営利企業との新たな癒着を生みだすおそれが十分あります。
また、再就職後の職員の行為規制(出身行政機関に働きかけるなど)を新たにいっていますが、在職府省への接触禁止という行為をとっても、実際に実効ある規制を行うことが可能とは思えません。
天下りは原則禁止としたうえで、これとは別に、本人の選択による離職と民間企業へ再就職するためのシステムを整備すべきですが、その場合でも、国民の官民ゆ着疑惑を招かないよう、第三者機関が厳格な基準を策定したうえで審査すべきです。
Q12 「大枠」では、公務員の労働基本権についてどのような検討の方向が示されているのですか。また、この問題で自民党は一時期「スト権付与」とマスコミ報じられていましたが、その後どうなっているのですか。
A 「大枠」では、「十分検討」にとどまっています。したがって私たちの運動を一層強め、広めていくことが必要です。
労働基本権について「大枠」は、「公務員制度全般にわたる抜本的な検討をすすめるなかで、労働基本権制約の在り方との関係も十分検討する」と述べているだけです。つまり、検討課題であることは認めましたが、改革の方向性についてはなにも触れていません。
自民党で「労働基本権を回復し、身分保障は廃止」との検討が行われ、これがたびたびセンセーショナルに新聞報道されました。事実、自民党行革推進本部では、公務員の労働基本権返還を前提とした制度設計を検討している模様です。
しかし、政府の行革推進事務局は、「大枠」で提示した内容は基本権返還を必要とせずに済ませることが可能、との認識に立っているともいわれています。また、各府省当局も反対の姿勢をとっています。それだけに、「労働基本権の全面的な確立と民主的な公務員制度改革の実現」を前面に打ち出した運動の展開が求められているのです。
Q13 公務員の労働基本権についての国際的な基準はどうなっているのですか。
A 公務員の労働基本権を制約しているのは、先進国ではわが国だけです。
労働組合結成の自由と使用者の干渉の禁止を規定しているILO87号条約は、98年現在115カ国が批准しています。ここでは公務員も含まれますが、警察と軍隊については適用範囲から除外し、各国の法に委ねるとしています。ただし、ドイツや北欧諸国では軍隊についても一定の団結権が認められており、警察については23カ国も認められているのが実態です。日本が条約を批准して以来36年になりますが、条約批准国のうち、消防職員の団結権を禁止しているのは日本のみとなっています。
一方、団体交渉権を保障するILO98号条約は、「国の行政に携わる公務員(公的権威の代行者、例えば政府各省やそれに準ずる機関に雇用されている上級公務員やその補助的スタッフ)」を除外しています。しかし、日本政府がこの条約を批准した際に、この部分を単に「公務員」として訳したため、その後日本においては、国営企業公務員以外のすべての国公・地公職員を対象から除外することにつながってしまったのです。ただし、この4月に創設された特定独立行政法人の公務員には団体交渉権が保障されています。
争議権についてILOは、「経済的、社会的利益の向上と擁護のため、労働者とその団体が用いうる基本的手段の一つである」として、「87号条約に保護されている団結権から当然に導かれるものである」という考え方を示しています。いずれにしても、公務員の争議行為について、画一的かつ全面一律に禁止している先進国は他に例がありません。
3 連合官公部門の取り組み
Q14 連合官公部門では、公務員制度改革について、どのような考え方をとっているのですか。
A 労働基本権を全面的に確立して民主的な公務員制度にしたいと考えています。
私たちは、「公務員制度の改革は必要」という基本的スタンスに立っています。現行の公務員制度は戦後50年以上経過していますが、特権的・閉鎖的といわれるキャリア制度など戦前の「天皇の官吏」時代の“のこりかす”を色濃くしたまま今日まで推移しています。また、労働基準も国際的な水準から大きく立ち遅れています。
このため私たちは、「21世紀の成熟した市民社会に相応しい公共サービスの担い手」をめざして、公務員制度を民主的で抜本的に改革していく必要があると考えています。
その基本的な改革視点を次の点においています。
@ キャリア公務員を中心とした特権的・閉鎖的な制度を改め、民主的で透明性の高い制度に改革する。
A 職員が賃金・労働条件などについて、あらゆる決定過程に参加するシステムに改革する。
B 労働基本権を全面的に確立して国際労働基準を実現し、近代的な労使関係を構築する。
こうした視点に沿って、公務員制度の民主的で抜本的な改革に向けた「提言」をまとめ、この「提言」をもとに運動をすすめることにしています。
Q15 連合官公部門は、「基本設計」に向けて、どのよう構えで運動に取り組むことにしているのですか。
A 「私たちの提言」を掲げて、6月の「基本設計」に向け全国的な運動に取り組むことにしています。
6月には新たな公務員制度改革の「基本設計」が取りまとめられるという情勢をふまえ、私たちは、構成組織の全委員長・書記長による「労働基本権確立・公務員制度改革対策本部」(本部長・榎本代表委員〈連合会長代行〉)を設け、連合との連携のもと18構成組織・200万組合員の総力をあげて運動に取り組むことにしました。
運動の目標は、「公務員の労働基本権の全面的な確立と国民のための民主的な公務員制度改革の実現」においています。しかし、 政府・行革推進事務局や各府省当局は、労使関係のあり方について現状を一歩もでようとせず、公務員の労働基本権確立について消極的な姿勢をとっています。
このため私たちは、中央・地方一体となって全国的な一大運動にして「公務員制度改革」を社会的な問題として浮上させ、「政府の一方的な基本設計づくりは許さない」取り組みをすすめます。
具体的には「私たちの提言」を掲げて、@政党・議員対策、A政府・行革推進事務局との交渉・協議、B民間組合及び連合との連携強化、C県単位の学習会の開催(5月中旬〜6月上旬)、D大衆運動の展開(4.24中央集会を皮切りに6月14日に全国統一行動と中央集会を計画、職場からの署名運動、中央でのシンポジウムの開催等)、に取り組みます。また、諸行動の取り組みにあわせて広報・教宣活動を行います。5月連休明けにはホームページも開設します。