1.当局は、日経連調査の中小企業の賃上げ率に言及しているが、従前の国営企業の賃金紛争の自主交渉・調停作業は民間主要企業の動向をもって判断されてきた。組合側は、あくまでも賃金紛争調整の判断の基礎となる民間賃金動向は従前通り民間主要企業である。
2.調停作業にあたって判断の基礎となる資料は、同一のベースの比較が基本である。本調停事案は、春季賃金紛争に関わるものであり、民間の賃金動向として使用される資料である日経連の調査結果も、春季賃金交渉に関するものが使用されるべきである。春季賃金交渉終了後のごく一部の民間企業の賃金カット等については、本調停事案の調停を求める事項と同一に論ぜられ、扱われる性格のものではない。まして、これらの民間企業は、例外中の例外のごく一部であり、民間賃金は大勢として現行賃金水準が維持されている。
この後、調停委員会が中断され、引き続き国営企業等担当全委員懇談会が行われ、各調停委員会の事情聴取の概要報告の後、合同調停委員会の発足を確認するとともに、今後の調停作業の進め方について協議され、調停作業を進めていくことを全委員一致で確認した。
これを受けて、調停委員会が再開され、調停委員長から「調停作業を進めていく。31日午後2時から合同で調停委員会を開催する」旨の発言があり、2002新賃金事案の本格的な合同調停作業は、31日14時以降本格化する予定。
(別 紙)
第2回事情聴取での組合側主張点
1.本年度の民間賃金動向は、全体として定期昇給分が確実に確保され、現行賃金水準が維持されている!
本年度の民間賃金動向は、全体として定期昇給分が確保され、現行賃金水準が維持されているとの認識が社会的常識であり、当局回答のいう引き下げの根拠はない。
2.長年にわたり定着している民間賃金準拠の原則に則った速やかな調停作業を!
民間賃金動向は、現行水準が維持されているという認識のもとに、長年にわたり定着している民間賃金準拠の原則に則った速やかな調停作業を進めること。また、国営企業と民間企業の全体は、今年度の定期昇給が実施されたことにより、均衡している。
3.一般公務員との賃上げ率と国営企業の賃上げ率との間の格差の解消を!
国営企業労働者の賃金水準依然として社会的に低位にある。国営企業部会の調査でも96年から適用の官民比較手法によっても格差が存在している。また、一般公務員の賃上げ率と国営企業の賃上げ率との間には、年々格差が存在しており、この格差解消が図られるよう改善措置を行うこと。
4.事業の安定的な経営を図る立場からも、紛争の円満な解決を図る調停作業を!
事業の円滑な運営のためには、組合と組合員の協力が必要であることは労使共通の認識であり、引き続き良好な労使関係を維持し、事業の安定的な経営を図る立場からも、紛争の円満な解決を図る調停作業を行うこと。
5.例年通りの人事院勧告以前の賃金紛争の決着と、決着ルールを尊重した調停委員会の作業を!
今次国営企業の賃金紛争は、例年より大幅に遅れ、これまで努力してきた早期解決のためのルール確立に逆行する状況にある。事案の早期解決のため、公平・迅速な調停作業が行われ、例年通りの人事院勧告以前の国営企業の賃金紛争決着という歴史的経緯と、決着ルールを尊重した調停委員会の作業を行うこと。
以上