本日、中央労働委員会は、基準内賃金を、郵政2.58%相当額(7,747円)、林野2.49%相当額(8,518円)、印刷2.49%相当額(8,486円)、造幣2.48%相当額(8,669円)の原資を持って引き下げることを内容とした仲裁裁定を提示した。
国営企業部会は、民間賃金準拠の原則に基づき、国営関係企業労働者の賃金水準の維持を強く求めた。しかし、本日の仲裁裁定は、民間賃金準拠への公正な準拠とはいえず、不満な内容であるといわざるを得ない。
国営企業部会では、別紙「声明」を確認するとともに、今後、具体的実施の個別交渉に取り組むことにした。
(別紙)
2003新賃金紛争仲裁裁定に関する声明
1.本日、中央労働委員会は、国営企業部会各組合の賃金水準の維持・防衛の要求に対する賃金紛争に対し、「基準内賃金を、平成15年4月1日現在の額から1人当たり、郵政2.58%相当額(7,747円)、林野2.49%相当額(8,518円)、印刷2.49%相当額(8,486円)、造幣2.48%相当額(8,669円)の原資を持って引き下げること」を内容とした仲裁裁定を提示した。
2.この仲裁裁定の内容は、国営関係企業労働者の切実な要求である賃金水準の維持・防衛はおろか、生活水準の切り下げとなる極めて不満のある内容である。
しかしながら、仲裁裁定は労使を最終的に拘束するものであることから、遺憾ながらこの仲裁裁定の処理(実施)を巡る労使交渉に入らざるを得ないと考える。
3.国営企業各組合は、4年連続の一時金の削減と昨年度の仲裁裁定の処理に伴う連年の年収減により、組合員の生活水準が低下している中にあって、生活水準の維持・防衛を求めてきた。また、3企業が国営公社、特定独立行政法人へ移行し事業運営の自主性がより高まった中で、当局には経営当事者としての責務を果たした回答を求めた。
しかし、当局は、具体的・数値的根拠を示すことなしに、昨年度の仲裁裁定を2倍程度引き下げるとする不当な回答を示してきた。
国営企業部会各組合は、団体交渉において各当局に対し、回答の具体的根拠を示すよう再三にわたり求めたが根拠は明らかにされず、われわれの全面的再検討を求める要求にも応じなかった。
4.そのため、当事者間での解決は困難となり、中央労働委員会に紛争解決の場を移行し、5月20日〜21日にかけて18時間に及ぶ調停作業が行われた。
国営企業各組合は、調停作業にあたり、昨年度の民間賃金動向の見直しを含め、本年度の民間賃金動向が厳しい情勢にあっても、殆どの企業で定期昇給、現行賃金カーブ・賃金制度を維持し、賃金カットや定期昇給等の延期を行った企業は極めて特殊な企業に限定されている。このような状況を踏まえ、民間賃金準拠の原則に基づき、国営関係企業労働者の賃金水準の維持を強く求めた。
しかし、示された調停委員長見解は、昨年度のマイナスの人事院勧告の影響を受けた賃金引下げ分を含み、かつ、今年度の民間賃金動向を公正に反映していない内容であり、極めて不満な内容である。自主交渉での根拠なき不当な当局回答を調停段階での取り組みによって跳ね返すことができたとはいえ、調停委員長見解はわれわれの賃金水準維持の切実な要求・主張に応えていないものであり、われわれはあくまでも民間賃金準拠の原則と国営関係企業の賃金交渉ルールに基づく解決と公正な仲裁作業を求めた。
5.中央労働委員会の本日の仲裁裁定は、「昨年、基準内賃金の引き下げを行っていない状況等から、調整を必要とする差が存在することを考慮し」、さらに「本年の民間主要企業の賃金動向について、賃金カット、定期昇給延期分を含めた平均賃上げ率は1.3%台後半になるものと推定した」としている。これは、5月21日調停段階で示された調停委員長見解と同一の内容であり、調停段階及び仲裁段階での組合主張である民間賃金準拠への公正な準拠とはいえず、不満な内容であるといわざるを得ない。
しかし、2003新賃金交渉は、昨年のような人事院勧告の動向を見て判断するという団体交渉権を自ら否定するという異例な当局姿勢を変更させ、国営企業の従来の交渉ルールに基づく決着を果たしたものといえる。
6.われわれは今後、引き続きこの仲裁裁定に関する具体的実施の個別交渉に取り組むとともに、2003人事院勧告確定期の公務員連絡会の闘い及び民間未解決組合の取り組みを積極的に支援し、連帯する取り組みを一層強化する。
2003年6月17日
連合官公部門連絡会国営企業部会
全逓信労働組合
全日本郵政労働組合
全林野労働組合
全印刷局労働組合
全造幣労働組合
日本林業労働組合