2002年度公務員連絡会情報 10 2001年11月21日

公務員労働組合連絡会

人事院が「民調の見直し」で説明−11/21
―民調の基本は変えず、「層のあり方と抽出方法」を見直したい―

 人事院勤務条件局は、21日、公務員連絡会賃金・労働条件専門委員会に対し、本年勧告の報告で言及していた「民間給与の実態把握の見直し」について、現段階における検討状況を説明してきた。
 冒頭、人事院側が「まだ、具体的なものになってはいないが、民間給与実態調査の何が問題であり、どういう検討をしているかについてご報告したい」として、次の通り説明した。
(1) 民間調査は、「企業規模100人以上、事業所規模50人以上」を対象にしているが、約3万5千の事業所があり、そこに1,000万人ぐらい働いている。これについて、国会等で「就業者は6,000万人いるのに、いいところだけ調査しているのではないか」などど指摘されているところである。
 実際どうやっているかだが、総務省の事業所センサスでは672万の事業所があり、そこに5,100万人が働いている(個人事業者や役員は入っていない)。ここから農林業を除く会社組織を見ると、240万事業所に3,400万人が働いている。さらに「企業規模100人以上」を抜き出せば、55万事業所、2,000万人である。3,400万人に対し2,000万人だから「民調のカバー率は6割」といってきたところである。さらに「事業所規模50人以上」とすると、3万5千事業所で1,000万人ということになる。
(2) 今回の見直しでは、こうした調査対象「企業規模100人以上、事業所規模50人以上」の枠組みを変えるつもりはない。また、3万5千事業所のうち7,000事業所を選んで出向き、公務と同じような仕事をしている人を抽出して、実際に支払われた4月分の給与を聞いているが、その対象職種を動かすことも考えていない。
 3万5千事業所から、どうやって7,000事業所を選びだし、どう復元するかといったことの見直しを検討してみたいということである。民調は政令市や都道府県等の人事委員会と合同で行っており、3万5千事業所についてそれぞれの調査単位が層をつくり分類しているが、全国では1046層になっている。県単位で見れば10〜15の層ということになる。この層は、本支店別、企業規模別、産業別の組み合わせで作られる。
 統計的には偏りのないように層を作り抽出しているが、効率性を重視した調査の結果、一部に偏りがみられ、復元しても戻らないという傾向が見られる。こうしたことについて、層の組み替えをすることによって、統計的に公平に供給する形に変えていきたいということである。
 具体的には、それぞれの層ごと、都道府県ごとに検討することにしているので、まとまった段階で改めて具体案を提示したいと考えている。

 以上の説明に対し質疑応答を行った後、小林専門委員長が「本日は検討状況を伺ったということで持ち帰って内容を検討し、改めて申入書を提出したいと考えている。見直しの結果によっては官民較差にも影響を及ぼしかねない大きな課題であり、公務員連絡会と協議しながら、合意に基づいて慎重に作業を進めてもらいたい」と求めたのに対し、人事院側が「意見を賜りながら進めてまいりたいので、引き続きよろしくお願いしたい」と約束したことから、本日の説明会を締めくくった。
 賃金・労働条件専門委員会では、説明内容を検討し早急に申入書を取りまとめ、人事院と協議を進めていくことにしている。

以上