2002年度公務員連絡会情報 13 2001年12月4日

公務員労働組合連絡会

「民調見直し」で人事院に申入れ−賃金・労働条件専門委

 賃金・労働条件専門委員会は、12月4日、「民間調査の見直し」について、別紙のとおり人事院に申入れを行うとともに、現段階の作業の進捗状況について質した。人事院からは、深串勤務条件局参事官が対応した。

 まず、小林専門委員長が「11月21日、人事院から民間給与の実態把握の見直しについて、その検討状況の説明を受けた。民調の見直しは、我々の賃金・労働条件を決定する上で重大な問題。本日は、別紙の通り申し入れるので、現段階における人事院の作業の進捗状況なり、考え方を示していただきたい」と要請したのに対し、深串参事官は、概要、次の通り応じた。

(1) 現段階では、はっきりとしたものを示せる作業段階ではないが、「申入れ」の趣旨に鑑み、今日段階の考え方を示したい。
(2) まず、なぜ見直しを行うのかということだが、8月の人事院勧告で、「民間給与の実態把握及び公務部内の給与配分の在り方について幅広く見直しを行い、こうした課題について速やかに検討を進める」としたが、その問題意識は、報告でも述べたように、地方に勤務する公務員の給与の水準がその地域の民間給与に比べて高い場合があるのではないかという指摘が各界各層からなされ、人事院としても真摯にそういった指摘に応じる必要があると認識したからである。その場合、地方の民間の給与実態よりも高い水準にあるのは、国公なのか、地公なのか、そもそも本当に水準が高いのかということが問題になるが、重要なポイントは民間給与を正確に把握することであり、そこからスタートしようとしたところである。
(3) 今回の見直しにおいては、昭和39年以来定着している企業規模100人、事業所規模50人という民調の基本的な枠組みについて変更しないということで作業を進めている。
(4) 給与の全体水準に影響を与えないことという申入れについては、今回の調査方法の見直しの結果次第であると考えている。
(5) データを提示せよとの申入れであるが、現在、いろいろな作業をしている最中であり、お示しできるものは持ち合わせていない。いずれにせよ、民間調査をより客観性、公平・公正なものとするよう作業を進めているところである。
(6) 見直しの内容は、調査技術上の適正化を図るということであるが、適宜、作業状況についてはお示ししていきたい。なお、民調は各県・政令市人事委員会との共同調査で、各人事委員会からも意見を聞いていきたい。
(7) 10月に人事院に提出された「基本要求書」に民調にかかわる項目があることは承知しているが、今回の見直しの課題とは次元の異なるものと考えている。

 こうした参事官の回答に対し、公務員連絡会側は、@全体のスケジュールおよび人事委員会との協議のスケジュールはどうなっているのか、A民調の見直しの有り方によっては、公務員給与の全体水準にも影響する。結果については組合としても心配だ。必要なデータや作業の進捗に応じた検討状況について情報提供すべきである。B民調作業の見直しについては、我々との長い協議の歴史がある。昭和39年以降でも、対応関係等でその都度、話し合ってきたという経過がある。調査技術上の問題とは言い切れず、官民較差に直結する問題と認識している。人事院としてもこういった経過を踏まえて検討を進めるべきである。C我々との協議の時間を考えれば早期に考え方を示すべきではないのかと、さらに人事院の考えを聞いたのに対し、参事官は、@人事委員会との協議は、層化の見直し・標本事業所の選び方について、近々、協議に入りたい。全体のスケジュールについては、次期の民調に間に合わせるためには、1月末までに作業を終えなければならないと考えている。A見直しの内容は、適切に標本事業所を選ぶという調査技術上の問題だと認識している。また、これまでの調査が間違っていたわけではなく、より客観性があり、説明のつくものにしたいということである。Bより適切にすることで結果に影響することは必定である。逐次、作業状況についてはお知らせしたい。Cご要望に応えられるよう前向きに検討したいと、回答した。

 最後に、小林労働条件専門委員長から、「この課題は、地方の人事委員会と労働組合の理解がなければうまく運ばない。十分検討できる時間と素材が必要であり、早期に具体案を示すべきである」と重ねて要請し、本日の交渉を終えた。


<別紙>

2001年12月4日


人事院総裁
 中島忠能殿

公務員労働組合連絡会  
代表委員 丸山建藏
代表委員 大原義行


「民調の見直し」に関わる申入れ


 貴院は本年夏の報告で「公務員給与水準の在り方の検討」を行うとし、11月21日には、「民間給与実態調査」の方法に関わって「層の組み方」や「抽出方法」の見直しなどを検討したいとの考え方をわれわれに説明しました。
 民間給与実態調査の方法は、官民較差算出や公務員の給与水準決定の根幹に関わる問題であり、われわれとしては、その行方に重大な関心を持たざるを得ません。検討に当たっては、@今日まで積み上げられてきた企業規模等の民調の基本的な枠組みについては変更しないことA給与水準には影響を与えないこと、などを明確にした上で、われわれとの十分な協議と合意に基づいて慎重に作業を進めるべきであると考えます。
 以上のことから、民調方法の見直しに関わって下記事項を申し入れますので、貴職におかれてはその実現に向けて最大限努力されるよう強く要請します。



1.民間実態調査方法の見直しの検討に当たっては、企業規模・事業所規模等の調査の基本的な枠組みは堅持し、官民較差や公務員給与の水準には影響を与えないこと。
2.民間給与実態調査の現状の問題点を認識できるようなデータを提示し、見直しの必要性について十分納得いく説明を行うこと。
3.見直しの検討作業は、公務員連絡会との十分な協議と合意に基づいて慎重に進めること。
4.地方自治体の人事委員会とも十分協議し、公民較差に大きく影響を与えないこと。
5.公務員連絡会が「基本要求」で提案している民調作業方法の見直しについても十分検討し、改善すること。

以上