公務員連絡会地方公務員部会は、28日午後、地方公務員制度改革に関する総務省自治行政局公務員部との交渉を行った。
交渉には、山本公務員連絡会事務局長ほか地公構成組織の書記長らが参加、総務省からは荒木公務員部長、上田公務員課長、加松理事官が応じた。
この日の交渉は、昨年12月に閣議決定された「公務員制度改革大綱」において、地方公務員制度も、「地方自治の本旨に基づき、地方公共団体の実情を十分勘案しながら、国家公務員制度の改革に準じ、所要の改革を行う」とされたこと、また、3月19日の2002春闘の政府回答で、総務大臣が「今後の改正作業に当たっては、総務省自治行政局公務員部が中心となって行うことになる」と回答したことを受け、公務員連絡会地公部会として改めて、今後の地公制度改革について組合側の考えを公務員部に申し入れるために設定されたもの。
交渉では、別紙申入書を手交するとともに、公務員連絡会側が「大綱で示されたスケジュールにとらわれず、われわれとの十分な協議を行うなど議論を尽くすこと。国に一律に準じるのではなく自治体がその実情を踏まえ自己決定が可能となるよう、かつ、これまでの地公研をはじめとする改革議論を十分勘案して改革を進めていただきたい」と要請した。
これに対し荒木公務員部長は、概要、以下の通り発言した。
地方公務員制度改革については、『大綱』において、地方自治の本旨に基づき地方公共団体の実情を十分勘案しながら、国家公務員制度の改革に準じ、所要の改革を行うこととされ、そのスケジュールについては、国家公務員法改正と同時期に地方公務員法の所要の改正を行うこととするなど、速やかに改革に取り組むこととされたところである。
いうまでもなく、国と地方では所掌する事務も異なり、また、地方公共団体といっても、団体ごとにその規模も権限も異なり、様々な職種も存在する。いずれにせよ地方自治の本旨に基づき改革を進めなければならないと考えている。
スケジュールについては、国家公務員法改正と同時期に地方公務員法の所要の改正を行うこととするなど、閣議決定の趣旨に従って取り組んでいかなくてはならない。
地方公務員制度の改正作業については、総務省自治行政局公務員部が中心となって行うこととされたところであり、総務省としては、行政改革推進事務局と連携をとりつつ、皆さんを含め関係者の意見を伺いながら、適切に進めてまいりたい。
なお、労働基本権の制約については、今後もこれに代わる相応の措置を確保しつつ、現行の制約を維持と決められたところであり、それに即して作業を進めていきたい。
いずれにせよ、今日においても見えないところも多いが、現段階の考え方として回答させていただく。
これに対し公務員連絡会側は、@今後の作業スケジュールの詳細、Aこの間、非常勤職員の任用根拠の明確化や短時間勤務職員制度など、地公研の議論で残された課題の取り扱いについて、公務員部の現段階の考えを質したのに対し、公務員部側は、@大綱に出ている以上の細かなスケジュールは今のところ出ていない、A地公制度の改革に関わる懸案事項は、国公法改正に伴うものと地公独自のものとに大別できるが、今後の改革作業において、独自の課題についても整理できるものは整理することは望ましいことだと思う。しかし、議論の枠組みは国民に理解を得られるものとしなければならず、公務世界の都合だけで決められるものではない。また、国公法改正に見合う部分について「大綱」で示されたスケジュール内で地公法を改正するが、それ以外の地方独自の課題は、その後も継続していくということもあるだろう。要するに課題の性質によるということである、と回答した。
最後に、公務員連絡会側が、「トータルに地公制度を変えよう、見直そうというのであれば、トータルな議論と相当の時間を要することになる。しかし、『大綱』は出口のスケジュールを決めている。出口が決まっているからといって、そこから逆算してできることだけを改革しようということではなく、時間に縛られることなくじっくり腰を据えて、良い改革となるようわれわれと十分協議しながら進めていただきたい」と要請し、この日の交渉を終えた。
<別紙>総務省への地公部会の申入書
2002年3月28日
総務大臣 片山虎之助 様
公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 北岡勝征
日本教職員組合
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 武田幸男
地方公務員制度改革に関する申入れ
貴職の地方公務員に対する処遇の改善、地方分権の推進へのご努力に対し、心から敬意を表します。
地方公務員制度の改革については、貴職において、1999年4月の地方公務員制度調査研究会の報告等に基づき、法整備等が進められてきているところであります。
一方、昨年12月「公務員制度改革大綱」が閣議決定され、2003年中に国家公務員法改正案を国会に提出することとされ、また、地方公務員法も同様の取扱いをすることとされました。私たちは、この「大綱」については、一方的に取りまとめられた手続き、天下りの緩和や人事管理権限の一方的強化などの内容、の両面において容認できず、その撤回を求めて運動しているところです。
21世紀に入った今日、行政ニーズの変化や地方分権のいっそうの進展などに対応した民主的で分権型の地方公務員制度を構築していく必要があります。
つきましては、地方公務員制度の改革に関し下記事項を申入れますので、その実現に向けて努力いただきますよう要請します。
記
1.国家公務員法の改革スケジュールにとらわれることなく、地方公務員制度の抜本的改革に向けた議論を行うこと。
2.制度改革に当たっては、地方公務員に労働基本権を保障すること。また、非常勤職員の任用根拠の明確化や短時間勤務職員制度の導入など、地方公務員制度調査研究会「報告」に基づく課題についても同時に改革すること。
3.地方自治の本旨に基づき、国と自治体の違いや地方分権の進展を踏まえ、自治体が自己決定できる地方公務員制度とすること。
4.地方公務員制度改革の検討・設計にあたっては、公務員連絡会地方公務員部会と十分交渉・協議すること。