2002年度公務員連絡会情報 31 2002年7月2日

公務員労働組合連絡会

地方公務員制度改革で総務省公務員課長と交渉−6/28

 公務員連絡会地方公務員部会の地方公務員制度改革作業部会は、6月28日(金)、総務省公務員課長交渉を実施した。
 公務員連絡会側は、地公部会幹事および地方公務員制度改革作業部会メンバーが参加、総務省からは上田公務員課長、下瀬課長補佐(公務員課)をはじめ、本年4月に公務員部内に設置された地方公務員制度改革PT(プロジェクトチーム)から 田辺室長、長谷川補佐らが対応した。
 公務員連絡会・地公部会では、3月28日、書記長クラスによる公務員部長交渉を実施し、公務員部長は地方公務員制度改正について「国家公務員法改正と同時期に地方公務員法の所要の改正を行うこととするなど、閣議決定の趣旨に従って取り組んでいかなくてはならない」ものの、スケジュール、内容の検討などすべてはこれからで、地公部会の意見も聞きながら進めていきたいとの考え方を示していた。

 6月28日の交渉では、上記の部長交渉を受け、@地公制度改革に関わるこの間の公務員部の検討状況とともに、A国の制度改正との関係で検討課題となる対象(法律、条例、規則、運用レベルなど)は何かを明確とすることを質すため実施したもの。これについて、公務員課長は、概要、次の通り回答した。
@ 国では、4月以降、第2次原案が各府省に配布されたが、これは昨年9月に出された人事制度改革原案を手直ししたもの。公務員部としては国公法改正の一部になるものと受けとめている。
 地公法改正案については、国の改正案に準じて行うものであり、国の作業状況を見極めつつ、半歩あとを行きながら、しかし遅れることなく作業を進めている。
 平成15年中に国公法改正案の国会上程となれば、今秋には改正案の骨格が出されるだろう。われわれとしても、その段階になって国に遅れることのないよう具体的な検討を進めていきたい。
A 国家公務員と地方公務員では、仕事は違うものの、国民の税金で賄われていることに違いはなく、共通する部分も多い。任用、服務、福利厚生などの基本のコンセプトが同じでないと国民の理解が得られないだろう。しかし、国にない仕事や地域の特性もあり、異なる部分もあるだろう。
 したがって、地方公務員法で枠組みを定め、その共通の枠組みの中で、勤務条件条例主義の原則の下、自治体が条例を作り、制度を自主的に運用するという従来の方法は維持される必要があると考えている。

 これに対し公務員連絡会側は、以下の点についてさらに公務員課の考え方を質した。
@ 行革推進事務局の作業が遅れているという印象をもっている。無理やりこの秋までに作り上げるかもしれないが、急いで作業を進める必要もない。地方には独自の課題もあり、国のスケジュールとは切り離し、十分に議論することが必要だ。
A 新人事制度は、職務給の原則から能力等級制度に変更しようとしているが、こういった考え方は自治体に取り入れることが可能だと考えているのか。また、立法上、どのように処理するつもりか。
B 自治体ではすでに国の勤務評定と異なる新たな評価制度を導入しているところもある。2次原案に示された能力等級制度における評価制度とは異なる手法を用いているところもあるのではないか。
C 「大綱」は労働基本権について現行の制約を維持しつつ、各府省大臣の人事裁量権が高まることに関わり相応の措置が必要としているが、地方において国と同様に相応の措置については、地方人事委員会の役割について見直す必要があるのではないか。
D 国では、公務員制度調査会は終了したが、地公に関わっては、地公研が存続することとなった。こうした場を活用しながら、地公制度改正について、十分な議論を進めるべきではないのか。
E 地公研報告で示された臨時・非常勤職員制度の改善など残された課題もある。今回の地方公務員法改正において、取り扱うべきではないのか。

 これに対し公務員課長は、次のように応じた。
@ 作業スケジュールは半歩遅れるというずれがあるものの、法案提出期限は閣議決定された大綱に示されているように定められ、国公法改正案と一緒にやる。しかし、国の新制度は平成18年度から実施とされており、根幹の部分に限って平成15年中、給与法や勤務時間法等の下位法はそれ以降となっている。地方公務員に関わっては、基本に関わる地公法改正については平成15年ということだが、地方公務員法は下位法を持っておらず、条例で定めることとなっている。したがって、条例の改正は、国の下位法の改正をにらんでのスケジュールとなるのではないか。
A 能力等級制度に基づく人事制度は、自治体でも運用していただくこととなる。運用できない制度にならないよう中身のつめは必要だ。総務省としては、地方団体や労働団体との意見交換をはじめていきたいと考えている。地方団体とは、全国知事会等を通じて5月に2次原案について説明し、また、十数の県の人事担当者との意見交換も行ったところである。地公法の改正案では、任用、服務などの基本原則は、国に準じて改正することになるだろうが、人事制度の運用は、個々の団体において行われることになるのではないか。
B 評価制度については、国よりも自治体が先行している。国で作ったものを自治体でそのままもってきてもうまくいかないのではないか。地公法改正案には、基本法の範囲において評価制度について書き込むこととなるだろうが、個々の人事評価は運用事項であり、評価基準も含め、自治体で決定できることになるのではないか。いずれにせよ、評価制度の定着には時間がかかるので、今から検討を進めることが必要だと考えている。
C 代償措置制度は、国と地方では基本的な枠組みが異なり、今回の「大綱」によって、直ちに地方の代償措置のあり方について変更があるとは考えていない。
D 地公研の場も活用し、十分な議論を進めていきたい。
E 今回の地公法改正については、「大綱」が掲げている課題に直結するものが基本と考えている。この点でその他の課題は難しい側面もある。

 最後に、双方が適宜協議することを約し、この日の交渉を終えた。

以上