連合官公部門連絡会代表委員並びに公務員連絡会委員長クラス交渉委員は、26日午後4時すぎから片山総務大臣と交渉を持ち、退職手当見直し問題と人勧の取り扱いに関する交渉を行った。この総務大臣交渉は、政府が明日早朝、第2回給与関係閣僚会議を開いて人勧の取り扱いや退職手当見直しの基本方針を確認し、その後の閣議で正式決定する方針を固めたことを踏まえて行われたもの。
最初に連合官公部門連絡会代表委員が退職手当見直し問題で交渉に臨み、総務大臣の、通常国会に見直しの改正法案を提出する旨を明日閣議決定するとの回答に対し、見直し内容については交渉・協議、合意に基づくよう強く申し入れた。続いて行われた公務員連絡会委員長クラス交渉委員による人勧取り扱いに関する交渉では、総務大臣が明日給与関係閣僚会議と閣議で人勧通り実施する方向で決定される予定との見解を示したのに対し、十分な法的説明もなく減額調整措置を実施することは遺憾であり受け入れられない、と強く抗議した。
公務員連絡会はこの総務大臣交渉を踏まえ、午後5時30分から企画調整・幹事合同会議を開き、@退職手当見直し問題については引き続き官公部門に結集して取り組みを強めることA人勧取り扱い問題については減額調整措置実施の閣議決定に強く抗議する「声明」を確認するとともに、明日(27日)秋闘第1次全国統一行動を実施することB給与法改正作業の過程や国会段階の取り組みを引き続き強めること、などの方針を確認した。
<退職手当見直し問題に関わる総務大臣交渉の経過>
本日午後4時すぎから行われた退職手当見直し問題に関わる片山総務大臣との交渉には、連合官公部門連絡会代表委員と共同事務局が臨んだ。
冒頭、丸山代表委員が申入書(資料参照)を手交しつつ、「退職手当見直しに関わって、これまで連合官公部門連絡会と人事・恩給局との事務レベルの交渉・協議が行われてきたが、本日は総務大臣から政府としての基本方針に関わる見解を伺いたい」と求めたのに対し、大臣は「国家公務員の退職手当については、毎年ではないが間隔を置きながら比較調査をやってきた。今回平成11年の比較をやったところ、官の方が5.6%高いとの結果がでた。その官民比較の結果に基づき、小泉改革もあり、官民均衡の観点から支給水準の見直しを行う必要があると考えている。所要の法改正案については、今後内容の検討を進め、できれば次期通常国会に提出したいと考えている。なお、この旨明日の閣議において見直しを行うというところまでは、給与改定方針と併せて決定したいと考えている」と、明日(27日)の給与関係閣僚会議と閣議で退職手当の見直し法案を通常国会に提出する方針を決定する、との見解を示した。
これに対し丸山代表委員は、「退職手当の基本性格をめぐっては様々な議論があるが、われわれとしては退職手当が退職後の公務員の生活設計の根幹をなすものであり、その見直しが重要な労働条件の変更であることはいうまでもないことと考えている。そうした認識に基づいて、この間、見直しに当たってはわれわれと十分交渉・協議し、合意することを求めてきた。しかし、見直しの基本方針の閣議決定に関わる本年夏以降の経過については、政府の来年度予算編成に関わる歳出削減方針との関係性−すなわち政治的取り扱いが最優先され、かならずしもわれわれとの交渉・協議が十分に行われてこなかったことについては遺憾と申し上げざるを得ない。基本方針を踏まえた今後の見直し内容に関わる検討作業にあたっては、文字通り、われわれと十分交渉・協議し、合意に基づいて退職手当改正法案を国会に提出するよう、最大限努力することを強く要請しておきたい。われわれとしても、近々に見直し内容に関わる具体的な要求を提出したいと考えているので、その要求を反映するようにしてもらいたい」と、今後見直し内容の検討に当たっては十分交渉・協議、合意することを強く求めた。また、国営企業代表は「税金から支給されているのではないわれわれも含め、総人件費抑制ということで法律でしばることは理屈に合わないのではないか。われわれは団体交渉権を持っている立場でもあり、その重みを踏まえ十分交渉・協議してもらいたい」と迫った。
これに対し大臣は「気持ちはよくわかったが、退職手当は、勤務条件そのものではないということで人事院の所管ではないという点もある。いずれにしろ、今後、法改正案の検討に当たっては、職員団体からの御意見についても十分承りたいと考えているので、事務レベルでよく協議してもらいたい」と、見直し内容については今後十分協議していきたいとの見解を示した。
<人勧取り扱いに関わる総務大臣交渉の経過>
引き続いて行われた人勧の取り扱いに関わる総務大臣交渉には、公務員連絡会委員長クラス交渉委員が対応。
丸山代表委員が「8月8日に本年の人事院勧告が出された際、総務大臣に申入れを行い、以後、その取扱をめぐって事務レベルの交渉・協議を積み重ねてきた。本日は、総務大臣から、それらを踏まえた見解を伺いたい」と求めたのに対し、大臣は次の通り明日の第2回給与関係閣僚会議と閣議で勧告通り実施するとの政府方針が決定される見通しであるとの見解を示した。
(1) 本年の人事院勧告については、去る8月8日に提出を受けて以来、関係府省間で検討を進めてきた。総務大臣としては、民間の経済状況など国家公務員給与を取り巻く環境には極めて厳しいものがある中、給与関係閣僚会議等においては、労働基本権制約の代償措置の根幹をなす人事院勧告制度を尊重するとの立場で意見を申し上げてきた。
(2) その結果、明日、第2回目の給与関係閣僚会議を開くことになり、明日の会議では、勧告どおり改定する旨の決定がなされるものと期待している。給与関係閣僚会議で決定がなされれば、その後の閣議において政府として取扱方針が決定されることになると思う。閣議決定後は、できるだけ早く改正法案を国会提出したいと考えている。
これに対し公務員連絡会側は、「人事院勧告の取り扱いに関わる明日の閣議決定のうち、月例給与のマイナスや一時金削減は、8月8日の勧告の際にもわれわれの態度を明確にしたとおり、公務員労働者の生活に大きな影響を及ぼすものであり極めて遺憾であるが、それが民間の実勢を正確に反映したものであれば受け止めざるを得ないと考えている。しかし、不利益不遡及の原則に照らして違法性の疑いが強い減額調整措置については、一義的に政府に説明責任があるにもかかわらず、これまでの事務レベル交渉においても総務省から納得のいく明確な法的な説明もおこなわれておらず、今日段階でわれわれとしてこれを受け入れることはできない。本年の勧告の取り扱い方針を決定するに当たってわれわれは、政府に対して十分な交渉・協議と合意を強く申し入れてきたが、それが十分に受け止められることなく閣議決定されることについては極めて遺憾である。減額調整措置の問題については、給与法の改正作業の過程でも引き続き明確な法的見解を示すよう求めていくので、使用者としての政府の明確な見解を示すよう大臣としても努力してもらいたい。本日の大臣の見解については、持ち帰って機関に報告し、国会に臨む態度など今後のわれわれの方針を決定することとしたい」と、減額調整措置実施の閣議決定に強く抗議するとともに、政府としての明確な統一見解を示すよう強く求めた。
これに対して大臣は「調整措置の問題は国会でも議論した。その時の法制局の見解は、これから払う給与から調整するとの見解だった。皆さんの気持ちもよくわかるので、法制局や人事院とも相談して、明確な見解を出すように努力する」と、減額調整措置について政府としての明確な見解を示すことを約束した。
<資料−退職手当見直しに関わる申入書>
2002年9月26日
総務大臣
片山虎之助殿
連合官公部門連絡会
代表委員 北岡 勝征
代表委員 榊原 長一
代表委員 石川 正幸
代表委員 橋爪利昭紀
代表委員 丸山 建藏
退職手当の見直しに関わる申入れ
常日頃から、公務・公共部門労働者の処遇改善にご努力いただいていることに心から感謝申し上げます。
さて、退職手当の見直しに関わって政府は、去る20日に民間実態調査と官民比較の結果を公表し、近日中にもその結果に基づいた見直しの基本方針を決定するやに拝聞しています。
いうまでもなく退職手当は、公務・公共部門に働く労働者の退職後の生活設計の根幹をなすものであり、その見直しは労働条件の大きな変更となります。したがって、その見直しに当たっては、公務・公共部門に働く労働者の生活を防衛する観点に立って最大限ご努力いただくとともに、われわれと十分交渉・協議し、合意に基づいて作業を進めることを強く申し入れます。
記
一、退職手当の見直しに当たっては、連合官公部門連絡会と十分交渉・協議し、合意の上で今後の作業を進めること。
以上