国家公務員の育児休業等に関する法律及び一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
衆議院総務委員会
政府及び人事院は、次の事項について適切な措置を講ずること。
一 職業生活と家庭生活の両立支援という法の実効性を確保するため、民間企業における実態等を踏まえつつ、育児、介護を行う者の経済的援助在り方について、引き続き検討を行うこと。
一 男性の育児休業取得促進について調査研究を行い、有効な措置を講ずること。
8日午後1時40分から開かれた総務委員会では、民主党の田並胤明氏、社民党の重野安正氏らが経済的保障の在り方や男性取得の促進等について政府、人事院を追及した。両氏の質疑の概要は下記の通り。
民主党の田並議員は、「育児休業・介護休暇取得期間の延長に伴なう経済的保障について、共済短期からの給付金は現行のまま満1歳までと据え置かれている。取得期間が延長された趣旨に鑑み、給付期間の延長や共済掛金の免除等の期間も延長する措置を講じるべきではないか。とりわけ、介護休暇は取得者が少なく、3ヶ月を6ヶ月に延長しても財源的には問題ないと思われるので、給付期間の延長等の措置が講じられるのではないか」と人事院の考え方を質したのに対し、中島人事院総裁は、「公務員の勤務条件等については、従来から、民間との均衡が図られるよう必要な措置を講じてきている。育児休業・介護休暇については、民間育児介護休業法改正法案をめぐる国会審議を踏まえつつも、基本的には民間準拠の枠組みにおいて検討していきたい」と答えた。また、これに関連して、財務省主計局次長は、「育児休業取得者への給付金や掛け金免除については、民間の状況に対応した措置を講じてきたところであるが、今後、民間における動向や共済組合員の取得状況を見極め、適切に対処していきたい」と、今後の課題として検討するとの見解を述べた。
さらに田並議員は、「育児休業取得者を性別に見ると、女性が99.6%、男性が0.4%となっている。人事院も報告の中で男性の取得促進の積極的な促進を図ると述べており、また、民間の育児介護休業法改正法案の審議の折にも、坂口厚生労働大臣は男性取得のための研究に着手すると答弁している。人事院も早期に検討を進め具体化すべきではないか」、「子どもの看護休暇や家族的責任を有する者の超過勤務規制について人事院の検討状況はどうか」、と人事院総裁の見解を質したのに対し、中島総裁は「厚生労働省と連絡を取りつつ、研究・検討をしてまいりたい」との回答に留めた。
最後に田並議員から、育児休業取得者に対する不利益取利扱いを避けるため職場復帰時に本人の意向を最大限尊重すべき、さらに長期取得者については復帰時のケアが必要であると意見を述べたのに対し、人事院は「職場復帰後において、継続して勤務ができる措置をとるよう各府省に申し伝えたい。長期取得者へのケアについては民間企業の先進的事例を情報提供したい」と答えた。
続いて質問に立った社民党・重野議員は、男性職員の育児休業取得率の具体的な数字を挙げて人事院の見解を質したのに対し、中島総裁は「平成4年の制度発足以来、育児休業取得者数は増加してきており、制度は定着してきているが、男性の取得者は間違いなく少ない。これを踏まえ、男性も家庭責任を負えるようその意識改革を進めていきたい」と答えた。
また、経済的保障について、「民間準拠の枠組みもあろうが、少子高齢化に歯止めをかけ、男女共同参画社会に資するためには、ノーワーク・ノーペイの原則に拘らず、公務が民間に先んじて実施すべきこともあるのではないか」としたのに対し、中島総裁は、「制度を改定する度に課題や疑問が浮上することはやむをえない。経済的保障もそのひとつ。しかし、取得期間を3歳未満までに延長したこと自身が大きなステップを踏み出したものと評価願いたい」と答えるに止まった。
以上