2002年度公務員連絡会情報 7 2001年11月15日

公務員労働組合連絡会

地方確定推進・地方財政の確立を求める中央行動実施−11/14
−中央集会開いて総務省、各政党および地方6団体へ申入れ−

 公務員連絡会は地公部会を中心として14日、地方確定推進・地方税財政の確立を求める中央行動を実施した。
 この行動は、14日からの闘争ゾーンの皮切りとして、@人事委員会勧告制度を機能させ地方公務員の賃金確定を推進する、A地方財政危機を理由とした定員削減、労働条件の引き下げをはねのけ、公務・公共サービスの向上をめざす、B地方財政危機の現状と解決すべき課題を明らかにし、地方分権の推進と自治体機能の強化・見直しのために税財源の移譲・改革を求める、C地方自治の本旨を踏まえ、分権型で開かれた民主的な公務員制度を進めることを目標に行われたもの。
13時30分から社会文化会館で「2001地方確定推進・地方税財政確立を求める11・14中央集会」を開催するとともに、午前、午後にわたって、総務省交渉、政党要請、地方6団体要請行動を実施した。

 中央集会には国公組合の代表を含め全国の仲間700人が参加した。集会は池田日教組副委員長を議長に選出。主催者を代表して挨拶に立った松島地公部会世話役委員長(都市交委員長)は、今年の人事委員会勧告が、マイナス較差団体の増加、算定的一時金の額が団体ごとにバラバラで地場民賃に引きずられる危険性、較差がでても改善勧告をしない団体があることなどの現状の問題点を指摘し、しっかりした地公賃金の政策の確立が必要だと強調した。また、地方財政危機は、国の政策に自治体の財政が動員されてきたことに原因があること、経済財政諮問会議の骨太方針のもとで地方交付税制度自体がゆらぐ危険性があることを指摘するとともに、地方分権のいっそうの推進、地方自治の確立に向けて「地方財政危機の現状と原因への理解を深め、国と地方の税源配分、歳出の改革・国の公共事業等のあり方、自治体での財政分析、事業評価に基づく改革などについて政策をもって、組織的運動として取り組むことが重要だ」と述べた。公務員制度改革について、国の公務員制度改革は地方公務員制度改革に連動してくる、12月に予定される改革大綱に向けて労働基本権を確立し民主的な公務員制度を実現するために力一杯たたかおうと、決意を表明した。
 次に、高木健二・地方自治総合研究所研究員より「2002年度地方財政−地方交付税と税源移譲の行方」と題する講演を受けた。
 氏は、具体的な例をあげながら、地方財政の現状や地方交付税の仕組みと財政運営について解説、経済財政諮問会議の議論は国の法律と地方交付税制度、地方財政法などを理解しない議論だと批判した。
 集会は、その後山本公務員連絡会事務局長の基調報告を満場の拍手で確認した。続いて自治労京都市職の北村副委員長、東京交通労組の水谷書記次長、岩手県高教祖の高橋書記次長の各氏から、厳しい財政状況の下での交渉・この間の取り組みや決意表明がなされ、水越地公部会幹事(全水道)から提案された集会決議(資料1)を満場の拍手で採択した。最後に松島委員長の団結がんばろう三唱で集会を締めくくった。
 集会に先立って、この日、地公構成組織書記長が総務省公務員部長との交渉を行った。また、これに並行して地公部会委員長を責任者とする各構成組織代表が自民党・公明党・民主党・社民党・自由党の各政策責任者、書記長、幹事クラスによる全国知事会など地方6団体への要請行動を行った。その概要は以下のとおり。なお、全国町村議会議長会への要請は16日午前11時から行う予定。

<総務省交渉の概要>
 公務員連絡会・地公部会構成組織書記長クラス交渉委員は、14日午後1時から総務省公務員部長交渉を実施した。
 地公部会からは、山本公務員連絡会事務局長、福山自治労書記長、水本都市交書記長、佐藤全水道書記長、上瀬日教組書記次長らが出席、総務省からは板倉公務員部長、今仲公務員課長、齋藤給与能率推進室長、浜田財政課企画官、滝川税務局企画課補佐、小松公務員課課長補佐、坂井給与能率推進室課長補佐らが対応した。

 冒頭、山本事務局長から、別紙の要請書(資料2)を手交した後、以下の点を申し添え、総務省の考え方を質した。
@地財危機を口実とした賃金の引き下げや定員削減について、なかには乱暴な動きも散見される。公務・公共サービスの確保のため、地公の労働条件の確保に取り組まれたい。
A現在の地財危機の原因は、国が講ずる景気対策や減税について、地方財政が動員されたためである。今後の景気対策にかかる事業については、国の責任と負担により財源を確保すべきである。
B地方分権時代にふさわしく安定した地方税財政を確保するため自治体の税財源の確保を図る必要があり、法人事業税の外形標準化の実現や奨励的補助金の整理合理化にむけた取り組みを推進されたい。
C公務員制度改革とは、まさしく制度の問題であり、マルかバツかの二者択一以外ありえない。人事院の権能を動かすのであれば、当然、基本権問題が浮上し、逆に基本権に手をつけないのであれば、現行制度を動かす必要はない。新たな時代にふさわしく公務員制度の改革を行うためには、まずは、基本権問題を解決しなければならないのではないか。

 これに対し公務員部長は、概要、以下の通り回答した。
@地方公務員の給与改定は、各団体において給与実態や行財政などを総合的に勘案し、議会の議決を経て法令で定めるもので、その内容は国や他の自治体との均衡を失しないようにすべきものと考えている。現在、給与削減を行っている団体は、厳しい財政状況等を考慮し、やむをえない措置を取っていると認識している。また、定員管理については、各団体ともスクラップ・ビルドを基本にそれなりに努力してきている。国は大幅な削減措置を取っており、地方は必ずしもこれと同様の措置を行わなければならないというものではないが、状況の推移によっては厳しい動きも生じてこよう。まずは、各地方団体で自主的・主体的に定員管理の適正化を進めることが重要ではないか。
Aマクロの経済政策については、国の責任で対処すべきと認識しているが、我が国の地方財政の役割は極めて大きく、景気対策に関わる事業等について地方団体の理解と協力を得て、地方が行うことも必要。このため、円滑な事業の実施を行えるよう必要な財政措置を講じてきている。雇用創出・安定のための対策は、今回の補正予算で実施されることになるが、緊急地域雇用創出特別交付金を持ち込んでいる。各地方団体でこの交付金を活用し、補助教員等の受け入れなど公的雇用も含め積極的に取り組まれるのではないか。
B地方税財源の拡充に関しては、総務省としてこの間、鋭意努力してきた課題であり、皆さんと考え方や認識は共有している。厳しい状況下ではあるが一歩でも半歩でも前に進めていきたい。経済財政諮問会議においては、総務大臣から、法人事業税の外形標準化の早期導入、国・地方の税源比率を1対1にすることについて検討すべきとしている。また、補助金の整理合理化も進めなければならないと考えている。その一方、税財源の充実は地方団体間で財政力の格差が生じるなどの問題もあり、今後地方分権改革推進会議等の論議等を踏まえながら、幅広く検討していきたい。
C公務員制度改革については、現在、行政改革推進本部で中心的に検討を行っているが、国の制度が変われば地方にも影響するだろう。総務省としては、議論の推移を見守りつつ、情報収集を重ねていきながら、議論の推移を見守っていきたい。労働基本権問題は、12月の大綱の中ではっきりするだろうと考えている。人事院のあり方と労働基本権の関係は、人事院の権能を少しでも動かせば直ちに基本権に触れるのかどうか、議論が分かれるところではないだろうか。

 こういった総務省側の回答に対し、地公部会側は、ア 地方公務員の賃金について、国・近隣自治体・民間従事者等を考慮するという、地方公務員法24条3項に対する総務省の考え方に変化はないのか、イ 賃金のカットの在り方については、一般論としては緊急避難的に行うことは理解できるが、あくまでも労使間の十分な協議と合意があってのことであり、このような趣旨の助言を行うべきではないのか、ウ 税財政改革に関わる法案を年明けの通常国会に提出する動きになっているのか、また地方交付税の削減について取りざたされているが総務省の見解はどうか、エ 公務員制度改革について人事院の権能を縮減し、基本権はそのままというのでは制度上の整合性が取れないのではないかと、さらに総務省の考え方を問うたのに対し、公務員部長は、「ア 地公法24条3項に対する従前の考え方に変更はない。しかし、社会環境は変化してきており、未来永劫変わらないということではない。イ 労使間の事柄については、労使間でよく話し合って欲しい、ウ 景気が悪い方向に行っている時に改革はできないという意見が支配的。税財政改革について、来年すぐということは難しい。その中でも少しでも地方財政充実に資する改革は、一歩でも半歩でも進めていくことが必要と考えている。また、先に交付税カット有りきということではない。地方交付税の必要性について今後とも各方面の理解を得ていきたい。エ 公務員制度改革によって、制度上のバランスが崩れ、不必要な紛争の種ができることを望んでいるわけではない」と応じた。
 最後に、地公部会から申入れ事項の実現に向けた総務省の尽力を要請し、本日の交渉を終えた。

<自民党要請の概要>
 自民党への要請は、別紙要請書(資料3)に基づき、10時30分より長勢甚遠・党政務調査会副会長に対して行い、連絡会からは榊原副代表委員(日教組委員長)を責任者に、都市交、自治労、日教組の代表が参加した。
榊原副代表委員が、冒頭、「本日は小泉総理大臣宛ではなく小泉自由民主党総裁宛に要請しに来た」と、自民党に対する要請であることを述べた上で、公務員連絡会を代表して、@景気回復と雇用問題について、国の責任で対応すること、A地方財政確立について、税の仕組みをどう考えるのか、配分の問題や外形標準課税等、国も積極的に行動すること、B公務員制度改革について、グローバルスタンダードの労働三権の付与を前提として、開かれた民主的な制度改革を行うこと、などを要請した。
これに対し、長勢政務調査会副会長は、概要次のように回答した。
@景気回復、雇用問題について、地方が厳しいという状況はよく理解している。5,500億円では足りず、補正予算では1兆円程度を計上した。3ヵ月間の予算ではあるが、4月以降にも予算を確保することが大事である。実務レベルでも協議する。
A地方財政確立について、外形標準課税については、中小企業にとって時期が悪い。算定方式など内容にも問題があり、修正が必要だと考えている。
B公務員制度改革について、行革推進本部でやっているとは聞いているが、公務員制度を作り変えることと、新たに立ち上げることは別になるのではないか。

<公明党要請の概要>
 公明党への要請は、別紙要請書に基づき、11時05分より行い、魚住裕一郎国会対策副委員長、石井啓一政調副会長、弘友労働局次長が応対、連絡会からは自民党要請と同じメンバーが参加した。
まず要請団を代表して、榊原副代表委員は、@景気回復・雇用問題について地方でも取り組んでいるが、大失業時代において国は責任を持って取り組むこと、A地財について、税の仕組みをどうしたらよいか、地方として税収を確立するための法人事業税の外形標準課税、地方分権を進めること、B公務員制度改革問題について、労働基本権の確立と国民に開かれた民主的な公務員制度を確立すること、を要請した。
 これに対し、公明党・石井政調副会長は、次のように答えた。
@景気回復・雇用問題について、基本的に要請どおりに考えているが、タイミングが難しい。私どもも雇用創出には当初2兆円が必要であるといっていたが、補正予算1兆円の措置は、基本的に自治体が好きに使えるなど中身としてはかなり評価している。雇用確保に繋げ、有効に活用してほしい。
A外形標準課税について、今まで納税していない大企業が納税するのは、もう少し景気が上向いてから。また、税財源の見直しについては、地方分権の動きの中で、国庫補助等の見直しを行い、国と地方の割合を、5:5にしていきたい。
B公務員制度改革については、与党協議がどのくらいすすんでいるのかがわからない。

<民主党要請の概要>
 民主党への要請は、午前11時15分から衆議院第1会館・民主党政調会議室で行った。公務員連絡会からは、大原代表委員(自治労委員長)、山本事務局長、日教組、全水道代表の4人が、民主党からは野田佳彦衆議院議員(ネクストキャビネット(NC)行革担当大臣)と金田誠一衆議院議員(NC厚生労働大臣)が出席した。
 大原代表委員は別紙要請書を手交し、冒頭、地方財政が厳しい状況にあるなか自治体の賃金確定がヤマ場を迎え、地方公務員の生活を保障する立場から賃金の改善が求められていることを伝えた。その上で、@2002年度予算編成に関して地方税財源の充実させること、A加えて景気対策は国が責任をもって実施し雇用の創出・安定を図ること、B公務員制度改革については労働基本権を確立し民主的な公務員制度改革とすること、を要請した。
 公務員連絡会の申入れに対し、民主党の野田議員と金田議員は次のように答えた。
@ 民主党としても地方税財源を確保し、地方分権の推進、地方自治の確立を図ることが重要と考えている。
A 2001年度補正予算が昨日、衆議院を通過し、明後日(11月16日)にも政府から雇用対策のプランが示される予定。雇用保険の給付延長のほか、45歳以上を対象とした派遣労働者の有期雇用契約を3年に延長することなどを提案するとしている。しかし、派遣労働の雇用契約を3年に延長することが不安定労働者の増加につながる可能性が大きいなど、問題点もある。民主党としても、失業に対応するため2兆円の基金をつくること、職業訓練の充実などの内容を盛り込んだ対案を提出する。国債の発行額を30兆円以下に抑える必要性のあるなかで、民主党としても雇用安定に向けた対策を検討している。
B 公務員制度改革大綱の策定にむけて、民主党としてもプロジェクトを設置し、ヒアリングなどを行っていく。勿論、改革の焦点は労働基本権と考えている。月末に向けて検討作業を進めていくつもり。諸外国で公務における労働基本権が保障されるなか、労働基本権はグローバルスタンダードとなっている。地方公務員であるということを除けば、一般の労働者に変わりない。しかし一方で、地方公務員に労働基本権を回復するならば、労働基準法も全面適用とし、雇用保険の対象にもしなければならない。
 これに対し山本事務局長は、公務員制度改革もヤマ場を迎えようとしていることから「労働基本権については政治的な要求ではなく、公務の労使関係ということで考えていただきたい。政府が公務員制度改革を進めるのであれば、公務員の労働基本権確立をはじめ、すべての面で改革が必要となるはず」と述べた。また、大原代表委員は「労働基本権が確立されるならば、負担面についても民間と同様の運用とすることは当然と考えている。その際には、連合との調整も必要になる」と付け加えた。
 最後に、民主党・金田議員が「将来的には同一価値労働・同一賃金を考えている。パートタイマーの賃金を正規職員に時間比例した制度にしていくなど、民間に先行してまずは公務部門で進めていくことができないか」と雇用のあり方について考え方を示した。公務員連絡会側は、短時間公務員制度を検討していること、連合として昨日の中央委員会でワークシェアリングの具体化に向けた検討を進めることが確認されている、ことなどを説明した。

<社民党要請の概要>
 社民党への要請行動は11時から行われ、社民党からは中西績介副党首、重野安正衆議院議員、菅野哲雄参議院議員、政審事務局の5名が応対した。連絡会は足立副代表委員(全水道委員長)を責任者に自治労、日教組の代表が要請にあたった。
 冒頭足立副代表委員が要請書を手渡し、「地方財政が厳しい中で一時金の削減をはじめとした人事委員会勧告はもとより、全国の自治体で基本賃金、諸手当削減、定数削減などの動きが相次いでいる。税源移譲はじめ地方財政の健全化のためご努力をお願いしたい」と述べ、要請項目の説明を行った。
 加えて日教組の代表者から要請項目(2)に関連して、「10月の地方分権推進会議のヒアリングで政令市教員の給与負担の問題が出され、職場での不安が増している。地方分権、税源移譲を伴なわない制度改革は問題であり、動向を注視し対応をお願いしたい」との要望が出された。
 これに対して中西副党首は公務員連絡会地公部会の要請を受け止め、党として努力することを約束するとともに、概要以下のように述べた。
@推進事務局の公務員制度改革案はキャリア優遇であり、また橋本前行革担当大臣の意向が強く影響するなど、いびつなものとなるのでは危惧をしている。党として事務局も含め具体的な対応をしているが、最終的には政治の判断も重要と考えており、労働基本権問題は最重要課題と認識し、自民党行革本部にはこの問題でどのような措置をするのか具体案を示すべきだと強く申入れもしている。
A税制問題については当面の改善策も必要だが、地方分権の推進と共に国と地方の税配分の基本的な見直しということを徹底して主張していくべきだと考えている。そうでないと小都市や町村の分権、自治は覚束ない。地方六団体はじめ関係する諸団体がお互い協力しあって取り組んでいく必要がある。
B雇用問題は今国会の最大の課題だが、補正予算案はじめ政府の姿勢は小手先の対応であり、解雇規制やワークシェアリングをはじめ中心となる課題は回避し、まやかしにすぎない。その点を追及し「雇用創出・安定」めざし、重要な政策課題として対応していきたい。
 この後、公務員制度改革をめぐる交渉の現状などについて意見交換を行い終了した。

<自由党要請の概要>
 自由党への申入れには、連絡会から松島副代表委員・地公部会世話役委員長(都市交委員長)、岩岬公務員連絡会事務局次長、自治労、日教組の代表が参加し、自由党側からは藤井幹事長、広野行政改革・地方自治部会長が参加した。
 冒頭、松島地公部会世話役委員長が、要請書を手渡し、要請項目の趣旨を説明した。
 これに対し、藤井幹事長は、雇用創出・安定対策については、公務の役割は大きいとした上で「公務の中には、将来(未来)の日本のために必用不可欠なものとそうでないものがある。そのことを世論(国民)を巻き込んで整理するべきだ」と応えた。また、地方分権の推進、地方自治確立については、地方の意思によって使える財源が必要であるとしながらも、「独立税源については、@所得A資産B消費、でなければ地域によって較差が生じ、大都市圏だけ財源が増えることになりかねない。従来の中央(国)が地方に与えた金だとの発想を中央(国)自身が変えるべきであり、地方が自主的に判断し使える仕組みにすることにより地方分権が図られる」と述べた。
 公務員制度改革については、「労働基本権の確立は当然のことである。人事院の生い立ちを政府は理解していない」と地公部会と同じ考えであることを明言した。
 これに対し、地公部会側が「政府・自民党が拙速に進めようとしている公務員制度改革は、日本の将来を見据えた上での改革とは到底思えない。要請の主旨について自由党の理解と協力をお願いしたい」と再度要請し、要請行動を終えた。


<全国知事会要請の概要>
 全国知事会への要請は、10時から行われ、公務員連絡会からは、山本事務局長、福山自治労書記長、池田日教組副委員長、水本都市交書記長、佐藤全水道書記長が参加し、全国知事会からは遠目塚事務局次長が応対した。山本事務局長が要請書(資料4)を手渡し、趣旨を説明するとともに、特に、外形標準課税など地方税財源の確保について、知事会の一層の努力を求めた。
 遠目塚事務局次長は、「確かに地方財政は厳しい状況にあり、なんとか状況を打開したいと考えているが、難しい課題も少なくない。雇用問題のうち職業紹介については、地方分権の現在でも国の事業とする考え方があり、スムーズにいかない点もある。しかし、事実行為としてできると思っているので、協力をお願いしたい。地方財政改革、税源の委譲については、旧自治省の時代に法改正の案まで出たが、いまひとつ打開のきざしが見えていないのが現状である。しかし、こういう財政状況なので地方が財源を持つことが必要であると考えており、皆さんにもご協力をお願いしたい」と答えた。

<全国市長会要請の概要>
 全国市長会への要請は、10時45分から行われ、全国市長会からは秋本事務総長が応対し、連絡会からは福山自治労書記長、池田日教組副委員長、水本都市交書記長、佐藤全水道書記長が参加し、福山自治労書記長が要請書の趣旨を説明した。
 秋本事務総長は「要請をいただいたことは、基本的に同じ方向を向いていると思う。市長会は、11月15日に各市長が集まり様々な決議をあげる予定だが、その中に地方財政、地方分権、雇用対策などそれぞれ含まれている。地方財政対策については、当面の対応も必要と考えているが、それだけではなく将来にわたってどうするのか、検討し解消されるべきと考えている。現在の様に仕事を国が決めて、それを地方が実施した結果、財政状況が悪くなるようなことでは問題がある。分権に見合った財源の確保が必要と考えている」と答えた。
 また、池田日教組副委員長が、少人数学級の実現にむけて、いっそう努力することを、水本都市交書記長からは、都市基盤整備の中での交通事業への予算措置を、佐藤全水道書記長からは、水道法の改正によって民間委託を進めようとする動きがあることに対して、住民に安心・安全の水を提供できるように公営原則を担保するよう要請を行った。

<全国町村会要請の概要>
 全国町村会への要請は、11時30分から行われ、全国町村会からは、久湊事務局次長が応対した。連絡会からは、全国市長会要請と同じメンバーが参加した。自治労の福山書記長が要請書を手渡し趣旨を説明した。
 久湊事務局次長は、「皆さんとは、今までも行財政について意見交換を行っており、今後もそうしていきたいと考えている。景気対策は、地方でもできることは取り組みたいが、基本的には国の責任と負担で行うものである。また、地方に対しては、政策と財源の両方について考えてほしい。外形標準課税など地方財源の確保については、全国町村会としても、国に要請しているところである。自主財源を増やし、自主決定し、自治体で対応してことが原則と考えており、常に主張しているところである。地方交付税は、国民がどこに住んでいても同じ水準の行政サービスを受けるために必要なものであると考えている」と答えた。

<地方議会議長会要請の概要>
 公務員連絡会地公部会幹事クラスは、11月14日、都道府県議会議長会、全国市議会議長会への要請行動を実施した。公務員連絡会からは、岩本事務局次長ほか地公部会幹事(加藤、島、横沢、水越、菅野)が参加した。
 申し入れにあたり、地公部会側は以下の点について申し添え、要請を行った。
@地方財政を確立し地方分権を推進するために、地方税財政制度の改革・確立に向け、共同した取り組みを今後とも進めていくべきである。
A今日の地方財政悪化の要因は、景気対策のため国の要請で地方財政を動員したことや恒久的な減税を実施したことにある。景気対策にむけては、何よりも国の責任と負担により財源確保を図ることが必要。
B補助金改革、とりわけ奨励的補助金の廃止と一般財源化をすすめるとともに、法人事業税の外形標準化を早急に実現すること。

 各地方議会議長会の回答は、概要、以下の通り(なお、町村議会議長会の申入れは、11月16日に行われる予定)。

(1)都道府県議会議長会回答
 若林調査第一部長が対応し、概要、以下の通り回答した。
@法人事業税の外形標準化については、昭和50年から要望してきている。昨年11月に自治省案が出された。必ずしも増税ということではなく、景気動向に左右されない、安定的な税財源確保という制度的改革という意味が強い。
地方六団体としては、9月に地方税財源確保の緊急行動を行ったところであるが、11月21日にも要請行動を行う予定にしている。ここでは政府や各政党に対し、法人事業税の外形標準化の早期実現、国から地方への税源移譲等を具体的に要望していきたい。
A平成13年度末で、地方の借入金総額は188兆円に達すると見込まれるが、その要因は国の要請による景気対策事業や減税が大きなウエイトを占めていると認識している。地公部会の要請の趣旨は、当方と一緒のものと認識している。
B塩川財務大臣は、地方交付税の1兆円カットなどを非公式とはいえ発言しているようだが、21日の要請行動においても、交付税総額の確保を申し入れていきたい。特に、市町村長の意見を直に聞いていただきたいと考えている。

(2)市議会議長会回答
 久野政務第一部長が対応し、概要、以下の通り回答した。
@要請の趣旨は承った。市議会議長会の思いと同様のものと考えている。
A11月21日に地方六団体で集会を開催し、要請行動を実施する。
B市議会議長会としても内部に地方財政委員会を設け、研究を重ねているところである。
C今後とも、地方税財源充実に向けた取り組みを進めていきたい。


資料1.中央集会決議
集 会 決 議


 2001年確定期の闘いは、各都市・都道府県人勧が出そろい、本格的な闘いの局面を迎えている。
 国公確定は、給与法改正案、育児休業法及び勤務時間・休暇法改正案が臨時国会に提出されて8日の衆議院本会議において可決されており、参議院段階の闘いとなっている。
 今年の地公確定は、人事院勧告が「地域の民間給与の実態反映、調査・配分の検討」に言及し、総務省が「給与・定数の適正管理」を強く求めたこととあいまって、人事委員会勧告内容が「国均衡から地場民賃重視・地場民賃準拠」への変更の動きが見られ、また、地方財政が歳入不足を生じる都市が発生するなどの状況から極めて厳しい情勢となっている。こうした政府・総務省の対応は、これまでのラス指数による国均衡を指導してきた経過からすれば、二重基準を適用したご都合主義と言わざるを得ない。また、今年の各人事委員会勧告が示した年間一時金などについても、今後警戒を強めていかなければならない。
 我々は、今年の勧告が極めて不満の残る内容であることを踏まえつつも、生活防衛の観点からの賃金確定を推進し、民主的な地方公務員制度の確立の上に立って、地方公務員賃金決定のあり方の明確化を求めていかなければならない。
 また一方、国における育児休業法及び勤務時間・休暇法に対応した条例改正、派遣法の改正に伴う条例改正、再任用制度の実施に向けた条件整備など、解決すべき課題も多い。
 このような現状を踏まえて我々は、明日から設定されている地公確定および、「労働基本権確立・民主的公務員制度確立」の二つの山場を総力を結集して闘うべく、取り組みを強化していかなければならない。
 一方地方財政は、地方税収等の落ち込みや減税等により平成6年度以降急激に悪化しており、借入金残高は平成12年度末には184兆円となり、平成3年度の2.6倍で114兆円が増加する現状にある。また、公債費負担比率が15%以上のいわゆる危険水域を越える団体数は、平成10年度の推計値で1974団体に上り、全国的にも地方財政の硬直化は極めて深刻なものとなっている。
 こうした中で、今年の6月に経済財政諮問会議がまとめた「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(骨太方針)等の下で、地方の現状や実態とはかけ離れた地方交付税制度の見直し、地方財政計画の歳出抑制などが政治主導の名の下で乱暴に進められる危険性も増している。
 税制改革問題が重要面にあることから、地方分権型社会に相応しい税・財政制度の確立を目指して地方6団体などと連携した取り組みの強化が求められている。
 以上を踏まえて我々は、本日の集会を突破口にして地方確定推進・地方税財政確立に向けた今秋季・年末の闘いを総力をもって取り組むものである。
 以上決議する。
 2001年11月14日

2001年地方確定推進・地方税財政の確立を求める中央集会


資料2.総務省への要請書

2001年11月14日

総務大臣 
  片山虎之助様

公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合   
中央執行委員長 大原義行
日本教職員組合       
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合    
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合     
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合  
中央執行委員長 武田幸男

地方公務員の賃金確定と地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治の確立と地方公務員の処遇改善にむけたご努力に敬意を表します。
 2001年人事委員会の勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えています。行政サービスに従事する地方公務員の生活を保障する立場から賃金の改善と、労使自治を尊重した賃金確定が求められます。
 一方、政府で進められている公務員制度改革も重要な段階を迎えています。
 地方分権一括法の施行を受けて、いっそうの分権の推進と地方自治の確立が求められ、そのための地方税財源の充実が課題となっています。しかし、地方財政は厳しい状況にあることに加え、経済財政諮問会議の方針を受けて、2002年度以降の地方交付税総額の圧縮も懸念されます。
 また、雇用情勢は悪化の一途をたどり、失業率は5.3%、失業者数は357万人と重大な社会問題となっています。こうしたことからも、福祉や保健・医療、防災、環境対策など地域が必要としているニーズに対応した雇用創出が必要です。
貴職におかれましては下記事項の実現に向けてご尽力を頂きますようお願い申しあげます。


1、地方財政危機を口実に賃金の引き下げや定員削減等を行わないこと。また、公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
2、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
3、法人事業税の外形標準化や国庫補助負担金制度の改革をはじめ安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。
4、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。


資料3.各政党への要請書

2001年11月14日

○○党  
   ○○様

公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合    
中央執行委員長 大原義行
日本教職員組合        
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合     
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合      
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合   
中央執行委員長 武田幸男


地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治の確立と地方公務員の処遇改善にむけたご努力に敬意を表します。
 2001年人事委員会の勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えています。行政サービスに従事する地方公務員の生活を保障する立場から賃金の改善と、労使自治を尊重した賃金確定が求められます。
 一方、政府で進められている公務員制度改革も重要な段階を迎えています。
地方分権一括法の施行を受けて、いっそうの分権の推進と地方自治の確立が求められ、そのための地方税財源の充実が課題となっています。しかし、地方財政は厳しい状況にあることに加え、経済財政諮問会議の方針を受けて、2002年度以降の地方交付税総額の圧縮も懸念されます。
 また、雇用情勢は悪化の一途をたどり、失業率は5.3%、失業者数は357万人と重大な社会問題となっています。こうしたことからも、福祉や保健・医療、防災、環境対策など地域が必要としているニーズに対応した雇用創出が必要です。
 貴職におかれましては下記事項の実現に向けてご尽力を頂きますようお願い申しあげます。


1、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
2、法人事業税の外形標準化や国庫補助負担金制度の改革をはじめ安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。
3、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。


資料4.地方6団体への要請書

2001年11月14日

○○会  
会長 ○○様

公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合    
中央執行委員長 大原義行
日本教職員組合        
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合     
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合      
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合   
中央執行委員長 武田幸男


地方財政確立等に関する申入れ


 貴職の地方自治の確立と地方公務員の処遇改善にむけたご努力に敬意を表します。
 2001年人事委員会の勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えています。行政サービスに従事する地方公務員の生活を保障する立場から賃金の改善と、労使自治を尊重した賃金確定が求められます。
 地方分権一括法の施行を受けて、いっそうの分権の推進と地方自治の確立が求められ、そのための地方税財源の充実が課題となっています。しかし、地方財政は厳しい状況にあることに加え、経済財政諮問会議の方針を受けて、2002年度以降の地方交付税総額の圧縮も懸念されます。
 また、雇用情勢は悪化の一途をたどり、失業率は5.3%、失業者数は357万人と最大の社会問題となっています。こうしたことからも、福祉や保健・医療、防災、環境対策など地域が必要としているニーズに対応した雇用創出が必要です。
貴職におかれましては下記事項の実現に向けてご尽力を頂きますようお願い申しあげます。


1、地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。
2、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
3、法人事業税の外形標準化や国庫補助負担金制度の改革をはじめ安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。

以上