11月8日に衆議院本会議で可決された給与法改正法案は、20日午後1時から開かれた参議院総務委員会で審議され、賛成多数で可決。附帯決議も賛成多数で採択した。これにより、給与法改正法案は明日(21日)の午前中開かれる参議院本会議で可決・成立する見通しとなった。
政府はこれを受けて、22日にも公布手続きの閣議決定を行い、公布日は28日頃となる予定。これにより、12月1日を基準日とする12月期の一時金削減の事務作業が進められることとなる。
なお、育児休業法等改正法案の審議日は確定していないが、来週後半の委員会(29日)で審議される予定となっている。
20日午後1時から開かれた参議院総務委員会では、民主党・高橋千秋議員、社民党・又市征治議員などが給与法改正法案の問題点や行革推進事務局が進める公務員制度改革の問題点について政府を追及した。
なかでも、民主党の高橋千秋議員は、給与法改正法案について「公務員にとって3年連続年収マイナスの影響は大きい。経済政策面からみてもデフレを加速させることになるのではないか」などと、政府を追及した。また、公務員制度改革についても、@国民本位の公務員制度改革を行うという基本理念が欠落しているA能力・実績主義人事制度や各府省の人事管理権限を強化するのであれば団体交渉による決定制度と労働基本権を確立すべきだB働く側の同意を得るために労働組合と十分交渉・協議すべきだ、と追及した。しかし、行革推進事務局は、「中央人事行政機関の役割や労働基本権の制約の在り方については検討中だ。組合とはこれまでも誠実に交渉・協議してきたが、今後も誠意をもって交渉・協議していく」との答弁に終始した。片山総務大臣は、労働基本権問題について「行革推進事務局において検討中」としながら「公務員も勤労者である限り本来認めるべきだが、公務員の地位の特殊性や公共性から制約され、代償機能が設けられ、それはそれで整合性のある制度といえる。一方、賃金決定を労使自治に委ねるという考え方も成り立ちうる。要は、どのような立法政策を採るかであり、国民の判断の問題だ」との見解を述べた。
一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
平成13年11月20日
参議院総務委員会
政府及び人事院は、本法施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
一、人事院勧告制度が労働基本権制約の代償措置であることを踏まえ、政府は人事院勧告を引き続き尊重するとともに、人事院は官民給与の精確な比較等により公務員給与の適正な水準の維持・確保に努めること。
二、現下の厳しい社会経済事情にかんがみ、国民の公務に寄せる期待と要請にこたえるよう、公務能率及び行政サービスの一層の向上を図るとともに、行政経費の節減に努めること。
三、昨今の不祥事にかんがみ、公務に対する国民の疑惑を招くことのないよう、綱紀の厳正な保持に努めること。
右決議する。