2003年度公務員連絡会情報 15 2003年2月10日

公務員労働組合連絡会

地共済連合会が第70回運営審議会開催−2/7

総報酬制の導入に関わる定款の一部変更について議論

 地方公務員共済組合連合会は、2月7日、第70回運営審議会を開催し、総報酬制の導入に関わる議案第1号「地方公務員共済組合連合会定款の一部変更」と議案第2号「平成15年度事業計画及び予算(案)の大綱」について議論を行った。この中で、職員側代表委員は、総報酬制の導入による負担増は、組合員の現状を考えると受け入れることができないと厳しく追及した。
 運営審議会では、冒頭、森理事長が「総報酬制の導入に関わる掛金率及び負担金率の改正については、昨年12月の運営審議会委員懇談会で考え方と計算方法などについてお示ししてきたところだが、今回は1月29日の総務省からの通知を受けて、正式に定款の一部変更についてご審議をお願いしたい」とあいさつした。
 続いて、若本年金業務部長が、議案第1号「地方公務員共済組合連合会定款の一部変更について」を提案(別紙)。年金業務部長は、「平成12年の『地方公務員等共済組合法の一部を改正する法律』の改正により、平成15年4月から総報酬制が導入されることになっている。そのため、掛金率及び負担金率を改正する必要が生じ、地方公務員共済組合連合会の定款の一部を変更したい」として、@給料の額に乗じる数値を、1000分の81、期末手当等の額に乗じる数値を64.8に変更すること、Aそれに伴い、現在の期末手当等に対する特別掛金も廃止されること、B以上の変更は、平成15年4月1日から施行し、平成15年4月分以後の掛金及び負担金に適用することを説明した。
 これに対して、二号議員(職員側代表委員)は、給付と負担の公平・公正性を図るものとしての総報酬制の導入そのものは評価するものの、今回の定款変更にもとづく負担の増加は容認できないとして、5名の委員が以下のように発言した。
 「総報酬制の導入については、負担が変わらないものと理解していたが、この掛金率をもとに試算を行うと負担増になるのではないか。この点について、キチンとした説明と情報の提供を求めたい。その上で、寒冷地手当が期末手当等の範囲に含まれることについて疑問をもっている。そもそも寒冷地手当は、実費弁償的な性格をもつものであり、対象から除外されるべきと考えるがどうか。さらに寒冷地手当を対象とすることによる数理的な影響について明らかにしてほしい」
「総報酬制の導入は、負担の水準に影響しないことを前提としているが、『手当率』、『期末手当等の割合』との関係から、実質的には負担増になるのではないか。具体的な負担の変化について明らかにしてほしい」
 「前回の懇談会で示された掛金率をもとに試算を行った結果、負担が増加することがわかった。その点について明確にしてほしい。99年の財政再計算では、現役世代に配慮し保険料率の引き上げを凍結した。その趣旨を踏襲すべきであり、現役の負担が増えることに賛成できない」
 「それぞれの組合員は、給与のマイナス勧告や自治体の財政難による厳しい給与削減を受けている。また、単位共済組合でも、短期給付の財源率の見直し、福祉事業の縮小などを余儀なくされているところもあり、家族も含めて将来の生活に不安を持っている。このような状態での負担増には不満といわざるをえない。その上で、『期末手当等の割合』が『0.3』とされていることについて疑問がある。地方公務員の2003年度の一時金は、4.65月とされており、年間給料月額との割合で見ると『0.3875』ではないのか。この点について、実態に則した割合を算定し、その数字を活用すべきではないのか」
 「組合員は、負担増について大変な関心を寄せている。給与のマイナス勧告、財政難による給与カットや昇給延伸など、年収で15万から20万円の減収となっている。このような状況を考えれば賛成できない」
 これに対して年金業務部長は、「現行の年金制度は、毎月の給料と一時金の割合によって差が出る仕組みになっている。総報酬制の導入は、世代間の負担の差をなくすことを目的としており、現在の掛金の基礎を月収から、ボーナスを含めた年収(総報酬)にするということである。その計算方法として、サラリーマン全体の月収の12ヵ月分の合計を1、月収の12ヵ月分からみたボーナスの割合を0.3として、現在の掛金を1.3で割って計算したものである。そのため、保険料率の考え方は中立であり、変わっていない。しかし、結果として、個人単位で見ていくと、ボーナスの多寡で影響が出る。0.3という割合以上にボーナスをもらっている場合には、負担増となるが、給付も増える。また、0.3を下回っている場合には、負担も減るが、給付も減ることになっている。地方公務員の場合は、勤勉手当の算定基礎である調整手当、扶養手当、役職手当など人によって差があるが、掛金は増えることになる。しかし、給付も増えるという点、厚生年金や国共済と比較した場合の掛金を踏まえて、ご理解をお願いしたい。また、寒冷地手当に関わっては、地共済法の施行令で3ヵ月を超えて給付される手当については、期末手当の一部に含まれるとされている。従来は、給付に反映されなかったものが、今後は給付に反映される。また、ご指摘いただいた点については関係当局にも伝えたい」と答えた。そして、最後に、「今回の見直しは、財政再計算を行わない暫定的な措置である。次の再計算では、実質的な数字で計算ができるよう総務省に要請を行いたい」と答えた。
 以上のような議論が行われた後、第1号議案について確認された。
 また、続いて菅事務局長から議案第2号「平成15年度事業計画及び予算(案)の大綱について」が提案され、質疑を行った上でこれを確認し閉会した。


【別紙】

地方公務員共済組合連合会定款の一部変更(案)要綱



1 長期給付に係る掛金率及び負担金率の変更
 地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律(平成12年法律第22号)第2条等の改正により、次のとおり掛金率及び負担金率を変更するものである。


       区      分
給料又は期末手当等と掛金との割合 給料又は期末手当等と負担金との割合
 長期組合員
 
給料の額に乗じる数値  1,000分の81.0  1,000分の82.1
期末手当等の額に乗じる数値  1,000分の64.8  1,000分の65.7
 長期組合員
(特別職等)
給料の額に乗じる数値  1,000分の64.8  1,000分の65.7
期末手当等の額に乗じる数値  1,000分の64.8  1,000分の65.7
職員団体の事務に従事する組合員 給料の額に乗じる数値  1,000分の81.0  1,000分の81.0
期末手当等の額に乗じる数値  1,000分の64.8  1,000分の64.8

2 特別掛金の廃止に伴う変更
 期末手当等に対する特別掛金の廃止に伴い、特別掛金及び特別掛金に係る負担金を廃止する。


3 施行期日
 上記1及び2による変更は平成15年4月1日から施行し、平成15年4月分以後の掛金及び負担金について適用する。

以上