2003年度公務員連絡会情報 2 2002年10月17日

公務員労働組合連絡会

給与法閣議決定で人事・恩給局長と交渉−10/17
−減額調整で納得できる見解示されず、明日、抗議行動実施へ−

 2002秋季闘争の大きな課題である給与法改正法案の取扱いをめぐっては、減額調整措置問題についてこれまで総務省に対して明確かつわれわれが納得いく見解を示すよう求め、交渉を重ねてきた。9日に行われた総務省人事・恩給局長交渉では、政府の見解が示されたものの、人事院との調整が行われていないものであったため、公務員連絡会側は再交渉を求め、われわれが納得いくまで閣議決定・国会提出を行わないよう強く要求してきた。こうした経過に立って本日午後13時15分から久山人事・恩給局長と書記長クラスの交渉が行われ、人事院とも調整した政府の減額調整措置に対する統一見解が示されたものの、今回の措置は@不利益遡及には当たらないA一時金の性格を変えるものではない、とするこれまでの見解と大差ないものであった。そのため公務員連絡会側は、到底政府見解はわれわれが納得いくものではなく認められないとし、明日(18日)予定する閣議決定を延期するよう求めたが、総務省は最後まで明日閣議決定・国会提出するとの考え方を変えなかった。公務員連絡会は、交渉終了後、明日閣議決定の情勢は変わらないと判断し、幹事会決定通り、政府の給与法改正法案の一方的閣議決定と国会提出に抗議する第2次全国統一行動(時間外職場集会と内閣総理大臣・総務大臣への抗議打電の集中)を実施することを確認し、直ちに各構成組織に指示文書を発信した。
 なお、国会での審議日程等は現在のところ全く未定であるが、補選等が終わるまで個別の委員会は開かれない予定であることから、11月に入ってからの総務委員会審議となることが想定される。公務員連絡会としては、野党に対して給与法改正法案の減額調整措置を実施する付則削除の修正案の提出を求め、引き続き国会段階の取り組みを強めるとともに、地公確定の取り組みを一層強化することとしている。
 本日行われた人事・恩給局長との交渉経過は次の通り。

 交渉の冒頭、総務省側は「官民の年間給与の均衡について、これまで期末手当等を含めて均衡させるものと申し上げてきたが、人事院と調整した結果、今回は期末手当等を除いた年間月例給の均衡を図るための措置であると見解を訂正したい」としてこれまでの回答を修正した。
 続いて公務員連絡会側が、人事院との調整も含めた政府統一見解を示すよう求めたのに対して人事・恩給局長は「明日、給与法改正法案を閣議決定し、国会に提出する方向である。調整措置の問題について、数回にわたって交渉・協議してきたが、これまでの交渉経過を踏まえ、最終見解をお示ししたい」として次の通り見解を示した。

 今回の12月期の期末手当による調整措置は、官民の年間給与の均衡を図るとの観点から、法施行日以降の給与の額の調整を行うこととするものである。この措置は、給与の減額措置を遡及適用するものではなく、また、情勢適応の原則に照らして、十分合理性があるものである。この考え方は政府としての最終見解であり、人事院も共通の考え方である。

 これに対し連絡会側は、@今回の個人別に4月からの給与を計算して12月の期末手当で調整する額と、仮に4月から法律を施行した場合の額は全く同じになるのだから、4月施行とまったく変わらず、実質的な不利益遡及といわざるを得ないのではないか、A年間の月例給与を期末手当で調整するというのは筋が通らないのではないか。それぞれ比較してきたのだから、話としてはそれぞれ調整すべきではないのか、B期末・勤勉手当について給与法の本則で4.65月と定めて付則で調整するというのは、本則に定める額を全額支払わない不法・不当な措置であるし、その結果、期末・勤勉手当の方は民間と均衡せず、その性格を変えるものではないか、などと調整措置の不当性を厳しく追及した。
 追及に対し総務省側は、@昭和47年以降、人事院勧告は年間給与で均衡が図られているというフレームがあり、その基本的な考え方に基づいて、今回は12月の期末手当で措置するということである。月例給の調整を12月期の期末手当で行うことにしたのは、期末手当自体生活補給的性格があることや早期に解消するための措置として、第三者機関が判断し勧告したことを尊重したものである、A年間給与の均衡をより正確に行うため、一人ひとりについて、4月から法施行日の前日までに支払われた俸給、扶養手当等から、法施行後の規定によって支払われるこれらの俸給等の額との調整を行うもので、その調整を施行後の期末手当の額において行うことから遡及には当たらないものと考えている、B給与法本則では4.65月としており、付則で年間給与の逆較差調整のための特例を設けるものであり、期末手当の性格を変えるものではない、とこれまでと同様の見解を繰り返し、公務員連絡会側が納得できる明確な見解は示されなかった。
 このため、公務員連絡会側は「今回の減額調整措置の効果は4月法施行と変わらず、まさに不利益不遡及の原則に抵触するものである。また、給与法本則で期末手当の性格は維持されているが付則では変えられ、民間と均衡していない。こうした措置を取るのであれば、組合との十分な交渉・協議による合意に基づいて決めるべきである。われわれの納得を得ないまま、政府が一方的に決めて法案にするのは認められない。明日の閣議決定は延期すべきである。こうした問題が起こるのは、現在の賃金・勤務条件決定制度の限界である。政府としても、こうした認識を持って公務員制度改革に当たるべきである」として、明日の閣議決定を延期するよう強く迫った。しかし、人事・恩給局長はあくまで明日閣議決定するとの姿勢を崩さなかった。
 このように、減額調整措置について納得できる見解が示されないまま、明日、給与法改正法案の閣議決定が必至の情勢となったことから、公務員連絡会側は「われわれの納得なしに一方的な閣議決定を行うことは極めて遺憾である」と強く抗議し、本日の交渉・協議を打ち切った。


俸給の調整額の経過措置の見直しに関わる激変緩和で人事院と交渉


 公務員連絡会は、17日午後2時15分から、1996年の俸給の調整額見直しの際に設けられた経過措置(保障額)の見直し問題について、小林賃金・労働条件専門委員長、関係組合代表らが人事院の深串参事官と交渉した。
 この問題については、既に7月23日に人事院から見直しの方向が示され、これに対し、公務員連絡会側が一層の激変緩和措置が必要であると主張し、人事院の更なる検討を要求していたものである。
 本日の交渉で深串参事官は、前回交渉時における公務員連絡会からの要求を踏まえた人事院における検討状況を明らかにし、新たな激変緩和措置の具体的内容を含めて次の通り提案した。

(1) 前回(7月23日)には、平成8年に俸給の調整額を見直しした際、制度化された経過措置については、これを廃止し、激変緩和措置のため新たな経過措置を制定するとしていた。具体的には、@新たな措置の対象者の範囲を、現在経過措置の適用を受けている者とし、A本年度は現在の保障額を全額支給、平成15年度はその2分の1を支給することとし、平成16年度にゼロにしたいと考えているとしたところである。
(2) しかしその後の院内の検討を踏まえ、新たな経過措置について、現時点の検討の方向について提示する。
@ 新たな経過措置については、従来の方法を変更し、一定年限に限って措置したい。A 具体的には、施行日の前日に受けていた金額で固定した上で、本年度は現在の保障額を全額支給、平成15年度から毎年度25%づつ逓減することとしたい。その結果、平成15年度は75%相当額、平成16年度は50%相当額、平成17年度は25%相当額を支給することとし、平成18年度にゼロにしたいと考えている。
B なお適用者の範囲については、施行日において経過措置の適用を受けている者としていたが、適用を受けていない職員の中でも、適用者との均衡の観点から新たな措置を適用させることが必要な職員も見当たることから、当該職員についても新たな措置を適用させる範囲とするよう検討を進めている。

 こうした提案について公務員連絡会側が、「Bの新たな適用者とは具体的にはどういう者か、施行日はいつになるのか」と質したのに対し、参事官は「かつて経過措置を受けており、異動により施行日にたまたま適用となっていなかった職員については、すべて施行日に適用関係を固定し、その後俸給の調整額の支給となる職場に復帰したときに、適用を排除することはむずかしいのではないかと考えている。しかし、新規採用者に適用するか否かについては検討中である。この措置は、給与法の公布日と同時に改正規則を公布したいと考えている」と回答した。
 こうした回答に対し公務員連絡会側は、「前回の交渉では、新たな経過措置を2年で解消するというのは無理があり、具体的には、来年度から1年につき一定の額を減額する方式を要求してきた。今回の人事院の提案は我々の要求を勘案したものと一定評価できるが、本日は提案を持ち帰り、更に内部で検討させていただく」とし、人事院側もこれを了承したことから、本日の交渉を終えた。

以上