2003年度公務員連絡会情報 20 2003年2月21日

公務員労働組合連絡会

地方公務員制度改革で総務省公務員部と交渉−2/19

 公務員連絡会地公部会は、2月19日、午後2時過ぎから総務省公務員部との交渉を行い、地方公務員制度改革について、現時点での検討状況を確認するとともに、一方的に閣議決定を行うことなく、十分な交渉・協議を行うことを要請した。また、地公研報告の残されている課題などに関わって、その検討状況を質した。
 交渉には、公務員連絡会からは、地公部会幹事が臨み、総務省からは、上田公務員課長、山本高齢対策室長、森課長補佐、長谷川課長補佐らが出席した。
 冒頭、公務員連絡会側が、以下のとおり総務省の考え方を質した。
@地方公務員制度に関する交渉は、昨年11月公務員部長と行って以来となるが、現段階での作業の進捗状況について、明らかにしていただきたい。
A国家公務員法改正案を3月中に閣議決定する動きがあると聞いているが、組合側との交渉・協議をいっさい行わないで一方的に決定することは、到底認められない。また、地方公務員制度については、国の骨格が固まっていないとの理由で、中身についての協議は一度も行うことができていない。協議を十分に行うべきであり、拙速な結論は出すべきでないし、一方的に閣議決定を行うべきではない。
B昨年3月の部長交渉では、地公研報告に基づいて、非常勤職員の任用根拠の明確化や短時間勤務制度の導入など、地方公務員固有の課題について改革するよう要求をしているが、その検討状況について明らかにしてほしい。
C構造改革特区に関わって、短時間勤務制度等の導入の検討が示されているが、現時点での見解を示してほしい。

 これに対して、上田課長は、以下のとおり答えた。
@スケジュールについては、行革推進事務局は国公法の改正案を3月中には固めるよう作業を進めているものと聞いている。地公法についても、国の案が固まれば「同時期に改正を行う」とされているので、骨子を作成して、示したいと考えている。
A協議を行うという点では、地方公共団体等から幅広く意見を聞いて素案を作成したいと考えている。労働団体のみなさんともお話しをさせていただきたい。
B地方公務員制度調査研究会(地公研)報告では、能力・実績を重視した人事制度を地方公務員に導入することが示されている。国家公務員法の改正のポイントは、(1)能力等級制の導入、(2)再就職ルールの確立、(3)内閣と人事院との権能の見直しの3点が主なものであるが、このうち、能力等級制の導入は、年功から能力、実績の重視へという点で地方公務員法にも共通するものであり、地公研報告のひとつの答えになると考えている。
 また、今回の改正では、人事委員会、公平委員会について第三者機関の充実、能率的運営といった観点から何らかの見直しを提案したい。国の場合、今回の改正で人事院の規則制定権を内閣に移すことを検討しているが、地方の首長と人事委員会、公平委員会との関係は、内閣・各府省と人事院の関係とは異なっているので、人事委員会の規則制定権を首長に移すということにはならないと考えており、地方の場合には、地公研報告に沿って、人事委員会、公平委員会の機能を充実・強化することが必要と考えている。
C構造改革特区に関しては、地公研の課題と重なる点もある。臨時的任用期間の延長は、特区制度で対応する。一般職員の短時間勤務制は、関係する課題を整理する必要があるので、1年かけて有識者等の意見を踏まえた検討を行い、所要の措置を講じたいと考えている。
 課長の見解に対して、地公部会の各幹事は、以下のとおり、意見・質問を行った。
@国家公務員法改正案が閣議決定されるとしたら、同じ日に地方公務員法も閣議決定を行うのか。それでは、議論を行う時間がない。
A人事委員会、公平委員会の見直しについては、機能の強化、恣意性の排除、公平性の担保について配慮が必要である。
B能力・実績を重視した人事制度のポイントは評価の仕組みである。この制度を自治体が導入する場合は、労使が協議する仕組みとセットにするべきである。
C構造改革特区に関わって、一般職員の短時間勤務制を検討することになった経過を明らかにしてほしい。また、この件についての国の検討はどうなっているのか。国が検討していない場合、地方が先行すると考えていいのか。
 これに対して、上田課長は以下の通り見解を示した。
@閣議決定の日程などについては、意見を言う立場にない。ただ、この間のことを考えれば、国家公務員法について、労働団体とも意見交換が行われることが考えられる。そうした意見交換を経て、地方公務員法についても議論することになるのではないか。
A人事委員会、公平委員会の見直しの問題意識は違わないと思う。
B評価の基準のあり方については、職員団体も含めてできるだけ幅広い視点で議論が行われることが大切だと考えている。
C経過については、以前から短時間勤務について議論があったところであり、また、今回地方自治体からの要望も多かったことから取り組むことになった。国については、人事・恩給局でも問題意識をもっているようであるが、地方として検討するということである。
 これらの見解を受けて、地公部会は、できるだけ早く地方公務員法改正案を示すこと、また、十分な交渉協議を行うこと、一方的な閣議決定は行わないことを再度要請して、この日の申入れを終了した。

以上