2003年度公務員連絡会情報 27 |
2003年4月18日
公務員労働組合連絡会 |
地方公務員制度改革で総務省公務員部と交渉−4/15
地公法改正の検討項目を示す−公務員部
公務員連絡会地公部会は、4月15日、総務省公務員部との交渉を行い、地方公務員法改正案の検討状況・内容について質した。
この交渉には、総務省公務員部から、上田公務員課長、山本高齢対策室長、森課長補佐、長谷川課長補佐、太田課長補佐らが出席。公務員連絡会からは、地公部会幹事らが出席した。
交渉では、岩本事務局次長が、「交渉は、2月19日以来となるが、いろいろと状況も変化している。地方公務員法改正案について、現時点での検討状況・内容を明らかにしてほしい」と要請した。
これに対して上田課長は、「地方公務員制度改革の取組状況について」を提示しつつ、以下の様に説明を行った。
1.公務員制度改革全体の経過からすれば、地方公共団体の実情を十分に勘案しながら国公法の改正案に準じて地公法の改正を行うということであるが、地方公務員制度調査研究会で検討を行ってきた経過や提言をいただいた事項もあり、地公法独自の見直し事項も法案に盛り込みたいと考えている。
2.能力・実績を重視した人事制度については、過度に年功序列になっている現状を改めるため国に準じて改正を行うこととなるが、国公法の改正案の内容が固まるのを待っている段階。地公法は枠法という性格であるから国公で法律で定められる事項についても地公法では、その全てを法律に書き込むことにはならない。地方公共団体の条例、規則に委ねる部分についてはそのようにしたい。この地公法の改正案が成立したとしても、その後も新しい制度の移行に際しては、具体的な運用に関わる課題が出てくる。その意味では今後も詳細についての議論が重要である。
3.地公法独自の改正事項と考え方は次のとおりである(別紙の順番に説明)。
(2)多様な人材の確保・育成・活用
「ア 競争試験等に関する規程の整備」
競争試験による採用の方法は、現行法では採用すべき者1人につき採用候補者名簿から高得点順に5人を提示して採用することとされているが、そのような実態にないので制度を見直したい。
「イ 人材育成基本方針の策定」
人材育成の基本方針を法律上位置付けたい。能力・業績主義の人事管理に対応して人材育成がますます重要になるため、法律に位置付けることで取り組みの契機としたい。
「ウ 公益法人等派遣法の見直し」
現在、公益法人派遣法では、短期給付ではなく派遣先の健保(政管健保など)が適用とされているが、地方公共団体等からは見直しの意見をいただいている。ただし、この部分については、現在、地方独立行政法人に関わる周辺法の見直しに盛り込む方針で調整しているところである。
(3)公平性・透明性の確保
「ア 人事行政運営の状況(任用、給与等)の公表」
主旨は、人事行政の運営状況を住民に公表し、住民のチェックを大切にするということ。条例・規則で給与、任用、勤務時間等が規定されているが、統計的な資料などで示して分かりやすい形式にしたうえで、任用の状況等についても幅広く住民に開示をすることが適切であると考えている。
「イ 第三者機関の業務の状況の公表」
人事行政機関である人事委員会・公平委員会の業務の状況についても公表することとしたいと考えている。
(4)第三者機関の機能充実
「ア 公平委員会の権限の選択的拡大」
機能が限定されている公平委員会の権限を選択的に拡大できるようにしたい。具体的には、規模・能力のある団体が条例で選択することにより、採用試験、選考等の事務の処理ができるような仕組みにしたいと考えている。
「イ 職員の苦情処理に関する所掌事務の明確化」
措置要求に至らないような苦情処理について、人事委員会・公平委員会が扱えるようにしたい。能力等級制度の導入によって、職員から人事管理に関する苦情が増加する可能性があるため、弾力的な対応ができることが望ましいと考えている。
「ウ 委員の兼職禁止の見直し」
人事委員会・公平委員会の委員は、中立・公正の確保の観点から所属団体の全ての職との兼職が禁止されている。しかし、特に町村部では、専門的な識見を有する人材が得られにくいため複数の専門的な機関で委員をお願いする必要がある。そのため、人事委員会・公平委員会の委員の中立・公正を損なわない範囲で、執行権を持たない附属機関の委員の職は制限を緩和することが適当と考えている。
「エ 委員会の会議に係る定足数の特例」
人事委員会・公平委員会の会議の定足数は3人の委員全員の出席が要件となっている。しかし、委員会の運営が過密になる中で、1人の委員の方が病気等のためやむを得ず委員会に出席できないため、委員会の運営に支障を来すケースが多数あると聞いている。そのため、やむを得ない緊急の事情がある時には、委員2人でも委員会が開催できるように特例を認めたい。
以上の点を今回の公務員制度改革にあわせて措置したいと考えている。
これに対して、地公部会幹事は、@人事行政運営の状況の公表は、小さな自治体では公表すべき内容もあまりないのではないか。むしろ、公表することで住民訴訟などが発生し、自治体を混乱させることにならないか、A公平委員会の権限の拡大については、どのような選択を考えているのか、B公平委員会委員の定足数の特例は、委員長についても同じ扱いと考えているのか、と質問した。
これに対し上田課長は、@人事行政運営の状況の公表は、住民に問うという姿勢が大切ではないか。公表の方法は違っても、自治体の規模が小さいから公表することがないということはないのではないか。訴訟で混乱するおそれがあるというが、公表するシステムのほうが長い目で見てプラスになるのではないか、A公平委員会の権限の選択は、競争試験や任用に関する権限を一括して拡大することを考えている、B人事委員会・公平委員会は、委員長の代理を指定することになっている。そのため、委員長が出席できなくとも他の委員を代理としておけば対応できる仕組みとすることを考えている、と答えた。
これに対して、地公部会幹事は、「地方公務員法の改正案については、十分話し合いを行ってほしい」とあらためて要請し、公務員課もこれを了解したため、交渉を終了した。