人事院は、20日、公務員連絡会賃金・労働条件専門委員会に対し、@調整手当の異動保障の見直し、A特別昇給制度の運用指針要綱(案)及び勤勉手当制度の運用指針要綱(案)を提起してきた。
説明会は11時から行われ、宮本参事官は「本年の勧告に向けいろいろメニューが考えられるが、そのうち調整手当の異動保障の見直しについて、人事院としての基本的考え方が固まったのでお示ししたい。また、特別昇給と勤勉手当の運用指針を通達することにしているのでその内容を説明したい」として、次の通り説明した。
(1) 調整手当の異動保障は、国会などで論議を呼んでいるのでなるべく早い段階で皆さんにお諮りしたいということで本日提案するものであり、その内容は次のとおりである。
○調整手当の異動保障については、国会での議論もあり、今勧告での改正は不可避である。改正に当たって検討すべき事項は、次のものである。
@短期間異動の場合の異動保障適用除外
A異動保障期間(現行3年間)の短縮
B異動保障期間に応じた支給割合の逓減
以上の点について、これから具体的に詰めていかなければならないので、皆さんからも意見をお聞きしたいと考えている。
(2) 特別昇給の運用については、昨年8月にも通達を出したところであるが、特別昇給制度の趣旨に則った、運用にあたっての心構えを各府省に示すものであり、各府省の具体的運用を制度的に枠づけるものではない。勤勉手当は、民間でいうところの考課査定分であり、成績に応じて運用するということで、その制度の趣旨を通達するものである。時期については、今月中に発出したい。
説明に対し連絡会側は、@特昇と勤勉手当の指針は制度の本来の趣旨に沿って運用すべきであるとの考え方を示したものであり、具体的な基準設定や運用は各府省が行うものと理解してよいか、A異動保障の見直しについては、「国会で論議があったから」ということだけでなく、なぜ見直しが必要と考えているのか、制度の趣旨や運用実態にどういう問題があるのか、将来的にはどうしていくのか、などを含めて見直しの基本的な考え方を明確にしてもらいたい、とさらに説明を求めた。
これに対し参事官は、@運用指針はあくまで特昇や勤勉手当の制度の趣旨を踏まえた運用をお願いするものであり、何か新しい制度を設けて各府省の具体的運用を縛るというものではない、A調整手当の問題については、これまでの経緯や人事異動のあり方、地域給のあり方の見直しとの関わりなどいろいろなことが係わってくるが、今回提案しているのは現行の調整手当制度の下での異動保障に限る話である。異動保障の見直しの基本的考え方については改めて説明させていただきたい、との見解を示した。
このため、最後に小林専門委員長から、「異動保障については、公務員連絡会としての意見をまとめて人事院に提起したいと考えているので、その上で十分な交渉・協議を行い合意できるよう、人事院として努力していただきたい」と要請し、参事官がこれを確認したことから、本日の説明会を終えた。
なお、賃金・労働条件専門委員会では、本日の人事院からの説明を受けて、来週にも異動保障の見直しについて第1回の交渉を行うこととしている。
以上