2003年度公務員連絡会情報 33 2003年5月29日

公務員労働組合連絡会

人事院が自宅に係る手当の見直し、6ヵ月通勤定期の検討などを提案−5/29

 人事院は29日、本年の勧告に向けた個別的な検討課題のうち、@住居手当の自宅に係る手当の見直しA通勤手当のうち通勤定期の6ヵ月化の検討、などについて公務員連絡会にその考え方を説明した。20日には調整手当の異動保障見直しの考え方が提起されており、これで本年の勧告で課題となる制度的な見直し事項の基本的考え方は出揃ったこととなる。
 このうち自宅に係る住居手当については、公務員連絡会は本年春の交渉の折、早急に見直しの考え方を提示すべきであるとしてきたものであり、人事院はこうした求めに応じて29日の説明会で見直しの方向性を提示した。また、通勤手当の通勤定期代の支給方法の見直しについては、国会質疑でその在り方が問題となったものである。
 交渉では、冒頭、小林専門委員長が「人事院勧告にむけた作業を行っている最中であると思うが、昨年来、懸案となっている住居手当等の課題について、検討状況をお話いただきたい」としたのに対し、宮本参事官は、概要、以下のように応じた。
@自宅に係る住居手当については、昨年の人事院勧告の報告の中で「創設当時の意義が薄れてきていることから、その在り方について速やかに検討を進める」とし、見直しを行うことを打ち出した。その後検討を続けてきたが、本年の人事院勧告で何らかの措置を行うこととし、廃止を含めて検討していく。
A通勤手当に関しては、現在、1ヵ月通勤定期相当額を支給しているが、いくつかの自治体でより割引率の高い6ヵ月通勤定期代を支給しているとの実態から、国家公務員についても検討を進める。また、各省に対し、(ア)事務上の取り扱い、(イ)6ヵ月通勤定期代とした場合のメリット・デメリット、(ウ)実際の通勤定期の実態等について本日調査依頼したところである。

 こうした説明に対し、連絡会側は、@自宅に係る住居手当については、廃止を含めて検討との説明であるが、まったくゼロとするということか、A通勤手当は、官民比較給与の一つであるが、6ヵ月通勤定期代となると、極めて実費支給に近く、比較給与からはずすべきではないのかと、さらに人事院の考え方を質した。
 これに対し、宮本参事官は、@廃止を含めて検討するということで、廃止は様々なバリエーションの一つであるが、皆さんにとって厳しいこともありうる。自宅に係る住居手当は昭和49年(1974年)に創設されたもので、制度発足以来今日まで一度も金額の改定は行われず、新築・購入後5年まで2,500円、その後は1,000円のままとなっている。今日まで改定が行われてこなかったのは、公務部内の配分としては扶養手当をはじめとする他の手当等に原資を振り向けてきたためである。また、自宅に係る住居手当創設当時の平均給与は約11万円で、人事院が算出する4人世帯の標準生計費とほぼ並んだ額であったが、平成14年(2002年)には、平均給与は名目上3倍以上となっている。なお、4人世帯標準生計費の方は2倍程度にとどまっている。こうしたことから、2,500円、1,000円の価値は薄れてきているのではないか。なお、借間借家に係る住居手当については従来通りとする方針である、A通勤手当は官民比較給与であり、仮に割引率の高い6ヵ月通勤定期代に変更すれば、原資が浮き、他の給与に配分することも可能ではないか、と応えた。
 これに対し、連絡会側は、@各々の給与項目の支給水準は、国家公務員内部の事情もあるが、民間の同種の給与項目の対応関係で決定されるのではないか。民間の自宅住居に係る手当の支給額は国家公務員の支給額より多いという統計データもあり、本年の民調でその支給額の水準が明らかになった場合、たんに国家公務員内部の事情に基づく配分という理屈だけでは見直しはできないのではないか。したがって、見直しを行うのであれば、国家公務員にとって優先度が低いという理由だけでなく、民間における住居手当制度と実態を明らかにし、これらを明確に整理する理屈が必要ではないか、A国家公務員の通勤手当は、長距離通勤者が多いため、民間よりも平均支給額は多く、この分、官民比較給与の原資を食っている。したがって、われわれの従来からの要求は比較給与からはずせということである、と追及したのに対し、参事官は、「たしかに民間の住居手当の支給水準は公務に比べ厚いようだが、それが住居手当の性格のものか、世帯手当的なものかは定かではない。いずれにせよ、通勤手当を含め本日は検討方向を提示したものであり、措置の具体的な内容については、今後、皆さんと協議しながらつめていくこととしたい、とした。
 最後に連絡会側が、「これらの課題について、今後、連絡会として意見を申し上げることとなるが、交渉・協議を積み重ね、合意を得てから勧告するようにしていただきたい」と強く要請し、人事院側もこれを了承したことから、本日の交渉を終えた。

 公務員連絡会としては、@調整手当の異動保障見直しA自宅に係る住居手当B通勤定期問題等について、今後精力的に交渉を進めていくこととしている。

以上