2003年度公務員連絡会情報 35 2003年6月6日

公務員労働組合連絡会

調手・異動保障見直しで地域・職場実態訴える人事院交渉

 公務員連絡会賃金・労働条件専門委員会は、調整手当異動保障の見直しにかかわって、地域や職場の声を反映させる場として6月4日と6日の2回にわたって交渉を実施した。これは、5月28日の第1回交渉で人事院に求めたもので、4日には国税労組、6日にはその他の関係組合が参加した。それぞれの交渉では、職場の実情や異動保障の勤務条件としての重要性を訴え、合意に基づく見直しとするよう求めた。それぞれの交渉概要は以下の通りである。
 なお、公務員連絡会としては、6月下旬にも職員団体審議官交渉を設定し、人事院の姿勢を質していくことにしている。

<6月4日>
 4日13時30分からの交渉は、岩岬賃金・労働条件専門委員会事務局長、国税労組からは12名が参加して行われ、人事院は宮本参事官らが応じた。
 冒頭、岩岬事務局長が「今日の交渉は、5月28日の交渉を受け、調整手当異動保障の見直しによる影響が大きい、国税労組の各地方組織から国税の現場の実情を訴えることが目的である」と述べ、国税東京、名古屋国税、東北国税及び国税中国の出席者から、@職務の特性上、納税者との癒着を生じないよう3年ごとに異動している実態にあること、Aそれを円滑に機能させているのが異動保障であるが、見直し内容によっては都市部から遠隔地への異動などに障害が生ずること、B「地域給与研究会」で地域給与の在り方の見直しが検討されているとき、異動保障の見直しだけ先行するのは整合性を欠くのではないか、などと、それぞれの地域・職場の実情を実例等に基づき切に訴えた。
 これに対し、宮本参事官は「異動保障は、職員にとっては激変緩和、当局にとっては異動の潤滑油として機能してきた。見直しを緊急にやるのは、国会での議論、それに対する各省大臣答弁による。人事院としては、国会の議論を踏まえ、各省から意見を聞き、職員団体の声も聞きながら勧告に向かって検討を進めていきたい。現行制度の中で異動保障制度を残しつつ、どういう風にして国民の信頼が得られるかということである。皆さんの声は内容自体が激変にならないようにという話であると受け止める」と述べた。
 人事院の回答を受け、国税労組は「異動保障については、支給地の在勤年数の長短に関わらず、一律3年間支給されていることが、国民から強く非難されている原因と考えている。緊急・暫定的な見直しであれば、現行の実態が激変することとならないよう、われわれとの十分な議論を行い、納得しうるものとしてもらいたい。国民の批判に応えるためにも、支給地の在勤期間によって異動保障の支給期間を定める考え方もあるのではないか」と、職場実態を十分踏まえ、激変とならないような合意できる見直しとすることを強く求めた。
 最後に、岩岬事務局長が「国税労組から提起された各地域の実情や見直しに当たっての考え方については、これからの公務員連絡会とのやり取りの中で参考にしてもらいながら具体的な考え方を詰めていきたい」と申し入れ、交渉を終了した。

<6月6日>
 6日13時30分からの交渉には、小林賃金・労働条件専門委員長、税関労連、国交職組と地公関係組合代表らが参加し、人事院は宮本参事官らが対応した。
 冒頭、小林専門委員長は、「4日の交渉に引き続いて、異動保障見直しにかかわって、現場の実情を訴えさせていただく。今後の検討に向けて配慮いただきたい」とし、まず、税関労連の参加者から、「国会の議論は、制度の目的に対する誤解に基づくものであり、極めて残念だ。税関の職場は、全国各地に約200箇所あるが、2〜3年で異動を行っている。こうした中で、調整手当のつかない地域への異動について精神的・経済的な負担を軽減させるという観点からすれば、異動保障は必要不可欠なものである。現場の異動の実態を充分考慮し、われわれの意見を無視しないよう慎重に検討を進めて欲しい」と訴えた。次に、国交職組近畿地本の参加者から、「近畿圏は、交通網が発達していることから、大阪を中心として3時間以内で管区内の事業所をカバーすることが可能なため、職員は異動に際しても住居の移転や単身赴任を選択せず長距離通勤で対応している例が多い。国土交通省における異動も通常2〜3年で行われている。転居を伴わない中で調整手当が支給されない地域や支給率が低い地域に異動するということは、条件が何も変わらないのに賃金を切り下げるということになる。調整手当は一時金へも跳ね返るものであり、生活への影響は絶大だ。異動保障については何らかの形で認めていただきたい」と発言した。
 これに対し宮本参事官は、「地域給にかかわって研究会でも議論をお願いしているが、これを踏まえて給与制度を改定するにはなお時間を要する。今回の調整手当異動保障の見直しは、国会で問題となり、その場で各府省大臣も見直しを行うと答弁したことに端を発しており、緊急に見直しが迫られている課題であると認識している。皆さんからいただいた意見を参考にして検討を進めていきたい」と応じ、交渉を終えた。

以上