公務員連絡会は、6月20日午後、調整手当の異動保障の見直しにかかわって、地域や職場の声を反映させるため、この間取り組んできた要求署名を人事院山野勤務条件局長に手交するとともに、交渉を実施した。
この日手交した要求署名は、「異動保障の見直しに当たって十分交渉・協議し、現行の支給水準を確保すること」を求めたもので、国税労組の取り組みを公務員連絡会として確認してきたもの。本日提出した署名は36,413名分である。交渉の概要は以下のとおり。
20日13時30分から行われた交渉には、公務員連絡会山本事務局長、賃金・労働条件専門委員会岩岬事務局長、国税労組山田委員長や地方の単組委員長等10名が出席して行われ、人事院は山野勤務条件局長らが応じた。
冒頭、山本事務局長が「今回、国税労組として署名運動に取り組み、公務員連絡会としてもこれを位置づけ、支援してきたものである。職場の実態を十分踏まえ、要求事項を反映した見直しとしてもらいたい」と述べ、国税労組・山田委員長は、「この要求署名は、国税職員の切実な声なので重く受け止めてほしい。十分な交渉・協議と支給水準の確保に最大限努力してもらいたい」と求めた。続いて、関信国税、国税東京、大阪国税、国税中国の代表から、@激変とならないような見直しを切にお願いしたいA見直しによって、職員の勤務意欲が低下する恐れがある。異動は、公務の要請であることを理解願いたいB職員がモチベーションを維持できるのか。見直しに当たっては、勤務実態に配慮してほしいC地域給のあり方にも関心がある。当局の命令で地方にいって賃金が下がることは耐えられない、などと、それぞれの職場の実情を切に訴えた。
これに対し、山野勤務条件局長は「みなさんの声は、重く受け止めたい。今後どうしていくかは公務員連絡会と意見交換しながら、勧告に臨みたい。昨今、国民の公務員給与に対する目には厳しいものがあり、較差内賃金についても例外ではなくなっている。過去にそれなりの役割を果たしてきたとしても、公に、分かりやすく説明できないことは、存続できなくなってきている。国民に分かりやすい制度に組み替えていかないといけない」と、職場の声は重く受け止め、見直しに当たっては公務員連絡会と十分交渉するとしながらも、本年の勧告で異動保障を見直すことはさけられないとの見解を述べた。
勤務条件局長の回答を受け、公務員連絡会側が「地域手当や給与制度全体の見直し像が示されないで、異動保障のみ、なぜクローズアップされるのか。異動は、国民に対して良質なサービスを提供することも目的のひとつのはずだが、異動で職員の士気が下がることが人事異動の求めるところなのか。理解と納得のいく見直しをお願いしたい」としたのに対し、人事院側は「人事院として俸給構造の見直し等に取り組んでいる過程で、現下の厳しい社会経済情勢を反映して、昨年来、地域給与の問題がクローズアップされてきたのであり、異動保障のみクローズアップしているわけではない。ただ、この問題は、国会議論でこの制度がおかしいと指摘され、各府省大臣も見直しは必要と答弁しているので、緊急の課題として見直さなければならない情勢となっていることを理解願いたい」と述べた。
最後に、山本事務局長が「勤務条件法定主義の名の下に労使関係上の問題が一方的にやられることは耐えられない。人事院は代償機関として毅然と役割を果たしてほしい。実生活に与える影響が大きいので特段の配慮をお願いしたい」と述べ、交渉を終了した。
公務員連絡会は、調整手当の異動保障の見直し問題について、6月上旬に各構成組織ごとに勤務条件局に職場実態を訴える交渉を行い、本日、要求署名の提出交渉を行うなど、取り組みを強めてきた。これらの経過を踏まえ、来週から労働条件専門委員会を中心に、具体的な見直し案をめぐる交渉に移り、要求実現に全力をあげることとしている。
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