公務員連絡会地方公務員部会の幹事および地方公務員制度改革作業部会は、10月25日、総務省公務員課長交渉を実施した。
公務員連絡会側は、地公部会幹事および地方公務員制度改革作業部会メンバーが参加、総務省からは上田公務員課長、森課長補佐、下瀬課長補佐(公務員課)をはじめ、本年4月に公務員部内に設置された地方公務員制度改革PT(プロジェクトチーム)から田辺室長、長谷川補佐らが対応した。
冒頭、公務員連絡会・地公部会側は、「地方公務員制度改革の課題については、6月28日以来の交渉となる。公務員部としてのそれ以降の作業内容と進捗状況、今後のおおまかな予定等について示してほしい」とした上で、次の点について、公務員部側に要請するととともに、今日段階の考え方を示すよう求めた。
(1) 地方公務員制度改革は、国のスケジュールに固執することなく時間をかけた議論とそれに基づいた法案提出を改めて要請する。その場合、「地方公務員制度改革」に対する自治体からの意見聴取が必要であり、同時に、「地方公務員制度調査研究会」での議論も必要と考えるがどうか。
(2) 国家公務員法改正との関係で、地方公務員法のどの部分を改正対象にしようとしているのか。また、地方自治=条例との関係で地公法上どんな規定の仕方を考えているのか。その際「国を基準に」というような規定は避けるべきだと考えるが、総務省側の考え方はどうか。
(3) 推進事務局は「トータルな人事管理システム」と称して、国家公務員に「能力等級制度」を導入しようとしているが、地方公務員にも「能力等級制度」を導入すべきと考えているのか。仮にそのような必要性があるとしても、例えば、小規模自治体では実益がなく、かえって煩瑣になったり職場がうまく回らなかったりする懸念がある。したがって、選択制も考えられてよいのではないか。
(4) 人事評価制度については、能力等級制度に関わる新たな評価制度を導入しようと考えているのか。現行制度のもとにおいても、多くの自治体で評価制度が実施または試行されているが、新評価制度を入れるとした場合両者の関係はどうしようと考えているのか。さらに、評価制度を導入する場合、労使協議制度および苦情処理制度をビルトインすべきであると考えているが、総務省としてはどのように考えるか。さらに、評価制度の試行についてどう考えているのか。
(5) 地公研報告の残された課題、@非常勤職員の法的位置づけと処遇の改善、A人事委員会、公平委員会の機能強化・充実、B「単純労務」の呼称の改正、C労働基準法の適用のあり方については、作業状況はどうか。
これに対し、上田公務員課長は、「今後のスケジュールについては、国家公務員制度の改革の進捗状況の中で、より明確になるものと考えるが、昨年12月の閣議決定で、大枠のスケジュールは概要において定まっており、それに基づいて進めていく必要がある」とした上で、次の通り回答した。
(1) 地方公共団体には、早めに研究・検討を進めるよう呼びかけている。本年7月以降でも、都道府県・政令市の担当者と今次改革のキーワードである能力等級制度に関わって、国における取り組み状況の情報提供を行い、意見を聴いたりしてきた。いくつかの地方公共団体には、第2次原案をベースとして、アンケートも実施し、質問も随時受け付けている。
国においても、平成15−17年度においてどのような段取りで法改正を進めていくのかについて整理されれば、一層、法改正作業は具体化するだろう。こうした動きを見極めつつ、引き続き情報提供を行うとともに、法改正スケジュールに間に合せて、作業を進めていきたい。
地公研については、10月30日に研究会を開催し、国においてどのような点が議論になっているかを提示しつつ、国の改正ポイントとの比較により、地方公務員法についての改正の焦点になる点について、議論を深めていただきたいと考えている。今後においては、地公法の改正案が固まる前に、委員の皆さんに議論をお願いしたいと考えている。
(2) 地公法上に能力等級制度を位置付けると、分限に関する規定や評価制度について、追加や改正が必要と考えている。
しかし、現行地公法の「枠法」的な性格は変えることはないことから、能力等級制度の具体的な定義づけは行うとしても、例えば、評価制度については、それぞれの地域において創意工夫して実施できるような枠組みにしておく必要があろうと考えている。
(3) 能力等級制度の導入により、従来の評価について、「慣習的」に行われてきた人事管理を合理化する大きな契機になると考えている。しかし、運用の方法など、その具体化については各団体で創意工夫することが必要だと考えている。こうした人事管理の合理化については、地方公共団体の規模等に関わりなく、共通に取り組むべき課題ではないだろうかと考えている。
(4) 評価制度については、国よりも地方公共団体が先行している。評価制度なしに能力等級制度はなく、両者は表裏一体のものではあるが、国における制度が明らかになるのを待つのではなく、地方公共団体に応じた評価制度について検討を進め、実施していくことが必要ではないか。いずれにせよ、評価制度の定着には時間がかかるので、今から検討を進め、スムーズに移行できるようにしていく必要がある。
苦情処理制度は必要であり、具体的な仕組みについては明確にはなっていないが、行革事務局でも制度化する方向で検討していると認識している。
労使協議制度については、当局と職員や職員団体との何らかの意見交換は必要だと考えているが、協議の結果で何かをするというようなルール化を前提とするのであれば制度の導入は難しいのではないか。
なお、評価制度の試行については、国においては具体的な検討を開始したと聞いている。
(5) @非常勤職員に関しては、先ごろ、任用検討会のリポートがまとまったところであり、30日の地公研で議論いただきたいと考えている。A人事委員会・公平委員会の機能充実に関しては、苦情処理機能をどの機関にもたせるのかという観点からも検討が必要ではないか。B単純労務の呼称については、廃止された政令でその概念が定義づけされており、難しい問題である。C労基法の適用のあり方の検討は、今後とも研究・検討を続けていく。
こうした回答に対し、公務員連絡会側は、「国の作業スケールも遅れ気味のようだ。しかし、閣議決定のスケジュールにとらわれて、協議の時間のないまま見切り発車することは許されない。充分な協議をあらためてお願いする。公務員連絡会としても、公務員部の地方公務員制度改革に対する考え方が固まった段階で改めて要求書を提出したい」とし、本日の交渉を終えた。
以上