2003年度公務員連絡会情報 44 2003年8月4日

公務員労働組合連絡会

第3次中央行動実施して書記長クラスが事務レベル最終交渉−8/4
−勧告日は8日予定、月例と一時金で年間給与過去最大の引き下げか−

 公務員連絡会は8月4日、人勧期をめぐる厳しい情勢を踏まえ第3次中央行動を実施、書記長クラス交渉委員が人事院勤務条件局長との交渉を行い、生活防衛できる勧告の実現を迫った。この日の交渉でも、官民較差や一時金の具体的数値、減額調整措置についての最終結論等は明らかにされなかったが、年間給与が過去最大の引き下げとなるとの厳しい見解が示された。人事院は8日に本年の給与勧告を内閣と国会に提出する予定で作業を進めており、公務員連絡会としては、本日の交渉経過を踏まえ、人事院総裁との最終交渉で本年の勧告・報告の全体像を確認することとしている。

 午後1時30分から社会文化会館で開かれた中央集会には、全国の仲間800人が参加し、山田副代表委員(国税労組委員長)を議長に選出。冒頭挨拶にたった丸山代表委員は、「第3次中央行動は、勧告を目前にしてまだ中身が詰まっていない課題があるから緊急に実施した。本日の交渉で、官民較差・一時金、減額調整の方法などについて総裁交渉の道筋を付けていかなければならない」と、最後の山場の闘いを全力で進めようと訴えた。
 次に基調提起では山本事務局長が、これまでの取り組みの経過を報告。「6日には総裁交渉に臨み、8日の勧告に対応していきたい」と提起した。
 構成組織決意表明では、国税労組・井津井執行委員(大阪国税書記長)、日教組・草野都高教執行委員が登壇し、最後まで闘う決意を表明した。
 最後に松島副代表委員(都市交委員長)の音頭で団結がんばろうを三唱し、集会を締めくくった。
 集会を終えた参加者は、酷暑の中、人事院前での交渉支援行動に移動。書記長クラスの交渉を支援して「生活防衛できる勧告にせよ」「不利益遡及はやめろ」とシュプレヒコールを繰り返した。

 本日の行動終了後、公務員連絡会は合同会議を開き、官民較差や一時金をめぐる情勢が厳しいことから、なおぎりぎりまで折衝を続け、6日には委員長クラス交渉委員が人事院総裁と交渉し、本年の勧告・報告の概要を確定していくことを確認した。

 同日午後行われた人事院勤務条件局長との交渉経過は次の通り。

<人事院勤務条件局長交渉の経過>
 交渉には山本事務局長のほか構成組織の書記長クラス交渉委員が参加、人事院からは山野勤務条件局長らが対応した。
 冒頭、山本事務局長が「8日に勧告する予定で作業が進んでいると受け止めており、今日は委員長レベルと総裁との最終段階の交渉に渡せるよう全体構想を明確に示してもらいたい」と要請したのに対し、山野局長は次の通り回答した。

1.勧告日
 8月8日を予定している。
2.官民較差・一時金
(1) 月例給の較差については、昨年よりある程度の緩和が見込まれるが、特別給については、かなり厳しい。両方合わせて年間給与では、残念ながら過去最大のマイナスになる見込みである。
(2) 期末・勤勉手当の割り振りについては、民間の査定部分は若干増えており、おおむね3割強である。期末手当で削減すれば、民間の査定部分の3割強よりも公務の方がまだ少ないが、おおむね7対3の枠内に収まる。人事院としては、民間の査定部分に合わせていくべきと思っており、本年は期末で処理したい。
3.年間給与の均衡の方法
 前回申し上げたように、個人別に精算する方式と、制度的な調整方式がある。個人別精算方式について皆さんは「実質遡及に近い」とおっしゃっているし、国会の附帯決議や本年の中労委の仲裁裁定もある。さらに、減額調整の趣旨を明確にする、煩雑な方式を避けるといった観点から、制度的な調整方式ができないか検討している。引き続き関係者の意見を聞きながら作業を進めているが、今までの交渉経緯を尊重した結論を出したいと考えている。
4.較差の配分
(1) 俸給表の配分については、皆さんの要望にも配慮し、中堅の各級については平均改定率とする方向で考えている。一方、民間初任給の動向を踏まえると、初任給周辺は配慮する必要がある。
(2) 諸手当については、自宅手当の見直しのほか、配偶者の扶養手当について民間状況を見ながら引き下げを考えている。
5.諸手当制度の見直し
(1) 調整手当の異動保障については、期間は2年間とし、1年目は10割、2年目は皆さんの要望を踏まえ8割をめざしている。ワンタッチをなくすため、適用要件となる勤務期間は6月を考えている。来年4月の実施という方向である。
(2) 自宅に対する住居手当は、基本的には廃止の方向であるが、財形住宅融資の要件となっている事情もあるので新築・購入にかかる5年間の手当は存続させるが、1,000円の手当は廃止する。
(3) 通勤手当については、6月等最も割安な定期相当額の一括支給、交通用具使用者の長距離区分について若干増設する方向で調整している。実施時期は来年4月からである。全額支給限度額の改正については、限りなく実費支給という考え方になるが、若干の改善を考えている。
6.報告事項
 多くはすでに前回までに検討事項としてお話ししたが、以下の事項について、報告で言及する方向で調整している。
(1) 給与制度見直し・地域給与研究会報告については、人事院としての今後の検討姿勢と基本的な検討課題について触れる。新しいことを言うということではなく、これまで言ってきたことについて、基本的な考え方を述べるということである。
(2) 大学、病院・療養所の法人化に伴う教育職関係の俸給表、手当等の検討については今回は勧告しない。関係各省、職員団体と意見交換しながら早急に検討したいということを報告する。
(3) 寒冷地手当については、勧告後に全国的な調査を行い、それを踏まえて検討していく旨、報告で触れる。
(4) 特殊勤務手当については、精査して見直す旨言及する。廃止するものもあるし、新たに付けるものもあるという基本スタンスだ。
(5) 公務員制度改革については、従来からの報告、国会での総裁答弁を踏まえながら、今の時点での人事院の考え方を示したいと考えている。
(6) ワークシェアリング・短時間公務員等については、短時間勤務等多様な勤務形態について触れ、有識者による研究会の設置にも言及する予定である。
(7) その他、行政職(二)を官民比較職種から除外することやボーナスの冬夏比較について、報告するかどうか最終的に検討している。

 こうした回答に対し公務員連絡会側は、次のように指摘し、さらに人事院側の考え方を質した。
(1) 特別給について、前回交渉では「過去最大の引き下げになる勢いにあることを心配している」との話であったが、その心配はなくなったと受け止めてよいか。月例給の較差はどうか。
(2) 期末・勤勉手当の割合については、7対3を維持するという昨年の経過があるが今後どうするかは明確なルールがない。本年は7対3に収まるが、来年以降の取扱いについて、十分に議論させてほしい。
(3) 配偶者扶養手当の引き下げは最小限ということだが、属性を外すべきとのわれわれの従来からの要求や、去年改善した3人目以降の取扱いはどうするのか。
(4) 通勤手当について「限りなく実費支給」というのなら新幹線通勤も改善すべきではないか。
(5) 寒冷地手当の調査結果に基づく見直しは、寒対協を含め十分交渉してもらいたい。
(6) 地域給を含めた給与制度のあり方は基本的交渉事項であり、公務員制度改革とも密接に関わっており、くれぐれも慎重な検討を強く求めておきたい。
 これに対し人事院側は、概要以下の通り回答した。
(1) 特別給の減額は過去最大には達しない見込みということだ。しかし、特別給と月例給を足せば、年間給与は過去最大のマイナスになる見込みだ。
(2) 期末・勤勉手当の割合は、大きな意味で基本は民間に準拠させるということになるが、ルール化の是非を含めて議論していかなければならないと思っている。
(3) 本俸と手当の比率の問題があり、まとまった手当ということになると扶養手当しかない。人事院として、属性を含めて扶養手当をどうするかということについて定まったものはないが、少子化社会の中で、配偶者の手当を減らすことにしたものである。民間の方でも、配偶者の減り方が大きい。
(4) 新幹線については、今回は措置しない。
(5) 寒冷地手当については、具体的な調査結果を踏まえて対応しないといけない思っている。いずれにしろ、寒対協や公務員連絡会と十分話し合う。
 以上のやりとりを踏まえ公務員連絡会側は、「引き続き、公務員労働者の生活を維持・防衛すべきであるというわれわれの要求に沿った検討を行い、総裁交渉ではわれわれが受け入れられる勧告内容を示すよう強く要望する」と最後まで努力することを求め、本日の事務レベルの最終交渉を締めくくった。

以上