2003年度公務員連絡会情報 47 2003年8月11日

公務員労働組合連絡会

地公部会が全人連に申入れ−8/11

 公務員連絡会地公部会は2003人事院勧告を受けて、8月11日、午前10時から都庁内で、全国人事委員会連合会に対する申入れを行った。この日の申入れには、松島地公部会世話役委員長、中村世話役書記長、山本公務員連絡会事務局長ほか地公部会幹事らが出席し、全人連側は今堀副会長らが対応した。
 冒頭、松島世話役委員長は全国人事委員会連合会の今堀副会長に要請書(別紙)を手渡し、「8日の人事院勧告を受け、人事委員会も勧告作業に入ることとなる。人事院勧告は、2年連続の俸給表マイナス、一時金についてはかつてない大幅な削減となり5年連続削減で、昨年を上回る年収減という内容であった。公務員の生活は厳しい状況にあり、賃金引き下げの内容については不満であるが、われわれとしては受け止めざるを得ないものと認識している。しかし、賃金のマイナススパイラルが現実のものとなっており、また民間の賃下げにつながる。いよいよ、地方人事委員会の勧告をむかえるわけだが、民間準拠に基づく人事委員会勧告という制度は承知しているが、地方公務員の生活の維持防衛、士気高揚の観点からぎりぎりの努力をお願いしたい。勧告にあたっては、労働組合との交渉協議を従来にもまして大事にしていただきたい。賃金が下がる状況だからこそ、職員の納得性を十二分に得ることが必要だ。さらに、ここ数年の流れを見ると、地方財政の危機を理由に、人事委員会勧告に上乗せして、独自に職員の給与をカットする自治体が増えている。これでは、何のための人事委員会勧告なのかということになってしまう。財政事情はあるだろうが、このような事態に対しては、地方公務員の生活を守るという人事委員会としての使命を再認識してその対応に当たっていただきたい」と、勧告に向けて最大限努力することを求めた。
 この後、公務員連絡会地公部会側が要請書に即して要請事項を説明し、その実現を求めた。公務員連絡会地公部会の申入れに対し、今堀副会長からは以下の通り回答があった。

<全人連会長回答>
 ただいまの皆様からの要請につきましては、確かに承りました。
 早速、全国の人事委員会にお伝えいたします。
 先週8日に人事院勧告が出されましたが、皆様ご案内のとおり、民間の厳しい状況を反映し、昨年に引き続き官民較差がマイナスになり、俸給月額を引き下げるほか、期末手当の大幅な引下げ、配偶者分の扶養手当、自宅居住者の住居手当の引下げもあり、職員の年間給与は五年連続の引下げであるとともに過去最大の引下げという職員にとって厳しい内容となっております。
 勧告の詳細につきましては、これから人事院の説明を受けるところでありますが、マイナス改定の調整方法、先月18日の地域における公務員給与研究会の報告を受けての地域関連手当の再構築など見直しの方向、調整手当の異動保障の見直し、国立大学の独立行政法人化後の教員給与の扱い、今後の公務員制度改革が向かうべき方向の表明など、地方自治体にとりましても、人事委員会にとりましても、今後に影響する重要な課題が含まれております。
 現在、各人事委員会では、勧告に向けて、鋭意、作業を進めているところであります。
 今後、皆様の要請の趣旨を十分考慮しながら検討し、それぞれの自治体の実情を踏まえて、自主性をもって対処していきたいと考えております。



<別紙>全人連への要請書

2003年8月11日


全国人事委員会連合会 
 会 長  内田 公三 様

公務員労働組合連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合   
中央執行委員長 北岡勝征
日本教職員組合       
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合    
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合     
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合  
中央執行委員長 玉野一彦


要 請 書


 貴職の地方公務員の賃金・労働条件の改善に向けたご尽力に敬意を表します。
 公務員労働者の賃金は、人事院の2年連続のマイナス俸給表改定・5年連続の一時金減額勧告により、過去最大の年収減となり、生活水準の維持にとって厳しい状況となっています。また勧告では、給与体系の見直し・地域給の検討が報告されましたが、これは地方公務員の給与へ大きな影響を与えると考えられます。
 一方、地方財政危機を理由に職員の給与をカットする自治体がさらに広がっていますが、これは現行法制下において人事委員会勧告制度を空洞化させるもので、容認できません。
 こうした厳しい状況における給与改定については、職員の納得を得るうえでも、労働組合との交渉・協議と合意に基づいて進めることが不可欠です。
 これから人事委員会において本年の勧告に向けた本格的作業に取りかかられることと思いますが、貴職におかれましては、地方公務員の生活を守るという人事委員会の基本的な使命を十分認識され、下記事項の実現に向け、加盟組合との協議を尊重しつつ、最大限の努力を払われますよう強く要請します。



1.地方公務員の生活を維持・防衛するための給与勧告を行うこと。
2.配分のあり方については、当該労働組合との協議に基づくこと。
3.「持ち家」に対する住居手当制度および現行支給水準を堅持すること。
4.通勤手当のあり方については、当該労働組合と協議すること。
5.扶養手当については、属性区分を見直すこと。
6.一時金については、地方公務員の生活を維持・防衛する支給水準とすること。
7.教育職員の給与勧告に当っては、これまでの経緯を尊重し、関係労働組合と協議し進めること。
8.短時間勤務制度を導入するとともに、非常勤職員の処遇改善や法的位置付けの明確化をはかること。
9.年間総労働時間を早期に1800時間程度に短縮するために、引き続き次の事項の実現を図ること。
(1) 所定労働時間の短縮をはかること、特に変則・交替制勤務職場における労働時間短縮を重視して取り組むこと。
(2) 実効ある男女共通の超過勤務規制のための積極的な施策を引き続き進めること。
(3) 年次休暇の取得を積極的に促進すること。
(4) 労働時間短縮のために人員確保などの施策を講ずること。
10.各種休暇制度を新設・拡充すること。特に、夏季休暇日数の拡大、リフレッシュ休暇、有給教育休暇(リカレント休暇)等を実現・充実すること。また公務員としての自己啓発、自己実現のための休業制度の新設を含め、総合的な休業制度を確立すること。
11.自治体における男女共同参画基本計画に基づき、女性公務員の採用、幹部職員への登用、女性の労働権確立や環境整備等に関する数値目標を含めた積極改善措置(ポジティブアクション)を講ずること。また、計画等の策定に当っては当該労働組合との十分な協議を行い合意に基づくこと。
12.育児休業・介護休暇の男性取得促進のための施策を行うこと。
13.高齢者再任用制度が、希望するものすべてが雇用されるなど実効性のある制度として定着するよう積極的な施策を行うこと。
14.国家公務員の進捗状況を踏まえ、実効あるセクシャルハラスメントの防止策を引き続き推進すること。
15.公務職場に障害者雇用を促進すること。そのために必要な職場環境の整備を行うこと。
16.刑事事件で禁錮以上の刑に処せられた場合のうち、公務に関わる事項をはじめ事案の性格によっては任命権者の判断で失職させない措置を行えるよう、分限条例の改正を行うこと。
17.自治体で取り組まれている緊急雇用対策としての自治体雇用に当っては、職員に対する未払い超勤の発生や賃金水準の低下を招くことのないようにするとともに、当該労働組合と協議すること。
18.各人事委員会の勧告に当っては、当該労働組合と十分交渉・協議すること。

以上