連合官公部門連絡会は、23日13時30分から、総務省人事・恩給局と交渉を持ち、昨年末に政府方針が決定された退職手当見直しに係わって、開催中の通常国会に提案されることとなる退職手当法改正案の検討状況を質した。官公部門からは、公務員連絡会及び国営企業部会の担当者が参加し、人事・恩給局は上田参事官らが対応した。
冒頭、官公部門側が検討状況を質したのに対し、人事・恩給局は改正法案の内容について次の通り説明した。
1.退職手当支給水準の見直し
(1) 見直し内容
国家公務員退職手当法附則第21項等に規定されている調整率を6/100ポイント引下げ。
(現行110/100 → 引下げ後104/100)
(2) 実施時期等
平成15年10月1日実施。
(当初1年間は3/100ポイントの引き下げとする経過措置を設定)
この結果、調整率については、
平成15年10月1日〜 107/100
平成16年10月1日〜 104/100
となる。
2.早期退職特例措置の見直し
(1) 見直し内容
退職の日の俸給月額に応じて特例措置を見直し。
@外局長官クラス(指定職9号俸相当額)以上は割増不適用。
A1年当たりの割増率を俸給月額に応じて2%以内で政令で定めるものとする。
(政令で局長クラス(指定職7号俸相当額)以上は、割増率を2%から1%と半減する予定。)
(注)検察官、裁判官等についても、同様に措置。
(2) 実施時期
公布の日から起算して2月を超えない範囲内において政令で定める日。
3.独立行政法人等への役員出向の導入に伴う規定整備
(1) 規定内容
国家公務員が国等への復帰を前提として退職をし、独立行政法人等の役員に就任した場合には、退職手当を国等への復帰後の退職時にのみ支給することとするため、所要の規定を整備。(公務員制度改革大綱(平成13年12月25日閣議決定)に盛り込まれた役員出向の具体化)
(2) 実施時期
公布の日から起算して2月を超えない範囲内において政令で定める日。
4.スケジュール
年度内に成立させる必要のある日切れ法案ではないが、予算措置を伴う予算関連法案であるため、2月上旬には国会に提出する予定。(改正法案の閣議決定は2月7日頃になる見通し)
「早期退職特例措置見直し」と「独法役員出向」の実施時期は国会審議次第だが、7月の人事に間に合うよう早期に施行したい。また、引き下げ措置の10月実施に向け、職員への周知が必要であることから、早期の成立を関係方面に働きかけたい。
なお、改正法案の検討作業ではいろいろ議論はあったが、当初想定していた内容でほぼ固まりつつあると考えている。
官公部門がこの説明に対し、「具体的にはどのような条文改正を行うのか」と質したのに対し、人事・恩給局側は「まだ確定したものではない」としながら、次の通り補足した。
(1) 1の調整率の引き下げは、@退職手当法附則第21項、退職手当法改正法(昭和48年法律30号附則第5項)で110/100を104/100に、A退職手当法附則第22項、退職手当法改正法(昭和48年法律30号附則第6項)の「35年を超え38年以下」を「36年」に、110/100を104/100に、それぞれ改正することを検討している。
(2) 自己都合退職者については今回の見直しにより、45年以上勤務者について35年勤務の5条退職者の支給率を超えることとなるので、今回の改正法の附則第4項で措置することを検討している。
(3) 経過措置については、改正法附則第2項及び第3項で措置する方向である。
(4) 2の@については法第5条の2で適用除外を明記し、Aについては同条で「俸給月額に応じて」政令で定める割合で調整することを規定する方向で検討している。
(5) 独法への出向の取扱いは職員の出向の取扱いを定めた第7条の2の次に新たに第7条の3を設け、第7条の2の「職員」を「役員」に読み替えた規定とすることを検討している。
以上の説明に対し官公部門側は、「内容については、見直し方針に基づいた改正法案となるものとして理解する。また、役員出向制度については新しい制度であることから、人事のあり方などについて、今後整理する必要があると考えている。2月上旬には改正法案を決定すると言うことなので、次回は条文に基づいた説明をお願いしたい」と要望し、本日の交渉を終了した。
以上