公務労協労働条件専門委員会は、12日午前9時50分から、公務員宿舎使用料引上げについて、財務省の斉藤国有財産調整課長らと交渉を行い、最終的な回答を求めた。これは、政府が明日(13日)政令を閣議決定する予定であることを踏まえたもの。
冒頭、河田委員長が最終的な見直し内容を示すよう求めたのに対し、斉藤課長は「12月以来、ご説明を申し上げ、ご意見なども伺ってきた。その過程で、ご回答申し上げてきたが、結論を得ていなかった問題も含めて、本日、最終的な内容をお示ししたい」として次の通り答えた。
(1) 引上げ額については提案した内容で4月1日から実施することとするが、激変緩和措置として、宿舎使用料について、施行の日から3年間は引き上げ額の2分の1を控除することとしたい。これは、新採、異動者を含めて入居者全員に適用するものである。
なお、駐車場使用料については、この措置を適用せず、施行日から全額引き上げる。
(2) 政令は、明日午前中の閣議で決定し、18日には公布する予定にしている。
(3) 原状回復については、昨年通達を改正したところであり、状況を見極めながら対策を取るかどうか、引き続き検討を進めていきたい。
(4) 入居基準にかかる家族数の問題については、昭和40年代に建設された古い宿舎が残っているので、まず、それを改善していきたいと考えている。また、c型規格の上限を65u未満から70u未満にグレードアップしたのでそれを確保するなど、実質的な改善を行ったうえで、今後も鋭意努力していきたい。
回答に対し、公務労協側は、次の通り要望し、今後の検討や話し合いの場について確認するよう求めた。
(1) 2年連続の賃金引き下げという厳しい状況があるし、われわれの生活実態への十分な配慮などの要求からすれば極めて不満な内容といわざるを得ない。しかし、激変緩和措置についての財務省の努力は受け止めたい。
(2) 原状回復については、いろんな問題が存在している。昨年通達を改正したということで、状況を見極めながら対策を取っていきたいとのことだが、財務省として対策が必要かどうか判断して対応するということではなく、今現実に問題があるというのがわれわれの認識であり、そうしたわれわれの意見を聞きながら進めていくことや、いつ、どのように見直すかも含めて検討することを約束していただきたい。
(3) 耐久年数を超えた宿舎や地震による被害への対応を含めて「実質的な改善」について是非努力をお願いしたい。
(4) 入居基準を含めた制度の基本的な事項についても、踏み込んで検討していくことを確認したい。
(5) 見直しの内容については各府省にも説明することになろうが、われわれとの話し合いの内容もきちんと伝えてほしい。
これに対し斉藤課長は、@今後の検討については、皆さんがおっしゃるような点(原状回復、入居基準等を含めた抜本見直し)についても問題意識は持っており、いつまでにどうするということを明示しないまでも、時期を見て意見を聞くなど、前向きに対応したいと考えている、A宿舎の実質的な改善に向けて、引き続き努力して参りたい、と答え、今後とも公務労協と話し合いながら検討をしていくことを約束した。
最後に河田委員長が「宿舎問題について、今後ともお互いに話し合いながら進めていくことをお願いしたい」と要望し、今回の宿舎使用料等見直し問題に係る財務省交渉に区切りをつけた。
公務労協は、国家公務員宿舎使用料の見直し問題が財務省から提案されて以降、公務員を巡る厳しい情勢を踏まえつつ、十分な交渉・協議と納得のいく決着を求め、はがき要請行動などに取り組むとともに、財務省との交渉・協議を積み上げてきた。
はがき行動等については、短期間であったものの、当該構成組織を中心に効果的・集中的な取り組みを行うことができたといえる。
交渉・協議については、当初の政令公布の予定を延期させ、十分とはいえないまでも一定の交渉・協議の期間を確保させ、財務省として従来にない対応をさせたことにより、次の点を確認できる。
@われわれが強く求めてきた引き上げ率の見直しなどについては実現できなかったものの、3年間については引上げ額の1/2に止める激変緩和措置の実施を回答として引き出したこと。
A原状回復措置の改善に向けて今後前向きに検討することなどの回答を引き出し、入居基準を含む宿舎制度の抜本的な改善に向けた今後の取り組みの足がかりを築いたこと。
とはいえ、今回の交渉・協議の結果は不十分であり、納得いくものではないことはいうまでもない。しかし、今日の公務員を巡る厳しい情勢を踏まえ、取り組みを進めた到達点として確認をせざるを得ないものと判断する。
今回の宿舎使用料引き上げを巡る取り組みは、13日の政令閣議決定により区切りを迎えるが、公務労協としては、今後とも原状回復を含む宿舎制度の抜本改善に向けて取り組みを継続していくこととする。
以上