2004年度公務労協情報 27 2004年3月31日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

人事院が退職時特昇廃止の最終案提示-3/31
書記長クラスが勤務条件局長と交渉し、一方的決定に厳しく抗議

 公務員連絡会書記長クラス交渉委員は、31日11時40分から、退職時特別昇給制度の見直し問題について人事院山野勤務条件局長と最終交渉を行った。この問題については、2月19日に人事院から「退職時特昇の可及的速やかな廃止」が提案され、春季生活闘争の過程でも激しい交渉が行われてきたが、人事院側から最終的な考え方を示したいとして行われたもの。
 冒頭、山野局長から、人事院の最終的な考え方が次のとおり示された。
(1) 退職時の特別昇給については、15年度分の実施状況を調査中であり、まだ全ての回答を得ていないが、大勢としては従来と大きく変わらない傾向で実施されている。したがって、これまでに説明してきているとおり、廃止せざるを得ない。近々、正式に決定する。
(2) 実施時期は、その後、事務的な周知期間を経て、速やかに実施する。
(3) ご要望を踏まえ、退職手当との関係については、決定後、総務省に対して、適切な検討をされるようお話しする。
(4) 実施時期について、当方としてはぎりぎりの配慮をしたつもりであるので、ご理解願いたい。

 これに対し連絡会は、「いまの局長の説明では、なぜ、いま廃止する必要があるのかまったく理解できない」として以下のとおり、山野局長を追及した。
(1) これまでに相当議論してきたが、制度が間違っていたのか、趣旨通りに運用できなかったことに問題があるのか、未だにはっきりしていない。その点を明確にした上で最終方針を決定すべきだ。
(2) 退職時特昇を含めて、退職手当の官民均衡が図られているのだから、廃止により均衡が崩れる。この不利益を放置したまま、特昇を廃止するだけというのは納得ができない。
(3) われわれと十分意見交換して、本年の勧告で提起して、少なくとも退職手当の経過措置が切れる10月実施とすべきではないか。
 追及に対し局長は次のとおり考えを示した。
(1) 公務員の処遇が民間に比べて充実していないときに、待遇改善につながったということで、歴史的には意味があったし役割を果たしてきた。しかし、現在は、官民均衡している状況の下で、退職時に特昇させるという形で成績査定で上乗せすることは、そもそも査定が難しいということもあり、制度の存続は難しいということだ。
(2) 結果として退職手当の官民均衡が崩れることから、所管の総務省に検討の必要がある旨を伝えたい。
(3) 意見交換は重要であるが、国会やマスコミから給与査定で退職手当が増えるのはおかしいと言われたとき、納得させる説明ができないし、3月31日時点で調査結果がまとまるのにとても人勧を経ての結論とはならない。
 これらの局長見解に公務員連絡会側は納得せず、国税労組の代表が「国税の職場では7月が人事異動となっているが、退職対象者が現時点で退職したほうがいいのか、7月に退職したほうがいいのかさえ選択できない。これは職場の混乱要因にもつながるので、7月を超えた実施時期とすべきである」と、実施時期等についての再考を強く求めたが、局長は「そもそも国会審議等で求められたのは今年度中の処理であったが、調査結果を踏まえる必要があるということで年度中の廃止は回避した。年度を超えると、いろいろ現場に問題が生ずることは認識しているが、いまの状況はとても7月をクリアするような状況ではない」と、これを受け入れなかった。

 以上のように、人事院の姿勢は極めて固く、近々に廃止するとの方針を変えなかったため、最後に山本事務局長は「退職時特昇について、なぜ、いま廃止なのか、納得のいく説明が行われておらず、かつ、われわれが運用改善や実施時期の慎重な取扱いを求めたことについても受け入れられていない。また、十分交渉・協議が尽くされたとは言い難く、この段階で、人事院が廃止を一方的に決定することは極めて遺憾と言わざるを得ない。われわれとしては、労使関係を超えて、国会審議の中で事実上賃金・労働条件の見直しの方向が確定することは到底受け入れられず、今回の人事院の姿勢は強く批判せざるを得ない」と厳しく抗議し、交渉を打ち切った。

以上