公務労協公務員連絡会は10月31日、地公部会を中心に2003地方確定推進・地方財政確立を求める中央行動を実施した。
この行動は、11月10日からの集中交渉ゾーンに向けて、情勢の確認と取り組みの意思統一を行うために実施されたもので、10月31日の中央集会のほか、30日の総務省公務員部長交渉、29日、31日の地方6団体要請行動が取り組まれた。
「2003年地方確定推進・地方財政確立を求める10.31中央集会」は、10月31日午後1時15分から全電通労働会館で600人の参加のもとに開かれ、山口地公部会幹事の司会で進められた。
はじめに主催者を代表して挨拶にたった松島地公部会議長は、公務労協発足で新たに部会の議長に就任したことをのべながら「今日は確定闘争のスタートの集会だ。11・10〜14のゾーンに向かって全力を集中したい。月例給、一時金削減の人勧が出て厳しい情勢だが、いくつかの都市ではさらに国を上回るマイナス提案をしようとする動きがある。これは絶対に容認できない。財政危機の影響が地方公務員に波及しているが、労使交渉で跳ね返してほしい。地域給見直しについても公務員連絡会全体で歯止めをかけたい。公務員制度問題は来年の通常国会で焦点となると考えられるが、地公も同じ土俵に立たされる。労働基本権回復、公正、透明な制度をめざしたい。いま総選挙が戦われているが、小泉政権誕生以来、景気は悪化し構造改革は破綻した。民主党を基軸に政権交代を実現しよう」と力強く訴えた。
このあと、立教大学・池上岳彦教授が「三位一体改革の動向と地方税財政確立の課題」をテーマに講演を行った。講演の柱は@財政赤字と公債の累積A「三位一体の改革」のあるべき姿B市町村合併の推進C地方税財政に関連する改革課題の4点を挙げ、「国、地方を通じて財政収支悪化を招いたのは、景気対策的な公共投資と繰り返し行った減税であり国の責任だ。そこでは地方税の減税も強制され、地方交付税率の引上げも認められず、地方債の発行が奨励されたため、地方財政が悪化した。十分な地方への税源移譲と交付税総額の確保が必要」とのべた。
続いて基調報告を岩本地公部会事務局長が行い、「選挙闘争の真っ最中の集会であるが、選挙に集中した力で確定闘争を闘おう」とのべながら「地方財政と確定闘争は一体のものである。今年6月に出されたいわゆる第3弾の骨太方針は、公務員の総額人件費削減、三位一体の名の下に地方への支出を減らそうという狙いがある。きちんと対応していかねばならない。29日から本日まで地方6団体へ要請を行ってきたが、共通して地方交付税削減を懸念している」と報告した。さらに、地公部会代表者会議では確定闘争の基本課題として5点を確認し、山場に向けて職場から運動を集中しようとのべた。
このあとの構成組織からの決意表明では自治労・菅家中執、全水道・久保田中執、都市交・古後副委員長、日教組・北教組の森執行委員、日高教・土井書記長が登壇し、産別の状況を報告するとともに最後まで闘う決意を表明した。
集会決議(資料1)を岩間地公部会幹事が読み上げ、全体の拍手で確認したあと足立全水道委員長の音頭で団結がんばろうを三唱し、集会を締めくくった。
<総務省公務員部長交渉の概要>
公務労協公務員連絡会地公部会は、10月30日午前11時から、2003確定闘争の推進、地方財政確立等に関わる総務省公務員部長交渉を行った。
交渉には、山本公務員連絡会事務局長、岩本公務員連絡会副事務局長ほか、植本書記長(自治労)、池田副委員長(日教組)、横沢書記次長(都市交)、佐藤書記長(全水道)、菅野副委員長(自治労連)、土井書記長(日高教)が参加、総務省からは森公務員部長、上田公務員課長、園田給与能率推進室長、山本高齢対策室長、相馬定員給与調査官、溝口公務員課課長補佐、黒瀬調整課課長補佐、藤井合併推進課課長補佐、植村給与能率推進室課長補佐、吉永給与能率推進室課長補佐、太田公務員課課長補佐が応じた。
冒頭、公務労協の結成を報告した後、公務員連絡会地公部会側が別紙の申入れ(資料2)を手交するとともに、申入れ項目に基づき、総務省の今日段階の考え方を質したのに対し、森公務員部長は、概要、次のとおり回答した。
1.賃金改定について
地方公務員の給与改定については、現行制度上は、議会の議決による条例で定めることとされており、その内容は、国及び他の地方公共団体との均衡が失われないようにすべきものである。今後とも、このような考え方に立って見守っていきたいし、必要な助言等を行っていく。
2.給与制度の見直しについて
地域における公務員給与の在り方の見直しについては、本年7月18日に人事院の「地域に勤務する公務員の給与に関する研究会」において、基本報告がなされたところであるが、これらの報告は、国家公務員の給与の在り方として言及されているもの。地方公務員の給与については、国家公務員の給与に準ずることが地方公務員法の趣旨に最も適合するものであるため、今後の地域における国家公務員の給与の在り方に関する人事院の検討を踏まえながら、適切に対応していく必要がある。
3.雇用創出・安定について
マクロの経済政策、税制度等については、国の責任において対処すべきものと認識しているが、我が国経済における地方財政の占める役割は極めて大きく、景気対策にかかる公共事業等については、地方団体の理解と協力を得て、必要な地方財政措置を講じることによって、円滑な事業実施に努めてきた。また、雇用創出・安定のための対策については、平成13年度、14年度の補正予算で創設・拡充された「緊急地域雇用創出特別交付金」について、地方のニーズを考慮し、その効果的な実施が図られるよう所管省庁に対して改善を要求してきたところ。
なお、10月24日、地域経済の活性化と地域雇用の創造を、地域の視点から積極的かつ総合的に推進することを目的に、地域再生本部が内閣に設置された。総務省としても、地域再生本部、経済財政諮問会議の議論の動向を踏まえ、積極的に取り組んでいきたい。
4.地方財政の確立について
地方自治の本来の姿の実現に向け、経済財政諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」に基づいて、三位一体の改革を進めているところ。平成16年度とそれ以降の予算編成により、平成18年度までには、着実に改革を進めたい。とりわけ、平成16年度は三位一体改革のスタートの年であるため、関係省庁との調整を図りながら、相応の成果が得られるよう努力したい。
国庫補助負担金については、廃止・縮減を進めてまいりたい。一方で、地方交付税についても、総額の縮減と簡素化に向け、見直しを進めていくこととなっている。財政力格差の調整および財源保障機能は不可欠であり、6月に閣議決定された基本方針2003もそうした趣旨を踏まえたものとなっている。今後とも財源保障機能を堅持するとともに、必要な交付税総額を確保してまいりたい。
5.市町村合併について
市町村合併については、地域の将来や住民の生活に大きな影響を及ぼすものであるため、市町村や地域住民の自主的・主体的判断によることが基本である。しかしながら、市町村は少子高齢化の進展の中で、行政サービスを維持・向上させていくことが求められている。こうした状況も見据えながら、総務省として十分な情報提供に努め、各市町村においては、住民に対し市町村合併に関する情報提供を積極的に行い、判断していただきたい。
6.地方公務員制度改革について
地方公務員制度改革の具体化を図るに当たっては、国家公務員法の改正等にあたる内閣官房行政改革推進事務局と連携をとりつつ、地方公共団体や職員団体などのご意見も聞きながら、具体的な検討を進めてまいりたい。
一般職員の短時間勤務をはじめ、任期付採用の拡大等も含めた多様な勤務形態の導入については、地方公務員制度調査研究会(以下、地公研)において有識者等の意見をいただいているところであり、これらを踏まえた検討を行い、平成15年度中には所要の措置を講じることとしたい。地公研においては、地方公共団体や職員団体、民間部門などからのヒアリングを重ねるとともに、海外の多様な勤務形態についての検討を行っており、論点が徐々に明らかになってきているものと考えている。引き続き、地公研において議論が行われているところであるので、総務省としても、当該研究会の議論の進捗を待って、所要の措置を講じてまいりたい。
こうした回答に対し地公部会側は、さらに次の点について総務省側の見解を質した。
@人事院が勧告した官民均衡措置については、3月期期末手当の廃止に伴い12月期期末手当で調整する必要があり、給与条例の改正に向けた議会対応等が求められているところだが、各自治体での対応はどのようになっているのか。現段階での見通しをお聞きしたい。
A高齢者再任用制度が創設され2年余が経過するが、一部自治体では、条例そのものが否決される、条例制定されたが制度が凍結されている。このような事態に対し、総務省として今後どのような対応を進めるのか。
B国庫補助負担金制度の見直しに当たっては、ナショナルミニマムが確保されるよう総務省としての尽力を要請する。
C短時間公務員制度の創設については、臨時・非常勤職員の法的位置付けと実態との乖離の解消、同一価値労働同一賃金の原則に基づく均等待遇の確保などが不可欠である。制度の見直しは、われわれとの十分な交渉・協議と合意に基づいて進めるよう要請する。
これらに対し、総務省側は概要、次のとおり回答した。
@総務省では、地方公共団体における給与改定等にかかる対応状況についての問い合わせをしたところ。12月期期末手当での調整の必要性については、概ね周知されている状況で、臨時議会での対応、12月議会を早めての対応がなされると聞いている。おおよその地方公共団体で12月1日までに給与条例が改正される見通しである。周知できていない地方公共団体に対しては、万が一、12月期期末手当での調整が間に合わず、月例給で調整することとなった場合、月例給が生活給であるため不適切であると考えられるとの情報提供を行った。都道府県の市町村課からも十分周知されるよう助言をお願いしているところ。
A高齢者再任用制度の条例制定等の状況については、総務省で毎年調査を実施しており、そのような地方公共団体があることは把握している。民間企業での再任用制度の状況等について情報提供を行ってきたところだが、引き続き、実施について助言等に努めてまいりたい。
B国庫補助負担金制度の見直しについては、単に財政的な観点でなく行政サービスの質の向上の観点が大切と認識している。総務省としてはナショナルミニマムの確保に必要な財源の保障は不可欠との立場で対応を図ってきたところである。
C短時間公務員制度については、現在、多様な勤務形態の導入に向けて地公研で検討されているところであり、慎重に議論を進めたい。待遇という点についてはいろいろな考え方があるが、現行制度で非常勤職員の法的位置付けが漠然としていることは事実である。この点については工夫していく必要があり、努力してまいりたい。
最後に山本公務員連絡会事務局長より、「退職手当については、団塊世代の退職後の対応を展望していく必要がある。また、共済年金制度のあり方についても、雇用と年金の接続の確保のため、前広な議論をお願いしたい」と、引き続き、これらの課題についても協議していくことを要請し、申入れを終えた。
地方6団体申入れの概要
<全国知事会への要請>
全国知事会への要請は、10月29日午後1時30分から行われ、公務労協公務員連絡会からは地公部会書記長クラスが、全国知事会からは遠目塚事務局次長らが出席した。地公部会は、別紙「申入れ」(資料3)の趣旨を説明し、見解を質した。
遠目塚事務局次長は、概要、次のとおり回答した。
@地方公務員の給与については、マスコミや週刊紙などで「高い」という報道がなされているが、「地場賃金に合わせる」として給与水準が抑制されると、例えば地域の医療・教育・福祉などの分野の職員を確保できないことが懸念される。行政サービスの提供を確保するため、地方公務員の給与が確保されるよう取り組んでいきたい。
A地方交付税については、国の三位一体改革などをうけて、財務省などから軒並み削減するとの方向性が示されている。全国知事会としても、地方分権をはかるため、会長私案として、国庫補助負担金の改革、税源の移譲について具体案を示し、各政党に対しても申し入れを行っているところである。
B国立大学の独立法人化にともなう教職員の給与問題については、具体的に議論するまでには至っていない。義務教育の国庫負担金問題については、一般財源化されても全国統一に教育水準が保障されることが前提で、そのための十分な財源が確保される必要がある。
また地公部会側は、全国知事会に対して非常勤職員の処遇改善、短時間公務員制度の導入と国主導の強制的な市町村合併への対応について見解を求めた。
遠目塚事務局次長は、「短時間勤務制度の導入については時代の流れであると認識しており、非常勤職員の処遇改善にむけてしっかり取り組んでいきたい。市町村合併にともない、都道府県の機能や役割をどうするかという議論が浮上してきている。強制的な市町村合併については明確に反対してきている」と答えた。最後に、地方税財源の確立や分権の推進、厳しい地方財政状況をうけた地方公務員の賃金確保などの課題について、全国知事会と地公部会との意見交換の機会を設けることを要請して、申入れを終了した。
<全国市長会への要請>
全国市長会への要請は、10月29日午後2時15分から行われ、公務労協公務員連絡会からは地公部会書記長クラスが、全国市長会からは長江行政部長、定岡財政部長らが出席した。地公部会は別紙「申入れ」(資料4)の内容について説明し、市長会の見解を質した。
全国市長会側は、概要、次のとおり回答した。
@地方分権を推進するため、国庫補助負担金の廃止・縮減、税源移譲に取り組んでいく。全国市長会としても提言をまとめ、政府などにその内容を実現するよう要請してきている。一方、財務省から改めて交付税削減の方向性が示されている。全国市長会としても、地方交付税の維持に全力をあげるとともに、11月19日には地方六団体として一斉に国会議員の要請活動に取り組んでいく。
A市町村合併が進んでいるが、市町村のあり方として一定の行政規模・能力が必要であると考えており、地方制度調査会においても議論されている。2005年4月以降の合併特例法にかわる法制度では財政措置を取らないと聞いているが、市町村合併の対象とならなかった離島などを持つ自治体については、地域の事情を踏まえて必要な対応をはかれるよう地方制度調査会の場で意見反映している。
B各市に対しては地方公務員法改正案等に関する情報提供をしている。次期通常国会では再び同法案の上程が予想されるが、能力重視型へ制度を改革することは流れだと思う。短時間勤務制度については、総務省内の研究会で議論が進んでおり、その動向について見守っていきたい。
また、地公部会は、@団塊の世代の退職に対する退職手当財源、A11月中に給与条例が改正されない場合の対応、B2001年水道法改正をうけての民間委託などについての見解を求めた。
全国市長会側は、以下の通り回答した。
@具体的な議論は行っていないが、4〜5年後にはいや応なく来る。退職手当組合に入っていない人口の増減が激しい都市などは財政的に厳しいと認識している。
A11月中に給与条例が成立しない場合、来年1月からの給与で減額調整されることになり、生活保障の観点から問題がある。
B公営企業を民間委託するという方法論だけではない立場から、地方独立行政法人制度の仕組みについて情報提供を行っているし、今後も継続していきたい。
<全国町村会への要請>
全国町村会への要請は、10月29日午後3時30分から行われ、公務労協公務員連絡会からは地公部会書記長クラスが、全国町村会からは関場事務局次長らが出席した。地公部会は、別紙「申入れ」(資料4)の内容を説明し見解を求めた。
関場事務局次長は、「全体として、公務員連絡会と共通の認識だ」とした上で、特に以下を強調し、概要、次のとおり回答した。
@国の三位一体改革は、言葉はいいが、弱いものにしわ寄せがいく懸念がある。町村は、山、川、畑といった自然環境や国土保全といった役割を担っており、今後ともその役割を果たすことができる財源の裏付けが必要だ。現在の地方交付税制度は何としても堅持する必要がある。
A市町村合併については、合併自体に反対と言ったことはなく、地域に任せて欲しいということであり、また合併は住民にとってプラスでなければならない。地域の自主性が尊重されるべきであると考えている。全国町村会として、このような考え方にたって、11月の地方制度調査会の最終報告にむけて意見集約をはかっている。
B地方公務員制度改革については、地域に根差したものであるべきである。非常勤職員の処遇改善については、地方公務員制度全体の見直し作業の中で取り組む必要がある。
<全国都道府県議会議長会への要請>
地公部会幹事は10月31日16時から、全国都道府県議会議長会に別紙「申入れ」(資料5)に基づき賃金・地財確立等について要請した。地公部会側の申入れ事項の趣旨説明をうけて、対応した全国都道府県議会議長会の若林哲男調査一部長らは大要次のように答えた。
@「三位一体改革の早期実現」もサブテーマに、11月19日、地方6団体が全国大会を開き、政府与党に要請する。補助金の整理内容がまだ明らかにされていない。先立つ総選挙の結果で大きな影響が出るだろう。財政調整と税源移譲は一体にすべきだと考える。
A市町村合併などについて、11月13日には政府の地方制度調査会から答申が出るだろう。強制による合併はすすめるべきでない、と議長会は意見を述べてきた。
B賃金確保、労使交渉の尊重、交付税制度の堅持、交付税総額の安定確保などについても、要望の趣旨は十分理解する。
<全国市議会議長会への要請>
地公部会幹事は10月31日16時40分から、全国市議会議長会に賃金・地財確立等について申し入れた。地公部会側の申し入れ事項(資料6)の趣旨説明をうけて、対応した全国市議会議長会の小泉昇三政務第一部副部長らは大要次のように答えた。
@雇用対策などは政府に要望している。「三位一体改革の早期実現」にあたっては交付税制度の堅持を主張してきた。国の見直し方向では小さな自治体は財政が成り立たなくなる。地方分権の推進も要望してきた。
A地方制度調査会にたいして、市町村合併については強制しないよう意見を述べてきた。また、議会の活性化、活動充実も主張した。
Bその他は検討させてほしい。
<全国町村議会議長会への要請>
10月31日午前10時から行われた全国町村議会議長会への要請には、地公部会幹事が参加し、全国町村議会議長会からは、阪本政策部長が対応した。
地公部会は、申入れ(資料6)を手交し6項目にわたる要請内容を説明、その実現に向けた努力を要請した。
これに対して、阪本部長からはまず「要請を受けたということについては、ホームページに掲載したい」とした上で、地方公務員の賃金確保については厳しい状況にあるとの認識を示すにとどまった。また、地方税財政や市町村合併の要請項目については、「我々もみなさんと同じ考えである」と述べ、とりわけ自治体合併や地方税財源の三位一体改革については、前日(30日)に開かれた地方制度調査会に対して要請を行ったこと、さらには11月19日に地方6団体が集まって総決起大会を開き、地方財政確立に向けた運動を進めていく決議を採択することにしていることなども報告された。
地公部会側は、これらの見解に対し、特に「マスコミは公務員の給与が高いといっているが、町村の約7割は職員給与のラスパイレスが100以下であり、こうした厳しい状況下で公務・公共サービスの確保・向上のためにがんばっている。こうした実態を議会やマスコミにきちんと説明してほしい」と強く要請。地方財政確立に向けた協力を再度訴え、この日の要請を終了した。
(資料1)10.31中央集会決議
集会決議
2003年自治体確定闘争は、本格的なたたかいの段階を迎えています。
今年の給与勧告は、国、自治体とも2年連続の月例給マイナス改定と大幅な一時金の引き下げを内容としており、生活水準の確保にとって極めて厳しい状況にあります。加えて、マスコミなどによる公務員バッシングと公務員給与賃金キャンペーンが激しさを増し、そのターゲットは地方公務員の賃金に当てられており、十分な警戒と対応が必要です。
人事委員会勧告では、公民較差が自治体間で拡大する傾向にあり、地方公務員の統一的な賃金水準の確保が大きな課題です。
こうした情勢を踏まえ公務員連絡会地公部会は、国を下回らない賃金改定を基本に、11月10日から14日を集中交渉ゾーンとする2003年確定闘争に全力をあげます。組合員の生活水準の確保とともに、労働組合の生命線である労使の交渉による決着をはかります。
人事院が本格化させる地域給与・給与制度見直しは、地方公務員の賃金に直接影響を与えることから、公務員連絡会全体の課題と位置づけて取り組みます。
一方、公務員制度改革は来年の通常国会が新たな山場となります。政府と連合の協議を軸に、ILO勧告の受けいれと労働基本権確立、透明で民主的公務員制度の確立に向け取り組みます。
地方財政は引続き厳しさを増しています。経済財政諮問会議の三位一体改革は名ばかりで、国庫補助金の見直しも税源移譲も省庁の権限争いに終始し、具体化の見通しさえたっていません。国庫負担金の見直しにあたっては行政サービスの水準を確保することが前提であり、また交付税制度は財政調整機能とともに財源保障機能を堅持し交付税総額が確保される必要があります。
また、市町村合併を含めた自治体の行政、税財政の改革議論が重要局面にあることを踏まえ、分権型社会にふさわしい行財政制度の確立をめざし、地方6団体などと連携した取り組みの強化が求められています。
私たちは本日の集会をスタートに、今政治的焦点である総選挙勝利のたたかいとも結合させ、地方確定推進・地方税財政確立に向けた今秋季年末のたたかいに総力をあげて取り組みます。
以上決議します。
2003年10月31日
2003年地方確定推進・地方財政確立を求める10・31中央集会
(資料2)総務省への申入書
2003年10月30日
総務大臣
麻生 太郎 様
公務労協公務員連絡会地方公務員部会
全日本自治団体労働組合
中央執行委員長 人見一夫
日本教職員組合
中央執行委員長 榊原長一
日本都市交通労働組合
中央執行委員長 松島 稔
全日本水道労働組合
中央執行委員長 足立則安
全国自治団体労働組合連合
中央執行委員長 玉野一彦
日本高等学校教職員組合
中央執行委員長 藤掛 登
地方公務員の賃金と地方財政確立等に関する申入れ
貴職の地方自治確立と地方公務員の処遇改善にむけたご努力に敬意を表します。
2003年人事委員会の勧告が出され、自治体の賃金確定は山場を迎えていますが、行政サービスに従事する地方公務員の生活を保障する立場から賃金の改善と、労使自治を尊重した賃金確定が求められます。
一方、政府で進められている公務員制度改革も重要な課題です。
地方分権一括法の施行を受けて、いっそうの分権の推進と地方自治の確立が求められ、そのための地方税財源の充実が課題となっています。地方財政は厳しい状況にあることに加え、地方交付税総額の圧縮も懸念されます。
また、5%を超える高い失業率は改善されず、雇用不安は重大な社会問題となっています。こうしたことからも、福祉や保健・医療、防災、環境対策など地域が必要としているニーズに対応した雇用創出が必要です。
貴職におかれましては下記事項の実現に向けてご尽力を頂きますようお願い申しあげます。
記
1、公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
また、自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。
2、地域における公務員給与や給与制度見直しの検討を行うに当たっては拙速な結論を避けるとともに、私たちとの十分な交渉・協議を行うこと。
3、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
4、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
5、住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。
6、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。また、非常勤職員の法的地位の明確化をはかり、短時間勤務制度を創設すること。
(資料3)全国知事会への申入れ事項(2003年10月29日)
1、公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
2、国立大学の独立法人化にともなう公立学校の教職員の賃金については、現行水準と内容を堅持するとともに関係労働組合と十分交渉・協議すること。
3、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
4、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
5、住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。
6、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。また、非常勤職員の法的地位の明確化をはかり、短時間勤務制度を創設すること。
7、地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。
(資料4)全国市長会・全国町村会への申入れ事項(2003年10月29日)
1、公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
2、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
3、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
4、住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。
5、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。また、非常勤職員の法的地位の明確化をはかり、短時間勤務制度を創設すること。
6、地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。
(資料5)全国都道府県議会議長会への申入れ事項(2003年10月31日)
1、公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
また、自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。
2、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
3、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。国庫補助負担金制度については、国としての最低保障のあり方や国と地方の役割分担を踏まえ、個々の事業を精査し必要な改革を進めること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
4、住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。
5、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。また、非常勤職員の法的地位の明確化をはかり、短時間勤務制度を創設すること。
6、地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。
(資料6)全国市議会議長会・全国町村議会議長会への申入れ事項(2003年10月31日)
1、公務・公共サービスの確保・向上のため、地方公務員の賃金が確保されるよう取り組むこと。
また、自治体賃金の確定に当たっては、労使の交渉を尊重すること。
2、景気対策にかかる事業や施策の実施については、国の責任と負担により財源確保をはかるとともに、雇用創出・安定の対策を行うこと。
3、国庫補助負担金制度の改革、税源移譲など安定した地方税財源を確保するための制度改革を急ぎ、地方分権の推進、地方自治の確立を図ること。また、交付税制度を堅持し、交付税総額の安定的確保をはかること。
4、住民自治の観点から、強制による市町村合併は行わないこと。
5、地方公務員制度の改革にあたっては、労働基本権を確立し、地方自治の本旨を踏まえ分権型で開かれた民主的な公務員制度とすること。また、非常勤職員の法的地位の明確化をはかり、短時間勤務制度を創設すること。
6、地方財政を確立し地方分権を推進するために、共同した取り組みをめざし意見交換・協議を進めること。
以上