2004年度公務労協情報 31 2004年4月28日
公務公共サービス労働組合協議会
 公務員労働組合連絡会

政府が女性職員の採用拡大について目標数値を申合せ−4/28
−公務員連絡会は超勤縮減、育児休業取得促進など一層の環境整備を要請−

 総務省人事・恩給局は、28日、公務員連絡会に対し、「昨日、男女共同参画推進本部が「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」(資料1)を決定したことを受け、本日午後、各省庁人事担当課長会議を開いて「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」(資料2)の申合せを行ったとして、その内容を説明した。
 総務省の説明は以下の通り。

(1) 2003年6月20日に男女共同参画推進本部が決定した「女性のチャレンジ支援策の推進について」の中で、「2020年までに指導的地位に女性の占める割合を少なくとも30%程度になるよう期待」するとの記述があり、その実現に向けて、昨日の男女共同参画推進本部会議で「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」が決定され、その中で目標数値をもうけることが確認された。
(2) その決定を踏まえて、本日午後の各省庁人事担当課長会議で「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」の申合せを行った。
(3) 申合せでは、「当面(平成22年度(2010年度)頃まで)の目安」として、公務内において指導的地位に立つ女性割合を高めるためには、まず入口で女性を確保する必要があることから、「T種事務系(行政、法律、経済)の採用者の女性割合を30%程度」にすること、「その他の試験」についてはそれぞれの事情があることから具体的な数字は示さないが、「できる限りその割合を高める」ことをめざすほか、これまでも推進してきた「女性の登用の拡大、勤務環境の整備、実施状況のフォローアップ」を行うことにしている。
(4) 昨年のT種事務系の採用試験の女性合格者割合が15%程度であるのに対し、採用者割合は21%程度となっており、任命権者が女性採用に努力したことが伺われる。しかし、採用者割合30%ということになると、合格者を増やさないと達成困難であることから、いろいろな取り組みをしていくということである。

 説明に対し、連絡会側は、@人事院の「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」に基づいて各省庁が取り組んでいる「女性職員の採用・登用拡大計画」(2001〜2005年度)とはどういう関係か、A2005年3月中に策定することになっている次世代育成支援にかかる「特定事業主行動計画」との関係はどうか、BU・V種の採用目標は定めないのか、C「指導的地位」とは具体的になにか、など総務省の見解を質した。
 質問に対し参事官は、次の通り答えた。
@人事院の指針の中にも具体的な項目が入っているが、今回の申合せは、任命権者側の共通目標として定めたものである。なお、指針に基づく計画は来年度で終わるので、その際、今回の申合せ内容を含めて、次の計画を策定することになる。
A次世代育成支援に係る行動計画については、3月に決定した「平成16年度における人事管理運営方針」でも策定することを書いている。今回の申合せでは、次世代育成にかかる超勤縮減や男性の育児休業取得促進も書き込んでいる。オーバーラップするところがある一方、一部違うということもあり、今回の申合せと行動計画で、両者相まって取り組むということである。
B昨年の実績で、T種事務系は女性採用者割合が21%程度であるので目標を30%程度としているが、U種は29.4%で増加傾向にあるし、V種は35.1%(平年ベースでは40%程度)なので、数字を掲げることはしていない。なお、T種は過去5年で9%増えているので、今後の5年間で30%を是非実現したいと考えている。
C「指導的地位」というのは必ずしも定まっていないが、たとえば行(一)本省補佐の女性割合は平成13年度(2001年度)で5.3%、9級以上では同様に1.7%ときわめて低いので、急に増やすことは難しいが割合を上げるペースを高めていきたいと思っている。アンケート結果など現状分析を行って、人事院にも要請しつつ、対策を講じていきたい。
 最後に、連絡会側から「組合としても努力していきたいと考えており、今回の目標設定は大きな流れの中での一歩前進と受け止める。省庁間で凸凹なく達成できるよう様々な取り組みをお願いしたい。また、次世代育成にかかる行動計画策定や採用後働き続けるための環境整備が大切であり、これまでも超勤縮減や男性の育児休業取得促進などの対策を講じるよう要求してきたが、一向に進んでいないのが実態である。男女平等参画の問題については、今後とも議論していきたい」と要望し、説明会を終えた。


(資料1)
女性国家公務員の採用・登用の拡大等について


平成16年4月27日
男女共同参画推進本部決定


 「女性のチャレンジ支援策の推進について」(平成15年6月20日 男女共同参画推進本部決定)においては,「社会のあらゆる分野において,2020年までに,指導的地位に女性が占める割合が,少なくとも30%程度になるよう期待し,政府は,民間に先行して積極的に女性の登用等に取り組む」等としたところである。この決定に基づき,国家公務員法に定める平等取扱の原則及び成績主義の原則を前提としつつ女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図るため,政府全体としての目標を設定し,目標達成に向けた具体的取組を定めるなどして,総合的かつ計画的な取組を推進することとする。また,女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図る上で必要な制度面及び運用面の整備・改善事項等について検討を行うこととする。


(資料2)
女性国家公務員の採用・登用の拡大等について


平成16年4月28日
各省庁人事担当課長会議申合せ


 「女性のチャレンジ支援策の推進について」(平成15年6月20日男女共同参画推進本部決定)においては、「社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待し、政府は、民間に先行して積極的に女性の登用等に取り組む」等とされている。このうち、女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大については、今般決定された「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」(平成16年4月27日男女共同参画推進本部決定。以下「本部決定」という。)において、「政府全体としての目標を設定し、目標達成に向けた具体的取組を定めるなどして、総合的かつ計画的な取組を推進すること」等とされたところである。
 女性国家公務員の採用・登用の拡大については、これまでも「男女共同参画基本計画」(平成12年12月12日閣議決定)に基づき平成13年5月21日に人事院が策定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を踏まえ、各府省において「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定して取り組んできたところであるが、本部決定を受けて、女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図るため、当面、以下の取組を行うこととする。


1 採用の拡大
 今後、女性国家公務員の採用の一層の拡大を図るためには、女性の国家公務員採用試験の受験者数及び合格者数が増加し、その下で積極的に女性の採用に努めることが必要である。このため、

(1) 女性のための業務説明会を開催する等、積極的に女性の募集活動を行うとともに、合格者に占める女性の割合に留意しつつ、女性の採用の拡大に努める。
(2) 女性の採用の拡大が可能となるよう、人事院に対して、女性の受験者数、合格者数等の現状の分析、多くの意欲と能力のある女性に国家公務員採用試験の受験を促すために必要な具体的方策等の検討等、女性の受験者数及び合格者数の増加のための一層の取組を進めるよう要請する。

 女性の採用の拡大のための取組を進めるに当たっては、当面(平成22年度(2010年度)頃まで)の政府全体としての採用者に占める女性の割合の目安として、国家公務員採用T種試験の事務系の区分試験(行政、法律、経済)については30%程度、その他の試験については、T種試験の事務系の区分試験の目標を踏まえつつ、試験毎の女性の採用に係る状況等も勘案して、できる限りその割合を高めること、を目標とする。
 なお、これらの目標は、国家公務員法に定める平等取扱の原則及び成績主義の原則を前提としつつ、男女共同参画社会基本法に定める積極的改善措置により、女性国家公務員の採用を計画的に拡大していくことを目指すものであって、目標に沿った採用が可能となるよう合格者に占める女性の割合が増加することを前提とする。


2 登用の拡大
 女性国家公務員の登用の一層の拡大を図るためには、採用者に占める女性の割合を高めることにより職員全体に占める女性の割合が高まっていくとともに、多くの意欲と能力のある女性職員を育成し、積極的に登用していくことが必要である。このため、計画的に女性職員の育成に努めるとともに、従来女性職員が就いていなかった官職に女性職員を登用する等、女性職員の職域の拡大に努める。


3 勤務環境の整備等
 多くの意欲と能力のある女性に国家公務員採用試験の受験を促し、また、計画的に女性職員の育成・登用を図るためには、職員が仕事と家庭生活を両立し易い勤務環境を整備することが不可欠である。このため、

(1) 平成15年9月26日に改正した「国家公務員の労働時間短縮対策について」(平成4年12月9日人事管理運営協議会決定)に基づき、職業生活と家庭生活を両立する上で障害となっている超過勤務の更なる縮減に取り組む。
(2) 育児休業、介護休暇等の取得促進を図ることとし、代替要員の確保に努めるとともに、各制度についての情報提供と理解促進に努めるものとする。特に、育児休業については、育児休業取得率の社会全体での目標値(女性80%、男性10%)等を踏まえ、育児休業取得率の低い男性職員の取得率の向上を図る。


4 実施状況のフォローアップ等
(1) 総務省は、人事院及び各府省の協力を得て、毎年1回、採用の拡大状況等のフォローアップを行い、その結果の概要を公表する。
(2) 1(2)に掲げるもののほか、女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図る上で必要な制度面及び運用面の整備・改善事項等のうち人事院の所掌に係るものについて、同院に対して取組を進めるよう要請する。

以上